青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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82話 vsザ・ジェネシス3・吹雪の復活

一方、フィールド。私に代わり、久々にピッチに立った吹雪さんの姿に、一之瀬さんは少し心配そうな表情を浮かべた。

 

「……本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫さ、アイツなら。吹雪は自分で決めて、グラウンドに戻ってきた。俺達に出来ることは、アイツにボールを繋げることだ!」

 

きっぱりと言い切ったのは、もちろん円堂さんで。戸惑う様子は一切なく、仲間を信じるその目が輝いて見えた。きっと、嬉しいのだろう。少なくとも私も嬉しかった。また、立ち直ろうとしてくれて。私は貴方には何も出来なかったけれど、少しでも……貴方を、吹雪士郎を必要としていた一人として、認識してくれただろうか。

頑張れ、吹雪さん。私の小さなエールと共に、試合再開のホイッスルが鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの青髪の少女のスローインから、再び両者が動き出す。しかしボールを奪い返し、見事前線に走り込んでいる吹雪さんにパスが通った。

 

「吹雪さんっ!」

 

思わず、声を上げる。彼は"士郎"から、"アツヤ"へと人格が入れ替わっていた。

 

「吹き荒れろ、エターナルブリザード‼︎」

 

久しぶりに見た、"アツヤ"の必殺技。しかし、それは最も容易くプロキオンネットで止められてしまう。そしてすぐさま、カウンターを仕掛けられる。今度は"士郎"の必殺技が発動された。

 

「アイスグランド‼︎」

 

しかし、それもボールを持っていたグランには、全く効かず。吹雪さんの表情に、焦りが生まれる。

ダメだ。完璧にならないといけないのに。きっとそう思っているのだろう。絶望、とも取れるその横顔が痛々しくて、私は目を逸らしそうになった。

お願い、気づいて。貴方は……貴方は……!

グランの姿が視界から消えて、ハッと視線をゴール前へ移す。グランはもう既に、ゴールに立つ立向居さんに迫っていた。彼も、ムゲン・ザ・ハンドが効かなくて、焦っている一人。そんな彼に、檄が飛ぶ。

 

「情けねえ顔すんな、立向居! 俯いてるだけじゃ、何も解決しねえんだよ!」

 

その声の主は、綱海さん。立向居さんの前に、綱海さん、財前さん、木暮さんが並び立った。何? 一体何を……?

グランが、無駄だとばかりに、流星ブレードを叩き込む。しかし三人はそれに怯まず、強い決意の目で迫り来るシュートを見据えた。

 

「ここはあたし達で止める!」

 

財前さんが中心となって、三人は今まで見たことのない動きをする。もしかして、新しい必殺技を……⁉︎

 

「「「パーフェクトタワー‼︎」」」

 

財前さんの作り出した塔から、綱海さんと木暮さんが落雷の如く飛び降り、ボールを蹴り付ける。そして見事、シュートを弾き飛ばした!

 

「やった!」

「……!」

 

ピッチに立つ雷門イレブンだけでなく、ベンチに座る私達の表情も綻ぶ。テンションの上がった浦部さんに首を絞めかけられたが、まあそれはいいとする。

やった。少しだけ、希望が見えてきた。たかがシュートを弾いただけでここまで喜ぶなんて、私もだいぶ円堂さん達に感化された証だろう。でも、それでも。

 

「……悪い気はしないわね」

「ん? 何か言うたか、青木?」

「いいえ、何も」

 

こんなにも胸が熱く、心踊るのは何故だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

財前さん達の活躍で、みんなの動きもよくなってくる。四人がかりで奪ったボールを、鬼道さんが吹雪さんへとパスを出した。

 

「吹雪っ!」

「えっ……あっ!」

 

何か思い詰めた様子で俯いていた彼は、鬼道さんの呼びかけで我に返る。気付いた時にはもう遅くて、片足を上げたものの、足がボールを弾いてしまい、サイドラインを転がり出た。いわゆるーートラップミス。

