「………」
先程レイヴァンたちが倒した魔物。
中からなんと、生徒が現れたのでした。
それは、バルバトスが吹き飛ばした魔物も例外ではありません。
消滅した場所には生徒が倒れていました。
「魔物から生徒か……?」
「行方不明にされていた生徒なのは間違いないようですね。」
「しかし、息をしてないな……ダメだ、死んでしまっている。」
魔物から現れた生徒は手遅れであり、全員が衰弱死していました。
生き残った生徒は、バルバトスが名簿を取り出し確認しています。
「ナイトメア……ちょっと、やりすぎじゃない?」
『……ふむ、私が世界を作る際に悪夢の力が予想以上に上回っていたのかもしれん。八雲紫に相談して直接私が関与し悪夢を処理させてもらえないか打診してみよう、あまり負の力が多いと幻想郷にも影響し私の居場所も消える。それは私とて本意ではないからな……』
ナイトメアは夢幻魔王イドの姿を保ったままドレミーの質問に答えた。
力の維持に集中しているため少し汗をかいている様子であり、今もまたこの事件を生み出した『悪夢』を探しているところでした。
「バルバトス先生!」
「貴様はぁ……なるほど、貴様は確か警察の特殊部隊……『HERO』に就職していたな。中等部に入学した弟は元気か?」
「はい、天哉ももう12歳、俺みたいなヒーローになるんだって言ってますよ、はははは」
バルバトスは派遣されてきた人と事情聴取を受けつつ昔話に花を咲かせていました。
エルレインが通報したことにより、警察の中の一組織『HERO』から人員が派遣されてきていました。
彼はターボヒーロー『インゲニウム』。
HEROでも実力派の職員であり、弟が今年中等部に入学していました。
彼自身もOBであるため、バルバトスの『しごき』を優秀な成績で耐え抜いたためにバルバトスお気に入りの生徒でもありました。
「そうだ先生、先程保護した生徒で目撃者でもある彼女を連れてきました。先生は……」
インゲニウムはバルバトスにある女生徒を託しました。
「貴様は……高等部2年のモニカか」
「あ、バルバトス先生だぁ〜」
女生徒はモニカという女性であり、バルバトスも彼女に生還を褒め称えては事情聴取のあとは速やかに帰るよう説得します。
そして事情聴取も終わり、帰らせるよう命じたところで……
「はーい。……と、油断させといて……ばかね、死になさい!」
「なっ……!?」
事件は、皆の目の前で起きました。
モニカはニヤリと笑うといきなりインゲニウムの腰の中心、脊髄を狙って勢いよく隠し持っていた刃を突き立てたのです。
そしてその辺りを滅多刺しにして再起不能へと持ち込んでいきます。
「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「キャハハハハ!怒ったぁ?ねぇ怒ったでしょ!キャハハハハ!!」
「それ以上やるならいくら教え子たる貴様を引き裂いてくれるわ!」
インゲニウムが倒れ、モニカに身体中あちこちを串刺しにされる姿を見たバルバトスは激昂しました。
その叫び声は、ダウンタウンの反対側にある闘技場まで木霊したとも言われました。
「さっきからモニカモニカモニカモニカ……ばかみたい!あたしはクロニエ、モニカって子ならもうかなり前にあたしが殺して成り代わっていたのさ!」
そしてモニカは変装を解除しながらクロニエと名乗りました。
クロニエとなったモニカは肌の色などからもはや人間ではないことが明らかであり、腰には得物たる『アサメイの短剣』が下がっていました。
短剣には血がべっとりと付着し、それがインゲニウムのものであることは倒れ伏し気を失ったインゲニウムの姿から容易に想像出来ました。
お気に入りの生徒を失ったバルバトスは怒りを顕にしてモニカにディアボリックファングを振り下ろします。
「そんな攻撃当たらないよーだ!あと魔物事件はあたしが犯人。生徒を攫い、魔物に変えたのもあたしの仲間。あたしは『あの方』の命令でやっただけさ!キャハハハ!」
それをかわしたクロニエは煽るだけバルバトスを煽り尽くして北へと逃げ去りました。
バルバトスはクロニエの名を叫び、必ず殺してやると叫びました。
レイヴァンたちの戦いは、敗北したばかりか守るべきOBを死なせてしまう悲しい結末に終わったのでした。
「……ドレミー、我らは一度街から出るぞ」
「八雲紫に会うのね?」
「そうだ。今回我らは何も出来なかった。ただその場にいただけだ。そして……彼らを導く『軍師』が必要と判断した……だから……我はナイ……ア……て」
クロニエが逃げ出したあと、ドレミーとナイトメア……いや、夢幻魔王イドは八雲紫に会談を申し入れるため幻想郷に一度戻ることを決めました。
