此れね、よくよく考えてみたら随分酷いよ。こう考えてみたらね。
今回もくだらない話に付き合って下さり、ありがとうございます。今回はシリアスです。苦手な方はback推奨。
不動「其れではどうぞ?(ニヤッ」
「で、其の真・帝国学園とは何処にあるのですか」
「俺の言う通りに走ってりゃ着くよ」
不動さんに道案内をさせて、暫くキャラバンが道路を走る。暇なので私はボーッと窓の外を眺める。私はあまり興味が無いが、先程から斜め前に居る鬼道さんのプレッシャーというか、威圧が凄い。木野さんから聞いたが、鬼道さんは影山という人と因縁があったらしい。まあ、私にはどうでもいいことだけど。
「……あ、其処の門から入ってくれよ」
不動さんが行き先を促す。窓の外には、コンテナが沢山置かれていた。窓を開けると、ツン、と潮の香りが鼻を突く。海? ということは、此処は埠頭……?
キャラバンが停車し、私達は埠頭に降り立つ。海から吹き付ける風が心地良い。だが、見渡しても広がるのは海、海、海。学校も何も無い。
「何処にも学校なんか無いじゃないか?」
「てめえ、やっぱ俺達を騙したのか‼︎」
円堂さんが海を見渡しながら言い、染岡さんが不動さんに噛み付くように言う。不動さんは相変わらずニヤニヤしてるだけだ。
「短気な奴だな。真・帝国学園なら……ほら」
そう言いながら、不動さんは海を指差す。少しの間の沈黙。皆は気付いていないようだったが、私の耳には確実に聞こえた。水面下から何かがせり上がってくるような音。其の音に、視線を海に落とす。其れに合わせて、皆も海を見下ろした。
腹の底まで響くような重低音と共に、大きな黒い潜水艦が現れた。私もだが、皆が潜水艦を見上げて、驚いていた。揺れが収まり、潜水艦の全貌が見えてきた。潜水艦の上には、"帝"の文字が書かれた旗。あれが、真・帝国学園のシンボルみたいなものなのかしら……?
潜水艦のハッチが開く。此処からではよく見えない。私達は潜水艦から目を放さず、身構えていた。すると、潜水艦の壁が開き、階段が私達の元に伸びてきた。其処から潜水艦の中に入れるようになっているらしく、中から誰かが現れた。其の瞬間、鬼道さんの表情が更に険しくなった。
「久しぶりだな、円堂。其れに鬼道」
「ッ……影山ァ‼︎」
あの人が、影山……。私は自然と彼を見つめていた。確かに、悪人みたいな顔だ。っと、此れは失礼だったかしら?
鬼道さんの憎しみが籠った声と、影山の抑揚の無い声が、静かな埠頭に響く。
「……もう総帥とは呼んでくれんのか」
「今度は何を企んでいるんだ⁉︎」
「私の計画は理解出来ん。此の真・帝国学園の意味さえもな。私から逃げ出したりしなければ、お前達にも分かったはずだ」
「俺達は逃げたんじゃない‼︎ あんたと決別したんだ‼︎」
声を張り上げ、抗議する鬼道さん。影山は薄い唇に笑みを称えたまま、私達を見つめる。サングラスの所為で、誰を見ているのか分からない。今まで黙っていた瞳子監督が、口を開いた。
「影山零治! 貴方は、エイリア学園と何か関係があるの⁉︎」
「……吉良瞳子監督だね? …………さて、どうかな。ただ、エイリア皇帝陛下のお力を借りてるのは事実だ」
「エイリア皇帝陛下…………?」
私は気になったワードをオウム返しをする。エイリア学園に、そんな人がいるの? 私の疑問は、すぐに影山の言葉によって消えた。
「さあ、鬼道! 昔の仲間に合わせてあげよう」
そう言い残し、影山は潜水艦の暗闇に消えていった。其れを追い、鬼道さんと円堂さんが階段を駆け上がる。2人に続いて財前さんが走り出したが、不動さんが其れを遮る。
「お前野暮だなぁ、感動の再会にゾロゾロついてってどうするんだよ。デリカシーがあるなら、此処で待ってな」
フッと鼻で笑いながら、彼も階段を上がっていく。財前さんはイライラしていた。私も当然、こんな所で大人しく待てない。此処まで因縁を見せ付けられたからには、確かめないと、此方の気が済まない。私は階段を上がり、潜水艦内に入った。後ろで私を制止する声が聞こえたが、そんなのどうだっていい。私は闇に消えていった鬼道さん達の背中をとにかく追いかけていった。
静かな潜水艦内に、カツンカツンと、足音だけが響く。影山の後ろに、鬼道さん、円堂さん、不動さん、そしてかなり離れて私が歩いている。何だかやり方がストーカーみたいだけど、不動さんが行ってから来たので、バレたら外に出される可能性がある。なので、手段が此れしか無いので仕方ない。
暗い廊下を抜けると、其処にはサッカーフィールドが広がっていた。バレないように、私は廊下の陰に隠れる。
