作者はゲンドウもコウゾウ氏も好きです(笑
+サイド今はレイの元おじい+
「ひっくしょぉぉん!!」
盛大なくしゃみをかましたわしは今、ゲンドウさんの住処と噂されている、司令室で説明という名の尋問を受けている。横には通い妻ならぬ、通い副司令のコウゾウ氏が後ろで手を組んで立っていた、これも定位置だ。
「やはり、赤木博士の報告は正しかったようだな、碇」
「ああ、目の前にいるレイの魂はリリスではない」
オッサン臭いくしゃみが理由ではなく、彼らは既に当りを付けていたと言う事か。では、こちらも死に物狂いで答えるとしよう。そうでなければ、後ろに控える諜報部の誰がしらがわしを始末するのだろうからな。
「お前は何者だ」
ゲンドウが率直に質問してきた。
「元老人だよ、碇ゲンドウ、並びに冬月コウゾウ氏」
わしが答えれば、コウゾウ氏は目を細め、ゲンドウは僅かに眉を顰めた。
「何故、冬月には敬称を付けて私は付けない」
「格の違いとだけ言っておこう」
そう言った直後、コウゾウ氏は僅かに笑みを浮かべ、それをゲンドウに見られ、わざとらしくて咳払いしていた。当然の岐路だろうが。
「貴様の言葉を語れば、どうして老人がその体にいる?」
どうやらあちらも呼び名を変えてきたようだ。根に持っている証拠だな。
「それこそ、わしが知りたいものだ。わしは確かにお迎えが来ていたはずなんだが、どういう訳かピチピチの十四歳の体で再始動だ」
この世界に来る理由は知っているが言うつもりなど一切無い。動揺すら顔に出さないのだ、この無表情に感謝する。時折、相手を怖がらせることもあるがな!!
「不明瞭なことが多すぎる。ここはこのまま様子を見たらどうだ、碇」
コウゾウ氏がそのような案を出してきた。言葉の意味もそのままにきっと、わしに格の違いも見せ付けるつもりだろう。流石、コウゾウ氏。その無駄に決めた髪形が素敵です。
「だが、計画が狂えば戻すのに苦労することになる」
「今のところ、スケジュール通り来ている。計画が修正出来る範囲内に泳がせ、決定打を浴びせられそうになったその時に処分すればいい」
眼前で手を組んで深い思考に入るゲンドウ。その隙にコウゾウ氏はチラチラとわしを見てくる。わしは親指を立て、深く頷いた。格の違い見せてもらいましたという言葉を心の中で唱えながら。
コウゾウ氏が満足げに頷いた直後、ゲンドウは顔を上げた。答えが出たようだ。
「良いだろう、貴様が何者でも構わない。我々は使徒さえ倒せればそれで良いのだ。但し、貴様が不明慮な行動を取れば処分する。無論、貴様に再びお迎えが来るという意味だ」
たかが四十過ぎの若造が言ってくれる。そうは思ったが、口には出さず頷くだけに留めた。今は波風を立てている状況ではない。使徒は今後もやって来るのだ。それをシンジ君や今後来るであろう、アスカちゃんだけに任せていてはわしの名折れだ。老骨心に鞭打ってでも戦いに望もう。それがきっとこの世界に来たわしの使命なのだから。
双方納得して話し合いという名の尋問が終わりを告げるまさにその時、基地が一定感覚で揺れだした。同時に司令室の電話が鳴り響く。
ゲンドウは受話器を取って話を聞くと急に立ち上がり、そしてわしの方に鋭い視線を遣した。
「今、零号機が勝手に始動して基地を破壊している。これはお前の指示か?」
元妻よ、こちらが穏便に終わらせようと我慢していたのにお前が台無しにするのか。
「そう言った機能が、エバには搭載されているのか?」
「質問しているのは私だ」
「だから言っているだろう。機能が無いのなら零戦自身が行動しているということだ」
わしがそう言えば、ゲンドウとコウゾウは目を見開いた。
「ありえん、あれには魂が備わっていないはずだ」
コウゾウ氏の言葉にゲンドウは思考を再開、しかし今度はすぐに戻り、驚愕した。
「まさか……本来の魂リリス」
