EBA 一番と四番の子供達   作:アルポリス

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 始まります。


第六話

 

 本部に警報が鳴り響く。丁度、当直を担当していた、リツコ以外の何時ものメンバーは慌しく確認作業を行っていた。監視モニターを見張っていた日向マコトが異変を捉えミサトに声を掛ける。

 

「4号機が起動、ジオフロント最深部目指してルート移動を開始しています!!」

「4号機パイロットは!?」

 

 声を張り上げてミサトがパイロット所在の確認作業を行っていたマヤに問いかけた。

 

「4号機パイロット以下、すべてのパイロットがプラグスーツに着替えて零号機格納庫に集まっています」

「なんですって!?」

 

 所在が確認できた事から4号機は無人か、あの新たに来たシクスチルドレンが操縦している予測は立った。しかし、何故残りのメンバーが零号機のある格納庫にいるというのか。

 

 考え耽っていたミサトに新たな報告が入る。同時にけたたましく新たな警報が鳴り響いた。

 

「パターン青、4号機の傍に使徒の反応を確認」

 

 青葉シゲルが告げれば、監視モニターで4号機の行方を追っていたマコトが更に付け加える。

 

「映像から4号機の肩にシクスチルドレンを確認、MAGIの反応からしてあの少年が使徒のようです」

「ちっ、当たって欲しくない予想が当たったわね」

 

 苦悶の表情を浮かべるミサトに対してマコトが声を細めて告げる。

 

「このままではまずいですよ」

 

 ミサトは頷きながら同じように小声で喋り出す。

 

「ええ、サードインパクト起これば地球は終わりよ、宇宙から飛来してくるSTMCに対抗する組織の大半が壊滅することになるわ」

「これ、MAGIについている、この施設の自爆装置です」

「悪いわね、こんな事につき合わせてしまって」

「構いませんよ、サードインパクトよりはマシです……それにあなたと死ねるなら、――」

「零号機始動!! 拘束具を引き千切って移動を開始! ルートから4号機を追っているようです」

「なんですって!?」

 

 マコトの言葉を遮ってミサトは告げたシゲルが監視しているモニターに移動した。後に残ったマコトは何とも言えない哀愁が漂った表情を浮かべてオズオズと監視を再開する。

 

「乗っているのは?」

「どうやら、ファーストとフィフスです」

「あの子たち、何を考えているのよ。初号機か弐号機じゃないと電源が持たないのよ!! すぐに連れ戻して」

 

 命令を下され、マヤが通信を試みよう端末に触れたところで威厳だけはありそうな声が掛けられた。

 

「構わん、そのまま零号機に追尾させろ。残りは各エヴァに待機」

 

 ゲンドウがコウゾウを引き連れて現れた。それに対して、ミサトは反論する。

 

「ですが、司令!! 内部電源はどうにもならないはず。最深部まではギリギリ、中での戦闘は到底行えません」

「必要ない、君は私の命令を遂行すれば言いだけだ。復唱はどうした、葛城ミサト三佐」

 

 高いところから告げられて、ミサトは内心苦虫をかみ殺して命令を復唱する。

 

「……了解しました。零号機を追尾任務に付かせ、その他をエヴァ待機させます。よろしいでしょうか、クソ髭サングラス」

「何か言ったか、葛城行き遅れ三佐」

「!? 何も言ってませんよ、まるで駄目な父親司令」

「そうか、それなら良い。葛城ゴミ屋敷三佐」

「何で知っているのよ!! ストーカーか、この泣き虫司令!!」

「私は泣き虫じゃない!! ただ、目から水が流れやすいだけだ!!」

「いい加減にしないか、二人とも。子供か!!」

 

 コウゾウが一喝して二人を黙らせるとやけに迫力のある眼力で二人を睨みつけた。二人のどうしようもない口論がピタッと止まった。

 

「貴様ら、これ以上グダグダ抜かすならクビだからな」

「いや、私は司令であってクビには出来な―」

「あん!?」

「すいません、冬月先生」

「申し訳ありません副司令」

 

 膝をガクブルと震わせながら、二人は素直に謝った。直後、また警報が鳴り響く。

 

「最深部より、強力なATフィールドを確認、司令部の機器に作用して一部の操作が行えません。これでは、隔壁も作動できないどころか、誰も辿り着けない」

 

 マヤが悲鳴のように報告してきた。コウゾウは自嘲的に笑みを浮かべて口を開く。

 

「ガブまで障害物なしの一直線か、やってくれるな、あの使徒は」

 

 サングラスを反射させたゲンドウが僅かに口の端を上げて頷く。

 

「ああ、しかし、こちらにはまだ味方といえるリリスがいる、問題ない」

 

