EBA 一番と四番の子供達   作:アルポリス

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ゲ「ゲンドウがデレた言動を呟いた……ぷぷっ」

 それを影から見ていたコウゾウは……失笑した。






            始まります。


第四話

 

 シンジが初号機に乗り込んだ頃、出撃停止の零号機に搭乗するレイの姿があった。サポートするのは同志主任率いる開発班と同志参謀だ。

 

『本当によろしいですか?』

 

 同士参謀の問いにレイは頷いた。

 

「構わない……相棒をやられて黙っていたら…自分が許せない」

 

『分かりました。始末書で済むことを祈ります』

 

「…敵を倒すだけ」

 

『なるほど。我々は間違っていないというわけですか。強引ではありますが萌える展開でもありますね』

 

「…萌え」

 

『零戦は第三リフトに搭乗してください。後に第四リフトから武装を射出します。傲慢な物言いをする敵に対して目にもの見せてやりましょう』

 

 通信が切られ、零号機が動き出す。開発班の同志による誘導で第三リフトに乗り込むとそれは動き出す。

 

 

 

 

 それは奇しくも初号機と同じタイミングであった。

 

 

 

 

 本部に新たな事態が起きた時の警報が鳴り響く。オペレーターのマヤは画面に映し出された表示を視界に捉え参謀のミサトに告げた。

 

 初号機及び、零号機リフトアップ。

 

 同時にメインモニターに映し出された初号機と零号機の姿を捉えミサトは思わず首もとに掛かった十字架のアクセサリーを握り締めた。

 

 シンジは雄叫びを上げながら使徒に突貫、ATフィールドを紙のように切り裂き、力任せに殴りこむ。その凄まじさは本部の人間が息を呑むほどだった。

 

 時を同じくして零号機はスナイパーライフルを構えるとアストラナガンに照準を合わせて撃ち出した。

 

 互いにケーブル接続はされていなく内部電源の残り時間が本部で点滅する。

 

「レイ! アストラナガンと戦うのを止めなさい!! 今は使徒撃墜が最優先よ!!」

 

 残り時間を視界に捉えながらミサトが命令する。それに対して返ってきたのはシンジの声だった。

 

『必要ありません!! 僕が必ず倒して見せます!! レイさんは裏切り者をお願いします!!』

 

「そんな!? シンジ君!!」

 

『任せて……どんな理由があろうとも相棒に手を出して唯で帰れると思うなよ、いんぐらむ・ぷりすけん』

 

 何時になく強気なシンジの言動もそうだが、レイの声から発する怒気のようなものにミサトは驚きを見せ、彼女にとってあの綾波カガリは相棒と呼ぶくらい信頼していて、怒りを出すほど大切にしている姉なのだと理解してしまう。故に、これ以上言える事はなかった。もっとも、素直に命令を聞くようなタマでもないというのも理由に挙げられるが。

 

 使徒の光線で初号機の左腕を吹き飛ばされて尚、残りの腕で殴りつけ始めた頃、零号機はナガンが放つリボルバー式遠隔誘導兵器多数を僅かな足裁きで避け、左手に持つパレットライフルで着実に撃ち落していた。右手に持つ拳銃の照準はナガンに合わしてあり、何時でも撃てるよう牽制。

 

自身の動きを封じて機用に撃ち落す零号機の姿にコックピットに座るイングラムの背中には汗がひしめき合っていた。

 

「この私が押されているだと……まさか、先ほどのパイロットも含め、エヴァンゲリオンだけでなく、そのパイロットすらも特殊な……念動力者のような者たちなのか」

 

 先ほどの4号機を相手にしていた時、使徒がいなければ長い時間、4号機と戦闘を続ける事になっていたと、イングラムは推測している。裏切る前共に戦った少年少女とは違う、パイロットに興味を抱いた。その時、イングラムは合流した頃の事を急に思い出した。

 

「そうか…あれのパイロットはリュウセイが師匠と仰ぐものが乗っている機体か。バナナを買わせなかっただけで裏切る前から俺の事を鬼のような目で睨みつけ、事あるごとに舌打ちされ、最後はゴミ屑のように前の機体を破壊した、その元凶」

 

 クツクツと可笑しそうに笑い出したイングラムはある兵器を作動させる。

 

