EBA 一番と四番の子供達   作:アルポリス

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 驚愕の事実が!!


第3話

 

+サイド元おじい+

 

 

 

 操縦席が僅かに振動し始めたようです。そしてこれが、あの主人公君が驚きを見せた、呼吸安心、会話安心(この件についてはむしろ自分の方が不安ですが)その他諸々の異物混入安心の三拍子揃った不思議水ですね、感動を禁じえません………ん、あれ? 手が震えます、ちょっと、まって、怖いです、いや、待って下さい、思い出しました!! 私、釣りが趣味なんですが、その時、海で溺れたことがあったんです! 年齢を重ねてから克服したと思っていましたがどうやら、私の勘違いでした!!

 

この不思議水を止めて下さい。例え、肉体は死なずとも、老心が死んでしまうぅぅ!!!

 

 

 

 暗転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 +サイドアウト+

 

 

 

 研究等では異常を示すシグナルが鳴り止まない。常備していたスタッフが忙しなく動き回るのをゲンドウは動じず見ている。リツコとマヤは画面に向かい高速でタイピングしていた。ミサトもまた、各スタッフに指示を出しながらガラス張りの先を見据えている。

 

 ガラス張りの先、エヴァ零号機と呼ばれる黄色い巨人が高速具を引きちぎって暴れ出していた。

 

「心理フラグに異常パルスを検知、パイロット意識レベル低下、先輩、綾波レイの意識低下が止まりません」

 

 マヤが焦りを見せながら言えば、リツコも表情を険しくさせて画面を睨みつけていた。

 

「こちらのシグナルが受け付けない。これでは、神経遮断が出来ないし、暴走も止まらない」

「パイロット尚も意識レベル低下」

「指令!」

 

 リツコが指令に意見を求める。

 

「プラグ内の映像を出せ」

 

 動じず、淡々とした声で命令した。リツコは端末を操作してプラグ内の映像をモニターに映しだす。

 

 そこにはもがき苦しむ、レイの姿、マヤは思わず悲鳴を上げそうになり口元を押さえ、ミサトも驚きを見せていた。

 

「起動実験は中止、パイロットの生命を優先」

 

 何を今更だと、ミサトとマヤは内心憤る。しかし、実験が中止になったのは良いことだとその怒りに蓋をした。

 

「オートエジェクションはどうした」

 

 零号機についている自動強制排出装置の作動が確認されず、ゲンドウがリツコに問う。

 

「原因は不明ですが、作動されないところを見ると誤作動を起こしている可能性があります」

「まずは暴走を止める、赤木博士」

「了解しました。特殊ベークライトをハッチぎりぎりまで流し込み、動きを止めます、よろしいですか?」

「構わん、遂行しろ」

 

 

 その時、マヤの悲鳴が室内に響き渡った。ガラス張りの先、零号機が拳を振り上げ、今にもゲンドウたちがいる観察棟に振り下ろされそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 +サイド元おじい+

 

 

 私は長い夢からようやく覚めたようです。家で寝ていたはずの私がどうやって移動したのかは分かりませんが、今は一隻の漁船の上にいました。私が溺れる前、釣りで愛用していた漁船です。自信の手を見つめればしわくちゃの慣れ親しんだもの、次いで頭上を見上げれば綺麗な夕日、空が真っ赤に染まっています。その光が反射して海も真っ赤でした。ただ、若干赤すぎないかと思われますが、そう、まるで血のように……まあ、気にしないようにしましょう。

 

 ふふ、どうやらトラウマはやはり克服していたようですね、海の上にいるのに今はとても穏やかな気持ちでいますよ。どれ、せっかく海にいるのだから釣り糸をたらして大物でも狙いますか。

 

 何故か、釣竿があるでたらして数分、どうやら大物がかかったようです。引きが凄すぎて、竿がしなります。

 

「くっ、まだまだ若いものには負けんぞ!!」

 

 痛めた腰が嘘のように軽く、これなら大物も釣り上げられると意気込んで竿を引けばその大物は顔を出したのです!!

 

「ばぁ、元綾波レイ推参!」

「きゃっちあんどりりーす」

「止めて! リリスだけにリリースは止めて!!」

 

 無表情でそう叫ばれても全然面白くも何とも無いです。面白くも何とも無いです。

 

「二度思うのは止めて、思うだけでも私の心は壊れてしまう。私の心は繊細です、キリッ」

 

 なんと、口に出しても無いのに分かってしまうとは面妖な。

 

「あれ、そこはスルーなんだ。まあ、いいけど。良い? ここはあなたの心の内面だから思ったことも私に筒抜けなのよ」

 

 は、破廉恥な!!

