キヴォトス今日のご飯事情 作:羽化したミカゼミ
思いのほかシリアスな雰囲気になったけど初投稿です。
良かったら評価・感想よろしくお願いします。
キヴォトス3大学園の1つであり、その中でも随一の歴史と伝統を誇るのが、トリニティ総合学園である。
元々はトリニティ自治区に存在していたいくつかの学園が合併して出来たトリニティは、パテル・フィリウス・サンクトゥスという前身となる3つの学園が基となる分派を主要とした3頭政治が特徴で、各分派の代表者たちが集まることで「ティーパーティー」と呼ばれる生徒会を形成しているのだ。
もっとも、長きに渡っていがみ合っていたゲヘナとトリニティ、その間で締結されようとしていた平和条約──エデン条約を巡る騒動の後にパテル分派の代表生徒だった聖園ミカは失脚。
後任が決まるまではティーパーティー所属の身となっているものの、自身のティーパーティーメンバーとしての権限は無いに等しいものとなり、現在は他2分派による2頭政治とでも呼ぶべき形態になっている。
さて、そんなトリニティ総合学園に、連邦捜査機関シャーレの顧問である先生がやって来た理由はというと、件のティーパーティーから助けてほしいという連絡が入ったからだ。
蛮ぞ……自由な校風が特徴のゲヘナに比べると、お嬢様学校というイメージが先行されがちなトリニティ。しかしエデン条約を巡る事件の中で見せたように、同じ学園の生徒同士であっても分派同士での揉め事や陰湿かつ狡猾ないじめといった行為が日常的に行われているという黒い側面もある。
キヴォトスに暮らす全ての生徒の幸福を願う先生にとって、トリニティの黒い側面はなんとかして解消したい懸念事項であったため、今回もそれに関連した呼び出しなのだろうか、と身構えながらティーパーティーの茶会席へと赴いた先生だったが。
「……飲食店の利用マナーが低下している?」
「はい。全くもって嘆かわしい事に」
今回の呼び出しは、全くの別件らしかった。
訝し気に呟かれた先生の確認に、フィリウス分派の代表であり、かつティーパーティーのホスト代理として実質的な生徒会長の役割を担っている桐藤ナギサは、嘆かわしいといった様子で溜め息を零す。
詳しい状況を説明するためナギサは紅茶で唇を湿らせると、懐から取り出した自分の携帯端末を先生へと手渡した。
どうやら端末に映っている情報が今回の呼び出しに関係があるらしく、一言断りを入れた先生がその画面をのぞき込む。
「これは……」
「そちらの動画に撮られているような行為が、最近トリニティの生徒の間で流行してしまっているらしく。代表として嘆かわしい事ですが、どうやらこういった形態のSNSにおける知名度が集まりやすいのだとかで」
「うん。可愛く撮れてるね。これなら流行るのも納得だけど……何か問題でも?」
「はい? いえ、そんなはずは」
いまいち噛み合っていない会話に首を傾げるナギサ。
先生の手から端末を回収し、今自分が彼へ見せた画面を確認するとそこには。
『私の歌を聞け~! イェーイ☆』
楽しそうな笑顔で歌って踊る、ミカの姿が映っていた。
思わず端末をテーブルに叩きつけるようにして伏せてしまうナギサ。しかし、いくら機械に八つ当たりしたところで自分のミスが消えてしまうことは無い。
微笑ましいものをみたような表情でこちらを見つめてくる先生。その絶妙に腹立たしい視線を努めて無視しながら端末を操作してお目当ての動画を再生したナギサは、今度こそ間違いがない事を確認して先生へと手渡した。
ナギサが見せたかったという動画を確認した先生は、今度こそ眉根を寄せてナギサを見る。
「……なるほど、飲食店での迷惑行為。それを動画に撮ってSNSに流すことでリアクションを集める、いわゆる『バズり』を狙った炎上商法かな」
「ええ。そちらの短い動画を投稿する形式のSNSは以前からトリニティ内外のコミュニティで利用されていた物なのですが……。エデン条約の騒動によって私たち3分派のバランスが崩れてしまった現在、変に注目されることで各派閥にダメージを与えてバランスを戻そうとする動きがあるそうで。そのような迷惑行為による自治区内の飲食店の被害が多数報告されているのです」
「炎上商法で、自派閥ではなく他派閥にダメージ? ……まさか」
「ええ。例としてご覧にいれたそちらの動画に映っている生徒。制服こそサンクトゥス分派のものですが、加工を外し、生徒名簿との照会を行ったところパテル分派の生徒だということが判明しました」
「なるほどね。そして流行してしまった、ということは工作に気付いたパテル分派以外の生徒たちも似たようなことを始めちゃっている訳だ」
「……お恥ずかしながら」
自分がしでかした事ではないが、自らが代表する学園の不祥事に恥じ入るように俯いたナギサへ「ナギサが謝ることじゃないよ」と先生は優しく声を掛けた。