 そう告げた直後、再び強力なATフィールドが発生、モニターには中和相殺され零号機が最深部に潜り込むところを映し出して途切れた。相殺した力が消えて再び機器の扱いが出来なくなったのだ。

 

 そしてまた鳴り響く警報、今度は何事かとコウゾウはため息を吐いて報告を聞けば、僅かに眉を顰めて事の成り行きを見守ることにした。ゲンドウも右に同じらしく命令を出すことは無かった。

 

 

 

 しかし、ミサトにとっては問題らしく、必死に通信が再開できるよう指示を与えていた。

 

 

 

 ロンドベル所属戦艦ゴラオンより飛来してきた三つの機体、その三体が進むのを遮るかのように相対するエヴァ初号機と弐号機という映像を最後にそのモニターも途切れたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

+サイドシンジ+

 

 

 

 深い穴の入り口に僕とアスカはエヴァで待機していた。これは、レイさんとカガリさんからお願いを叶える為だ。

 

 あの渚カヲル君が使徒だと聞いたときは少し寂しい気持ちになったけど、それよりも人間のような使徒が現れたことに対する驚きの方が勝っていた。そしてこれは予想だがレイさんは初めから彼が使徒だと知っていたような気がする。なんせ、彼女は使徒が現れる前から僕らをスーツに着替えさせて本部に待機させていたからだ。だから、誰よりも早く行動を開始できた。

 

 初号機越しに穴の方を見た。肉眼でも確認できるほど分厚いATフィールドが放たれている。これを突破するのは僕とアスカでも容易ではないのと思う。実際、アスカも難しい顔をしていた。レイさんは言っていた、これはカヲル君の想いそのものだと。

 

 

 

 

 そのときの情景を僕は振り返ってみる。

 

 

 

 

 

 零号機の格納庫で僕らは作戦会議を行っていた。

 

「ねえ、レイ。それはどういう意味かしら、使徒が現れたのにあたしとシンジに留守番をさせるつもり?」

 

 そう、レイさんは僕らにこれから来る別の相手をしてほしいとお願いしてきたのだ。これには僕も内心では不満を抱いた。使徒はどんな事をしても倒さなければならないと僕らは教えられてきたのだから。それでも口に出さなかったのはそれをアスカが言ってくれたからである。

 

 レイさんはゆっくりとした仕草で頷いた。

 

「お願い……必ず……終わらせる」

「そんな事は当然のことよ、あたしが言っているのは理由を教えなさいってこと」

 

 アスカがそう聞けば、レイさんは邪魔をされたくないからと告げた。

 

「それはあたしたちの事? それともこれから来る相手?」

 

 アスカが纏う雰囲気が変わる。酷く刺々しい殺気にも似たものをレイさんに向け放ち始めた。けれど、レイさんはそんな雰囲気など気にもしないで両方と言い放った。

 

 次の瞬間、アスカが拳をレイさんに向けて放つも僅かな動作でそれを回避して逆にアスカの首筋に指を添えた。あれがもし、ナイフならアスカは致命傷を負っていただろう。二人はお互いの視線だけで何やら会話していたらしく、アスカが拳を収めた。

 

 それを見納めてレイさんも指を戻す。僕には彼女たちが視線で何を語ったのか細かくは理解できなかったが、何処と無くアスカが嬉しそうだったのでレイさんのことを認めたのだろう。危険な雰囲気を収めてアスカは視線を何処か遠い目をしたカガリさんに向けた。

 

「じゃあ、姉御を一緒に乗せる理由は教えてくれるんでしょうね?」

 

 そう、アスカはあの戦い以降、カガリさんを姉のように慕い始めたのだ。そして、親しみと尊敬、そして畏怖を込めて姉御と呼ぶようになった。姉御と呼ばれる意味にカガリさんは理解しているのか、していないのか、そんなアスカを可愛がっている。どうやら、お笑いは好きでも仁侠映画には興味はなかったらしい。

 

「……姉さんは、あの少年に言いたいことがあるらしい」

 

 チラッと、カガリさんに視線を移してレイさんはそう答えた。相変わらず、カガリさんは遠い目をしたまま何処に視線を合わせているのか分からない。どことなく元気が無いように僕は見えた。アスカももしかしたら同じような事を察したのだろう、それ以上の追求をすることは無かった。

 

 カガリさんを連れて零号機に乗り込むレイさんは最後に僕らに言った。

 

「今回の使徒は別にして残りは一つ。最後の使徒は皆が力を合わせて戦って欲しい。そして勝ち残れば、未来は必ず手に入る……あと、謝罪は後で必ず行う、彼らを絶対中に入れないで」

 

 

 

 

 

 過去を振り返り、最後に告げてきたレイさんの意味深な言葉について考えているとアスカから通信が入ってきた。

 

『シンジ、あんたこのATフィールド見て何か感じない?』

 