 

「いやいや、ご老人にそう言われても」

 

 差別反対!! 老人だろうと男だろうと心の中を覗かれて気持ちが良いものではありません。

 

「うん、そうだね、ごめんなさい」

「何じゃ、素直なお子さんじゃないかね」

「えへへ、私は素直が心情ですから。ようやくあなたと会えて少し興奮しているみたい」

「なら、もうちょっと表情を変えたらどうじゃ」

「それを言ったらお終いよ、私が私ではなくなっちゃう」

「そういうもんか?」

「うそ、私は私」

 

 この小さなお嬢さんはよほど私に説教をされたいようです。私が拳に息を吹きかけていれば尽かさず謝罪してきました。

 

「ごめんなさい。許しておじいさん。あ、今はレイちゃん」

「違うぞ、今は綾森波尾じゃ」

「うん、ここではそうだけどね。でも、それももうすぐ変わるよ」

 

 小さなレイちゃんがそう言えば私の姿が、あの綾波レイに様変わりしたのです。

 

「うん、ようやく魂と肉体が安定したようだね。これでこの世界でも生きていけるよ。いや、ホントギリギリだったよ。もう少し実験が遅ければおじいさんはこの世界から消えてしまうところだったんだから」

 

 うん、ちょっと待って欲しい。これは夢ではないのか……あれ、心で考えている声もレイちゃんのような女の子の声に変わっている。それに丁寧語を旨としていたのに口調が若い頃のものに戻っているじゃないか。

 

「そう、これは夢じゃない。口調や声が変わったのはちぐはぐだった魂と肉体が一応安定したから起きたものだよ。思考が若返っている証拠だね、あ、でも魂の方で記憶は受け継がれているから基本、あなたの思考は若返っているだけで変わらない、例えば横文字が弱かったり、釣りが好きだったり、そして深く奥さんを愛し、とても大切に思っていたりね。表の肉体は言わば入れ物だからそれも可能なわけ」

 

「なんだ、横文字は弱いままか」

「習えば覚えられると思うけど、苦手意識を持つ状態からだと覚えるのも大変だと思うよ、ほら、日本のことわざにも、好きこそものの上手なれっていうでしょ?」

「小さいのに良く知っているな。それなら苦手意識を無くす努力をすれば良いわけか」

「そうだけど、元おじいちゃんにはそのままでいて貰いたいな」

「何故だ?」

「私の好み」

「却下」

「即座に!!」

 

 冗談だ、わしもわしのままでいたいと思う。仮に新しいものを受け入れていけば、変わらずあるものが失われそうだからな。それにしてもこのやり取り、酷く懐かしい気がするのは気のせいか?

 

「うん、それでこそ私を凄いと褒めてくれた元おじいさんだよ」

 

 ちびレイは無表情ながらどこか憂いを帯びていた。どうやら、わしがこの世界に来た理由を話してくれるようだ。

 

 だが、一つだけ言っておくどのような話であってもお互い後悔はすまい。それだけは心得て話しておくれ。

 

「ありがとう、かつての綾森波尾」

 

 先ほどとは打って変わってどこか神々しい雰囲気を持ってわしを見つめるちびレイに表情筋を精一杯動かして笑みを形作る。

 

「まずはあなたがここに来た経緯を話させてもらう。それには私の存在を教えなければならない」

 

 ちびレイは胸元に手を当てる。

 

「私名前はリリス、黒き月の民と共にこの星に降り立った第一始祖民族の祖にして、あなたの知っている使徒と呼ばれるもの」

「ちょっとまて、わしはアニメを見ていたがお前のような女の子は知らん。お前はわしの昔の頃の姿じゃないのか?」

 

 わしの混乱する頭に一つの予想が降り立つ。そしてそれは正解なのか、ちびレイが頷いた。

 

「そう、綾波レイ本来の肉体には私、第二使徒リリスの魂が入れられる予定だった。いえ、それは正しくないわね、一度は入れられた。それが今の姿なの」

 

 その言葉を聴いてわしはあるシーンを思い出した。

 

「そうだ、話数は忘れてしまったがお前が出てくる話があったはず、そして……」

「殺されちゃったのよ、私は」

 

