暴虐の魔法帝国、地球国家と相対する   作:松雨

7 / 17
運命の別れ道

 オーストラリアとニュージーランドの征服のため、出撃していった魔法帝国派遣艦隊が壮絶な現代的戦闘の末、全滅した情報が入ってきた魔法帝国では、政府上層部が大混乱しながら会議を開いていた。

 

 無論、本国の防衛やその他作戦へ配分すべき戦力、定期点検などもあるため、派遣された艦隊は決して()()()()()()()()

 だが、単体でも強力な超兵器群、最新鋭艦や航空機を派遣している以上、()()()()()()()のだ。

 

「あまりにも予想外と断言せざるを得ない。パル・キマイラⅠ型のみならず、パルカオンまでもが下等種族共に沈められるとは!」

「アステロイド級やノクターン級、テルス級に至ってはあまり戦果を挙げられていないとも聞いていますが……本当に?」

「敵艦船や航空機撃破の面に限って言えば、本当らしい。ただ、防衛面ではそこそこ活躍してくれたと」

「ちっ! だから俺は『シーヴァン』を2隻出すか、パルカオンを4隻に増やしておけと言ったんだ! 」

「シーヴァンは来るべき時の決戦兵器ですよ? それに、パルカオンもラノス(150㎜魔導電磁加速砲)を筆頭に、超強力かつ超高コスト兵装を搭載しています。万が一、4隻撃破されたとしたらもう地獄でしかないでしょう」

 

 にも関わらず、インフィドラグーンと同等かそれ以下の国を相手取るだけなら、比較的優位ないし圧倒的優位に立ち回れるだけの艦隊が、下等種族(地球側)に苦戦するに留まらず、完全敗北を喫したのである。無理もないだろう。

 

 なお、今回の出来事をきっかけとして、数の少なさや必須費用の多さから今まで渋っていた、極超音速高高度偵察機『天翔けし浮舟(エクスヴァーナ)』の投入、現在衛星軌道まで上がっている僕の星の数を更に増やす事が確定している。

 

 前居た惑星より小さいものの、未来転移してからあまり時間が経っておらず、魔法帝国も星の全容を掴みきれたとは言い難い。

 

 が、現在の情勢からラティストア大陸の四方八方に自国に迫る、もしくは同等の脅威が存在する前提で行動を起こすべきだと言う、偵察部隊崩壊以降に生まれた少数派の主張が、より一層現実味を帯びてきていた。

 

 そうである以上、無駄に渋る必要性も薄いと判断した皇帝によって、半ば強引に決められた経緯が存在している。当の本人含め、大半の政府上層部にとっては不満でしかなかったが。

 

「2隻でも十分地獄だろう! しかし、ここまで強力な敵が揃う惑星ともなれば……うむ。大陸間弾道誘導魔光弾のコアに『ヴァナフォール(魔法版水素爆弾)』を使用したものを、放ってやれば良いのでは?」

「確かにそうかも知れませんけど……この惑星が、前居た惑星より相当小さい事は頭に入れておいて下さい。威力は、半分に抑えたとしてもかなりのものです。やり過ぎて、下等種族共々滅亡となっては(核の冬の到来となっては)堪りません」

「ああ、その辺は抜かりない。やるとなれば、惑星環境への影響を抑えつつ、下等種族に最大級のダメージを与えられる場所の選定は、しっかりと行うつもりでいる」

 

 そんなこんなで、もはや怒鳴り合いと表すべき会議が長時間続くと、流石に若干落ち着きを取り戻して来たものの、飛び交う言葉の物騒さはより程度を増してしまう。

 

()()()()()、地球に存在する一部の国家が所持していても実際に使用しない大量破壊兵器(核兵器)、これと酷似した性質を持つ兵器をいつ使おうか迷っているが故の会話なので、どうしようもない。

 

 しかも、純粋な物理的重量と極超音速での落下、風属性魔法の付与による対象の破壊を目指した『衝撃弾頭』をコアとしている、大陸間弾道誘導魔光弾106発の発射態勢は既に整っている。

 

 僕の星や天翔けし浮舟による精度の高い情報さえ仕入れられれば、上位の軍事関係者2人がスイッチを押す事で、コア魔法程ではなくても地球諸国に破壊と殺戮を招く槍が降り注ぐだろう。

 地球側が迎撃出来なかったり、魔光弾そのものに不具合が生じたりしなければとの注釈がつくが。

 

「会議中に大変失礼かと思いましたが、火急を要する事態が発生してしまったため、お知らせするべく参りました!!」

「気にするな。それよりも、その火急を要する事態とやらを話せ」

 

 で、そこから更に話し合いが2時間続き、いい加減休憩でもしようかと皆が思い始めてきた頃に会議室の扉を勢いよく開け、1人の光翼人が書類を携えて入ってきた。

 

 火急を要する事態……魔法帝国に対して67隻の大艦隊が接近すると同時に、ラティストア大陸に存在している軍事施設数ヵ所から、対地誘導魔光弾と思われる攻撃を受けた旨の通信が入ってきたと、伝えるためである。

 

「奴らはそこまで使えるのか?! 被害状況は?」

「天の浮舟16機大破、滑走路一時使用不可、150mm地上設置式魔導電磁加速砲(ラノスⅡ型)破損、死傷者100名以上!」

「かなりダメージを受けたな……67隻を派遣してきた国の仕業か?」

「どうやらそのようです! 国は確か……中国とロシアと言ってました! 国旗などを確認致しましたので、間違いはほぼないかと!」

「クソッ。一体何なんだ、この惑星(世界)は! 神々の息でもかかっているのか!?」

「混乱しとる場合か! ただちに本土防衛艦隊を出撃、下等種族共にコイツは癪だが……シーヴァン(巨大潜水艦)も使えと指示を下せ!」

 

 インフィドラグーンとの大戦争(竜魔大戦)以降、全くなかった魔法帝国本土への攻撃を受けたとの知らせは、会議中であった上層部の面々を驚かせ、再び大混乱に導いてしまう。

 

 しかし、そうしていても何も事が進まないとほぼ全員が理解しているため、混乱しつつも今後の立ち振舞いについて更に時間を使い、なすべき事を決定した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。