青き炎、エイリアと戦う   作:支倉貢

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85話 vsザ・ジェネシス6・決着

「……このままでは……」

 

今まで散々余裕そうだったジェネシスの空気が変わってくる。あら、いい顔してるわね。ニタリと、心の中でほくそ笑む。

その時、電子音が混ざった吉良星二郎の声が響く。

 

『グラン、リミッター解除を』

「…………! リミッター解除……⁉︎ 父さん、そんなことをしたら、みんなが……!」

 

ハッと我に返ったグランの様子が、明らかに何かおかしい。父に口ごたえした、とグランはすぐに口を噤んだが、私には正直そんなことどうでもよかった。

どういうこと? リミッター解除とは、あのグランが父と崇めるあの男に意見するほどのものなのかしら? 何か危険なものなのか、それとも……とにかく、嫌な予感がする……。言葉の持つ意味が読み取れなくて、それでも体が訴えている。ヤバいのが来る、と。

試合再開のホイッスルが鳴って、円堂さんがボールと共にジェネシス陣営に上がる。

 

「リミッター解除……!」

 

ジェネシスが、胸元にあるスイッチらしきものに手を当てる。するとスイッチが光と共に一回転して、そのまま元に戻った。

何なのかしら……? 一見何もないように見えた私の目。しかし、背筋に冷たい何かが素早く駆け上った。

間違いない。私の直感が叫んでる。これはおかしいって!

 

「円堂さんッ‼︎」

 

私が喉を震わせた刹那、円堂さんがキープしていたボールを、背番号10の女ーー確か名をウルビダといったかーーが目にも留まらぬスピードで奪い去っていった。

速い。さしもの私も、動きが何とか見える程度。瞬く間に中盤が突破される。驚愕に支配された中、吉良が再び口を開く。

 

『人間は体を守るために限界を超える力を出さないよう、無意識に力を制御する。では、その全てを出し切れるとしたら?』

「‼︎」

 

単純な計算だ。体を顧みずに、本当の全力を出したなら。

 

「ふざけるなッ‼︎ 貴様は彼らを破滅に導くつもりか⁉︎ そんなことをすれば……筋肉は悲鳴を上げ、体はボロボロになってしまう!」

 

こういう時、無駄に働く自分の脳が恨めしい。私の絶叫を聞いて、瞳子監督も父に訴えた。

 

「父さんッ! 今すぐやめさせて‼︎」

『そうさせたのは瞳子、お前なんだよ』

「貴様ッ……自分の子供達に、なんてことを‼︎」

「お父様の望みは私達の望み……! これが、ジェネシス最強の必殺技だ‼︎」

 

なんて連中だ。私は怒りでどうにかなりそうだった。

ゴール前まで、スーパーノヴァを打った三人が駆け寄る。そして今度はウルビダを中心にシュート体勢に入った。

 

「「「スペースペンギン‼︎」」」

 

ジェネシス最強を自負するだけあって、進化に進化を重ねた立向居さんのムゲン・ザ・ハンドもぶち破ってしまった。

こうして追加点を許してしまった私達。せっかく追いついたのに。また、追い越せない……! 歯痒さが、私の中に燻る。

 

「っぐ……⁉︎ うぅっ……!」

「‼︎ 基山さんッ?」

 

呻き声を上げ、グランが膝をつく。彼だけじゃない。シュートを打った三人が、体を抱えて倒れ込んでいた。

こんなの……こんなのって……!

