EBA 一番と四番の子供達   作:アルポリス

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 教えて! コウゾウ氏。

コ「早速、お便りが来ている。エバ4号機のS2機関どうなっているのか。なるほど、エバと言う言葉が浸透してきたな……私たちとしては困るが、まあ、いいだろう」

コ「実際のところ、4号機にS2機関は搭載されていない。あれは起動の折、消滅しているからだ。その時に出た膨大なエネルギーがディラックの海を誘発、搭載された4号機だけが飲み込まれ、その他は余波によるエネルギーで残念ながら消滅という形になった」

コ「例えるなら、コンビニで買った弁当をその場で食って満足していたら、一瞬にして自宅に飛ばされ、尚且つ空腹状態に逆戻りと言った感じだろうか、ん? 例えが分からない? そんな事は知らん!!」

コ「以上だ、私が考えた例えを参考にしくれたまえ」



                       後半は冗談です。


 短いですが、始まります。





せめて使徒らしく

 軍船に機体ごと回収され、待ち受けているはずだったゲンドウの不在にひとまず安堵を浮かべていたカガリは同志参謀から告げられた命令に大きく驚きを見せた。

 

 綾波カガリ 十五歳、綾波レイの姉にして血縁上異母姉妹。長く闘病生活を過ごしていたが完治したことでまるナントカ機関から五番目のパイロットとして選ばれる…というシナリオを受け入れろという旨を伝えられた。これに拒否権は無く強制であるとも。

 

 驚いたのは最初だけで、カガリは参謀より次々と告げられる命令に対して素直に頷いていく。そして最後に。

 

「分かった!! 今日からあたしは綾波カガリだ!! よろしくな、妹」

 

 満面の笑顔で自己紹介されるものだから内心苦笑の表面無表情で頷いた。

 

 こうしてカガリ・ユラ・アスハは綾波カガリとなってわしと同じく日本に帰ることになった。残念ながらこのままこの船で出立するので父親たちに挨拶は出来ないと言われたときは暗い表情を浮かべていたが、船が出港してすぐに始まった4号機の改修作業を見学しているうちに本来の元気を取り戻して、あれこれと作業に口を出していた。それを同志たちは苦笑交じりに見ていたのだが、カガリが告げた次の言葉で改修魂に火がついてしまう。

 

「あたしの機体にもレイと同じようなウイングと盾が欲しい」

 

 で、同志たちは目を輝かせて口々に呟き始めた。

 

完成型ロボダインエースはVの角と二つ目なり、機体の塗装は銀色、この4号機は完成型になるために生まれてきたに違いない、アニメでは適わなかった夢の競演、彼女たちは主人公と同じ兄弟、この際性別など知った事か、などなど。

 

 俄かに興奮してきた同志たちを開発主任が腕を掲げて止めた。次いで、その場に居るすべての同志の顔を見ていき、最後に天に向けて吼えた。

 

「みぃなぁぎぃるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 その叫び声が合図となり同志たちは怒涛の勢いで作業を開始した。それもう人間の動きとは思えない作業姿に、同志たちが何を言っているのか理解できずポカンとしていたカガリも異様に興奮し始めて掛け声と共に応援し始めた。先ほど初戦を終えたばかりなのに元気なものである。楽しそうなのでこのまま応援させてあげたいのだが、この後、同調率検査が待っているのだ。顔を赤くして叫ぶ姉を強引に引き連れて休憩室に押し込み、数時間の仮眠を一緒に取った。

 

 その後、船に作られた検査室に向かい一緒に検査を受けたところ、わしは変わらず一定の同調率を出したが、カガリは何故か一定という言葉を何処かに捨ててしまったのではと思うほどブレを見せてきた。ところが、ブレを見せるものの、エバの操作に何の障害が無いのだ。これには検査を担当していた役員も頭を抱えてしまった。しかし、その後何回か検査を行うことである一つの仮説に辿り着いた。

 

 カガリのブレは一定感覚で起きていた。このブレこそがカガリにとっての一定同調の証なのではないか、役員たちは一応の結論を付けることにした。ある役員が冗談でエバの中に二つの意思があるようだと言っていたのを聞いたとき、わしとカガリはこの仮説が正しいのだろうと思うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーブを出航して二日、既に日本の海域に入ったことを同志から告げられ、わしは部屋でゆっくりとした時間をアニメと共に過ごしていた。カガリはきっと日課にしているとれーにんぐを行っている頃だろう。

 

 部屋に常備されていた緑茶を入れ、飲みながらアニメを見ていれば慌しく扉が開かれ、姉のカガリが汗だくで飛び込んできた。折角入れたお茶を零され、少しショックだったわしに何も言わせず連れ出して走り出した。そして、鋼板に辿り着くとある場所を指で示した。

 

 船の進む先、約三十キロの地点に立ち込める雷雲だった。

 

「あれが…どうかしたの?」

 

 カガリにはわしが言葉を上手く伝達できないこともあると教えているので安心して好きなことが言える。それと何故かカガリはわしの言葉の真意を本能で嗅ぎ取れるらしい。自分以上に不思議な存在だ。

 

「凄いだろ!!」

「その為に」

「慌てるな、唯の雷雲じゃないぞ!! あたしが鋼板でストレッチしていたらいきなり発生したんだ!!」

「天気予報」

「でも、それもテレビだろ? 実際見るのとは違うさ」

 

 このようにわしが言いたい事が何となく分かるのだ。おーぶでの屋敷で過ごした三日で磨き上げたものらしいのだが、これが出来るのはカガリだけだとわしは思う。

 

「それとな」

 

 急に真面目な表情に切り替え、顎に手を当てて考えるような素振りで雷雲を凝視するカガリにわしは首を傾げた。

 

「あの雷雲、動きが妙なんだよな。風向きと雷雲の動きが妙にずれている気がするんだ」

 

 わしが見たところで雲の動きなど分かるはずもなく、視線を凝視するカガリに向けた。そして気づく、カガリの瞳の変化に。僅かだが瞳孔が開いて目に光が無いのだ。旗から見れば集中力が切れているような状態に見えるが決してそうではなく表情は至って真面目そのものであるから酷くちぐはぐに感じた。

 

「あれは唯の雷雲じゃない気がするんだ」

 

 声を低くして呟いた。わしはもう一度、雷雲を見た。やはり、カガリの言った違いが分からない。それでも、相棒からの言葉を信じる意味も込めてこの事を報告しておくことをカガリに告げた。

 

 

 

 

 思えば、この時に思い出せればよかったのだ。情けない話だが、この世界に来て過ごすうちに頭の螺子が緩みすぎていた。

 

 

 

 わしが深く思い出していればもっと早く対応出来ていたかもしれない事態は既に発生していたのだ。

 




 



 次回 嘘と前フリ



 次回もサービス、サービス………次も短いと思います。
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