青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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56話 救出作戦開始

なんだかんだで何故かサッカー試合をすることになった。

……納得出来るか! いきなりドッキリされて、試合だと⁉︎

 

「私帰ります」

「え⁉︎ ちょ、青木‼︎」

 

円堂さんの制止を無視して、私はさっさと元来た道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ツカツカと歩いていた私は、もちろんサーターアンダギーを摘んでいた。波風に髪を(なび)かせ、岩に腰掛けた私は、水平線を眺めていた。

ああ。なんて美しい。ふと、頬が綻んだ。

ここに来てから何度そう思っただろう。しかし、その心はすぐに、深海に沈むように落とされる。それほど深い闇を、私は抱えていた。

 

「話すって言ったけど……やっぱり、苦しいな」

 

辛い。……悲しい。

 

「…………」

「あの……」

「‼︎」

 

声をかけられ、ハッと振り向く。そこには、若い1人の男が立っていた。顔立ちが幼く、制服を着れば高校生と言っても間違えられないだろう。しかし、彼はスーツを着込んでいた。この暑いのに大丈夫なのかしら?

 

「何だ」

「えと……君が、青木穂乃緒ちゃんだよね? 俺、警察官をしている滝野真月(たきのまつき)と言います」

「警察官が私に何の用だ?」

 

冷たく、はねつけるような声を放つ。やはり、知らない人が相手になると、どうしてもこうなってしまう。

 

「あの、実は俺、鬼瓦さんの部下で。穂乃緒ちゃんに会えって言われてきたんだよ」

「は? ……誰だそれ」

「豪炎寺くんの妹さんを助けるんだ」

 

ピクリと、体が反応する。豪炎寺さんの妹を助ける……?

 

「……どういうことだ」

「時間がないんだ。俺と、来てくれるかな?」

「…………分かりました。いいでしょう」

 

岩から立ち上がり、サーターアンダギーを口に含む。黙って、滝野さんの後ろをついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛行機に乗って、東京まで戻った私は、空港でその鬼瓦さんと会った。

 

「君が青木穂乃緒、だね」

「はい」

「俺は鬼瓦源五郎。刑事をしている。話は移動しながらしよう」

「……あの、豪炎寺さんの妹さんを助けるって」

「ああ。そのこともちゃんと話すよ」

 

そう言われては、黙ってついていくしかない。この人は、豪炎寺さんのことを何か知っている。そう確信した。

 

車に揺られながら、私は鬼瓦さんの話を聞いていた。

 

「豪炎寺くんは、実は妹さんを人質にとられていたんだ」

「⁉︎」

「奈良でエイリア学園と戦った時のことを覚えてるか?」

「! まさか、あの黒ローブの男たちが?」

「ああ」

 

鬼瓦さんが、頷く。あいつら、私じゃなくて豪炎寺さんの監視のために来ていたの? 私を狙ってきたわけじゃなかったのか! なら何故、私を追ったんだ? 私を狙っておいて、豪炎寺さんまで狙っていたというのか! ふつふつと、怒りが湧き上がってくる。その怒りを鎮めようと、ジャージを握りしめた。

 

「豪炎寺くんは雷門に協力すれば妹がどうなるか、と脅されていたんだ」

「っ‼︎」

「俺たちは、奴らから妹さんを救い出す。そのために、是非君に協力をしてほしいんだ」

「…………何故?」

「すまないが、君のことを、いろいろ調べさせてもらったんだ。この件が解決すれば、君の保護者のことも、俺が何とかしよう」

「お断りします」

「え?」

「な、何でですか⁉︎」

 

鬼瓦さんと、滝野さんが同時に驚く。私は2人の反応など気にせず、サーターアンダギーを食べ……ようとしたが、袋が空になってることに気付いた。

 

「………………たい焼きか、サーターアンダギー」

「は?」

「それをたくさん買って下さるなら、協力しましょう」

「え……あ、ああ。わかった。金はこいつが出すから、好きなだけ食え」

「ちょっ! 酷いですよ鬼瓦さん‼︎」

「ありがとうございます」

「ああっ‼︎ 穂乃緒ちゃん酷いよ‼︎」

 

涙目で私に抗議する滝野さん。とても面白いわ。私はクスクスと笑いながら、滝野さんを見た。

 

「……豪炎寺さんの妹さんは、どこにいるんですか?」

「奴らの監視下にある。我々は、そこから彼女を奪還し、安全な場所に移動させる。彼女は、つい最近まで昏睡状態だったんだ。君には、彼女を安全な場所まで連れて行ってほしい。場所は、こちらでまた指定する」

「私は、妹さんを奴らの元から(さら)えばいいんですね」

「簡単に言えば、そういうことだ」

「分かりました」

 

簡単に答えたが、これは敵陣にたった1人で乗り込み、誘拐してこい、ということだ。自分1人で動くならまだしも、誰か足手まといを連れて逃げるなど、とても難しい。しかも、その相手は豪炎寺さんの妹。傷付けてはならない人だ。なおさら難しい。

だが、やらなくては。

 

「妹さんがこちらへ戻れば、豪炎寺さんも安心して雷門に戻れるのですね」

「ああ」

 

豪炎寺さんのため。雷門のため。

 

 

 

 

 

 

連絡機器を受け取った私は、妹さんがいる建物の付近に降り立った。耳に当てたインカムから、鬼瓦さんの声が聞こえてくる。

 

『それでは、始めるぞ。何かあったらすぐに連絡してくれ。こちらも対策は万全だ』

「了解」

 

短く切り、木々の隙間に隠れながら建物を目指す。

上等。やってやろうじゃないの。

私は赤い目を光らせ、歩き出した。

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