青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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76話 共闘

私の背後には、牢屋を破壊しようとしているバーンとガゼルがいる。彼らに被害が及ばぬよう、私は足を振り抜き続けた。

私の腕は、足は、何物にも負けない武器だ。これを最大限に使い、敵ロボットを砕き、四肢を引き千切り、破壊する。

踵でロボットの頭を蹴り落としたり、膝を入れて穴を開けたり、数体まとめて蹴り伏せる。

 

「っ……はぁっ、はぁっ」

 

こんなに暴れたのは久しぶりだ。少し、息が上がる。

1体、私の横をすり抜けてバーンたちの元へ向かうロボットが、私の視界の隅に映った。

 

「っ……行かせるかッ‼︎」

 

右腕を力強く旋回させ、ロボットにラリアットを喰らわせる。ロボットは吹っ飛び、後ろにいるロボットたちを巻き込んで倒れた。

 

「青木! 全員出したぞ‼︎」

 

背後で、バーンの声が聞こえた。それと同時に、最後の1体を地面に殴り倒した。

一つ、深呼吸してから、バーンたちを振り返る。お互い支え合い立つ、ジェミニストームやイプシロンの面々を率いるように、バーンとガゼルが立つ。

ガラクタと化したロボットたちの残骸を踏み付ける私に、ガゼルが声をかける。

 

「……終わったか」

「はい。ここに来たロボットは殲滅しました」

「随分とめちゃくちゃな潰し方だな、お前」

「うるさいですね」

 

バーンの言葉を一蹴して、入り口から出ようと足を向けた。

 

「行きましょう。走れない人は、言って下さい。私が担ぎますから」

「は? ムリだろ。てめえのそんなほっそい腕で男担げるわけねーだろ」

 

バーンの人を小馬鹿にするような発言に苛立ち、壁に拳で穴を開けてやった。

 

「何か言ったか?」

「言ってません」

 

これで黙るんだから、こいつはからかいやすい。よし、これから脅迫はこの手でいこう。

私は足を引きずって立つ選手たちを抱え上げる。数えても5人くらいかしら。

あっさりと5人を抱え上げる私に、バーンは引き気味に言った。

 

「お前ホントに化け物かよ……」

「ほら、早く行きますよ」

 

私たちは部屋から脱出し、前方を走るバーンとガゼルについていった。それにしても、この部屋は施設の奥に作られていたらしい。窓すらも無かった。こんな暗闇の中で、子供を監禁するなんて……こいつら、本当に何なの?

そんな疑問を頭の片隅に残しながらも、出口を探して走り続ける。

前方に、私たちを遮るようにロボットが現れた。

 

「!」

「チッ! こんな時に……」

「ハイジョ、ハイジョ」

 

片言のロボットは、足元にサッカーボールを置いていた。足を振り上げ、ボールを蹴ろうとする。

仕掛けてくるなら、その前にカタをつける。私は怪我人を抱えたままバーンとガゼルの前に躍り出て、ロボットを蹴り飛ばした。

突破口を切り開いた私は、そのまま直線に走り抜ける。その後に、バーンたちが続いた。

 

「青木‼︎ このまま真っ直ぐ進めば、出られる‼︎」

「はいっ‼︎」

 

バーンの言葉に後押しされ、さらにスピードを上げる。だが、そこには光が見えなかった。いや、光どころか、その先には扉も何もない。ただの壁が広がっていた。

これにはバーンも予想外だったらしく、驚愕する。

 

「何⁉︎」

「隔壁が降ろされている……私たちの動きを予め予想していたというのか!」

 

脇道も何もない。行き止まりだ。私は一度担いだ選手たちを下ろし、壁を叩く。鈍い音がするだけで、かなり分厚い構造であることが伺われた。これほど厚くては、私の拳も蹴りも届かない。このままでは、逃げられない!

 

「青木、壊せそうか?」

「……ダメです。こんなに厚くては、破壊出来ません」

「チッ……どーすりゃいーんだよッ!」

 

焦る私たちの背後には、ロボットたちが迫ってきているはずだ。何とかここから脱出しなければ、私たちはおしまいだ。冷静に考えようとすると、黒いボールを中心に、バーンとガゼルが並んでいた。

 

「どいてろ、青木」

「ここは、私たちが道を切り開く!」

「待ってくれ」

 

突然の第三者の声に、バーンとガゼル、そして私も振り返る。そこには、ボロボロのレーゼとデザームが立っていた。

 

「私たちも、この扉の破壊に協力しよう」

「そして、みんなでここから逃げ出すんだ!」

「貴方たち……でも、傷は……」

 

私が彼らを案じて制止しようとする。しかし、レーゼは笑って返した。

 

「これくらい、何ともないよ。それに、出来れば一発で破壊したいからね。俺の力は2人に比べたら微々たるものだけど、出来ることは何でもやりたいんだ」

「…………」

「青木穂乃緒。お前はあのロボットたちから我々を守ってくれないか」

 

デザームからの要求に、私は迷うことなく頷いた。それを見たデザームは、ジェミニストームやイプシロンの面々を振り返る。

 

「皆も聞け! 我々には時間がない。このままでは、間違いなく全員が捕捉されるだろう。何としてでもこれを破壊しなければならない! 動ける者は、我々と共に扉の破壊に努めろ!」

 

ジェミニストームやイプシロンの面々は、互いに頷き合って、立ち上がった。

ボールは2つ。まず最初に蹴り込んだのは、バーンとガゼルだった。

 

「「ファイアブリザード‼︎」」

 

カオス戦で雷門を苦しめた、宇宙最強の必殺シュート。渾身の力を持って蹴り放たれたボールは、壁に強かに打ち据えられた。

次に、レーゼが右足を振り上げる。

 

「アストロブレイク‼︎」

 

かつて何度も雷門ゴールを強襲し、円堂さんを地に伏せさせたシュート技。紫のオーラを纏ったボールが、床を抉りながら隔壁にぶつけられる。

しかし、まだ足りない。今度はデザームが前に出た。

 

「グングニル‼︎」

 

あの正義の鉄拳さえ打ち負かした、デザームの必殺技。

3本のシュートを持ってしても、隔壁は少し凹むだけで破壊には至らない。

 

「まだだ‼︎もう一度行くぞ‼︎」

「今度は私たちが‼︎」

「マキュアもやる‼︎」

「俺たちもやるぞ‼︎」

 

ジェミニストーム、イプシロン、そしてバーンとガゼル。多くの力が一体となって、隔壁を壊そうと奮闘する。

私はそんな彼らを横目で見ながら、ロボットたちを倒しに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

必死に走り抜けた道を戻っても、ロボットの姿は見当たらない。一体、どういうことなのかしら……?

足を止めて、キョロキョロと辺りを見回す。誰かの気配があるというわけでもない。それでも、彼らを害する者を排そうと、意識を張り詰めて敵の姿を探した。

……本当に、何もない…………?

 

「見つけたよ」

「‼︎‼︎」

 

聞き慣れた声が、背後から聞こえた。振り返ると同時に、バックステップで距離を取る。

そこには、白いユニフォームを纏った少年がいた。

まさか。まさか。動揺に、私の瞳が揺れる。

そこには……

 

 

 

エイリア学園最強チーム、ザ・ジェネシスのキャプテン……

 

 

 

 

 

 

 

グランが、いた。

 

「……やあ。また会ったね……穂乃緒ちゃん」

 

彼の翡翠色の目に、私の姿が映る。その中の私は、驚きと恐怖の感情に縛られていた。

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