ベルのお兄ちゃんもハーレムと英雄を目指しているのは間違っているだろうか   作:もちゃもちゃの玉ねぎ

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49階層

迷宮第49階層《大荒野モイトラ》。

 

 

 地平の果てを埋める程の大群が津波のように押し寄せる。

 群を形成する怪物の名は《フォモール》。人を遥かに上回る巨躯を持ち、おぞましい顔立ちは潜在的な恐怖を駆り立てる姿であった。

 

「盾ェッ!構えぇッ――!!」

 

 夥しい怪物の群れに対峙するのはヒューマンをはじめ、エルフ、ドワーフ、獣人と様々な亜人種で構成された集団であった。

 ルーツの違う彼等であるが、互いに背を、命を預けて共に戦い続ける。

 

 そんな彼らを繋ぐものはただ一つ。

 陣の中央で舞う戦旗。そこに描かれた滑稽に笑う道化師トリックスターのエンブレム。

 それこそが彼等を繋ぐ絆であり、一柱の神と契りを結んだ証である。

 

 彼等こそ、迷宮都市オラリオの最強ファミリアの一角を担う《ロキ・ファミリア》。

 今は迷宮の最下層。未知領域を目指す“遠征”の真っ最中であった。

 

 

 ♢

 

 

「【――間もなく、焔は放たれる】」

 

 陣形の最後方に立つ緑髪のエルフそれもただのエルフではなく、その王族たるハイエルフの王女であるリヴェリア・リヨス・アールヴは凛とした声音で詠唱を唱える。足下には輝きを増してゆく翡翠色の魔法円。彼女を中心として魔力の奔流が形成されつつあった。

 

「【忍び寄る戦火、免れぬ破滅。開戦の角笛は高らかに鳴り響き、暴虐なる争乱が全てを包み込む】」

 

 そしてその詠唱が聞こえていたのは冒険者だけではない。

 魂に刻まれた過去の記憶か、本能がそれを悟ったのか。怪物達は眼の色を変えて前衛を粉砕し後衛に流れ込もうと猛攻する。

 

「【至れ、紅蓮の炎、無慈悲の猛火】」

 

『――オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウッッ!』

 

 怪物――『フォモール』は一際大きく咆哮を轟かせ前衛に下段振りの鈍器を振り回す。

 その膂力から放たれた一撃は盾越しに衝撃を伝え前衛を維持していた戦士を周囲ごと巻き込みながら吹き飛ばした。

 

「――ベート!」

「解ってるっての!」

 

 前衛が崩れればモンスター等は後衛に流れ込み戦線は一気に崩壊する。

 それを食い止めんと団長である小人族のフィンが指揮し、フォローに回らんと狼人のベートが防衛戦に急行するが距離が在り過ぎた為、数匹に侵入を許してしまう。

 後衛の冒険者は魔法を駆使して援護するのが基本だ。ゆえに接近戦には長けておらず、尚且つそこに居たのはまだこの階層では一人では戦えない未熟な魔法使いだった。

 怪物の咆哮と共に鈍器が上段から振るわれ、しかし僅かに狙いがそれたのかそこにいたエルフの少女ではなく地面を粉砕するに留まる。だが、それに伴い発生した風圧は目前にいた小柄な少女の身体を吹き飛ばしてしまうには十分なもので――瞬間、全身を殴りつけるような衝撃が彼女を襲い、呼吸という行為を奪われる。

 地面に叩きつけられ喉に固まっていた酸素を吐き出すが、急な衝撃のためまともに受け身が取れず現時点自分がどこにいるのか把握できていない為、白に点滅する視界を頭を抑えながら観察する。

 

「――レフィーヤ!?」

「えっ?」

自分の名前を慌ただしく呼ぶ声に顔を上げ、同時に視界を遮るように影が差した。そして戦慄する。先ほど前衛を突破して後衛に流れ込んできたモンスターの一体がレフィーヤの目前で鈍器を振りかぶっていたからだ。

 もう間に合わない。それが本能的に理解できてしまい、どこか遠い出来事のように振り下ろされる鈍器を眺め――直後、モンスターの首が宙を舞った。

 

「シッシドさん!」

現れたのは白髪紅眼のヒューマン。その白い髪は絹を思わせるように滑らかで紅い眼もルビーのように輝いている。

 

「大丈夫かぁー?レフィーヤ」

ヒューマン、シド・クラネルは心配そうにレフィーヤを見つめる。そのレフィーヤの安全を確認する為に後ろを一瞥している時、背後からシドにモンスターが襲いかかる。

 

「シドさん!!」

レフィーヤが声をあげる

 

「大丈夫。」

何が大丈夫なのだろうか。焦りもしないシドにレフィーヤが逃げて、と口にするよりも速く、モンスターは塵となって消えた。

 

「ないすアイズ」

 

「うん」

シドの感謝よ言葉に相槌を打ちながら白銀の剣にこびりついた血を振るい落とす黄金の髪色をした美しい少女。その姿に戦闘中だと言うのにレフィーヤは見惚れてしまっていた。

 

「さてアイズよ、行くか!」

シドがアイズを一瞥しながらそんな事を口にする。レフィーヤは何事かとシドを見るが気にするな、と言われ何も言えなくなった。少し嫌な予感がする。

 

「次はちゃんと周り見ろよレフィーヤ。行くぞアイズ!」

レフィーヤに忠告をした後アイズに声をかけると、2人は前線へと走り去っていった。レフィーヤは嫌な予感が当たってしまったと冷や汗をかく。

 