とはいえ、この事態を放置しておくわけにはいかない。
このままだとトリニティ総合学園のイメージダウンは免れない上に、迷惑行為の被害を警戒した自治区内の飲食店が撤退し、生徒たちが食べるものに困る最悪の状態になってしまう可能性だってあるのだ。
だが、先生には1つだけ気になることがあった。
そもそもシャーレに頼らずとも、トリニティには有力な自治組織があるはずなのだ。
「そういえば、正義実現委員会はどうしたの? こういった事態の鎮圧には一番向いている、というより、私が出るまでも無いような気がするけど」
そう、正義実現委員会の存在だ。
ティーパーティーの傘下にある治安維持組織であり、トリニティを代表する武装集団でもある彼女たちの力を以てすれば、このような迷惑行為を取り締まることなど朝飯前なのでは、と考えた先生の言葉だったのだが。
それは、と口を開いたものの、非常に言いにくそうな表情で固まったナギサ。なにやらのっぴきならない事情があるようで、少し身構えた先生の背後から鈴を転がしたような声がきこえてきた。
「──それについては私から説明しようか、先生」
「セイア」
「ああ、お疲れ様ですセイアさん。……今回はどうでしたか?」
先生に声を掛けつつティーパーティーのバルコニーへとやって来たのは、サンクトゥス分派の代表生徒であり、ナギサと同じくティーパーティーに所属している百合園セイア。
何やら一仕事終えてきたところらしく、セイアの背後にはトリニティの生徒たちの健康管理や怪我の治療を目的として活動している救護騎士団の団長、ミネが控えていた。
ナギサの問いに首を横に振ることで答えたセイアは、席に着くとおもむろに口を開き、先生へ現在のトリニティの状況を詳しく説明し始めた。
「先生に頼みたい物事の本質は既にナギサが説明したようだから、私の方からは『何故正義実現委員会や救護騎士団ではなくシャーレを頼ることになったのか』についての説明を行おう。先生も知っての通り、現在トリニティ自治区内では飲食店に迷惑行為をはたらく生徒が増加傾向にある。嘆かわしい事だがね。そこで、その傾向を把握した当初から私たちティーパーティーは正義実現委員会を通じて事態の収拾に務めたのだが……」
「何か問題が発生した?」
「その通りだ、先生」
セイアは紅茶を啜り、一呼吸おいてから説明を再開する。
「私は既に予知夢を使えない。……いや、こんなくだらない事件の解決にあまり予知夢を使いたくはないんだが、とにかく私は次に自治区内のどの飲食店で迷惑行為による被害が起こるのか、を把握することが難しくなってしまった」
「セイアさん。この一連の流れをくだらない事件とは呼べません。トリニティの政治的問題が発端となっているのですし、最悪の場合、我が校の品位を自らの手で貶める事になるのですから」
「失礼、ナギサ。しかし君も心の底ではくだらないと感じているはずだよ、私たちはエデン条約を巡る事件を経て互いの宗派や考え方といったものをひっくるめて相互理解を得ることが出来た。こんな幼稚な足の引っ張り合いを思いつき、あまつさえ真剣にその行為に勤しむような段階はとうの昔に乗り越えているのだから」
「……それはそうですが。とにかく、先生への説明を続けてくださいな」
母校の生徒、それも自分たちが代表する宗派の子も含まれているだろうに辛辣な物言いを隠そうともしないセイアの言葉に、苦い表情を浮かべつつも同意を示すナギサ。どうやら、今回の件はティーパーティーの中では相当腹に据えかねている案件らしい。
話が逸れていることに気が付いたセイアは、失礼、と一言謝りながら説明を続ける。
「さて、どこまで話したのか……ああ、そうだ。私は予知夢が使えなくなった。代わりというべきか、第六感とでもいうべき
「自治区内の飲食店を正義実現委員会が警護する、というのは?」
「もちろん思い付き、真っ先に実行した。しかしこの方法には問題があってね、先生。正義実現委員会が全ての人員を余すことなく投入しても、トリニティ自治区は
「かといって、通常時と同じく巡回形式にしては常に後手に回ることになりますし……ただ、警護をした飲食店から『お客が緊張して商売にならないから止めてくれ』という苦情も来たため、現在は後手に回ることを承知で巡回形式にしているという訳です」
「それは……確かに、トリニティだけで対処するのは難しそうだね」
いちおう、今までにアップロードされた迷惑動画の実行犯は正義実現委員会と自警団によって逮捕、拘留されているようなのだが……相手はキヴォトスで1、2を争うマンモス校の生徒たち。次から次へと模倣犯や愉快犯が現れ、キリがない状態なのだそう。
生徒の手にはおえないレベルの事件へと発展しかけている惨状を聞いて、先生の表情は厳しいものへと変わった。
