「凍てつく北の大地を溶かす程の熱気! 緊急テレビ中継も行われる注目の雷門イレブン対エイリア学園ジェミニストーム! まさに世紀の決戦が始まろうとしています」
安定のテンションで、角間さんが実況を始める。
こんな寒いのに何でそんな元気なんだ。元気の秘訣を教えて頂きたい。私としては、もうこんな寒い所は懲り懲りなんですけど。
瞳子監督の指示は、前半吹雪さんをDFに下げること。
前線に出るのは禁止。エターナルブリザードは封印だそうだ。
因みに私は栗松さんと代わり、FWとして出場します。
またか、と思った皆様、私もです。
まあ、最初の頃と比べれば、私だってかなりレベルアップした。彼らのスピードについて行ける自信はある。
そして、今度こそエイリア学園の侵略を終わらせるんだ……!
ホイッスルが鳴り、私がボールを染岡さんに転がすと、両チームが動き出した。
染岡さんがあの抹茶ソフトを抜くが、すぐに後ろの2人に止められてしまう。
でも、皆の表情に別の意味での驚きの表情が浮かんだ。次々と、エイリア学園のパスをカットしていく。
どうやら、動きが見えてきたみたいね。
財前さんが取り返し、風丸さんがボールを運び、染岡さんへと渡った。
「ドラゴンクラッシュ‼︎」
染岡さんの必殺技が、竜を従えてゴールに突っ込む。
相手キーパーも、必殺技を発動した。
「ブラックホール‼︎」
キーパーが手を前に突き出すと、掌に黒いオーラが現れる。それはブラックホールのようにシュートを吸い込み、遂にはボールを止めた。
後ろから、円堂さんの声が飛ぶ。
「惜しいぞ! その調子でどんどん行け!」
私は振り返って、頷いた。
エイリア学園がまた雷門陣営に攻め込んで行き、抹茶ソフトにボールが渡る。
そのままゴールへ走ろうとしたところに、吹雪さんがあのスピードで走り込んで来た。
「アイスグランド‼︎」
見事ボールを奪い、私の方へパスを出す。
だがまた抹茶ソフトにカットされて、私との距離がほぼ1mの範囲で、シュート態勢に入った。
「アストロブレイク‼︎」
紫色のオーラを纏ったボールが、ゴールに迫る。
勿論それを放っておくわけにはいかないので、財前さんと壁山さんが、それぞれのブロック技を発動する。
だが、アストロブレイクの前にそのブロックは無に等しく、円堂さんも必殺技・爆裂パンチで応戦するも、ボールは雷門ゴールのネットを揺らしてしまった。
1点を、許してしまった。
ハーフタイム。
エイリア学園にリードされ、皆の空気は少し重い。その中で、瞳子監督が口を開いた。
「吹雪くん、シュートは解禁よ。後半はFWに上がって。点を取りに行くわ」
「でも、DFはどうするでヤンス?」
栗松さんが疑問を口にする。まだ気付いてないのかしら……?
「大丈夫ですよ。皆さん、彼らの動きに充分対応出来ていますから。円堂さんも、もう大丈夫なはず……ですよね?」
「ああ」
「青木、分かったようだな」
鬼道さんが腕組みしながら私に言う。
いえ、私は最初から分かっていたわ。何と無くだけど。
「貴方方は今までスピードに対抗する特訓をしていましたが、実際に彼らのスピードに慣れるのは時間がかかります。だから、前半は守備の人数を増やしていた……失点のリスクを減らす為にね。だから前半、1点で済んだのです。吹雪さんをDFに専念させたのは、中盤が突破されたら、あのスピードでなければ彼らを止められないから……そうですよね? 監督」
「ええ、その通りよ」
「なかなかやるじゃないか」
「やっぱお前すげぇな、青木! 何で分かったんだ?」
鬼道さんがニヤリと笑って、円堂さんが嬉々とした笑顔で私に詰め寄る。何で分かったって言われても……。
「勘」
「え?」
「だから、勘」
青木って、絶対勘で動くタイプだよね……。鋭過ぎる。