「駄目です! 敵超巨大艦……移動海上要塞は未だに健在な模様!!」
「ええい、あれだけぶち当てておいて何と言う硬さだ! 冗談じゃないぞ!」
シドニー沖にて、オーストラリア・イギリス空母打撃群連合と、魔法帝国派遣艦隊の壮絶な現代戦が始まってから1時間、クイーン・エリザベスに乗艦している司令官含む多数のCICの軍人は、パルカオン2隻のとてつもなく高い
クイーン・エリザベスの艦載機による決死の爆撃、オーストラリア空軍による
「敵巨大航空艦5隻、および超巨大艦の周囲の護衛艦より更なるミサイルが発射! 合計96発で、到達までおよそ2分!」
「低空飛行をしていないだけマシだが、距離が近い上に多いな……何としてでも迎撃せよ! 奴らとは違い、こちらは1発もらっただけでも致命傷になりかねん!」
「了解しました!」
無論、魔法帝国のアステロイド級対空魔船やパル・キマイラⅠ型、汎用護衛魔導艦やユニバース級純粋魔波式空母の艦載機による迎撃を受けていて、全弾が命中した訳ではない。爆撃も然るべしである。
魔法帝国の他軍艦への標準装備、魔導電磁結界展開装置も当然装備していて、対空兵装などへの魔力供給を切り、魔導電磁加速砲への魔力から変換した電力の供給を行っていたため、乗員光翼人の莫大な魔力を燃料に稼働していた。
また、地球側には他にも狙うべき艦船がある以上、当然の如くそちらにも振り分けられているので尚更だった。
しかし、地球国家の現代艦は第二次世界大戦期の軍艦、特に戦艦と比べた場合に他の性能は圧倒的でも、装甲は非常に薄い。バリアで防ぐと言った防御力の増強も、遥か未来はともかく今現在は技術的に不可能である。
にも関わらず、パルカオンは現代戦を戦える能力を持ちながら、対艦ミサイルを立て続けに受けても継戦能力をあまり失わない、強固な防御力を持っている。
旗艦どころか、アメリカ海軍最大級の原子力空母のおよそ1.6倍を誇る、要塞並の超巨大な船体なのも相まって、地球側が驚くのも無理はないだろう。
とは言え、それでも多数の対艦ミサイルや爆弾の命中でバリアの耐久力が限界を超え、更に後から飛来してきたミサイルが船体に直撃し続ける事で、バリアの発生装置にも過負荷によるダメージが蓄積、司令官の乗る1隻には警戒システムを作動させ、魔導電磁加速砲への電力変換用魔力の供給を強制的に止める事に成功していた。
『おいおい、マジかよ!? アイツ硬すぎるだろ!』
『空中の奴も航空機として見れば大概だけど、あの2隻は別格。大きさも鑑みて、動く海上要塞って言っても過言じゃない』
『明らかに電磁加速砲を実用化してるし、威力は知らんがあんなのを放たれたら……って、まずい! 奴から攻撃が来るぞ! 全力で回避するんだ!』
『うぉぉぉ……間に合えぇ!!!』
しかし、それは同時に停止していた対空兵装やその他兵装への魔力供給が再開することであり、圧倒的な武装搭載数を誇る要塞の対空能力が、一気に地球側へと向けられる前触れであったのだ。
具体的には、近距離艦対空誘導魔光弾『ガーディアン』や150㎜速射魔導砲、アトラタテス砲Ⅱ型が脅威的な弾幕を形成す形である。
「我が国の艦載機が2機撃墜されました!! オーストラリア空軍機も3機が墜落、被害が甚大です!」
「少し近づきすぎたか……凄まじい対空砲火だ――」
「敵移動海上要塞1隻、電磁加速砲らしき砲門が2つ旋回! 方角からして、我が艦を狙っている模様!」
「何だと!? 電波妨害強化と回避運動、可能な限り海上要塞に攻撃を集中させるんだ! 女王陛下と同じ名のこの艦を沈める事など、あってなるものか!!」
と同時に、未だに魔力供給が続いていた2隻目のそれが完了、魔導電磁加速砲2基の砲門がクイーン・エリザベスに向いていると、地獄のような報告が司令部に届く。当然、色々な意味で艦内は大慌てである。
全員の奮闘により、パル・キマイラⅠの2号機や3号機は大破、アスチュート級原子力潜水艦の何発もの誘導魚雷やハープーンにより、アステロイド級やノクターン級を各々1隻ずつ撃沈はしていた。
『命中、命中!! 敵にダメージを与えれど、戦闘能力は未だに健在……クソッ、砲口に光が収束し始めているぞ!! 頼む、何とかなってくれ!』
しかし、数が減っているとは言えどパルカオンのみを相手にしているのでないが故に、砲門を向けている艦を沈黙させる目的が中々達成出来ず、クイーン・エリザベス含むイギリス空母打撃群内では強い焦りが広がっていく。
だが、それでも乗船しているイギリス軍人たちは非常に優秀なため、焦りの中でもメギドの火を含む、魔法帝国側の空対艦誘導魔光弾による被害はギリギリで全て食い止められている。
『おおっ!? 敵移動海上要塞で大規模な誘爆、ならびに多数の魚雷命中!』
「よし! このまま何とか――」
そして、このタイミングで魔法帝国の防空網を突破した多数の対艦ミサイル、対潜網を突破した誘導魚雷の命中による誘爆が発生、これまでで最も大きなダメージを与えた刹那、クイーン・エリザベスの6m程横を、青白い光の線が通りすぎていった。