もちろん、迷惑行為を行った生徒であっても、先生にとっては教え導く対象だ。しかし、だからといって今はまだ罪のない生徒たちが誤った道へ歩みを進めるのを黙って見過ごすかというと、当然そうではない。
それに……と、先生はちらりと脳裏に過った
こんな事態が起こっていると彼女たちが知った瞬間、美食を冒涜しているとしてトリニティを襲いかねない。もしそんな事が現実になろうものなら──先生や生徒たちが文字通り血と汗を流しながら形にしたエデン条約が、色々な意味で台無しになる。
「うん。分かった。私の方でもどうにか出来ないか探ってみるよ。ナギサたちはこれまで通りの対応でいいから、これ以上道を踏み外す生徒が増えないように見守ってあげて」
「はい、もちろんです」
「ありがとう先生。私たちの方でも引き続き、何とかできないか方策を練ってみるよ」
こうして、連邦捜査部シャーレはトリニティの迷惑行為問題を解決することとなった。
さて、シャーレのオフィスへと戻った先生は、さっそくナギサたちから預かったこれまでの迷惑動画を確認していたのだが。
「うわぁ……これはひどい」
予想よりも遥かに悪質な迷惑行為の数々に思わず絶句していた。
コンビニのアルバイトやワンオペのファストフード店員などが若気の至りではっちゃけた動画を投稿し大炎上するのが一時期流行ったが、今回の迷惑動画はこれまでのそれと同等、もしくはそれ以上の被害を飲食店に与えるであろう内容だ。
容器に入っている割りばしを全て取り出し、醤油を付けて戻す。
他人の頼んだ寿司を取り出して勝手にわさびを塗りつけては元に戻す。
醤油差しの口を舐め、消毒も拭くこともせずにそのまま戻す。
挙句の果てには寿司の流れるレーンに私物らしい消毒スプレーを噴霧するなど──。
「あれ?」
と、そこまで確認した先生は、ある違和感を覚えてこれまでの動画をもう一度見返してみた。
幸いにして迷惑動画の流行は始まって間もないらしく、総数はさほど多くない動画を見返すのに時間はかからなかったが、
「アロナ」
『はい、先生! なにかご用ですか?』
先生はある確信をもって、タブレットの中で一緒に迷惑動画を鑑賞していたアロナに声を掛けた。
「これらの動画に映っている飲食店の取り扱う食品について、統計を取ってくれないかな」
『それくらいならお安い御用です! ちょっと待ってくださいね……むむむ』
先生からのお願いは比較的素直に聞いてくれるアロナが、崩壊した教室のような空間でなにやら手を滑らせる。
原理不明の
きゅっきゅ、とどこからか取り出した小型のホワイトボードにマーカーで書き込むアロナを微笑ましく見つめた先生は、その間にシャーレに持ち込まれた他の仕事を済ませていた。
『──終わりました! こちらが被害に遭った飲食店の商品に基づいた統計グラフ、そしてこちらがそれらの業務形態と座標をまとめた表です!』
「お疲れ様、アロナ」
そして、数分後。
成し遂げました! と言わんばかりの笑顔で端末に統計グラフを表示するアロナにねぎらいの言葉をかけつつ、先生は己の確信が正しかったことを悟る。
統計グラフの横に被害に遭った飲食店の取り扱う食品に加え、業態からトリニティ自治区内の座標まで併記してくれたアロナの情報によると、迷惑行為の被害を最も受けているのは──。
「回転寿司屋? また、なんでそんな所が……」
『他にも焼き肉店やラーメン店などといった飲食店が主に被害を受けているようです。逆にスイーツ店やお洒落なランチが楽しめるお店といった、トリニティでも人気の飲食店ではいまのところ被害が見受けられませんね』
「ふむ……もしかして、自分たちが良く使うような場所は避けたかった、とかかな?」
『他にも、下手に人気店に手を出した場合周囲の生徒たちからも盛大なバッシングを受ける可能性を考えたのかもしれません』
「そもそもお店に迷惑をかけた時点で同じことなんだけどねえ……」
トリニティ自治区内ではあまりメジャーなジャンルとは言えない、どちらかというと先生のような大人の男性が好むであろうジャンルの食品を提供しているような飲食店が主な被害を受けているようだった。
それらの飲食店のSNSや公式ホームページを確認してみると、既に迷惑行為について認知自体はしているようで、対策として小皿の類まで注文制にしたり、割り箸を入店時に配布するような対応をしたりしているようだ。
とはいえ、対策を講じただけで被害が無くなるようならここまでの大ごとにはなっていない。
迷惑行為が行われた店を利用していた客は、迷惑行為が行われたことを認識した瞬間からその店では自分たちが食べるものに何かされるのではないかという疑念を持ってしまい──そして質の悪いことに、一度抱いてしまった疑念は中々消えることが無い。
『ふむ……被害を受けたお店の名前や食べ物の名前で検索してみたところ、やはり商品に細工がされるのではないかと警戒してお店に行くのを止める、もしくは別のお店に行くといったケースが多数見受けられます』
