夜型人間はキツイです。ガチでw
それではどうぞ。
それから私達はイナズマキャラバンに乗り込み、再び走り出した。隣には、俯いたまま一言も発さない鬼道さんがいる。私も窓の外を眺め一切話さなかったが、ふと思い出し、鬼道さんに問うた。
「あの、鬼道さん……私に話があると言いませんでしたっけ?」
「‼︎ あ、ああ……」
鬼道さんがハッと顔を上げる。が、すぐに気のない返事をした。おそらく、佐久間さん達のことで、少し傷心気味なのだろう。私は鬼道さんに無理をさせまいと、鬼道さんが何か言う前に答えた。
「今は話す気分ではないでしょうが……まあ、私は待ちますので」
「………………ああ……ありがとう」
やはりそうだったわね。私は鬼道さんから目を逸らし、再び窓の外を眺めた。……あれ? ここ、どこかで見たことある……。私が疑問に思い、外の景色を食い入るように見つめていると、古株さんが嬉しそうに声を上げた。
「みんな、見えてきたぞ! 稲妻町だ!」
ーー稲妻町? 私の思考が停止する。
周りでは、円堂さんや風丸さん、壁山さんに栗松さんが懐かしい、と話す。その中で私はギュッとジャージを握り締め、カタカタ震える体を抑えた。
円堂さんがみんなを見渡して、言う。
「イプシロンとの次の試合まで、あと一週間だ! みんな、バッチリ調整して、レベルアップしていこうぜ‼︎」
「「「「おう‼︎」」」」
みんなが声を揃えて答える中、私は自身の肩を抱いて震えていた。イヤだ、怖い……! また……あいつらの元に戻りたくない……!
私の意思など気に留めず、キャラバンは雷門中へと河川敷を走る。そこでふと、窓から何かを見た円堂さんが、突然声を上げた。
「んっ……! 古株さん、止めて下さい!」
円堂さんと風丸さんは、キャラバンが止まるなり、ドアを開けて走り出す。みんなは窓から、円堂さん達を目で追っていた。どうやら、顔馴染みがいるらしい。その再会を喜び合っているのを、鬼道さんも見ようとしたのか、体を私の方へ向ける。そこでふと、私の異変に気付いた。
先程からの震えはだんだん大きくなり、誰から見ても分かる程となっていた。
「青木……? おい、青木! 大丈夫か⁉︎」
「ぅ…………ぁ、ぁ……」
ガタガタ、震えが止まらない。イヤだ。怖い。怖い。怖い。自分でも、抑えきれない。私がさらに強く肩を抱くと、肩に感触が走った。
鬼道side
杉森がいるというので、俺も窓を覗こうとしたところ、自分の肩を抱いてガタガタ震えている青木が視界に入った。何だか様子がおかしい。そう思って、俺は青木を呼んだ。大丈夫か、と声もかけた。しかし、青木の震えは一向に収まらない。俺は青木の肩に軽く触れた。
「っっ‼︎ いやぁっ‼︎」
バシッと手を払われる。青木は窓に背中を打ち付け、俺を見上げる。俺達の騒ぎに気付いた仲間達がやってきた。
「どうしたんだ、青木?」
「ぁっ……ぃ、ぃやっ……」
青木はガタガタ震え、俺達を見ていた。ふと、青い前髪の隙間から赤い目が少し見えた。赤、といっても俺の目とはまた違い、赤黒い、といった方が良い色だった。その目を大きく見開き、恐怖の色を伺わせる。
手を伸ばしても、その距離だけ青木が後ろに下がる。もう後ろは窓なのに。また青木と俺の視線がぶつかる。でもその目は俺ではなく"別の誰か"を見ていた。もしかして、青木は俺を誰かと重ねて……? 俺は青木の肩を掴み、叫ぶ。
「落ち着け、俺だ! 鬼道有人だ‼︎」
「…………ぁ……き、鬼道……さ、」
「そうだ、俺だ! だから落ち着け…………」
「き……ど、さ…………」
青木は虚ろな目で俺を見て、フッと糸が切れたように俺に倒れ込んだ。クタッと俺に身を預け赤黒い目を閉じ、死んだように気を失っていた。
「青木、大丈夫か?」
俺の後ろで、塔子が青木を覗き込む。吹雪や一之瀬もやってきた。
「大丈夫だ。俺も何かは分からないが、青木は何かに怯えていた……」
「何か?」
「おーい、みんなも降りてこいよ…………って、あれ?」
「あ、青木⁉︎ どうしたんだ⁉︎」
杉森達の元へ行っていた円堂達が帰ってきて、俺に倒れ込む青木を見て、風丸が動揺する。
「分からないんだ、いきなり青木が倒れて……」
「大丈夫なのか?」
「今は気を失っている。きっとまた目覚める」
風丸は青木の顔を覗き込み、髪を撫でる。そこへ春奈達がやってきて、青木を見る。
「お兄ちゃん、青木さんは私達が診るから。お兄ちゃん達は杉森さん達の元に……」
「…………ああ……頼んだぞ、春奈」
俺は春奈に青木を預け、外に出た。ただ、風丸が心配そうに青木をずっと見ていたのを見ないフリをして。
さて、青木さんの闇に気付いた雷門イレブンはどうするのでしょうか。それは、次回のお楽しみ。