始まるです。
後方から4号機と並走してきた零号機が左手を掲げ、盾に収納されたワイヤーを飛ばした。それはエントリープラグを持つ腕に巻きつくと物凄い速さで巻き取られる。それによって手から滑り落ちるエントリープラグを4号機はキャッチして初号機から素早く離れた。
「来てくれたんですね、レイさん」
安堵の表情でシンジが呟いた。しかし、操縦席は今だに赤い光を発している事に気づいたシンジはすぐさま通信に語りかけた。
「レイさん! 逃げてください。こいつはまだ動きます」
『…それは無理…みたい』
何故かと、問いかけようとして目の前の状況に目を見開いた。先ほど腕と足を使えないようにした3号機が立ち上がったのだ。そして引き千切られた場所から人が持つ肌色の腕と足を生やし始めた。
その光景にシンジは眉を潜めて内心で気持ち悪いと呟いた。
初号機がワイヤーを強引に引き千切り、再び3号機に飛び込むも、今度は巨大なATフィールドに阻まれ衝撃と共に倒れこむ。ところが3号機は無防備の初号機には目もくれないで一定のものに視線を合わせたままだ。
3号機の口が大きく開き、
『ころろろろろろす』
憎悪が篭った低い呻き声を発すると4号機目掛け駆け出した。
『やっぱりな!! レイ見たか、こいつはあたしをどうやら殺したいらしい』
『馬鹿……自業自得』
『うっ……分かってるよ! あたしが悪かった。きっちりあたしが止めを刺してやる。それがせめてもの情けだ。というわけで、レイ、パス』
ひょいっと手に持つプラグを零号機に投げ渡し、難なくキャッチする零号機の姿を倒れた初号機から見ていたシンジが『軽いな、おい!!』と突っ込みを入れる。
3号機が空中に飛翔して4号機の眼前に下りるとその長い腕を伸ばすもそれを軽くいなして新しく装備された肩ウェポンから太いニードルを発射させた。それはフィールドに阻まれる事なく3号機の胸部に深く突き刺さる。
「どうして」
動き出そうとしたところ零号機に踏みつけられた初号機の中で見ていたシンジが不思議そうに呟いた。暴走状態の初号機ですら阻む壁をいとも容易く中和する4号機、中にいるパイロットはどんな人なのか、と考えているとレイから通信が入った。
『姉さん』
「へ?」
『入院していた……私の姉さん』
「え!?」
『という設定の相棒』
「どっち!? ていうか、設定って何だぁぁぁぁぁぁ」
そう叫び声を上げながらも、あ、レイさんの関係者なら理不尽なのも仕方ないか。と酷く納得してしまうシンジだった。
刺さったニードルの衝撃で体勢を崩した3号機の懐に飛び込んだ4号機が首元と股下を掴み持ち上げ、勢いよく付近の平地に向けて投げ飛ばした。直後、3号機の胸部に刺さったニードルの一本閃光を上げて爆発、残り四十本分の刺さったニードルが誘爆してそれは大爆発に変わった。その凄まじさに流石のカガリも驚きを見せる。
『おい、開発部はどんな代物を作り上げたんだ!! あたしがあいつを投げなかったらここいら一体更地になっていたぞ!!』
まったくだ、シンジはその威力を垣間見て頷いた。
『けど、何だか癖になるな!!』
あ、この人もボケ属性になるのか、裁ききれるかな、と、シンジは無駄に不安がり。
『快感?』
『これが快感か!! 性感帯の一種だな!!』
違う、この人は天然だ、どうしようと未知の恐怖に変わった。
シンジの恐怖はさておき、3号機はあの爆発からも生き残ったようだ。胸部などは陥没し、肌色の腕と脚は再び失って見るも無残な状態ながら執念のような気迫を身に纏い4号機に迫ってくる。ただ、片足が無くて這っている状態なので酷く遅い。
『凄い執念だ。そんなにお父上をぼっち扱いしたのが嫌だったんだな』
何言ってんだ、この人、あ、天然だから仕方ないのか、怖ッとシンジは通信から流れる声を恐怖しながら聞く。
『謝罪と……』
『ああ、心中では謝っているさ』
『声……』
『うっ…声に出して謝罪しながら攻撃するのか……不器用なあたしには難しいぞ』
『墓』
『あいつの墓石の前で謝る想像をしながら倒せって言うんだな。よし、やってみる!!』
『健闘を祈る』
「いや、どうして分かるんですか!? どんだけエスパー!?」
戦いが佳境に差し迫っているのにも関わらず、突っ込まずには居られなかった。
『うおおおおおお』
4号機が走り出して這いずる3号機の眼前で立ち止まると徐に右足を上げた。
『ごめんなさぁぁぁぁぁい』
背中の剥き出しになったコア部分を思いっきり踏みつけた。
「今後、お目にかかれないほど最低な謝罪だよ!!」
シンジが突っ込んでしまうほど見事な一撃だった。
コアがぐしゃりと潰れて3号機が絶叫を上げる。
『ユルルルルルルルルルル…ス』
そのまま3号機は機能停止、使徒は消滅した。
「おおぉぉぉい、あれで許しちゃうのかよ!!」
最後の最後までシンジは突っ込みを全うしてこの戦いは終わりを告げた。
浅間山にてゲッター線濃度が通常の三百倍を出していたのはある新型ゲッターの実験によるものだった。新型ゲッター、その名も真ゲッターは最初、動力たるゲッター線を吸収しなかったのだ。それによって大爆発が起こり浅間山は危険地区に指定されたわけである。ところが、松山でのエヴァ起動実験失敗時刻に真ゲッターは急に三百倍の濃度だったその地区のゲッター線を吸収、それによって起動し始めたのだ。
その後、意志があると言われるゲッター線の声を聞いた流竜馬は使徒化したエヴァが向かう新潟に向けてゲッターが誇るスピードの十倍以上で飛んで行った。
しかし、着いた頃には決着がついており、ゲッター2パイロット神隼人は竜馬に問いただした。
すると竜馬は喉を鳴らして言葉を発した。
「ゲッターが言っている。遅かったみたい、てへぺろっと」
「おい、冗談はよせ」
隼人が呆れた声で言うも、竜馬は酷く真面目な顔で続ける。
「ゲッター線が謝っている。出番をなくしてごめんちゃいっと」
「もういい、竜馬、お前は疲れているんだ」
「ゲッター線が意味深な事を言っている。無限力もびっくりですなっと」
「ああ、そうだな。帰ってゆっくり風呂でも入れ、そしてぐっすり眠るんだ」
「ゲッター線が労っている。お疲れちゃぁぁん、歯を磨いて寝るんだぞっと」
「そうだな、早く研究所に帰ろう」
こうして原作では三号機を消滅させるほどの活躍を見せるはずだった真ゲッターは研究所にとんぼ返りしたのだった。
次回タイトル 男のタタカイ、元おじいのタタカイ
次回もサービス、サービス………そしてシンジは相方を得る。