吹雪さんが雷門のユニフォームに着替え、紅白戦の練習をすることになった。
実は先程、エイリア学園が白恋中への襲撃を予告してきたのだ。
わざわざ襲撃を予告してくれるなんて、侵略者のクセして礼儀正しいものだと思いつつ、私はその襲撃予告を聞き流していた。
そして、私が今何をしているかと言うと、1人で格闘の特訓。
空に向かって、拳を突き出す。これをずっと繰り返す。
地味だけど、型を意識しなければならないため、かなりキツい。
「…………ふぅ」
顔に滴る汗を拭い、見渡す限りの銀世界を見る。私の中の赤黒い世界とは大違いだ。
何色にも染まらず、純白の世界。
とても美しい……。
そろそろ時間だ。私はこの美しい世界から目を背け、白恋中へ戻っていった。
ーーーー夜。私はなかなか寝付けないでいた。私は寝袋から抜け出し、静かに外へ出た。
空は、昼間のような澄んだ青空ではなく、星が輝いていた。
……これはこれで美しい。
それに比べて、私は……体がボロボロになり、何も無い。
どうして私は…………。
少し、自分の運命を呪った。
「穂乃緒ちゃん」
誰かが、儚げな声で私を呼んだ。
まるで、愛おしいとでも言うようなその声に、私は振り返った。
彼が、立っていた。奈良で、私をあのローブの男達から助けてくれたあの人が。
「基山……さん……」
「久しぶりだね、穂乃緒ちゃん」
にこっと微笑み、私に歩み寄る基山さん。
月明かりが、彼の顔をより幻想的に照らしていた。
「? あの……基山さんは、此処の方なのですか?」
「違うよ?」
え? では何故此処に?
…………まさか。
「ーーーー‼︎」
「おっと、危ない危ない」
ストーカー、と言おうとしたら、基山さんに口を手で塞がれた。
ストーカーじゃないのかしら?
「じゃあ貴方は一体何が目的……?」
おかしい。
私は基山さんと初めて会った時、奈良に住んでいる人だと思った。
でも、北海道にいる。仮に奈良に住んでいて、此処まで来たとしても、北海道まで来るのは簡単ではない。
私が警戒しながら基山さんと対峙していると、基山さんは私の腕を引いた。
「⁉︎」
基山さんの手が、私の前髪に触れた。
そして、ぱさっと前髪を払われた。
「‼︎‼︎」
「……これは」
私の赤黒い視線と基山さんの翡翠色の視線が交差する。……見られた。私の目が。
私は基山さんの手を振り払おうと、必死に暴れる。基山さんは、私の腰に手をまわし、顎を引き寄せた。
嫌だ……見られたくない。今までずっと隠してきた、私の目。
顔を逸らそうとするが、基山さんはじっと私の目を覗くように見つめる。そして、ふと基山さんが口を開いた。
「…………綺麗だね」
「……へ……………………?」
思わぬ言葉に、マヌケな声を出した。
基山さんは、相変わらずうっとりと私の目を眺めていた。
「こんな綺麗な赤色……初めて見た。俺の髪と一緒かな? あ、でも……ちょっと穂乃緒ちゃんの方が濃いかな?」
「綺麗……? 何言ってるんですか。私の目は……こんな……」
「?」
私の目は、昔からずっと忌み嫌われていた。
何故なのか理由も分からないまま過ごしていた。
でも、この人は、私の目を……綺麗って……。
「ねぇ、穂乃緒ちゃん…………」
基山さんは、私を見つめたまま、私が耳を疑う程とんでもない事を言い出した。
「…………俺と一緒に、エイリア学園に来ない……?」
なんて急展開。
さて、ヒロトと青木が急接近‼︎
次回もお楽しみ下さい。