「まずいな、早めに手を打たないと」
このままでは客足が途絶え、店は撤退し、減った残りの店の中からさらに被害が出て、またその店から客足が遠のき……という負の連鎖が起こってしまう。
そうやって最悪の事態に陥った時、店に出た被害についてトリニティの代表であるティーパーティーが矢面に立たされるのはもちろんの事、実行犯である生徒たちも企業からの損害賠償請求でただでは済まないだろう。
残念ながら既に被害は出てしまっている。だが、これ以上の被害を出さないようにすることで、新たに道を踏み外す生徒を減らすことは出来るだろう。
「早急に対策を取る必要があるね……アロナ、これから私の言う条件に当てはまるトリニティ自治区内の飲食店をリストアップ。そして──」
生徒の道を正すため、そして生徒の未来を守るため、先生は動き出す。
そんな彼の指示に従って、アロナは1つのメッセージを送信するのであった。
「……で、なんで私たちに白羽の矢を立てた訳?」
それから数日後。
セイアから「おそらく近日中に迷惑行為が起こる」というメッセージを受け取った先生の姿はトリニティ自治区のとある回転寿司チェーン店にあった。
アロナとシッテムの箱の演算能力を遺憾なく発揮し、飲食店が被害に遭った時期とその場所を関連付け、次も同じような商品を提供する店が狙われるのであれば、という予測が出た第1候補の店である。
迷惑動画の件が広まってしまっているのだろう、通常時であれば決して少なくない客が入っていたであろう店内には人の姿が無く、発券機の音声案内と店内BGM、そして寿司の流れていたレーンの稼働音が空しく響いていた。
今となっては貴重な客だからだろう、普段よりも数割増しで愛想のよいロボットの店員に案内されて入り口近くのテーブル席に座った先生は、彼の前──向かい側の席に座った少女に苦笑交じりの説明を行う。
「ははは……トリニティ自治区内を動ける生徒の中で、問題の生徒たちを安全に制圧できるほどの実力と私と一緒に行動できる自由度を持つ生徒たちが君たちしかいなかったからだよ──ミサキ」
そう、今回の作戦で先生が戦力兼護衛として白羽の矢を立てたのは、エデン条約に関する騒動の際に敵として戦った事もある少女たち、アリウススクワッドの
先生の説明を受け、どこか苛立たし気に溜め息を吐いたのは、アリウススクワッドの参謀役で現在は一時的なスクワッドのリーダーも兼任している戒野ミサキ。
耳に付けたピアスと黒いマスクが特徴的な彼女は、苦笑いを浮かべる先生に「今の私たちはこんな陽の当たる場所に出られる身分じゃないって事、理解してるはずだけど」とマスク越しにも分かる迷惑そうな表情を隠そうともせずに呟いた。
悪い「大人」からの教育を受けていたせいではあるが、キヴォトスが滅びかけるほどの事件に加担してしまった彼女たちは現在指名手配犯としてキヴォトス中を隠れながら渡り歩く生活をしている。
特に発端となったトリニティにいることがバレてしまえば、自治区全土を巻き込む大騒ぎになるのは間違いないのだが……そこは先生がティーパーティーへの根回しと、飲食店の客足が遠のいている事を利用して隠し通す算段だ。
「わ、私たち、もうおしまいなんでしょうか……。突然先生から呼び出されたと思ったら、こんな高級そうなお店に連れてこられて……。最期の晩餐には美味しいものを食べさせてあげるよという事でしょうか、辛いですねえ、苦しいですねえ……」
ミサキの呟きを聞いたからだろうか。先生の座った席の隣、回転レーン側に座っていた陰鬱そうな少女が引きつった笑みを浮かべながら自分たちの将来を嘆いた。
彼女の名前は槌永ヒヨリ。スクワッドの狙撃担当であり、日頃からネガティブな思考と発言の目立つ挙動不審な少女であり、
「うわぁん! このタブレットで注文すればいいんでしょうか!? じゃあ特選大トロと新鮮活〆鯛と山盛りウニまみれ軍艦と特大生ズワイガニのボイルと……あとあと、この3種のマグロ食べ比べセットもお願いします……」
「姫。姫はなに食べる?」
中々強かな少女でもある。
比較的安価なラインナップで統一されている回転寿司のネタの中でもかなり高価格路線なネタばかりを選んで注文したヒヨリに、流石の先生も笑顔が少し引きつった。
トリニティからの依頼を遂行するための必要経費として落とせないかな、などと未来で自身が食らうだろう
生まれて初めての回転寿司ということで店内の設備が珍しいのだろう、レーンの他にもあちこちを見渡しては静かに瞳を輝かせる世間知らずの
「私はよく分からないから、ミサキと同じものを食べるよ」
「……分かった。じゃあ、これで」
言葉にはしなかったものの、アツコからの期待を悟ったのだろう。少し悩む素振りを見せたミサキは、寿司のネタとしてはオーソドックスなマグロの赤身とサーモンを2皿ずつ頼んでひとまずの注文を終えた。