八雲紫に内部の処理を申し入れ、内部の悪夢を取り除くためです。
語りながらイドの姿が消え、ナイトメアへと戻っていく彼は最後まで危機を伝え続けました。
ドレミーと過ごす日常が、彼を魔王から夢の観測者へと使命を変えていったのです。
魔王としての彼……幻想郷に流れ着いてすぐの彼ならば間違っても望まなかった平穏。
元々悪さをしたとはいえ彼の望む夢の世界で自由に生きるためにしか行動をしてこなかった彼は、あの恐ろしい氷の魔王やバルバランに魅入られ闇に墜ちた美の女神マイラと違い、本質的には悪党ではありますが根っからの悪人ではありません。
それが、幻想郷という一種の瑞夢……吉夢に近い楽園であるが故に夢に影響されたナイトメアは必然的に善に近くなっていったのです。
「……わかったかい?ドレミー」
「わかったよ。じゃあ、一度戻るからね?」
こうしてドレミーは八雲紫から託された『リーフの珠』を使い幻想郷へと抜け出していきました。
もちろん、ナイトメアと共に……
「あの野郎、引き裂いてくれるわ!」
「落ち着きなさいバルバトス。彼の者が消え去りし場所を特定するまで暫しお待ちなさい。」
バルバトスは自分の可愛がっていた生徒を殺され、目にかけていた元生徒のインゲニウム……飯田天晴を再起不能に追い込まれ、挙句の果てには散々その下手人たるクロニエに煽り散らされ怒りは最大にまで膨れ上がっていました。
「うぅ……」
「動かないでください、生きてるだけでも奇跡なのですから……」
プリシラとルセアは死を前にしたインゲニウムにリカバーの杖で必死に回復をしていました。
テキトーに串刺しにしたために出血はかなりありますが、エルレインの奇跡と合わせて命を繋いだインゲニウム。
やはり狙いを付けなかったのが幸いし、急所をギリギリ回避していたため臓器は何とか避けていました。
そのため、脊髄を損傷したことを除けばリカバーで充分回復ができました。
脊髄を損傷しているのが明らかであったため、騒ぎを聞きつけてやってきた他の教師が彼を近くにあるオルバース中央病院へと搬送していきます。
「……無様だな。」
「レイヴァン様……」
レイヴァンはただ一人佇んでいました。
誰も助けられず、戦いの場にいて何をしたわけでなし。
バルバトスが魔物を全滅させた上に被害は甚大。
情けなくて彼は一人何を見るでなく空を見上げ、静かに仁王立ちしています。
インゲニウムを見送ったルセアが声をかけるとレイヴァンはそのまま静かに話をしました。
「ルセア、ヤツの行方が掴めるまでここにいることにしよう。」
「レイヴァン様!」
ルセアが嬉しそうに名前を叫びます。
「ここまで来たら一人でいるより皆といたほうが良かろう、それに……」
そこまで語ればレイヴァンは近寄ってきた2人の男をルセアに紹介しました。
「話は済んだか?」
「あぁ。ルセア、そこの弓騎兵がザガロ。ソシアルナイトがビラクだ。ダウンタウンとアップタウンの間に位置するカレーショップ『オレルアン』で働く……情報屋だ。」
「よろしくお願い致します。ザガロさん、ビラクさん。」
ルセアとビラクたちが挨拶を交わしました。
そしてザガロがレイヴァンに話を切り出します。
「先程の魔物だが、俺は既に情報を掴んでいる。」
「本当か?」
ザガロの知る魔物の正体。
そしてビラクが話に続きます。
「実は北東に広がるラシュアンの森でも目撃情報があるらしい。魔獣と奴等は呼んでいる他は謎に包まれているが……何でも住人たちは『鬼』と呼んで日々恐れているらしい。森の入口にある村では自警団にも似た農夫や猟師たちがその対処に当たっている。……来るか?」
そこまで話した瞬間、バルバトスがビラクに『ぶるあぁぁぁぁぁ!!』と叫びながら駆け寄りました。
「貴様ぁ……それは事実か?」
「事実かはまだわからない。だが、調べて見る価値はあるかもしれないだろう。」
そう言ってザガロが地図を出して近くにあった壊れていないテーブルに広げました。
地図には、この世界の地理がすべて描かれています。
「まずここが大修道院。そして東側から街を出て北北東へ進むと広大な農業地帯がある。畑道を少し進むとそこがラシュアンの森とラシュアンの村になる。そしてラシュアンの森の奥地、一の狩り場の奥に『迷いの森』と呼ばれる区画がある。」
ザガロは地図を指で指して森への道を解説していきます。
「迷いの森だとぉ?」
「あぁ。地元の住人が『封じられし森』と恐れるその区画から一の狩り場に向かって先程の魔獣が現れているらしい。しかも……」
「まだ何かその森にあるのか?」