「2人共!!勝手な行動はよして下さーい!!」

大声で2人を呼び止めようとするレフィーヤだが既に2人は遥か前方、レフィーヤの声は聞こえていない。否、聞こえていても聞く耳を持っていない。

 

 

「アイズ!俺は右をやるからアイズは左な!」

 

「うん、わかった。」

その一言を最後に2人は右と左に別れフォモールと戦闘を行い始める。一瞬の間に周囲のフォモールを切り刻み塵へと変える。切り刻んだのは彼の周りを飛び回る5本の剣と彼が手に持つ血のような紅い色をした魔剣『グラム』である。フォモール達が仲間が一瞬でやられたことに驚愕している間にもさらにフォモールを屠っていく。周囲の剣まるで1本1本が意思を持っているかのように自由に飛び回りモンスターを塵に変えていく。瞬く間に彼の周りにいたフォモールは約半数程に数を減らした。

 

アイズも負けじとフォモールを屠る。華麗な剣捌きに、彼女の魔法、『エアリエル』の能力も相まって圧倒的な戦闘力を誇っている。

目にも止まらぬ速さで斬撃を放ちフォモールを切る。

そんな2人を横目にリヴェリアは詠唱を完成させかけていた。

2人も後方で魔力が急激に高まっていることを感じ取る。

 

「【汝は業火の化身なり】」

「【ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを】」

さらに魔力が高まる。それは即ち詠唱の完結、魔法の完成に、他ならない。

 

「アイズ!、シド!下がりなさい!!」

アマゾネスの双子の姉、ティオネが2人に声をかける。

その声を聞いてアイズは後退し、シドも後方に跳躍する。味方が前に居ないことを確認するとダメ押しというように宙に舞う剣を操作しフォモールの集団に向かって飛ばす。

 

「『五重奏(クインデッド)』」

5本の剣がまるで踊るようにしてフォモール達を切り刻んでいく。それに恐れをなしフォモール達はそれが最も死に近いというのに全身せずにマジックサークルの中から出られないでいた。

 

 

「【焼き尽くせ、スルトの剣――我が名はアールヴ】!」

 

 瞬間魔法陣は広がり全てのフォモール達を包み込む。その魔法は範囲殲滅魔法。白銀の杖を翳し、エルフの魔道士であるリヴェリアは高らかに魔法の名を口にした。

 

「【レア・ラーヴァテイン】!!」

 

 それは正しく天へと昇る業火だった。阿鼻叫喚するモンスター達の悲鳴すらも飲み込んで炎の蛇は螺旋を描きながら魔法陣の内側に存在する全てを燃やし尽くす。五十ものモンスターの大軍は、僅か一瞬で塵も残さず灰と化した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦♦♦

 

気がつくと俺は転生していた。

 

生前は18手前の高校生であったはずなのだが気がつけば名前も顔も、全くの別人になっていた。生前より遥かにイケメンだから全然良いけど。

しかも聞いたこと無い異国の土地だし、言葉も、全く違う。幸いこの身体が覚えていてくれたからどうにかなったが。

 何故自分がここにいるとか、そもそも俺は本当に死んだのかとか色々悩んではみたが、幾ら考えたところで解るはずもなく結果としてとりあえずこの世界を生きてみることにした。

 幸い祖父と弟と俺の三人家族で不自由なく過ごせたし、祖父がよくこの世界について語ってくれたため知識はついた。

迷宮《ダンジョン》というものがあり、そこがある都市を迷宮都市オラリオと言い、天界より来たりし神から恩恵を授かることによって【神の眷属】となり人智を超えた力を手に入れられるらしい。そしてじいちゃんは良く言っていた。ダンジョンを探索してハーレムを作れ。と。冒険者には別嬪が多いとも。

そこで俺は気づいた。

 

ここってダンまちじゃね?と。

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』略してダンまち。その世界に俺は転生していた。何故俺は気づかなかったのだろうか。まず弟の名前がベル・クラネルの時点で気づかなかった自分を殴りたい。ていうか貴方ゼウス?!生前からあんたみたいなクソハーレム野郎のことが憧れでした!そこからは冒険者になるために沢山修行をした。爺ちゃんことゼウスに剣を教わり自分に才能があることを知った。

自分が英雄足りゆる才能を持って生まれてきたことを知った。密かにゼウスが俺が世界を救う英雄になることを期待していることを知った。

だから努力した。才能を鼻にかけずに努力した。毎日素振り1万回、腹筋1000回腕立て1000回それを来る日も来る日も、毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日繰り返した。時には友達と遊ぶベルが羨ましいと思う時もあった。爺ちゃんからも少しは休めと言われたこともあった。だけど俺は辞めなかった。だって俺は、世界を救う。とかではなくモテたいから!だってダンまちだよ?!美少女、美女、美神のバーゲンセールだよ!やるっきゃねぇ!!そこ今なんでため息をはいたぁ?!

 

まぁそんなこんなで俺は14歳、ベルは10歳になった。俺の誕生日パーティが行われている時に今からオラリオに行ってくる!と席を立ちそのままノリでオラリオに到着。予想してたのか爺ちゃんは俺の荷造りしてたバックの横に誕生日プレゼントと剣士として1人前になった証ということで剣を送ってくれた。今でも大事に使ってます。ちなみにベルは大泣きしてた。行くのやめようかと思った。

そしてなんやかんやあってロキ・ファミリアに入隊し四年の月日が流れて今に至る。

 

ロキ・ファミリア所属、Lv6、二つ名【禍炎】、シド・クラネル。

ハーレム目指して頑張ってます。

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