その後、私たちはエイリア学園の全てを知った。
エイリア学園の親玉が、瞳子監督の父親ーー吉良星次郎だということ。
エイリア学園の選手たちは、皆エイリア石という石の力でパワーアップした普通の人間だったということ。
彼はエイリア石の力で、ハイソルジャーという強化兵士を作ろうと計画していたこと。
それを提案するが財前総理に断られてしまい、総理の好きなサッカーで、エイリア石の力を見せしめようとしたのが、エイリア学園だということ。
そして……今までの私たちの戦いが、エイリア学園の作戦に組み込まれていたこと。
瞳子監督は、父の計画を止めるために私たちを率いてきたという。エイリア学園さえ倒せれば、このバカげた計画も潰せる、と。
しかし、それは裏目に出てしまった。私たちを強く育ててきた結果が、結局はエイリア学園のためだと言われてしまったのだ。
「……ごめんなさい、みんな」
あの瞳子監督が、私たちに謝罪の言葉を述べている。この時、私は初めて本当のこの人と話せたような気がする。
娘として、父の暴走を止めなければならない。その一心で、この人はきっと動いてきた。私たちに厳しい言葉をかけてきたのも、円堂さんにGKをやめろと言ったのも、全ては強くなるため。チームを強くさせるため。
でも、この戦いは決して一筋縄ではいかなかった。
妹さんを人質にとられ、チームを去る他なかった豪炎寺さん。
旅の途中で負傷した染岡さん。
エイリア学園の強さに敵わないと感じ、自らキャラバンを降りた風丸さんと栗松さん。
そして……2つの人格のバランスが崩れ、今も苦しんでいる吹雪さん。
父の目を覚まさせるために、巻き込んでしまった少年たち。彼らを見る度、きっとこの人の心は傷付いたに違いない。この人は、とても優しい人なのだ。
「顔を上げて下さい、瞳子監督」
私は一歩進み出て、瞳子監督に言った。瞳子監督が顔を上げるのを見た私は、彼女を睨み据えるような目で見つめた。
「貴女はバカですか?」
「っ…………」
「おい、青木……」
土門さんが私を咎めようとするのを無視して、続ける。
「何故言って下さらなかったのですか」
「……えっ?」
「貴女が、お父様をお止めになろうとしていることを、何故私たちに話して下さらなかったのですか」
「それは……」
「これは自分の問題で私たちには関係ない、と?」
「っ!」
図星を指され、瞳子監督は言い淀む。
「貴女が雷門イレブンを率いると言った時点で、私たちは既に貴女に巻き込まれているのです。巻き込むなら、最後までちゃんと巻き込んで下さい。中途半端は嫌いです」
「……青木さん」
「そうですよ、瞳子監督!」
私の言葉に、円堂さんが同調した。
「俺たち、瞳子監督のおかげでここまで来れたんです! 一緒に戦いましょう‼︎」
「円堂くん……みんな……」
瞳子監督は、決意したみんなの目を見る。そして、小さく「ありがとう」と言った。
そして、案内された控え室で、私たちは試合前のウォーミングアップなどの準備を進めている。
私の隣に座っていた円堂さんが立ち上がり、みんなを見渡して鼓舞した。
「いくぞ、みんな! この試合は、絶対負けられない。俺たちの戦いが、地球の運命を決めるんだ!」
「……今度こそ、最終決戦というわけだな」
鬼道さんの言葉に、私も頷く。
そうだ。これが最後の戦いなんだ。必ず、グランとの決着をつける……!
円堂さんが、控え室の入り口に立つ瞳子監督を見た。全員の視線が、瞳子監督に向けられる。強い眼差しで、瞳子監督も私たちを見つめ返した。
エイリア学園の真実を知り、瞳子監督の真意を知った。雷門イレブンの結束力は、おそらく今までにないほど高まっているだろう。この控え室の雰囲気から、そう感じられた。
そしてついに、瞳子監督が最後の指示を出した。
「貴方たちは、地上最強のチームよ。……だから、私からの指示は一つ…………勝ちなさい!」
「「「はいっ‼︎」」」
この輪に私は最後まで入らなかったものの、力強く頷いてみせた。