……ハッ!(◎_◎;) 何を考えてたんだ、私は……!
そ、それではどうぞ……。
揺れるキャラバンの窓の外を、古い町並みが流れていく。私達が次に向かったのは、福岡だ。古株さんの情報によれば、円堂さんの祖父である円堂大介さんが残したノートがあるというのだ。
「じいちゃんのもう一つのノートを手に入れるぞー‼︎」
いつも元気な円堂さんだが、今日はやけにテンションが高い。円堂さんにとって、お祖父さんは思い入れのある人物なのだろう。その気持ちが伝わった。そして、テンションの高い人がここに増えた。
「よう分からへんけど、ノートやー‼︎」
「……って、何で貴女が?」
「ええやん。ウチとダーリンは一心同体や。切っても切れへん仲やねんからな〜」
浦部さんがこのチームに参加することとなり、よく分からないが賑やかになりそうだ。私は一つ溜息を吐くと、窓の外を眺める。
頭の中を支配するのは、あの時の基山さんの言葉だ。
『いつでも、俺のとこへおいで』
あれは一体どういう意味なのだろう。彼は、私に何を求めているの? 私を雷門から引き離そうとしているみたいなんだけど……。
「そろそろ着くぞ、陽花戸中だ」
古株さんの声に、私は基山さんの言葉を頭から離した。
陽花戸中に着くと、校長先生が迎えてくれた。話によれば、校長先生は雷門さんのお父さんの友人で、さらには円堂さんのお祖父さんの大親友らしい。言わばここは、円堂大介のサッカーが始まった場所。陽花戸中がお祖父さんの母校であることは、円堂さんも知らなかったそう。
円堂さんと雷門さん、陽花戸中の校長先生が話しているのをジッと見つめる。とても温かい雰囲気。私の体験したことのない。これをずっと受け続けた円堂さんや笑い合っている雷門イレブンを、少し恨めしく思った私がいた。
円堂さん達の話が終わり、陽花戸中の校長先生がサッカー部を紹介してくれた。ちょうどいいから、とのことで。
サッカー部キャプテンの戸田さんが円堂さんと握手を交わす。すると、戸田さんが後ろから誰かを読んだ。
「おい、立向居! どうしたんだ? 円堂くんだぞ?」
立向居、そう呼ばれた男子が何ともまあ固まった表情でこちらへ歩いてきた。だって手足が一緒に出てる。こんなあからさまな緊張の仕方をする人がいるわけがないと思っていたが、目の前にいる彼によってその考えは捨てられた。
「っ……え、え、円堂さんっ! お、俺……陽花戸中一年、立向居勇気ですっ!」
「えっ……お、おう……」
あまりの緊張ぶりに円堂さんも戸惑いながらも、握手をしようと右手を差し出す。
「あ、握手してくれるんですかっ⁉︎」
「もちろんさ!」
「円堂さんっ……‼︎」
な、何これすごい眩しい……。目をキラキラさせ、円堂さんの右手をガシッと両手で掴み、ブンブン振る。
「感激です‼︎ 俺、一生この手は洗いません‼︎」
「汚い……」
「いや、ご飯の前には洗った方がいいぞ?」
「あ、ですよね……」
何だこいつ……。私が彼をジトーッと見つめていたら、立向居さんと目が合った。すると、立向居さんの顔が何故かみるみる赤くなっていく。緊張したり赤くなったり忙しい人だ……。
「あ、あのっ‼︎」
「?」
立向居さんが私の手を掴み、こう叫んだ。
「す、すすす好きれすっ‼︎ おおおお俺と付き合って下しゃいっ‼︎」
真っ赤になりながら彼が放った言葉は、意味不明だった。好き? 付き合って? いやいや……本当に何の話? ……まあでも、彼が恥をかいたことは明らかだ。よし、苛めよう。
「…………すみません、もう一度お願いします。さっきと同じように言って下さいね。そしてさっきと同じように盛大に噛んで下さい」
「えっえぇえええっ⁉︎」
あ、面白い。この人面白い。退屈が無くなりそうで、私は少し嬉しかった。
立向居登場‼︎ 可愛いなぁ、こいつ! 立向居は……アレっすね、青木さんに一目惚れしちゃったかな? 可愛いなぁ、こいつ!