「あの時は死ぬかと思ったぞ。ならばそれ相応の返礼をしなければならない、か」

 

 ナガンの前方に黒光りするエネルギーが収束しだした。この時点で、本部にある重力センサーがマックスを振り切っていた。

 

「ティプラー・シリンダー出力安定、暗黒の彼方グレートアトラクターに飛び去れ、アキシオン・キャノン」

 

 太い黒光りの筋が零号機に向けて放たれた。丁度、すべての誘導兵器を撃ち落した零号機が気づくもそれは既に眼前に迫っていた。本部にいる誰もが目を覆いたくなる状況で唯一ミサトとリツコだけがモニターを凝視する。零号機はATフィールドを発生させながらワームホールに飲み込まれ跡形もなく消失してしまった。

 

 ところが、次の瞬間には上空に浮かぶナガンの後方に装甲を傷だらけにして現れ、ナガンに装着されているウイングを掴み引き千切って水面に着地したのだ。

 

 突然現れ、ウイングを損傷させられたナガンもまた水面に落ちていく。

 

「馬鹿な、巨大重力圏に飛ばされたにも関わらずそこまでの損傷で生き残り、尚且つワームホールに干渉して出口を操作しただと!?」

 

 内心で驚愕しながらも姿勢制御に尽力するイングラムの元に通信が入った。

 

『なめるな………第十二使徒が作り出したあれに比べたら何と狭き空間か……重力如きでこの零戦を落とせると思うなよ、小童が』

 

 先に動き出した零号機がナガンに掴みかかりATフィールドを発生、ナガンをそのフィールドで包み込み身動きを封じる。

 

「くっ…貴様がそれのパイロットか」

 

『いかにも』

 

「何故一思いにやらない!?」

 

『良いだろう、ここは死ぬ気で語る事とする……わしはお前が裏切ったとは思っていない。理由は明かせないが、お前がリュウセイ君たちのために敵として立ちはだかるよう仕向けているのを知っている』

 

 断言するような物言いにイングラムが息を呑む。裏切ってから敵意が大半だった事と、何かしらの理由があるのだろうという勘ぐりを持つ相手が殆どだったのにこの可笑しな言動の少女は確信していると、イングラムは思った。例えそれが心の奥底からの本心であろうと口にするのは否定である。だが、それを目の前の少女に言ったところで自身の言など求めていないのだ。故に否定するのも馬鹿馬鹿しいというもの。

 

「……」

 

『沈黙は肯定と取らせてもらおう』

 

 この少女は本当に手厳しい。そして底意地の悪い老人のようだ。遠い惑星にいるであろう、あの者たちのように。とイングラムは内心で苦笑した。

 

『先ほども言ったが、お前を嫌いではない、が、わしの相棒をやったことについては許せんものがある。だからお前の機体を少々壊させてもらった』

 

「これで少々か……この機体が本気を出せばシラカワ博士が作り上げた、かのグランゾンとですら互角に戦えるというのに」

 

『負け惜しみではなく事実としてこちらも本気ではなかったと告げておく。その中にわしの機体も付け加えておけ』

 

「そうさせてもらおう」

 

『さて、わしらの戦いはこれまでだ。これから起きる事についてはお前との共犯だ』

 

「あれを見過ごすのか?」

 

『内部電源はもう終わる。それにこれから先を戦うために必要なものだ』

 

「ふっ、子供の懸命な思いは無視してか?」

 

『わしは子供に優しいが、それだけでは駄目だという事も理解したよ。仮にわしがあれを倒した先の未来、わしという存在がいなくなったらどうする。その後も世界は続き、戦いも終わらないだろう、それを痛感した』

 

「敢えて谷に落とすか?」

 

『お前のようにな』

 

 リラックスした様子で互いに会話を交わしているが、これを第三者に聞かれることは無い。今本部では両機が折り重なって沈黙しているように見えるだろう。通信や信号も遮断しているので詳細が知らされることは無い。

 

『お前という存在が、わしにこの想いを抱かせた』

 

「理由はなんだ?」

 

『聞きたいか……そうだな、時の放浪者にして因果の鎖に囚われし者と呼ぶべき存在よ』

 

「!?」

 

 少女から告げられた自分を比喩する名称が的を射すぎていて、この時初めて少女に恐怖した。

 