 目を伏せて辛そうに告げるちびレイをわしは抱きしめた。女の子同士だ、誰にも文句は言わせまい。そのまま、ちびレイは語り出す。

 

「本来ならそこで私の魂はリリスの肉体に還るはずだったの。ところが、この世界の神様の気まぐれか、もしかしたら元おじいさんの世界の神の気まぐれかもしれない、私の魂はリリスの肉体に還されることは無かった」

「じゃあ、何処に行っていたんだ?」

 

 ちびレイは抱きしめていたわしから一歩離れ、再び胸に手を当てた。

 

 この仕草、何処か既視感を覚える。

 

「私の魂がないからそれ以後、レイが作られることは無かった。でも、あることがきっかけで私は再びリリスの体内に戻ることになる。私の心配事が意味を成さなくなったから」

 

 何故だろう、無表情なのにとても泣きそうな表情を浮かべているような気がする。

 

「私はあの時、この世界の地球とは別の地球……あなたが生きてきた地球に魂が導かれていた。そしてある妊娠した女性の体内にいた赤ん坊に取り込まれることになる。その赤ん坊は死産するはずだった為、魂が無く、器だけだったから」

 

 その言葉でわしは目を見開いた。擦れた声が出た。

 

「まさか……」

「後にその赤ん坊は成長して綺麗な女性となり、その当時混迷する戦時下、ある若い一平卒と出会うことになる。その一平卒は兵士でありながら戦争を否定して、平和主義で…釣りが、だっ…大好きで、わたっ…私…より年下のくせ…にっ私…より先に死ぬんだって…何時も言っていて…結局、私が先に死んじゃって…とても悲しませて……あなたは……あの日…私が…出るアニメ…を見ながら…ヒック」

 

 何時の間にか姿が変わったのか、二十歳ぐらいの女性を今度こそ命一杯抱きしめて、その感触を確かめた。わしの目からも沢山の涙が出ているだろう。ああ、神様仏様、私はあなたを恨むと言った。しかし、今は違う、感謝してもしたりないくらいだ。来世にて記憶を残したまま、彼女と再会できたのだから。例え、今生にて同性であっても、絆の形が変わろうとも、愛していることに変わりは無いのだから。

 

 お互い抱き合ったまま、涙が枯れるまで泣き続け、やがて落ち着いたところで会話が再開された。

 

「良子、お前はわしが死ぬまで見守ってくれていたんだな」

「あなたは一つのことにはまると何時も不精になるから」

「わしはあの日死んだわけだ」

「そうよ、ほんといい笑顔で死んだわ。ちょうど、劇場版を見終わったころにね」

「わしには訳の分からない終わり方だったが、お前の話を聞いて少し理解できた。あの巨大なわしはお前なんだな」

「この世界では未来になるわ。私としても驚いているの。死んだ後、あなたの周りを魂だけでうろつきながら一緒に見ていたんだけど、まさかあんな未来が待っていると思わなかった」

 

 そうだな、この世界では未来の出来事、確か、この世界にもある、なんだったか、死ナントカにも書かれているはずだ。

 

「死海文書だから。ホント、細かい部分は見ていないのね」

「そう、それだ。わしらはそれよりも細かい描写を知っているわけだ」

「嘘おっしゃい、覚えていないくせに」

「そんな事ないし!!」

「あら、覚えているかどうか今後が楽しみね」

「任せておけ。ん? そう言えば肝心なところを聞いてなかったな。わしはどうしてこの世界に来ることが出来たんだ?」

「ああ、それは簡単よ。肉体から離れたあなたの魂を私が後生大事に抱えていたら、あなたの魂ごとこちらの世界に引っ張られちゃってね。あなたの魂は私の管轄外、つまり私が生み出したリリン、俗に言う人間じゃないから、時間がたつと消滅するところだったわけ、だから急遽、私が入るはずだったレイという肉体に押し込めて、私自身はこの零号機の中に入ったのよ」

「まて、再開できたから結果良かったが、どうして本当の体に入らなかったんだ?」

「このおバカさん、私がリリスの中に還っていたら、勝手に動くあなたの存在が危険に晒されるでしょうが。あの男たちは言っては悪いけど、究極の自己満足男よ」

 

 アニメを見ているから否定はしない。しかし、あの男の気持ちも分からなくはないのだ。そう思っていたら、妻に睨まれた。いや、実際はやらないからな!