「せっかくのお寿司なんだから、サっちゃんも来れば良かったのにね」
「別に。相変わらず家出に夢中になってるリーダーなんて放っておけばいいでしょ。はい、先生」
「はは、サオリからは今日は外せないアルバイトがあるからって聞いてるよ。後で持ち帰り用のパックを買うつもりだから、渡しておくね」
「そうしてあげて。きっとサっちゃんも喜ぶ」
そして最後に端末を回された先生は、自分が回転寿司を食べる時のお決まりのセットを慣れた手つきで注文すると、テーブル下のスペースに端末を仕舞う。
通常営業であれば、注文した寿司は客の座る席を示す専用のカップに皿ごと載せられてそのままレーンを流れてくるのだが、迷惑行為による被害を警戒して様々な仕様を変更している現在は店員が直接寿司を運んでくるらしい。
注文した寿司が運ばれてくるまでの間、テーブルにはアリウススクワッドの3人と先生による不思議な沈黙が生まれていた。
──まずいな。
そんな沈黙の中、先生は内心この状況に焦りを感じていた。
ダウナーな少女の多いアリウススクワッドとの会話が弾まないことに対してではない。
張り込んだ寿司屋の客足が予想以上に遠のいていたことに対してである。
もっとも次の被害が出る可能性の高い店を選び張り込むにあたって、普段と比べれば半分以下には客足が遠のいているだろうと予想していた先生だが、まさか貸し切り状態になっているとは思っていなかったのだ。
ここまで客の入りが悪い状態だと、目立つことを嫌った生徒たちが別の場所で犯行に及ぶ可能性だって出てくる。そうなった場合、今回の張り込みが無駄足になるどころか、また新たな被害を生む羽目になりかねない──。
「お待たせしました、ご注文の特選大トロ、新鮮活〆鯛、山盛りウニまみれ軍艦、特大生ズワイガニのボイル、マグロ&サーモン、赤身4皿にサーモン4皿です」
と、そこで先生の思考を聞き覚えのある声が遮った。
どうやら全員の注文した寿司が届いたらしい。所々機械の手が入っているおかげか、注文した品が届くのが早いと感心しながら顔を上げるとそこには、
「……え、サオリ?」
「先生? ……それと、3人とも。何故ここに」
何故か黒いヘルメットの上に寿司職人の白い帽子を乗せるという、奇天烈な格好をしたアリウススクワッドのリーダー、錠前サオリの姿があった。
服装から鑑みるに、どうやら彼女の言っていた「外せないアルバイト」とはこの回転寿司屋でのアルバイトの事だったようだが……まさかの偶然である。
サオリの方も驚いているのか、スモークのかかったヘルメットで遮られ表情こそ窺い知れないものの、女子としては低めなその声音からは驚きを隠しきれていない。
とはいえ、注文した寿司を受け取らない訳にもいかないので、先生がサオリの抱えた桶から寿司の乗った皿を取り出し、それぞれの前へと配膳しようとしたその時。
おもむろに懐へと手を伸ばしたミサキが拳銃を取り出すのが見えた。
「……」
「ストップ! ミサキ! 気持ちは分かるけど流石に店内で発砲するのは止めてくれないかな!?」
先生の言葉を聞き、ミサキも冷静さを失ってはいなかったのだろう、地獄の底から這い出たような溜め息を吐きながら拳銃を懐へと戻す。
迷惑行為を止めに来たはずが迷惑行為を起こす側へとなりかけた事態に安堵する先生を他所に、彼の手から自分の分の寿司を受け取ったアツコはマイペースな笑みを浮かべてサオリへと話しかけた。
「また会えたね、サっちゃん。これも自分探しの1つ?」
「あ、ああ。運良くここの求人情報が流れてきたのを見つけて、稼ぎも良さそうだし……」
彼女がここでアルバイトをしていたのは本当に偶然だったらしい。
とはいえ、何故ヘルメットをしているのかはよく理解できなかった先生だが、元気そうなら良かったと、ひとまず格好の事は棚上げすることにした。
「これがお寿司なんですね……雑誌で見たことはあったので知ってはいましたが、まさか最期の晩餐で食べることになるなんて思いもしませんでした……へへ、辛いですね。最後の最後でこんな美味しそうなものを食べられるなんて、上げて落とされて、とうとう奈落の底に……」
「ヒヨリは……いつも通りだな」
「あれ、リーダー? ほ、本物ですか? なぜこんな所にリーダーが……まさか、リーダーも先生には逆らえずに最期の晩餐を食べに来たんですか!? リーダーの外せないアルバイトでさえも外させてしまうなんて、やっぱり先生は恐ろしい人だったんですね!」
「いや、私は単にここでアルバイトをしているだけなんだが」
一方、ヒヨリは未だに回転寿司屋で寿司を食べるという状況に理解が追いついていないらしく、サオリの存在に気が付いた後もなにやらトリップしてぶつぶつと世を儚んでいる。
その点自分の頼んだ寿司のラインナップはお高いものばかりなのだから、何というかこれからもヒヨリは強かに生き続けるんだろうなあ、と先生は苦笑いとともに考えるのであった。