バルバトスが迷いの森などと鼻で笑いましたがザガロは真剣な顔つきで話を続けました。
そしてザガロが勿体ぶったように話をするのでレイヴァンも続きを催促しています。
それを聞いて意を決してザガロが恐ろしい噂を口にしました。
彼の話は、一行にとって吉になるか凶になるか……
それはまだ、誰にも分からなかったのでした。
「魔獣の目撃情報と一緒に聞いた話……封じられた森には『鬼』が出るそうだ。」
一方森へ行くことになったレイヴァンたちに対してドレミーとナイトメアは、結局博麗神社にて八雲紫と面会をすることになりました。
『ここにいたのか八雲紫ィ……』
「あちこち、探したわね……」
「あら、たまには私も霊夢とお茶をしたいわよ。ね?」
「だったら茶菓子くらい持ってきなさいよ~……まったく、で?コイツが話に出てたぬいぐるみ?」
『ナイトメアだ!』
ナイトメアと博麗霊夢は初対面。
いきなりぬいぐるみ呼ばわりでツッコミを入れましたが紫は用事について質問をしてきたのでここまでのあらましを彼女たちに伝え、これからのことについて許可を取ろうとしました。
「……幻想郷が危ないなら、仕方ないわね……霊夢!」
「なるほどねぇ……『異変』なら、仕方ないわ。ナイトメア、案内しなさい。私が解決するまでいてあげるわ。」
『チッ、仕方がないなぁ……ドレミー、霊夢。夢の世界へ戻るぞ!』
こうして『異変』と判断した紫によって、霊夢という監視役が付きながらも参戦出来るようになったナイトメア。
彼らは、これからどう戦っていくのか。
そして、レイヴァンたちの運命は。
すべては、『あの方』次第なのでした。
そして『あの方』とは……………
「私だ。……この、役立たずがァァァ!!」
闇夜に紛れしとある館。
そこで男が電話をしていました。
「……を、使え。それからあの『鬼』共も利用しその教師たちを消せ。失敗は許さんぞ!」
それだけを語り、男は通話を切りました。
「……さて、『鬼』の力と私のキメラ研究を結集して作った新たなるキメラ。奴らを使いデータを取らせてもらうとするか……」
男は部屋のソファに踏ん反り返り、葉巻を吸って一言呟きます。
彼は一体何者なのか。
運命は、少しずつ動き出しているのでした……
・話が短い
森のエピソードまで書いたらまた長くなるため早めに締めました
・ドレミーとナイトメアの参戦
霊夢は戦力ですがナイトメアたちはプリキュアの妖精さん枠。
・インゲニウムの行方
原作同様再起不能です。生きてはいますが現役引退です。
奇跡?エルレイン様の奇跡を使ったらチートでしょう。
穴子は知らん。
・話の流れ
ほとんどファイアーエムブレム風花雪月そのまま。モニカがジェラルトさん刺したシーンも割と再現。
時は戻せない分滅多刺しです。すまん、飯田兄。
・ヒロアカ世界のヒーローについて。
この世界ではヒーローは警察組織の一部として存在しているためヒロアカ世界とは微妙に立場が異なります(ヒロアカ世界のヒーローは職業の1つであり警察組織とは協力はすれど無関係であり逮捕権もない。)
・ラシュアンの村
テイルズオブエターニア由来ですがこの世界では農業敷地が相応に広くてラシュアンの森が割と色んなゲームの森ステージ要素が詰め込まれた結果、ポケスペのトキワの森レベルのカオスなダンジョンと化してます。
ちなみに中に入ってもスタルフォスやスタルキッドにはならないよ。
・一の狩り場
森の区画の一部、元ネタはテイルズオブエターニアではなくテイルズオブザワールドなりきりダンジョン2。
なりダン2の狩人の森からそのまま引用、操られたファラがいたあの場所から更に奥に進める設定。
・ビラクとザガロ
オレルアン好きな作者が出さない選択肢などない。
ちなみにこの世界ではハーディンが店長を務めるカレーショップ『オレルアン』で昼間はカレーショップ、夜はウルフがバーテンダーを務める『Bar Kerberos』という酒屋になります。
ファンタジー世界の酒場そのままであり、ザガロはそこでウェイターと情報屋もやってます。
ちなみにロシェもスタッフ。
・現在の仲間たちをGBAファイアーエムブレム風にまとめてみた(ドレミーとナイトメア、霊夢を除く。長いため詳細ステは省略。ザガロとビラクのみ新暗黒竜準拠。)
レイヴァン 勇者Lv:10 ルセア支援A
ルセア 司祭(男)Lv:5
プリシラ ヴァルキュリアLv:8
ザガロ ホースメンLv:5
ビラク パラディンLv:1
バルバトス 狂戦士Lv:20全ステMAX力守備魔防限界突破済
エルレイン 聖女(専用職)Lv:20 理光杖S バルバトス支援A