 

「やめなさい、貴方達は馬鹿なのですか⁉︎ 何でこんなっ……」

「ふんッ……お父様の子供になり損なった、お前などにはわかるまい……! これくらい……お父様のためなら……!」

「そう……父さんのため……!」

 

傷つく体を引きずって、それでも立ち上がろうとする二人に、私は愕然とした。そして、彼らを道具のように扱う吉良に、再び心の端に怒りの炎が灯った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホイッスルが鳴り、今度は雷門ボールから。ウルビダがボールを奪おうと阻んでくる。

しかし、それを察していたかのように、円堂さんは飛んでかわす。

グランが出てきても、円堂さんは鬼道さんにボールをまわし、ワンツーパスでグランを抜き去る。

 

「リミッターを解除した私達をもかわすだと……⁉︎ 何が起こっている⁉︎」

「……まさか、これも……⁉︎」

 

基山さんが呟く。まさかこれも、仲間を想う力か。そういうことだろう。貴方は何もわかっていない。わかろうとしていない。そして……吉良も。私も、かつてはそうだった。

人の心に怯え、わかるはずなどないのに、全てわかったように彼らーー雷門イレブンのことを見ていた。彼らは、私が今まで見てきた人間とは違った。私はかつて、人とは口で嘘を吐き続けるものだと思っていた。現に、今の私がそうであるように。

でも……彼らは、違う。サッカーという一つのスポーツに真摯に向き合い、受け止め、こんなに真っ直ぐになれる……。彼らを通じて、私は人を信じる強さを学んだ。

だから、負けるはずがないのだ。お前達ごときに、彼らが。

 

「「うおおおおおおおおッ‼︎」」

 

フィールドでは、豪炎寺さんと吹雪さんが並んでゴール前へ迫っていた。豪炎寺さんが炎のオーラを、吹雪さんが氷のオーラをまとう。二人がすれ違ったかと思えば、体を反転して二人同時にボールを蹴った。

二つの相反するエネルギーを纏ったシュートは、相手GKに必殺技を出させる間も無く、ゴールを貫いた(ゴールネットは破れていないが)。スコアボードに、3−3という嬉しい数字が表示される。この新たな必殺技は、目金さんによって「クロスファイア」と名付けられた。

いける。これから勝てる。再び、私は確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらが突き放すほど成長するからか。ジェネシスに焦りが見え始める。そういう時に限って、意志の強さか全力を出したりするのだ。現に、グランとウルビダがそうで、ボールをキープしながら雷門ゴールへ駆け寄ってくる。

 

「「「スペースペンギン‼︎」」」

「ムゲン・ザ・ハンド‼︎」

 

対する立向居さんは、怯むことなくボールを掴みにいった。豪炎寺さんと吹雪さんのシュートに触発され、彼の目には諦めの二文字はない。

思いが形となり、究極奥義はこの状況でも進化を遂げた。そして見事、ジェネシス最強の必殺技を止めてみせたのだ。

 

「ジェネシス最強のシュートが……⁉︎」

 

ボールは立向居さんからDF陣へ、そして中盤へ運ばれていく。みんなの想いを繋ぐように、紡ぐように。

その想いが込められたボールを円堂さんが受け、そこに豪炎寺さんと吹雪さんが続く。

そして……地上最強の、究極奥義が生み出された。

 

「「「ジ・アース‼︎」」」

 

11人の力が集約されたシュートは、ジェネシスのゴールを強襲する。DF陣もGKも物ともせず、ゴールへまっしぐら。

しかし……そこへグランとウルビダが駆け込んで、シュートを蹴り返そうと足を掲げた。

 

「お父様のために……‼︎」

「負けるわけにはいかない‼︎」

『止めるのです! 何としてでも……!』

 

吉良の切羽詰まった声も重なり、光がフィールドを満たしていく。この光は、何者も止めることはできない。サッカーを愛し、仲間を思いやる……私達(・・)最強のシュートだから。

そして……。

 

ーーピーッ‼︎ ピーッ、ピーッ、ピィイイイーーッ‼︎

 

耳に入るのは、けたたましい追加点と試合終了を告げるホイッスルの音。

 

「〜〜〜〜っっ、やっったぁぁああぁぁあぁあああ‼︎」

 

試合は、雷門の勝利。私達はついに、エイリア学園に勝ったのだ。




青木さん、超喋るようになったな……。いい変化なのかな、コレ。

ようやく苦境(試合シーン)を乗り越えました。早く世界編いきたい。
これからもボチボチ頑張っていきます。
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