「……ふむ、なるほど。飲食店に対する迷惑行為の防止と実行犯の制圧。つまりは
「まあ、そういう事になるね」
そんなやり取りがあってからしばらく。
サオリもアルバイトの身であるため長話を続ける訳にはいかず、先生たちはサオリが運んできた寿司を食べ始めていた。
相変わらずお高いネタを頼むヒヨリに釣られてか、段々と注文する品に遠慮が無くなっていくアツコとミサキに内心冷や汗が止まらない先生は、再び寿司を運んできたサオリに手短に状況を説明した。
聖徒会の
先生の説明によってスクワッドが何故寿司屋に来ているのかを理解したサオリは、静かに頷くといざという時の助力を確約してくれた。
彼女としても、ブラックマーケットで請け負う普段の裏稼業より断然労働環境の良いアルバイト先を潰したくはないのだ、協力しない理由はない。
「ところで、先生はさっきから赤身とサーモンしか頼んでいないようだが……実は金欠だったりするのか?」
援軍となることを了承したはいいものの、先程から注文された品を運んでいるサオリとしては気になっていた点を先生に質問することにした。
カニやらウニやら大トロやら、日頃の質素というには些か貧層が過ぎる食事の穴を埋めるかのように高価なものや、ハンバーグに生ハムなど物珍しい変わった寿司ネタを興味と食欲の赴くまま食べ続けるスクワッドの3人は別として、先生は先ほどからマグロの赤身とサーモンが一貫ずつセットになった寿司しか注文していないのだ。
まさか本当は金欠で、他の3人が食べる分自分は質素な食事にしているのだろうか、と彼女たちを纏めるリーダーとして心配になったサオリだが、そんな彼女を宥めるように先生は微笑んで首を横に振った。
「サオリ、覚えておいて。大人になると、というか年を取るとね──大トロとかの高級な寿司ネタは、ちょっと脂っこくてキツいんだ……」
その言葉には余りにも切ない大人の悲哀が込められていた。
「そ、そういうものなのか……?」
「サオリも私と同じくらい大人になったら分かるよ。もう唐揚げだけをおかずにご飯を食べる事なんてできないし、トンカツの横にあるキャベツがただ邪魔なだけの彩りではなくなるんだ。寿司も大トロより赤身の方が脂を感じなくて美味しいと感じちゃうんだよね……」
「た、大変そうだな……?」
強がりでもなんでもなく、ただ純粋に食べられないといった様子で物悲しく微笑む先生の様子に、何も言えず頷くサオリ。
「美味しいですう! 食べてもお腹を壊さない食事ってこんなにも美味しかったんですね……! ううっ、こんなに美味しいのに、食べ終わったらまた元のひもじい生活に戻っちゃうんですね。はっ、まさか先生の狙いはそこですか!? 美味しいものの味を覚えさせて、私たちの味わう苦しみを更なるものにしようと!?」
「ヒヨリ、流石に先生もそこまで性格が終わってないから、多分。まあ確かに、この味を覚えた後にいつもの食事を食べると思うと少し気が滅入るけど……」
「本当に美味しい。お魚って、焼いても美味しいけど生で食べてもこんなに美味しいものだったんだね、知らなかった」
「アツコ、流石にそこらへんで捕まえた魚とかを生で食べたら駄目だからね……? お腹を壊すだけじゃすまないよ?」
そんな先生の悲哀などなんのその。スクワッドの3人は初めて食べる寿司の味に舌鼓を打っていた。
客足が遠のいたとはいえ、その原因は店の出す商品のクオリティには何ら関係のないものだ。
飲食店が多いと言われるトリニティ自治区内で生き残っているだけあってチェーン店と馬鹿に出来ないクオリティの寿司は、キヴォトスの海で獲れた新鮮な魚とこだわりの米、そして職人の手捌きを完璧に再現する機械の手によって少女たちの舌を存分に楽しませている。
栄養豊富な海で育ち、その身にたっぷりと脂と旨味を貯め込んだマグロの大トロは口に入れた瞬間溶けたかのような錯覚をもたらし、それでいながら確かに口の中に在ったのだと実感させる芳醇な旨味と風味を暴力的なまでに舌に叩きつけてくる。
そこにこだわりの刺身醤油や絶妙な力加減で握られたシャリの塩気や酸味がコントラストとなって、そのままでは食傷気味にもなりかねない強い大トロの味を引き締めていた。
鯛は味こそ淡白なものの、その分醤油自体の味が引き立ち、海を泳ぎ続けたことで引き締められた身のぷりぷりとした食感は大トロにはないはっきりとした歯応えで違う味の楽しみ方を教えてくれる。
ズワイガニやウニは食事自体にあまり関心を持たないアリウススクワッドでも普通のものよりも高価で贅沢な食材として名前を知っている程に有名だが、決してその前評判に見劣りすることのない、ともすれば期待以上の味を少女たちに提供してくれた。