「ばかな、あれに個を認識する意識は無い、あれはすべてが全であり、使徒以外のすべてが個のはずだ……いや、それならば第五使徒を倒した零号機の力、老人とのシンクロ率が急激な変動を起こしたのも辻褄が合うのか?」
あれは密かにリリスを模して造られた最初の初号機だ、などと口々に暴露していく二人を見ながらもう少し泳がすかなどと考えていれば、基地を揺らす振動は更に大きくなっていく。どうやら、時間切れのようだ。元妻は一度悪乗りすればとことんまで行ってしまう、わしが死んだらきっと元妻はこの施設を枕に三回目の衝撃を起こして共に消える選択をしてしまうはずだ。それを嬉しいと思っているわしはどこか可笑しいのかも知れんな。
「考えているところ悪いが、このままでは基地が崩壊してしまう。わしの声を零戦がいるところに繋げてもらえないか?」
基地が壊れるのは困るのだろう、渋々ゲンドウは端末を操作した。操作し終えると目線で促した。
「リリス、わしは無事だ。わしのことを気に入ってくれているのは良いが物に当たるのはよくないぞ。どうか静まってくれ、彼らもわしを殺そうとはこれで思えないだろう」
騒音と振動がピタッと止まった。さすが、元妻。引き際を心得ている。わしは視線をこの部屋にいるすべての人間に向けて動かした。皆、一様にして怯えた表情でわしを見る。ゲンドウやコウゾウ氏ですら、苦渋に満ちた表情を浮かべていた。
「なに、わしが死んだら三回目の衝撃が起こるだけだ。わしは死なんよ、子供たちが戦っているんだ、わしは大人として子供たちを守る義務がある。それは碇ゲンドウ、お前の息子も入っているよ」
「………」
「あの子は良い子だよ、わしはあの子やこれから来る子、そしてあの部隊で戦う子供を守る盾になりたいと思っているんだ、そしてリリスはそんなわしを応援してくれている」
元妻の話はしない。余計混乱させるだけだからな。今はただ、エバの本来の役目を全うすることを伝えられれば良い。この先、戦いは益々佳境に向かっていくだろう、これがあのゲームと同じ世界ならあれが迫ってきているはずだ。
「特に、宇宙怪獣は倒させばならない」
「貴様、STMCまで知っているのか」
今日はよくよく珍しい表情を見せてくれる、ゲンドウとコウゾウ氏は口をあんぐり開けて驚いていた。
「リリスが教えてくれたよ、あれはこの宇宙の掃除屋らしいな。差し詰め、わしらは宇宙に漂うゴミといったところか。だが、我々は意思あるゴミだ、反抗も殲滅も可能だろう?」
すべてはリリス頼み、リリスは何でも知っている。そういう態でこれから行こうと思う。ゲームなんですとは言えない。
「あなた方の望みが何なのかは知らない。しかし、今はまだ交わりの時、少なくとも共闘は出来る筈だ。そして何時か、互いに決別をしなければならなくなった時は……」
ゲンドウとコウゾウ氏が息を呑む。
さあ、最後の仕上げだ。持ってくれよ、わしの死に物狂い。
「その髭を毟り取る」
「貴様!! 私のアイデンティティーを奪うというのか、なんと非道な!!」
駄目でした、持ちませんでしたとも。あれはふらぐというやつか。ふふ、理解できるぞ。孫に教えて貰って良かった。
双方、話し合いは一応共闘という形で幕を閉じた。こちらにリリスがある限り彼らも手が出せない、かといって彼らがそのまま、指を咥えて見ているだけとも限らない。そんな相手なら、ねるふの指令になってなどいないはずだ。
故に一応という言葉を付けることにする。今後、わしと零戦がどういう立場になってくるかは神のみぞ知るといったところであろう。
それにしても、碇親子は突っ込み属性という奴なのだろうか。
一人、ネルフ本部に残った今はレイの元おじいは零戦改修作業を見学する事になった。そこで知る驚愕の真実、元おじいは表情筋総動員して笑みを形作りこう言った「おめどう」と。
次回、同志心重ねて
次の話もサービス、サービス…出来たらいいなぁ。