 

 風当たりが悪くなりそうなのでここは話を戻すことにする。

 

「お前のことだ、居留守ぐらい出来ただろう。違うか、この場合死んだ振りか?」

「そりゃ、出来るけどさ……」

 

 妻は暗い表情を浮かべて何故か言い淀む。

 

「そう言えば、何時の話だったか、お前、赤い槍の様なものに刺されていたはず」

「そうよ!! なによあれ、私の体を好き勝手してくれちゃって。あの中にいたら私痛いじゃないのよ!! 別次元とはいえ、人間をやってたんだから諸々の感情が育まれて、とにかく尋常じゃないくらいの恐怖よ」

 

 妻の本音が炸裂して思わず笑ってしまった。

 

「笑うな!! あ、そうよ、私が零号機の中にいるんだからあなたとのシンクロが出来るようになるの。そう、その為に私はここにいるのよ」

「分かった、分かった。そういうことにしておこう」

「本当よ、本当なんだからね!! 私とあなたなら、あの私を模して作られた劣化品なんかよりも断然使えるようになるんだから。何なら今から動いてぶち壊してやりましょうか?」

「いや待て、それは駄目だ、確か、あの中には何かが入っていたような」

 

 考えるようにわしが言えば、妻は大きく舌打ちをした。

 

「そうだったわね、息子を守るために残るなんて健気な母親じゃない。だったら、夫の方をぶち殺しましょ、あれ、なんかそれで懸念事項が一つ解決する気がするわ」

 

 それも駄目だろう、これから来る主人公君の一応お父さんなのだから。

 

「DNAを検査すればあなたと姉弟になるんだから、ほら血の繋がった家族もいるじゃない。足りないなら私も表に出て家族になるわよ。私の場合殆どの人間の母になるけど」

 

 妻の悪い癖が出たな。俗に言う、悪乗りが。止めなければずっと続いてしまう。このせいで息子は母親よりわしの方に泣きついてくることの方が多かった。

 

「いい加減にしないか。二人の子供を育て上げたわしらが子供の親を殺すなんて口にも出してはいかん、出来るかどうかは別にして息子たちに顔を向ける事が出来なくなるだろ」

 

 キツメにそう言えば良子は目を見開いた。そしてうれしそうな、それとどことなく懐かしそうな表情で目元に涙を浮かべた。

 

「変わらないわね。良家の出だった私自身を心の底から愛し、常識に疎かった私の心無い言葉を本気で ってくれて、お世辞にも上手とは言えなかった私の料理をすべて食べ、その後優しく指摘してくれた、あなた。そうよね、子供たち、引いては孫たちに顔向けできなくなる。だから止めるわ。私の家族のために……だから、あなた。お願いよ、この世界でもあなたらしく生きて欲しい。その優しさを子供たちに与えて欲しい」

 

 妻が言う、子供たちとはこれから来る、第二、第三の操縦者のことだろう。もしかしたら最後に現れる、子供も含めてのことなのかもしれない。

 

 しかし、そう問えば妻は首を横に振る。

 

「言ったでしょ、私たちに関しては懸念事項の一つでしかない、と。この世界はあなたが見ていたアニメとは違う。その中であなたらしく、あってくれれば私の願いは叶うわ。もちろん、私自身もあなたと共に戦うつもりよ」

 

 よく分からんが、わしらしくあれば良いなら、それに越したことはない。わしはわしにしかなれないからな。

 

「どうやら時間が来たみたい」

 

 その言葉共に、自身が何かに引っ張られる感じを受けた。

 

「あなたはこれから綾波レイとして生きていくことになるけれど、私があなたの妻だったことに代わりは無い。私がリリスであり、良子だったように、あなたが波尾であり、レイなのと同じように。つまり形は変わるけれど、あなたを愛していることに変わりは無いということよ」

「ああ、わしもだ」

「この先、頻繁にこの場所へ来ることはない。それでも零号機に乗れば常に私はあなたの傍にいる、それを忘れないで」

「お前がいるだけで、わしは心強い」

 

 目の前が暗くなっていく。どうやら時間切れのようだ。意識の途切れる間際、妻が口を開く。

 

「私はあなたを傷つける何者も許すつもりは無い。私の想いが力となり、それはあなたを守ることが出来る最強の盾になるはず。この盾で、あなた自身とあなたが守りたいと思ったものを守ってちょうだい」

 

 

 

 

 暗転

 

 




 ありましたかね?

 次で新世界は終わりです。むしろ蛇足分?
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