暴虐の魔法帝国、地球国家と相対する   作:松雨

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破滅への道標

「認めたくはありませんが……下等種族如きが、あそこまでやるとは思いませんでした」

「ああ。今頃、上層部は阿鼻叫喚かお通夜状態だろうな」

 

 自国の本土防衛艦隊と中露連合艦隊がしのぎを削っている最中に、用意されていた大量破壊兵器(大陸間弾道誘導魔光弾)を中国およびロシア本土へと放った魔法帝国軍は、次なる対応に間を置かずに移っていた。

 

 言わずもがな、今現在行っている対応は複数存在していて、いくつかある内の1つとして、衝撃弾頭と魔法版水素爆弾(ヴァナフォール)搭載型に加え、コア魔法(魔法版原子爆弾)搭載型大陸間弾道誘導魔光弾の発射準備がある。

 

 第1波として放たれた合計108発は、不具合による墜落や両国のミサイル防衛システムにより、終末段階に至る頃には40発へと数を減らしていた。

 そして、最終的に中国には18発が、ロシアには12発が軍事基地を中心に本土のあらゆる場所へと着弾している。

 

 無論、それによって衝撃弾頭搭載型(10キロトン級)は言わずもがな、魔法版水素爆弾搭載型(25メガトン級)もその秘められた破滅的な力を開放、夥しい数の犠牲者と軍事的損害を生み出していた。

 

「すみません。この量はその、やはり惑星環境的によろしくないと思います。コストも馬鹿になりませんし、そもそもヴァナフォール搭載型の発射は、当初の方針にはなかったはずですが」

「ああ、その辺なら問題ない。改めて分析した結果、ラティストア大陸への影響はないとの結果は出ているし、政府上層部から許可と予算はもらっている」

「……分かりました」

 

 しかし、魔法帝国側にとっては本命の2発が目的の大都市を逸れた上、半分以上の衝撃弾頭搭載型が迎撃された事実そのものが信じられず、挙げた成果の事を忘れる程に、政府上層部含め8割以上の軍人や技術者は狂乱状態であった。

 

 故に、()()()()()()()使()()()()()()()()比較的慎重派だった勢力は急速に力を失い、凄まじい速度で130発の追加使用が決まる事となってしまったのだ。

 

 なお、大陸間弾道誘導魔光弾が中国とロシア本土に着弾してからすぐ、中露連合艦隊には一時撤退命令が下されたため、今現在戦闘は終了している。

 

「ところで、本土防衛艦隊の被害はどうなっている?」

「えっと、パル・キマイラⅠ型4隻にパルカオン2隻、他護衛艦19隻に魔導空母2隻が撃沈されています。艦載機も40機撃墜されていますね」

「大損害ではないか!」

「はい。更に、生き残った殆んどのパル・キマイラⅠ型やパルカオン、護衛艦や空母も等しく小破以上……なお、シーヴァンは2隻中破です」

「クソっ! 決戦兵器ですらそこまでの被害を……」

 

 そして、中露連合艦隊との戦いによる大損害で空いた防衛上の穴を補填する計画進行、『弾道誘導魔光弾防衛構想』に基づく動きに関しても、対応の内に入っている。

 

 各地の超兵器基地の兵器群、陸海空軍基地に存在する艦艇の防衛全力稼働は勿論、中間段階における弾道弾迎撃を目的とした試作超兵器『宙の衛星(バスターサテライト)』の、実戦使用における議論もされていた。

 

 最終的に結論は出たものの、今に至るまで起きた出来事や僕の星がもたらす地球の情報から、もはやこの世界を征服するなど夢物語という現実を、突きつけられてしまっている。

 

 結果、議論に参加していた光翼人のみではなく、この現実を知る事が可能な光翼人の間で比較的慎重派と超過激派に別れた口論、ないし乱闘騒ぎが勃発する流れが出来かけてしまう。

 

 なお、中立的立場を取る者が必死に場を宥めたり、特殊警察機構による取り締まりが機能していたお陰で、流れが立ち切られた以降は殆んど変化していない。

 

「えっ。ああ、おぉぉぉ……何と言う事だ! まるで、コア魔法の流星群ではないか!!」

「ん? どれどれ……なっ! 今すぐ全軍に緊急事態警報を発令しなさい! 手続き云々はしている場合ではありません!」

 

 そんな状況下でも、相変わらず忙しく働く超魔導技術研究・情報部にて、職員2人の最早悲鳴と言わざるを得ない声が、室内に居た全員の耳に唐突に入った。

 

 何をどう見聞きしようと、仮に相当ぶっ飛んだ解釈をしてさえとんでもない事態が発生したのは間違いなく、戦慄が走る。

 

「どうした、何があった!」

「中国およびロシア本土と見られる大陸より、1463発の大陸間弾道誘導魔光弾が発射されました! 軍事基地や弾道誘導魔光弾発射基地を中心に各都市もターゲットとみられ、最速で約20分後に着弾する予想です!」

「1463発、だと!? 我が帝国の総保有数とほぼ同じではないか! おのれぇ……!!」

「ちなみに、8~10発程度がここにも飛んできます! 軍人たちが、開発した兵器が、全て迎撃してくれる事を願いましょう!」

「「……っ!!」」

 

 続いて、司令の立場にある光翼人が職員2人に尋ね、緊急事態の内容が明るみになった事で、室内の雰囲気が凍てつく世界の如く変化していった。

 

 光翼人による世界征服が夢物語になっただけでなく、自分たちの命ごと魔法帝国の各都市が大量破壊兵器により灰塵に帰し、最悪滅亡する羽目になった訳で、無理もない。

 

 彼ら彼女らの心は邪悪そのものであり、それ自体が他種族からどう思われるかは別にしても、前世界人や地球人のように千差万別な自身の意思、喜怒哀楽の感情を持つのだから。

 

「たかが知れているだろうが……とにかく、俺たちに出来る事を精一杯行うぞ!」

「「「了解!!」」」

 

 これにより、光翼人は自身の立ち居振る舞いが呼び寄せてしまった、1463発の大陸間弾道弾(裁きの鉄槌)に、魔法帝国の存亡をかけて立ち向かっていく事となった。

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