 

「……吹雪さん」

 

これがさらに、吹雪さんを落ち込ませる。どう声をかけたらいいかわからず、口を開けたら閉じたり。情けない。こんな時に、普段あまり働かない口がさらに役に立たなくなる。

その時、不意に、威力を持ったシュートが、吹雪さんに飛来した。

 

「え……うわっ‼︎」

 

避けることも叶わず、吹き飛ばされる吹雪さん。私は思わず目を見開いた。だって、ボールを蹴った人物は。

 

「豪炎寺……さん……」

 

豪炎寺さんは、苦痛に顔を歪めながらも、体を起こして見上げてくる吹雪さんと視線を交える。

 

「……本気のプレイで失敗するならいい。だが、やる気がないプレイは絶対に許さない‼︎」

 

困惑した表情のまま、吹雪さんは立ち上がる。

 

「やる気がないなんて……僕は本気で」

「お前には聞こえないのか? あの声が……」

「え……?」

 

豪炎寺さんはそう言うと、背を向けてポジションへと戻っていく。

一人取り残される吹雪さんは、私の視線に気がついたのか、私を見てきた。私は何も語らず、目を伏せる。……私からは、もう何も言えない。これからは、貴方が自分で気付かないといけない。大丈夫。私は貴方を……信じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び、激しい試合展開が繰り広げられる。吹雪さんは前線で、仲間から送られてくるボールをただ待っている。

 

「流星ブレード‼︎」

「「「パーフェクトタワー‼︎」」」

 

先程シュートを止めてみせたパーフェクトタワーも、今度は破られてしまう。構える立向居さんの表情も険しい。しかしその時。

 

「たぁぁあああっ‼︎ メガトンヘッド‼︎」

 

かわされたはずの円堂さんが、流星ブレードの前に立ちはだかる。三人のブロックを意にも介さない強烈なシュートに、円堂さんは顔を歪めて耐える。

 

「ぐっ……負けるかッ……いっけぇええぇえええ‼︎」

「「「「吹雪ッ‼︎」」」」

 

みんなの願いを込めたボールが、吹雪さんに一直線に飛んでいく。それを胸でトラップした吹雪さんは、目を見開いてそれを見下ろしていた。

 

「……聞こえる……ボールから、みんなの声が……‼︎ みんなの思いが込められたボール……みんなの……!」

「吹雪さんッ‼︎」

 

ブツブツと何か呟いている吹雪さんに、私は周りを見ろと注意を促す。敵が吹雪さんを囲んで、スライディングを仕掛けてきた。吹雪さんは顔を上げると、相手の足がボールに届く前に、高く跳躍した。

 

「‼︎」

 

私は驚いて、吹雪さんを仰ぐ。まさか……吹雪さん……!

私の衝撃をよそに、吹雪さんの表情は、初めて会った時みたいな爽やかな笑顔。そして空中でいつも巻いている白いマフラーを取った。

着地した吹雪さんは、先程とは打って変わって、見違えるような身のこなし。素早い動きで敵DFをかわし、ゴールへ迫った。

 

「これが完璧になることの答えだ!」

 

そうして、必殺技の構えを取る。これは、新しい必殺技……!

 

「ウルフレジェンド‼︎ うぉぉおぉおぉおお‼︎」

「プロキオンネット‼︎」

 

GKが、何ら変わらない表情で、必殺技を放つ。しかし。

 

「……っ、何ッ⁉︎」

 

吹雪さんの必殺技は、ついに鉄壁の防御を崩した。ついに、雷門が1点を返したのだ。こうして同点となり、試合は振り出しに。

ベンチでも、歓喜の声が上がる。私も浦部さんに捕まって立ち上がらせられたが、その頬が緩んでいる自信がある。吹雪さんが私に手を振ったのに、私も小さく手を振り返した。そんな彼に、円堂さん達が一斉に集まる。

ようやく、一歩追いついた。だがまだ前半。戦いはまだ、終わってないーー。

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