『何だよコイツら! 誘導魔光弾がこうも避けられるとは!』
『ちくしょう、インフィドラグーン以上の敵が居るなど聞いてな――』
『ダメだ、避けられ……がっ!!』
ラティストア大陸より北東1600㎞、カリフォルニア州サンフランシスコ近くの空域にて、偵察任務中のラヴァーナル帝国空軍のパル・キマイラⅠ型1隻と制空型天の浮舟マーハス6機は、とてつもない不利な状況に追い込まれていた。
地球世界にて最強の軍事力を誇るアメリカ合衆国の空軍戦闘機、海軍のイージス艦隊による対空ミサイル攻撃の苛烈さに、防御能力が即座に飽和状態となってしまっていたからだ。
最初こそ、不意打ちの中距離空対空誘導魔光弾『ログラマ』による連続攻撃により、監視のために出てきた戦闘機を撃墜寸前にまで追い込む事には成功していた。
しかし、ラヴァーナル軍偵察部隊の行為は当然の如くアメリカの怒りを買い、すぐに最も近い空軍・海軍基地から出撃してきた戦闘機や艦艇より、手痛い反撃を食らって今に至ると言う訳である。
「3時の方向より、短距離空対空誘導魔光弾『シルデア』で迎撃しそびれた10発が本艦へ接近! 主砲や4基のアトラタテス砲込みでも、8発が被弾する可能性あり!」
「なんと……くっ!『魔導電磁結界展開装置』を起動、装甲強化も併せて行え!!」
無論、航空機として見れば強固な防御力を誇るパル・キマイラⅠ型の援護、マーハスの機体性能やパイロットの優秀さがあったため、会敵してからすぐに全滅するような事はなく、食らいつけてはいた。
だが、攻撃を中断した上で乗員や燃料源から来る魔力を全力で
「ぐぉぉ……今の攻撃による損害を報告せよ!」
「8発被弾により、中破です! 展開した結界が粉砕され、司令所近辺含め複数箇所にて深刻な火災が発生! なお、誘爆防止のため一部区間に封印結界を展開します」
「クソッ、結界展開と装甲強化を行ってさえこの様か。旧式とは言えマーハスも5機撃墜とは、アメリカ合衆国めぇ……!」
そこへ、第2波となる
ちなみに、会敵から今に至るまでの時間はおよそ40分である。ラヴァーナルもアメリカも互いに全力ではないが、この場で言えばアメリカが非常に優位に立っていた。
「敵戦闘機に艦船、更に対空誘導魔光弾を本艦へ発射! 合計30発が接近中!」
「おいおい、冗談じゃないぞ……撤退だ! 何としてでも防ぎ切り、本国へアメリカ合衆国の情報を渡さなければ! 通信を――」
各方向に派遣された偵察部隊は、万が一自国の脅威となり得る国家があった場合、少しでも情報を持ち帰るようにと命令されてはいたが、撤退が許されていなかった訳ではない。
そのため、アメリカ軍の更なる対空ミサイル攻撃を受けそうになっている、パル・キマイラⅠ型の艦長は全力防御をしつつも撤退を決断、残存の
「ああっ! マーハス、誘導魔光弾を受けて撃墜! 魔導チャフやフレアは意味を成していません!」
「絶対必中圏かっ! なら、せめて本艦だけでも……結界を再展開せよ!」
だが、空軍基地より援護として飛び立ったF-22の
「残存魔力量が3分の1を切りました! 各種誘導魔光弾の残弾も底を尽きかけています! あっ、アトラタテス砲の魔術回路と魔導電磁レーダーに不具合発生、迎撃率が大幅低下!」
「ふざけるなぁぁぁ!!」
しかも、艦内のありとあらゆる回路や人員より魔力をかき集め、魔導電磁結界の展開を急がせたせいで兵器の回路が損傷、ただでさえ満身創痍だったパル・キマイラⅠ型を更に追い詰める事態となる。
シルデアや主砲、回路が生きている2基のアトラタテス砲による迎撃を何とか敢行しているものの、魔導電磁レーダーの損傷は痛く、数発の迎撃を成功させるに留まる。
無論、迎撃に失敗した26発のミサイルはそのまま超音速でパル・キマイラⅠ型に向かって、絶対に撃ち落とさんと言わんばかりに飛翔していた。
「ダメです! 残り26発の誘導魔光弾、迎撃しきれません! 被弾します!!」
「クソッたれぇぇぇーーー!!」
そして、無情にも迎撃不能領域にまで飛んできた26発のミサイルが着弾、再展開された結界は秒で粉砕され、強化された装甲もろともその過剰な破壊力の餌食となり、空中で爆散し撃墜される事となる。
なお、この戦闘によるアメリカ軍の損害は、多数のミサイルを使用した事による金銭的損失、帰還後のエンジン不調で修理に出された1機のみと言う、ラヴァーナル側にとっては救われない結末となってしまっていた。