青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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27話 vs真・帝国学園4・嫉妬

染岡さんをベンチへ運び、木野さんに染岡さんを渡す。染岡さんの足首を診る木野さんは、苦そうな表情を見せた。

 

「これ以上、プレイは出来ないわ……」

 

その言葉を聞き、円堂さんは木暮さんを振り向いた。

 

「木暮と交代だ!」

「ッ……交代は無しだ……‼︎」

 

声を上げたのは、染岡さんだった。目を向けると木野さんに支えられた染岡さんが立っていた。すぐに、鬼道さんが彼を止める。

 

「無茶をするな」

 

しかし染岡さんは鬼道さんの両肩を掴み、請うように言った。

 

「役に立たねえかもしれねえが……ピッチに置いてくれ……‼︎」

 

鬼道さんは戸惑ったものの、渋々分かった、と言った。私はみんなに分かるか分からないかくらいで染岡さんを睨みつけた。

 

「……貴方、分かっているのですか? それで無茶してサッカーが出来なくなっても良いと? エイリア学園と戦えなくとも良いと?」

 

自然と声に、怒りが込もった。何で。何で私がこんな人達の心配をしなければならないの。こいつらなんて、私の逃げる足になる以外、どうでもいいのに。

自分の行動に戸惑いつつも、周りのみんなはそれに気付かなかったらしく、染岡さんが私の問いに答えた。

 

「影山なんかに負けたくねぇんだ……‼︎」

「貴方ッ……‼︎」

「……いいんじゃねぇの?」

 

私達の会話を遮ったのは、吹雪さんだった。しかも何だか声音が優しい。更に吹雪さんは続ける。

 

「要は、俺がこいつの分もプレイすればいいだけだろ?」

 

自分を親指で指しながら、監督を見、許可を促す。

 

「あんたの作戦にノッてやったんだ。これくらいいいよな? 監督」

「構わないわ」

 

吹雪さんの提案に即答した瞳子監督に、私は少々困惑した。何を馬鹿なことを考えているんだ、どう考えてもあのダメージでこの後戦い抜くことが出来るワケないのに……! しかし監督からも言われては仕方なく、私は溜息をついて諦めることにした。

 

 

後半が再開され、とにかく佐久間さんにボールが渡らないように、DFは特に注意した。

ボールが私にまわってくる。そこに、不動さんがボールを奪ってこようとスライディングタックルを仕掛けてきた。そんな簡単に奪われるワケにもいかず、私はトンッと軽く地面蹴って、不動さんの上を飛んだ。

しかし……。

 

「へっ、甘えぜ」

「っ‼︎」

 

足を上げた不動さんにボールを取られてしまった。高度が低かったか……! 不動さんはすぐに佐久間さんに繋げようとする。しかし佐久間さんには一之瀬さんと土門さんが既にマークについている。不動さんが強引に突破するかと誰もが思ったが、不動さんは足元のボールを軽く浮かせ、蹴りを叩き込んだ。ボールは目の前にいた一之瀬さんに直撃した。

一之瀬さんを倒したボールは力なく転がり、佐久間さんの足元で止まった。しまった、と誰もが息を飲んだ。

佐久間さんはニヤリと笑い、シュート体勢に入る。それを見た鬼道さんが、止めようと走り出した。

 

「皇帝ペンギンッ……!」

「……やめろォッ‼︎」

「1号ォォォォッ‼︎」

 

2回目の皇帝ペンギン1号。構える円堂さんは、ボールを見据えて、必殺技の構えをとった。

 

「マジン・ザ……」

「はぁぁぁあ‼︎」

 

鬼道さんが、皇帝ペンギン1号を打ち返そうと、足を旋回させた。だが皇帝ペンギン1号は鬼道さんを弾き飛ばしてしまった。

 

「ぐぁぁあッ‼︎」

「マジン・ザ・ハンド‼︎」

 

皇帝ペンギン1号の威力は、円堂さんが誰よりも分かってるはず。円堂さんは気合いの怒号を上げながら、何とかシュートを止めることが出来た。

鬼道さんはあまりの痛みに、膝をついた。痛みに喘ぎながらも、鬼道さんが円堂さんに声をかけた。

 

「円堂、大丈夫かっ……?」

「っ……そっちこそ……!」

 

この2人が壊れては、雷門が崩れる。私の見る限り、雷門は円堂さんと鬼道さんの2人を中心に成り立っている。これも影山の狙いなのだろうか。私は立ち上がろうとしている円堂さん達を見て、そう思った。

そして次に、おそらく円堂さん達よりももっとダメージが多いだろうと思われる佐久間さんを見た。佐久間さんは両手両足をついて、ハァハァと激しく息をしていた。

これで佐久間さんが皇帝ペンギン1号を打ったのは2回目。あともう一回打てば……。佐久間さんは壊れる。それを悟った鬼道さんは、佐久間さんに叫ぶ。

 

「もうやめろ‼︎ これ以上打つな‼︎」

「やめるワケにはいかない……!」

 

佐久間さんはそう言うと、ポジションに向かって歩いていく。と、次の瞬間、悲痛な叫び声を上げた。

 

「うがァアアッ⁉︎」

「ッ……! 何故分からない⁉︎ サッカーが二度と出来なくなるんだぞ‼︎」

 

鬼道さんは佐久間さんの前にまわって、彼の両肩を掴む。鬼道さんを睨んだ佐久間さんの目が狂気に染まっていたのを見て、私は息を飲んだ。

 

「分からないだろうな、鬼道……。俺は、ずっと羨ましかった。力を持っているお前は、先へ進んでいく……。俺はどんなに努力しても、追いつけない……。同じフィールドを走っているのに、俺にはお前の世界が見えないんだ……」

 

佐久間さんは鬼道さんを突き放し、さらに続ける。

 

「だが、皇帝ペンギン1号があれば、お前に追いつける……いや、追い越せる! お前すら手の届かないレベルに辿り着けるんだ‼︎」

 

ああ、そうか。私には分かった。この人は……ただただ、この人は……。

 

「鬼道さんが、羨ましかったんだ……」

 

私の呟きは、吹き付ける湿った海風に攫われていった。




ああ〜長かった。
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