「うわあん! こんな美味しいものを知ってしまったらもう腐ったリンゴや生の野草なんて食べられません! ものの見事に先生の策略に嵌っちゃいました!」
「ミサキ、次は鉄火巻きっていうのが食べたいな」
「これ、ただマグロの赤身を巻いただけみたいだけど……それなら同じ魚だし、マグロでも大トロを頼んだ方が美味しいし得なんじゃない?」
「ううん、どんな味なのか気になって。それに、4本セットだから皆で分けられるでしょ?」
「……分かった。じゃあ私は赤身の握りを頼もうかな」
「あ、ミサキさん。ついでにエンガワと生タコと活〆大海老の2貫セットをお願いします」
最初は恐る恐るといった様子だったものの、やはり憂いなく美味しいものを食べられるとなると日頃からあまり良いものが食べられていない身としては止まらなくなるのだろう。
寿司が一口サイズで次々に食べやすい事も相まって、今やスクワッドは皿の山を作らんとする勢いで寿司を食べる寿司イーター集団と化していた。
次から次に、寿司屋のメニューを制覇する勢いで注文が届く状態に厨房は嬉しい悲鳴をあげ、機械は久しぶりの全力稼働で注文を受けた寿司を量産していく。
まるでバケツリレーのように先生とスクワッドの3人の下へ寿司を運んでいたサオリだったが、流石に注文しすぎだと思ったのか寿司を運ぶ間を縫って心配そうな声色のサオリが先生の下へやって来た。
「お待たせしました、ご注文の品です。……なあ、先生。提供する側の私が心配するのもおかしな話だが、その……本当に金銭面は大丈夫なんだな?」
「ははは、うん。大丈夫。サオリも心配せずにバイト頑張って」
「なら、良いんだが……」
監視カメラや人の目を気にしてか、相変わらずヘルメットを外すことのないサオリだが、先生の言葉に渋々といった様子で引き下がる。
一方の先生は、次々に積み上がっていく死体の山……ではなく、寿司皿の山を見て、流石に冷や汗を隠せなくなっていた。
サオリの手前格好つけたものの、おもちゃ屋で見つけた良さげな超合金のロボフィギュアを買ったばかりの先生の財布は若干心許なく、今のまま会計金額が積み上がれば先生の財布の紐を握りしめているユウカの背後に般若の面が現れ、先生は再びひと月の間に使える金額を彼女に管理される生活へと逆戻りするだろう。
寿司折り持っていったら許してくれないかな……などと淡い希望を抱いていた先生だったが、ふと視線を外に向けたその時。
「いらっしゃいませ。何名様のご来店でしょうか?」
「あ、3名でーす」
「……来た!」
トリニティの制服に身を包んだ少女たちが、先生たちが張り込んだ回転寿司屋にやって来たのだ。
即座に気を引き締める先生。
そんな彼の雰囲気の変化を感じ取ったのか、スクワッドの3人と新しい寿司を運んできていたサオリも入店してきた少女たちに悟られぬよう視線を向けた。
所属する派閥によって制服の違うトリニティ総合学園。そんな彼女たちの制服は、一見するとサンクトゥス分派の者に見えるのだが、
「アロナ」
『はい! 注文用端末の外部カメラをハッキング、彼女たちの顔とトリニティの生徒名簿のデータを照合します……出ました! 彼女たちはどうやらパテル分派の生徒さんだそうです!』
「ビンゴだね」
ティーパーティーから生徒名簿へのアクセス権を一時的に渡されている先生とアロナの目を誤魔化せるはずも無く。
少女たちは奥のテーブル席に座り店内の監視カメラからだと角度的に厳しかったため、ハードウェア自体は市販のタブレット端末と同じだった注文用端末の外部カメラからアロナが確認したところ、少女たちは
生徒が目の前で道を踏み外そうとしているという悲しい気持ちと、先生の財布が無駄な犠牲とならなかったことにほんの少し安堵する気持ちがないまぜになった複雑な表情で、先生はそっとハンドサインをスクワッドに見せる。
寿司を楽しんでいたところを邪魔されたせいか、どこか不服そうな表情を浮かべたミサキたちは、食べかけの寿司を口の中に放り込むと、流石の練度を伺わせる身のこなしで容疑者である少女たちのいるテーブル席へと近付き。
「じゃあ撮るよ。せーの……」
「そこまで。もう現場は抑えたから、余計な抵抗はせずに大人しく捕まって」
「素直にお寿司を食べに来ていれば別だったんだろうけれど……残念だね」
カメラを構え、何をするつもりだったのか刺身醤油と甘だれの容器を両手に持っていた少女たちに拳銃を向けて制圧した。
突然の展開に理解が追いつかないのだろう、一瞬の空白の後、取り出した銃火器と共に何事かを叫ぼうとした少女たちだったが──。
「お客様困ります。当店内は火気厳禁、発砲も当然の如く厳禁なので」
「がっっっ!?」
そこそこの高さのあるレーンを飛び越え、少女たちの背後を強襲したサオリによって即座に無力化された。
音も無くテーブルに降り立つと同時に少女のこめかみに押し当てられた
キヴォトスの住人にとって銃弾1発など掠り傷にもならないとはいえ、その衝撃は別だ。