『お前は4号機を見て本来ありえないと言った。うちのように死海ナントカのような情報があったわけではないはずだ。知っているんだよ、お前が死ぬまでの事象を繰り返す存在だという事を……ある女性が告げていたからな』

 

「それは……誰、だ?」

 

『この機体の中にある意志とだけ言っておこう』

 

「そう、か。そうだったな、その機体には意思が…あったな」

 

『わしのとって最高の存在だ。そやつが言っている、終わりは必ず来ると』

 

「!?」

 

 二度目の絶句は歓喜によるものか。混乱するイングラムには分からなかった。

 

『後どのくらいかは残念ながら分からんようだが、始まりがあれば必ず終わりが来るのはどんな事象でも必然だ。何時か、お前の意思を告ぐものが必ず現れる。その存在こそがお前の鎖を断ち切る存在らしい』

 

「…そうか」

 

 考え深げに頷いて思考する。例えこれが戯言であろうと今まで自分の生い立ちに気づいたものは同じ存在だったあの女性だけだ。けれど彼女は何回繰り返そうともリセットされているようで、イングラムの存在を悲しそうに見つめるのだ。そこに来て第三者が気づいてくれた、それがどんなに嬉しい事か。

 

『お前の記憶の中でわしという存在はいたか?』

 

「……いや」

 

『それこそが今回の理由だ。わしという存在が何時までもいられる保障はどこにもない。始まりと終わりは誰にも、もちろんわしにも必然だ』

 

 不思議な少女だとイングラムは先ほど感じた恐怖を払拭してどこか、優しさを抱かせていた。

 

『どうやら、始まったようだ』

 

 ナガンのモニターに咆哮する初号機の姿が映し出された。包帯のような触手を強引に引き千切り、それを寄り代にして腕を再生させると両腕で使徒の肉体を裂いてかぶりつき、また裂いてはかぶりつく、それを何度か繰り返すと目的のものが見つかったのだろうか、犬のように使徒を食い始めた。やがて十字架の爆煙が上がり、初号機の装甲が体積に耐えられず弾け飛んでいく。

 

「S2機関を取り込む様は何度見ても圧巻だな」

 

 何度か繰り返された初号機の覚醒と今回初めて四号機の生存とアストラナガンを倒した目の前の少女、終わりが分かっていても突き進んでいけるのはこう言った差異を確認できるからだ。

 

 イングラムは本部に通信を送りつけ、前にも言った言葉の羅列をなぞる様に告げると強制的に通信を遮断して少女にだけ分かるよう、通信を送る。

 

「お別れだ、少女の身に宿る不確かな存在よ。願わくは、再び合間見えることを」

 

『さらばだ、お前がすべての鎖から解放されることを草葉の陰から祈らせてもらうよ』

 

 等にATフィールドから開放されていたアストラナガンは重力波を発生させて長距離ワープを行い、壊されたウイングごとその場から退却した。

 

 残った零号機の中でレイは僅かにため息をついた。

 

「初号機の覚醒は済んだか、秘密結社が黙ってはいないだろうがまあいい、今はシンジ君を目覚めさせなければならないからな」

 

 零号機のモニターには今にも暴れ出しそうな初号機の姿が映し出されていた。だが、これはシンジの意思ではない。今、シンジはコアの中にある意思に抱かれ、夢を見ているはずだ。

 

「さて、形を無くしてしまったシンジ君をいかにして戻せばよいのやら……ん?」

 

 そう呟いたレイの耳にリリスの声が響いた。

 

「そうか、連れて行ってくれるか。そうだったな、これとあれはお前の肉体の模造品だったな。ミサトさんたちの手を煩わせるのも忍びない。宜しく頼むぞ」

 

 直後、レイの体がLCLに溶け込むように消えていく。

 

 エントリープラグの中にはスーツだけが残され、レイの姿はどこにもなくなっていた。

 

 

 

 

 

 本部ではATフィールドに酷似したエネルギーが零号機より確認され、それと同じくして初号機が沈黙するのをモニターが映し出していた。

 

 

 




 次回 間幕 夢、逃げ出した後






 次回もサービス、サービス……腹筋を痛ませる笑い、プレッシャー(笑)…頑張るけど、頑張るけどね!!
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