影山と鬼道さん達が対峙し、遠くの方から誰かがやって来た。しかも2人。1人は、長い髪の私と同い年くらいの少年で、眼帯で右目を隠している。もう1人は、背の高い少年で、目元にあるペイントが特徴的だった。勿論、私は彼等を知らない。鬼道さん達を見てみると、動揺した顔をしていた。
「源田に、佐久間……⁈」
「久しぶりだな、鬼道」
どうやら髪の長い方が佐久間さんで、背の高い方が源田さんというらしい。彼等の近くで、不動さんが拍手を送る。
「感動の再会ってヤツだねえ」
何かしら、あの言い方凄い腹立つ。殴りたくなってきたが、今の私の立場を思い出し、拳を抑える。すると影山が何処かへ行こうとした所、背を向けたまま言い放った。
「其処でコソコソしても無駄だぞ、小娘」
「⁉︎」
げぇっ‼︎ 気付かれてたか……。私は渋々姿を見せた。円堂さんと鬼道さん、不動さんが驚く。
「青木⁉︎ 何で此処に」
「何でも何も、貴方方を追って来たのですよ。デリカシーだの何だの、私には興味ありませんからね」
「何つー女だよ、此奴……」
「それと、話は大体分かりました」
私がそう言い、佐久間さん達に視線を投げると、鬼道さん達も向き直る。
「ッ……何故だ……何故だ‼︎ 何故お前達が、あいつに従う⁉︎」
「…………強さだよ」
鬼道さんの問いに冷たく答えたのは、源田さんだった。納得いかないらしい円堂さんと鬼道さんが2人を咎める。
「強さ……? 強さを求めた結果が、あの影山のチームじゃなかったのかよ‼︎」
「俺達は、其処から新たな一歩を踏み出したはずだろう‼︎」
其の言葉を聞いた途端、2人の顔から笑みが消え、厳しい表情になった。
「俺達を見捨てて、雷門に行ったお前に何が分かる?」
冷たい一言が、鬼道さんに突き刺さる。
「ッ……違う! お前達を見捨てたワケじゃない! 俺は……自分が許せなかった。チームメイトを助けられなかった自分が……」
傍らで聞いている私は、話があまり読めなかったが、鬼道さんは彼等を救えなかった事により、雷門に入った、という事は察せた。
だが鬼道さんの思いを、源田さんは撥ね付ける。
「綺麗事を言うな‼︎ ……あの世宇子に勝ちたかっただけだろう⁉︎ お前が欲しかったのも、強さだ‼︎」
何時も冷静な鬼道さんが、珍しく動揺する。何なの此奴ら。結局は強さが欲しいだけ? くだらない。馬鹿みたい。私は眉間に皺を寄せて、佐久間さん達を凝視した。鬼道さんも諦めず説得する。
「……其の為に……あの影山に付いても良いのか? 影山が何をやったか、覚えているだろう⁉︎ 源田、俺達と一緒に来い! なあ、佐久間も……」
そう言って鬼道さんが佐久間さんに手を差し伸べる。だが、其の手を、佐久間さんは払い除けた。そして、佐久間さんが口を開く。
「……あの時……俺達が病院のベッドの上で、どれほど悔しい思いをしたか……お前には分からないさ」
「雷門イレブンに入り、勝利を掴んだお前には絶対に分からない」
「お前達には勝利の喜びがあったろうが、俺達には敗北の屈辱しかなかったんだよ‼︎」
ああ、ああ、ああ、ああ、何て愚かな者達なんだ。私は此の光景に、思わず目眩がした。何が勝利だ。何が敗北だ。何が喜びだ。何が屈辱だ。ーーーー何が強さだ。
「くだらない……」
ついに、口に出した。今まで黙ってた私が突然口をつぐんだ事により、視線が私に集中する。特に強さを手に入れたらしいあの2人は、鋭い視線を向ける。でも私にはどうでもよかった。
「くだらないと言ったのよ。何が強さよ。そんな事に執着して、一体何をするつもりなの? 何がしたいの? ふざけるんじゃないわよ‼︎ 強さ強さ強さ強さ‼︎ もう頭が痛くなるわ‼︎ 確かに、強さは誰もが欲しいと思うかもしれない。でも私には要らない。だから、貴方方が欲しいと思う理由が全く分からない」
「ど、どうしたんだよ。青木……。強さが要らない、なんて……青木は充分強いだろ?」
「私は元々強くなんてない‼︎ 植え付けられたのよ‼︎ だったら、こんな偽りの強さなんて要らない‼︎ 早く消えてよぉ……」
ヘナヘナ、と足から崩れ落ちたように座り込んだ私。こんなに発狂したのは、初めてだった。円堂さんも鬼道さんも、座り込んだ私を見つめている。
初めてだった。
哀しみで、涙を流したのは。
お、終わった……。
え、ねえちょっと待って、何文字書いた⁉︎
こんな長くするつもりなかったのに……。
此処まで読んで下さり、誠にありがとうございました。
中途半端ですが、此処から先はシリアス真っしぐらです。大阪はまあ、恋愛要素入ると思いますが……。
とにかく、これからもよろしくお願いします‼︎