中国およびロシアより、報復として1463発の大陸間弾道弾を向けられた魔法帝国、とりわけ迎撃を担当する軍事基地では、蜂の巣を突いた時の如き騒ぎとなっていた。
ただの
更に言えば、
実際に、大陸間弾道誘導魔光弾ないしそれらに相当する攻撃を放ってくる敵は、過去にやり合ったほぼ同格のインフィドラグーンを含めてさえ、存在しなかったのだ。
そのため、防衛構想の構築と試作品ではあるが、迎撃用の超兵器を含めたいくつかの装備を魔法帝国が持つに至るまで、様々な苦難を乗り越えてきている。
「敵の大陸間弾頭誘導魔光弾、
「たったそれだけか! 魔法帝国全体ではどうなっている?」
「合計で79発です!」
「クソッタレ! 殆んどがこの基地所属の試作超兵器頼りな上、そもそもロクに迎撃出来ていないとは!」
「流石に4桁も来られると、弾道誘導魔光弾ではなくとも厳しいでしょう。にしたって、迎撃率が悪すぎるんですよね。まあ、原因の見当はつきますけど……あっ、宙の衛星の主兵装が何故か沈黙!」
「ふざけるな!! このタイミングで故障とは冗談も程々にしろ!」
しかも未成熟ゆえに、カタログスペック上の性能を発揮するには至らない。帝都『ラヴァリア』近郊の軍事基地含め、各地に備わった迎撃兵装が撃墜出来た弾道弾は僅かに留まる。
また、試作品にしてはまともな戦果を挙げている宙の衛星も、宇宙にあるがゆえの整備不足と過剰魔力流による回路破損により、主兵装の
結果として迎撃能力が大幅に失われ、高度250㎞近辺に浮く
「ちょっ……敵弾道誘導魔光弾、分裂! 数が増えすぎたため、正確な弾数は不明ですが、増加比はおよそ3~4倍かと!」
「何ぃ!? 迎撃した意味がなくなったではないか!」
「ええ! このままでは、ラティストア大陸に
「そんなもの、どうしろと言うのだ!!」
おまけに、魔法帝国側の弾道誘導魔光弾は単弾頭しかないのに対し、中国やロシアの弾道弾は多弾頭の比率がかなり高く、見かけ上の数よりも対処すべき弾数が非常に多い。
故に、この事実を知るどころか予想すらしていなかった魔法帝国側は大混乱に陥り、一部では自暴自棄になるあまり防御を捨て、一発逆転を掛けて艦隊を出撃させる部隊すら出てくる。
挙げ句の果てには、衝撃弾頭搭載型や
地球諸国、とりわけ中国やロシアと戦争を始めてから大して時間が経っていないにも関わらず、既に栄えある祖国の歴史が終わりかけ、下手すれば光翼人が全滅する領域にまで突入している。
「多数が終末段階へ突入、迎撃兵装を起動します!」
「うぉぉぉ……!!」
で、核弾頭が雨の如く大気圏に再突入し始めた段階に至ると、地上設置型の150㎜魔導電磁加速砲を含め、非常に多数の
マッハ23近辺と、地球の先進諸国でも迎撃が難しい速度で迫り来るが、中間段階では迎撃出来なかった対空兵器がほぼ全て稼働可能となる。
なので、魔法帝国の優れた魔導コンピューターがそれらを捉え、もたらされる情報から迎撃確率が最も高い状況に至っていたが故に、撃墜される核弾頭がそれなりのペースで増加していく。
「撃墜、撃墜! されど、未だ多数が飛翔中です! あっ、アメリカ合衆国本土および近辺の海域より、更に1000発増加!」
「これ以上増える……と言うか、アメリカ合衆国まで介入してきただと? この
しかし、分離した核弾頭も各々1つとして数えた場合、3~4倍程度に増えてしまったそれを迎撃しきるには圧倒的に密度が足りず、魔導電磁加速砲以外は性能も地球の先進諸国には1歩も2歩も劣っている。
追加で伝えられた絶望的な知らせも相まって、状況が刻一刻と破滅へと近づいていった。
「だ、駄目です!! 数が多過ぎて迎撃不能!」
「ええい、地下の緊急司令部に避難だ! 我々が消し飛んでは――」
そして、魔法帝国の迎撃網を易々と突破した、中国およびロシアの放った大陸間弾道弾は秘められた破壊力をラティストア大陸各地にて解放、各種兵器や施設や建物もろとも、多数の光翼人を
メガトン級の破壊力を持つ弾頭は無い。これは命中精度の向上により、キロトン級の核弾頭でも効率良く敵の排除が可能となっていたためである。
とは言うものの、破壊力の観点で見ればキロトン級でも十分過ぎる程ではあるが。
なお、終末段階へ突入してからは民間人も多くが異変を察知したが、あまりにも遅すぎた。そして、あまりにも力不足であったので、何も出来ずに終わっている。
また、地下深くに司令部を置いていた基地の面々は助かりはしたものの、地上にあった各種兵器が核により消滅ないし大破、壊滅的である事には変わりなかった。
加えて、運良く大した被害を受けなかった基地もおよそ20分後、本格的な核戦争への介入を決定したアメリカ合衆国が放った大陸間弾道弾により、同様の末路を辿る事となってしまった。