カガリ「……怖いのは嫌だ」
中二カヲ「安心して、あくまで想像の範囲で抑えてるからね! ちゃんと段階は踏むから!」
カガリ「……分かった、何時かは……応えて見せるから待っていてくれ」
中二カヲ「カガリ!!!(喜)」
Qカヲ「………ふふ」
中二カヲ「!? 何笑ってるんだ!!」
Qカヲ「すまない、君を馬鹿にした笑いではないんだ……そうだな、微笑ましい…そう思えたら笑っていたよ、そして少し羨ましいかな、僕はもう彼と共に在れないから」
Qカヲの首筋から赤い液体が流れ出していた。
中二カヲ「お前…」
Qカヲ「最後にリリンと共に生きられる可能性を見れて良かった。この邂逅は僕らでも計り知れない神が与えた贈り物なのかもしれないね」
中二カヲ「僕にとっては違うけどな!!」
Qカヲ「ふふ、最初君に言った言葉は撤回しよう。君はとても幸せものだ。その幸せが続くよう祈っているよ」
中二カヲ「別にお前が祈らなくても僕は幸せが続くよう努力するさ!!」
Qカヲ「それで良い、与えられた幸せな日々も、持続するよう努力しなければ何時の間にか怠慢な日々に変わり果ててしまうだろう。努々忘れない事だ……うん? どうやらお別れだね」
Qカヲの体が砂のようになって消えていった。
中二カヲ「最後まで偉そうに……お前の方がよっぽど中二病だ」
カガリ「消えちゃったな……何だったんだろう?」
中二カヲ「さあね、僕らには関係ない世界の僕だったんだよ、きっと。さあ、そろそろ現実世界に還ろう。アスカさんやシンジ君が待っているよ。行こう、僕のカガリ」
カガリ「うん、カヲルが言うならそうなんだろう。行こうか、カヲル」
こうして彼らは互いに惚気合いながら現実世界に還って行った。
終わり。
始まります
潮風が香る島国オーブ、その本島に創設された公園。そこには沢山の子供たちが思い思いに遊んでいた。その中で遊具の一つであるブランコに幼い姿のカガリが座っていた。
時刻は夕刻、小さな子はそろそろ家に帰らなければならない。一人、また一人と母親の迎えで帰っていく様をカガリは見つめていた。母親が死んでから自分はもうずっとその光景を見ていた気がする。父親は仕事が忙しくカガリに構う事は殆ど無かった。母親が死んでからは特に忙しくしている。それを今なら寂しさから来る忘却行為だと理解できるが、幼いあの当時は理解できなかった。そして母親が死んだ事も認めたくなくて屋敷から抜け出してはかつて母親と一度だけ遊んだ公園に行っては迎えに来るのを待っている。
けれど、迎えに来るのは何時も年老いた乳母だった。
「だから、あの時はとても嬉しかった」
ポツリとカガリは呟いて4号機に始めて乗った時の事を思い出していた。あの時は本当に心の底から嬉しかったのだ。
そして今回は絶対に迎えに来ないことも理解していた。母親は娘と今生の別れを告げ、既に還って行ったのだから。
故に。
「その姿を見せてもあたしは惑わされない。あたしとお母様の絆を汚すな、反吐が出る」
目の前に佇む母親に向かって吐き捨てた。母親は軟い笑みを浮かべている。
「お前の目的が何なのかは理解できないが一つだけ言える事があるとすれば、決してお前の望みをあたしが叶えることは無い」
強い拒絶を持って示せば、母親の姿を模した何かはクシャリと表情を歪めその姿を本来の者に変えた。髭を蓄えた老人、その姿はかつて見た姿と変わりない。黒衣のローブに身を包み、鋭い眼光を携え何処と無く神々しいオーラを溢れさせる姿は一見して神なのではという錯覚を生み出すが、カガリの脳裏に告げる勘は表面上に溢れた神々しさに隠される恐怖と死を連想させてしまうオーラを嗅ぎ取っていた。
「あの黒幕を操っていたのがお前だな」
鋭く見据えて断定すれば、老人は口の端を僅かに上げて笑みを形作る。
「矮小なる人の子よ、いかにも。我の名はケイサル・エフェス。貴様たち地球人がエアロゲイターと呼ぶ異性人の頂点に君臨するもの」
「異性人にしては纏う空気が禍々しすぎるな。あたしの勘が告げている。それが全てではないはずだ」
ケイサルは僅かに目の端を動かして驚いて見せた。