「アスカも感じたんだ。うん、僕も感じたよ。これは深い絶望と後悔」

 

『あと鬼気迫るほどの拒絶、まるであたしたちに自身の行動を止められたくないという現われに思えるわ』

 

 あのカヲル君はどんな想いで拒絶しようとしているのか、それをきっとレイさんは知っていてカガリさんを連れて行ったのだろう。何故なら、カヲル君と一番長く過ごしたのは誰でもないカガリさんなんだ。

 

『シンジ!! 前方から機影を捉えたわ、三体よ』

 

 アスカの声で僕も前方を見据えた。凄いスピードで僕らの視界に現れたのは驚きと、少しの納得を抱かせる相手だった。

 

 マジンカイザー、真ゲッター、そしてヒュッケバインMk-Ⅲ、ロンドベルの中でも指折りの高出力機体にして乗り手もまたエース級のパイロットたちだ。そして僕らの大切な仲間でもある。

 

 三体の出現にアスカは呆気に取られていた。当然だ、僕もその気持ちは痛いほど分かる。けれど、レイさんの言葉から僕は少し予想はしていたのだ。仲間を止めるのは苦労しそうですよ、レイさん。謝罪だけじゃ足りないかもしれない。

 

 早速、通信が入ってきた。これはMk-Ⅲのタスクさんからだ。

 

『おい、シンジ。何こんなところでボサッとしてやがる。敵が来てるんだろうが、お前らも早く行こうぜ』

 

 何時も気さくなタスクさん、きっと僕の言葉を聞いて怒るのだろう。もしかしたら嫌われるかもしれない。ロンドベルの皆は掛け替えない仲間だ、当然嫌われたら悲しい。けど、すみません、僕はそれでも最初に手を差し伸べてくれたレイさんの方が心中では高いようです。そしてそれはアスカも同じだと思うから。アスカの場合は自身を認めてくれたカガリのために動くのだろう。きっと、今頃、甲児さんに啖呵を切っているはずだ。

 

 僕も負けられないと内心で気合を入れる。気持ちで負けたらエヴァはすぐに反映してしまう。そんな状態で彼らと対峙するなど命知らずの行為だ。

 

「すみません、タスクさん。僕らがここにいるのはあなた方の邪魔をしなければならないからです」

 

『はあ? どういう事だよ、シンジ、敵は使徒なんだろう?』

 

「ええ、あなたが喧嘩を売った彼が使徒ですよ」

 

『なら、尚の事倒さなければヤバイじゃねえか、何を悠長な事してやがんだ!』

 

「安心して下さい、中には既に零号機が向かっています。彼女がいれば解決はしますから、邪魔をしないようお願いします」

 

『彼女って、零号機のパイロットの子だろ。それも一人って、何でお前がそんな事を許したんだ。お前は男だろうが、女の子一人で戦わせて恥ずかしくないのかよ』

 

 痛いところを吐いてくる。僕だってそう思う気持ちがないわけじゃない。それでも僕は選んだんだ。

 

「旗から見たらそう思うでしょうね。タスクさんは彼女を知らないからそう言えるんですよ。これは彼女の願いです、それを叶えてやらないのは男としてどうなんでしょう?」

 

 レイさんをそう言った意味で見たことはないが、タスクさんの言葉を引用して比喩すれば、タスクさんは呻き声を僅かに上げて口を継ぐんだ。言い負かされて困っているのだろう。

 

 おっと、アスカの乗る弐号機がプログレッシブナイフを取り出した。マジンカイザーも両腕を構えて臨戦状態だ。あの二人は血の気が多いので大方予想は出来ていた。ここは、僕も本気だという事を見せるために抜いた方がよいのかもしれない。

 

 初号機の肩ラックからカウンターソードを抜いて構えた。当然、タスクさんが乗るMk-Ⅲも攻撃態勢に入る。

 

『シンジ、最後通達だ、そこを退け、これは俺だけの意思じゃねえ、あいつからは使徒というだけじゃない何か得体の知れないものを感じるんだ。それを、ゲッターやマジンカイザーも感じてやって来た。この意味、お前に理解できないわけはないはずだ。下手すれば世界の危機、その命運を少女一人に任せられるほど俺は楽観視し出来ねえよ。例えその子の願いでもな』

 

「そうですか、分かりました。これより僕らはロンドベルを脱退、あなた方に対して反抗行動に出させて頂きます。これが僕の、アスカの覚悟です。下手な同情は止めて下さい、こちらも全力であなた方を止めます」

 

『シンジ!! この馬鹿野朗が!!』

 

 

 

 

 タスクさんの怒声で僕らと彼らの戦いは始まった。

 

 




 次回、せめて、ラブコメらしく4






 次回もサービス、サービス……戦闘描写に過度の期待は勘弁してください(笑
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