平衡感覚を失い、体から力の抜けた1人の少女は銃を取り落とし、それに視線を向けてしまった他の2人もミサキとアツコによって再度制圧された。
戦闘と呼ぶことも出来ないような束の間の攻防を終え、結局蚊帳の外となったヒヨリはおどおどと周囲を見渡して、
「あ、えっと……終わっちゃいました、かね?」
ただ、そう呟くのであった。
後日、ティーパーティーを代表してナギサから感謝のメッセージが届いた。
どうやら生徒たちの間でシャーレが対策に動いたことを広めたようで、シャーレ側でもSNSを通じて注意喚起を促したところ、被害が収まったのだという。
もちろん、トリニティの派閥間にまたがる疑心暗鬼は根深いためまだ気を抜くことは出来ないが、アロナがトリニティの生徒たちのSNSを暫く監視して迷惑行為をする生徒が再び現れないかどうか調べてくれている。
『ですが先生、SNSに投稿して炎上しようとする動きが収まっただけで、もしかすると表沙汰にならないところで迷惑行為を行っている生徒がまだいるかもしれませんよ?』
「そうだね。そういう子が出てくる可能性は確かにあるよ」
結局のところ、張り込みの日にアリウススクワッドの3人が食べた寿司の会計金額は先生の財布が許すラインを大きく超えており、泣く泣く大人のカードを使った先生は後日ユウカの雷を甘んじて受け、再び財布の紐を締め上げられる生活を送っている。
自分の好きなように散財することが出来ないのは少し心苦しいが……散財することで自分の首を絞めることになる事も良く理解している先生は、この生活もアリかな、と自分を納得させることにした。
『だとしたら、ここで手を引くのはまだ早いのでは……』
「いや、私たちが手を出すのはここまでだよアロナ。後のことはティーパーティーや正義実現委員会の皆で問題なく対処できる。彼女たちもそう言っていたしね」
机のスタンドに立てかけられたシッテムの箱の中で不安げな表情を浮かべるアロナの言葉に、先生は微笑んで否定の意を示す。
「それに、あまり私が手を出すと、それはあのアリウスのようにトリニティを大人の支配下に置こうとするのと同じだからね」
『ですが先生、今回のケースは致し方ないのでは? 先生が動いた後にまた被害が起きてしまったら、企業から責任を追及されるのは生徒の代表であるティーパーティーだけでなく、先生まで……』
「そうなった時は、私が喜んで責任を引き受けるよ──私はキヴォトスの生徒全員の『先生』だからね。そうすることが私の大人としての義務であり、何より……私の生徒を信じたいという
そう言って、先生は机の上に積まれた書類を捌き始めた。
とその時、先生の携帯端末にモモトークのメッセージ機能の着信が入る。
端末を取り出した先生がトーク画面を開くと、そこにはどこかの海岸なのか、岩場の上で釣り糸を垂らすアリウススクワッドの少女たちの姿が映っていた。
『今晩も焼き魚の予定です』
あれからどうやら魚を食べる事にハマったらしいスクワッドは、それぞれアルバイトなどで稼いだお金で釣竿を購入。最近定期的にメンバーたちの近況を報告してくれているアツコ曰く、海川問わずの魚釣りに凝っているそうだ。
全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいものだ。
その教えに憑りつかれ、今を楽しむ事も無くただ生きることに後ろ向きだった少女たちが、1つ趣味と呼べるものを見つけたことに笑顔を浮かべつつ、先生は指を走らせる。
『毒魚とかには気を付けて。特にフグとか』
『フグ。可愛いよね』
『本当に食べちゃダメだからね!?』
分かっているのかいないのか、ふわふわとしたアツコの返信に不安になりながらも、先生は彼女たちの行く末に幸あらんことを願う。
たとえ罪を犯してしまった彼女たちの進む道が険しいとしても、彼女たちの行く末までもが厳しく、救われないものである必要などどこにもないのだから。
次回はタピオカミルクティーパーティーです。
6話以降のおしながき(アンケ投票順に書く予定)
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セミナー×パウンドケーキ
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救護騎士団×うどん
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便利屋68×七草粥
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放課後スイーツ部×例の丸い饅頭
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ヴェリタス×ピザトースト