「愉快、貴様は人の子に過ぎた直感を持っているようだ。しかして、我らサイコドライバーとも、新人類と呼ぶ力とも違う。言うなれば我らとは違う可能性の種を持って生まれし黒き月…そんな貴様から人工的に生み出された存在はきっと大いなる可能性を持つだろう。まこと、楽しみだ」
理解できないカガリを置いてケイサルは一人自己完結する。
「実に良い……貴様を取り込むことで、我は更なる力を手に入れる。これで我の計画は更なる飛躍を見せるだろう。アポカリュプシスの先に待つ宴、それらすべてを食らうわ、我のみ。二つの月の祖に邪魔などさせぬ」
老人から浮かび上がる神々しいオーラが瞬時に死のオーラに塗り代わる。溢れ出る黒いオーラは今にもカガリを飲み込もうとしてトグロを巻いていた。
「いかに貴様が力を持つものだろうと負の無限力をこの手にした我に勝てるはずも無い。貴様を取り込み、儀式の完了としよう。それによって溢れ出る魂をこの身に取り込み、この星に住む黒き月の末裔、その末裔が持つ可能性を搾取する。これで我の存在に気づいた重力の魔神は鈴の箱舟に乗った申し子たちを消し去ることは出来まい」
禍々しいオーラがカガリを取り囲う。いかにカガリが勘に優れようと所詮は人間、不可思議な力に対処する術は持ち合わせていなかった。自身が取り込まれる様を想像しながら何も出来ない悔しさに歯噛みする。
しかし、彼女を愛するものはそれを許さない。この精神世界の外、現実世界に置いて量産型が全て破壊されたことで、反転していたマイナス数値の動きを抑えていたコアの主に余裕が出来たのだ。それにより彼女を誰よりも愛する人ならざるものが動き出す。
飛散する黒いオーラ、カガリを守るようにして具現化する拒絶の壁、それを発現させた少年がカガリの前に降り立った。
「僕がいる限り、カガリを取り込ませないよ」
少年の登場でケイサルの眼が見開いた。
「久しぶりだね、ゲベル。なるほど、これが時の概念を持つということか。かつての僕ならばそのような感傷を抱かなかった」
「その膨大な魂の波形……アダム…か」
「君がゲベルではなくケイサルと呼ばれているように僕もまた今はカヲルと呼ばれているよ。残念ながら力はアダムほど無いけどね。それでも、本体の一部である君を消し去る程度の力は持ち合わせているつもりさ。なにせ、君の本体たる魂は今もこの星に近づけない。過去、二つの月の民は君にそのようなトラウマを植え付けるほど凄まじかったからね」
苦笑気味に告げられ、ケイサルは苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべる。遥か過去の事象を思い出しているようだ。
「君、あの頃からボッチだったもんね。太古の戦いでは君に味方するものなんて君の作り出した眷属だけだったし。挙句、唯一対の存在だったナシムと共に生命を紡ぎ出すためこの星から逃げ…じゃなくて、旅立つも途中で見捨てられた君は偶然見つけたその星で生命を紡ぎ出して、それらから崇拝されるもボッチ生活が長すぎたせいか、逆にそれが怖くて今も本体は不貞寝…じゃなくて封印されているんだもの」
「ぐぬぬぬ、何故それを知っている……まさか、ナシムの奴が…」
ナシムは昔から我の嫌がることをしてくれる、と呪詛のように呟くケイサルをカヲルは憐れみの込めた瞳で見据えた。
「僕は君の気持ち、よく分かるよ。ほら、僕もリリスに拒絶されてボッチになったし、まあ、僕はその後すぐに白き月を作り出したら慕ってくれたけど……今は愛するカガリがいて…俗に言うリア充だけど!」
後半の言葉を紡ぐ様は明らかに見下していた。そのような視線を向けられればケイサルも黙っていない。
「おのれぇ、言葉の端々に嫌味を感じるぞ、アダムよ! 貴様など我らが祖に泣かされて引き篭っていた分際だろうが!」
溢れ出す黒いオーラがその怒りを象徴していた。カヲルに向けられたそれを尽かさずATフィールドできっちり防ぐのだから怒りのボルテージも更に上がるというもの。
「ここに来て、貴様の存在が我の儀式を阻むか……許さん、許さんぞ、アダム、そしてそれに守られた人間よ。何時か、遠くない先に置いて我の本体が裁きを持って貴様らを下そう。それまで精々今生を生きるが良い」
