魔法帝国の本土防衛艦隊と熾烈な現代戦を繰り広げ、徐々に優位な状況へと持ち込めていた中露連合艦隊であったが、そこに登場してしまった相手側のある強力な兵器により、再び拮抗状態へと戻っていた。
登場したのは300m近くの大きさを誇り、誘導魔雷を筆頭とした各種攻撃兵装の圧倒的な搭載量、魔導電磁結界に相当する『耐圧・耐爆魔装』や『対魚雷・魔雷特殊誘導迎撃弾』、その他強力な防御・補助兵装を搭載した決戦兵器『シーヴァン』である。
本来なら、敵に気づかれずに魚雷などで攻撃する事を前提とした潜水艦が探知された場合、とにかく現場海域からの離脱を優先するべきではあった。
現代的技術を持つ水上艦艇が敵ミサイルを撃墜するが如く、敵魚雷を魚雷で直接破壊する事が現時点では不可能で、なおかつデコイなどで回避するのも容易ではない。
更に、爆発の衝撃波がもたらす破壊力が地上および空中よりも10倍程大きく、如何なる国も複数回魚雷の命中に耐えられる潜水艦は作れないからだ。
「ふぅ、何とか回避しきったが……300m級などと言うバカデカい奴が実在したとは驚いたな。
「300mクラス……恐ろしいですね」
「ああ。例の海上要塞の大きさからして、この巨大な潜水艦を奴らが持っていても何らおかしくはない。何かしらの超技術が詰め込まれている――」
「報告! 敵巨大潜水艦2隻より再度多数の誘導魚雷、100㎞前方の海上要塞1隻や巨大空中艦、他水上艦艇より対艦ミサイルが130以上こちらに接近中!」
「ええい、またか! 全力で回避運動をしつつ、ミサイルはしっかりと迎撃しろ!!」
しかし、魔法帝国の
無論、だからと言って各種隠密性向上の装備がない訳ではなく、展開中は攻撃不可能となる代わりに非常に高い隠密性を維持出来る位の装備はある。
現に、25㎞圏内で多数の誘導魚雷が中露連合艦隊に向けられるまで、あらゆる対潜哨戒網に一瞬たりとも引っ掛からなかったのだ。
「なっ! 我が方の魚雷、奴らより3㎞地点で
「全て迎撃……魚雷で魚雷を迎撃したと言うのか! アメリカの連中ですら出来ないだろうに!」
「とは言いますが、この状況で使える有効な兵器は魚雷しかありません。中国軍にも、誘導魚雷の飽和攻撃を要請します!」
「そうしてくれ。しれっと空中艦の相手をやらされている以上、このままでは我々の消耗が激しくなるだろう」
加えて、水中を80ノットの高速で移動出来る対魚雷・魔雷特殊誘導迎撃弾により、ロシアの水上艦艇および原子力潜水艦が放った数十発もの誘導魚雷が破壊、または軌道を大きく乱されていた。
地球世界にも考えがない訳ではないが、今のところは開発途中の『シースパイダー』のみで、実質魚雷で魚雷を直に迎え撃てる国は存在していないのだ。ロシアや中国はおろか、アメリカも例外にはあたらない。
『駆逐艦4隻、対艦ミサイルや誘導魚雷の嵐に対処しきれず轟沈! 畜生、やりやがったなアイツらぁぁ――』
『おいおい嘘だろ? 軍艦が3隻まとめて真っ二つで轟沈……敵のレールガンの貫徹力は化け物か!?』
「ダメです、ミサイル振り切れませ――」
そして、このタイミングで魔法帝国兵器群の武装一斉投射、150㎜魔導電磁加速砲4門も満を持して中露連合艦隊に発射され、合計7隻の艦艇が大破轟沈してしまう。
電磁パルスについては、現代艦艇の防御力が低過ぎたせいで貫通した後も空中を飛翔し続け、水平線の向こう側まで行ったところで爆発したため、全く影響は見られなかった。
無論、対空誘導魔光弾に関しては中露の艦載機に対しても容赦なく襲いかかり、敵の空母艦載機の空対空誘導魔光弾による追撃も相まって、8機も撃墜の憂き目に合ってしまった。
なお、その内の7機は空中艦とやり合っていた、中国空母『山東』の艦載機である。
「敵空中艦2隻、戦闘機15機追加で撃破! ミサイルと魚雷を全弾撃墜ないし回避成功しました!」
「よーし、百倍にして海上要塞にやり返してやれ! 生憎、奴らのように超兵器は持っていないが、鉄の雨を降らせる事は出来るからな」
とは言え、魔法帝国側も撃沈された一部の超兵器以外は、最大で中破と判定される被害を受け、通常護衛艦や魔導潜水艦は技術力と物量にものを言わせた一斉射撃を食らい、轟沈する艦艇がそれなりの数発生している。
特に、ロシア海軍艦艇の放つ超音速対艦ミサイルの威力は西側のそれよりも高く、周辺の護衛艦であれば当たりどころや艦内乗員の練度などにより、2発で轟沈する場合が多かった。
『っ! 25ノットで接近中の敵移動海上要塞2隻、および援軍とみられる北東の2隻より、電磁加速砲の砲口に青白い収束光を確認! 向きからして、中国空母『山東』が狙われている可能性大!』
『我が方の誘導魚雷による飽和攻撃は成功し数発命中、されど撃沈には至らず! な、何と言う化け物級の防御性能なのだ……』
「……総員、万が一に備えて
魔法帝国にとって、虎の子の決戦兵器を出してすら戦況が膠着状態になってしまっているこの状況は、光翼人のプライド的に非常によろしくない。
再び自分たちが世界の頂点へと降り立ち、超高度な技術力と軍事力を見せつけてひれ伏させ、欲望の赴くままに下等種族を物として扱う。
地球人や前世界人にとっては悪夢でしかない、そんな未来を達成するどころか、最悪立場が逆転する可能性が出て来てしまっているのだ。
『よし、よし! 敵移動海上要塞2隻に大規模誘爆発生、電磁加速砲発射阻止……あっ、援軍の2隻より発射――』
『おい、何かヤバいぞ! 宇宙人共、遂に
それを察してしまったが故かは不明だが、激しい戦闘が続く最中、ラティストア大陸の各地より青白い尾を引く106の