泡沫世界の観測者天使ちゃん   作:タイクーン火災

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なんでもない日

 

 悪魔来訪から暫し(上位者基準)の時が流れた。シャボンがたゆたう世界に白い影と黒い影、白黒の影があった。

 

「んでさ、悪魔くんはいつまでいんのさ」

「なんだかんだ居座ってるけどね、シェアハウスでも旅館でも無いんだぜ、この場所は」

 

 白黒天使が周りに浮かぶシャボンをつっついた。

 

「私達はこの泡沫世界を観測する任を受けた社畜さ。「って言うほど仕事してないんすけどね〜」……うるさいよ、君は。黙って飴でも舐めときなよ、ほらっ食らえっ! 「ほっ! ラッキーっすね〜!」……全く」

 

 茶々を入れてきた真っ白な天使にロリポップを投げ渡して悪魔を見据える。

 

「はぁ〜、まあ話を戻そう。ここはいわば職場なのさ。社員寮でもあるかもな」

 

「もうこの際すぐに出てけとは言わないが、ここをホームにしようってんなら異義を申し立てたいね」

「僻地と言っても他の天使が来ないとも言えないしね」

 

「ああ、それならお構いなく。住処ぐらいならどうとでもなります。流石にお二人の愛の巣を邪魔する気はないですよ」

 

「おっ! 流石あ〜ちゃん、分かってるじゃないっすか〜!」

 

「おい、何が愛の巣だ。さっきの私の話を聞いてなかったのか?! オフィスラブは禁止だぞ」

「それに今まで見てきた上司(かみさま)の社内恋愛とかだいぶ地獄だしな。惚れた腫れたは危険だよ」

 

「天界なのに地獄とはこれ如何にっすね〜!」

 

「地獄と聞くとやはり私としては滾りますね……! 故郷を思い出します」

 

「まんま地獄だからね、悪魔くんのとこは。そしてなんで君までテンションが上がってるんだ……」

 

「安全地帯から見る修羅場が一番面白いっすからね〜! しかも相手が鼻持ちならない上司ならもう最高っすよ〜! 後でその話詳しくお願いしますよ〜先パイ」

 

「私も個人的に気になりますね、敵役の笑える話、楽しみです」

 

「まあ話すのはやぶさかでもないがな、酒でも茶でもいい奴くれよ。そしたら私の口の滑りも良くなる」

 

「了解っすよ〜! とっておきのありますからね〜」

 

「私も向こうからパチったものが少々。満足してくださると思います」

 

「おっ! 良いじゃんか、話がわかるね2人共」

 

「それじゃ今からお話タイムっすか〜? 話してくださいよ先パイ〜」

 

「こちらが件のお酒なのです。地獄の業火と罪人の怨嗟、曰く付きで超弩級の刺激物なのです。ある程度の存在力が無ければ即死のモノですね」

 

「お〜! あ〜ちゃんもすごいの持ってるっすね〜! ふふふ、私のはっすね〜! 天界の聖宮の庭園からぬす、摘んできた茶葉っすよ〜! 耐性が無ければ一撃で死に至る劇毒の側面もあるっすよ〜」

 

「それ私死にません? 悪魔ですし」

 

「へえ〜、すごいじゃん! 私の知らない逸品がこんなにも!」

「それなら今日は豪勢に語り潰してあげよう! 大サービスだぞ、神様の乱痴気騒ぎから私が今まで見てきた中で面白かった世界の終末トップ3! どれから行く?」

 

「お〜! 太っ腹っすね〜! 私は終末気になるっすよ〜」

 

「私は乱痴気騒ぎでしょうか、まあどちらから喋っていただいても構いませんが……」

 

 虚空から椅子と机が出現する。摩訶不思議な光景に、それがまるで当然であるかのように三人娘は腰掛ける。

 やたらと禍々しい液体を、白黒天使は喉を潤そうと嚥下した! 

 

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