既にケイサルの中では儀式の失敗を見据えていた。
自身が負の無限力を操ろうとも所詮、自身は思念の一つに過ぎない。アダムの魂である目の前の少年は別のものに落され力を弱めても今のケイサルを消し去れる力を十分有していると遥か過去から知る自分は理解できてしまう。
それだけアダムとリリスは自身にとって脅威なのだ。下手をすれば本体の自身にすら。
カヲルは普段見せる事のない残虐性を秘めた笑みを浮かべ、思考するケイサルを見据えた。その笑みは白き月の祖に相応しい。
「ゲベル、君がこの世界を存続させる力の一つ、負の無限力を手にした事は理解できる。けれど、この世界はそれだけで支配できるほど甘くはない。賢い君はそれを理解しているからこそ、リリンが持つ可能性の種を刈り取りたいと思っているのだろう。でもね、かつての僕のようにそれを達観していれば愛する子を失ってしまう。今の僕はそれを許せそうにない。だから覚えておくんだね、この先君はこの世界に置いて始まりの生命体と呼ばれた僕を敵に回すんだ。君の計画通りにはならないよ」
「やはり、貴様はこの時点で我の計画を感知していたか」
「ふふ、僕だけではないけどね。ある一人のリリンもまた君に気づいているよ。彼はパンドラの底に存在する君ごと箱を閉じようとしていたくらいだからね。それもまた一つの選択だ。けれど、きっと彼の選択もなされない、そんな気がするよ」
彼――重力の魔神を操るリリンはケイサルの存在、そしてその目的を予期してその根源に当たる鈴の名を持つ部隊を消滅させようとしていた。それが何時なのか、如何なカヲルとて正確な時は分からない。しかし、何時かそれを成そうとするだろう。それを感知したケイサルはユーゼスの呪縛に干渉して彼を消滅させようとしたもののそれも失敗したはずだ。彼には神が憑いている。邪神と呼ぶべき、ケイサルやカヲルと同じリリンより上位に位置する存在が。
そんな強者たる彼にも天敵と呼ぶ風の名を有する存在がいる。その風はきっと彼の目的を許さないだろう。もちろん、鈴の名の部隊もまた同じく。
もっとも、敗北したところで彼の真に望む目的が叶うのだから恐れ入る。とてもリリンとは思えないポテンシャルだとカヲルは感嘆する。
彼は誰よりも自身を使われることを嫌悪する、それが例え、神と呼ばれる存在でも許せないはずだ。
「さて、世間話も飽きた。もう良いだろう、ゲベル。消えなよ」
純然たる事実を告げれば、ケイサルは不適に笑う。
「良かろう、今は引く。されど、この世界は貴様の言うとおり柔軟に出来ている。それ即ち誰にでも可能性があるということ。この我にも……貴様こそ覚えておけ、太古の戦いの経験が我を強くした事を後悔――」
カヲルは右腕を横に振りぬいた。攻撃に転じた拒絶の壁が言葉を残すケイサルの思念を一瞬にして飛散させる。
それは呆気ない幕切れであった。
「無駄に長いよ、ゲベル。ホント、ボッチ生活が長いと昔なじみに再会しただけで話が長くなる」
「それ、自分に当てはまるから理解できるのか?」
今まで達観していたカガリがそう問えば、先ほどの弱者を見下したような表情から一転してカヲルは情けない表情を浮かべた。
「酷いよ、カガリ。確かに僕はボッチだったけど、あんな奴よりは短かったからね!!」
「分かった、分かったから捨てられた子犬のような表情を浮かべるな、何だか撫で回したくなるぞ」
「わん!!」
「カヲル……可愛いな!!」
取り敢えず、カヲルの要望どおり頭を撫で回せばイケメンとは思えないだらしない表情を作り心行くまで堪能するのだった。
「それで、元凶のあいつが消えた事で危機は去ったんだな?」
「そうだね、これで反転したマイナスもプラスに転じるよ。現実世界では既にそれが現れている頃だよ。あと少し遅かったらカガリは乗っ取られて儀式が完了するところだったから間一髪だったね」
ホント、ナシムの眷属、一応ありがとうって感じ。カヲルは心の中で呟いた。
トリガーの役割だったカガリが乗っ取られてしまうと後に待つのは地上にいるすべての人間の融解。どんな強度のATフィールドを持ち合わせていようとも無駄なのだ。この儀式はそれほどの強制力なのである。
何故、一応の感謝なのか、簡単に言ってしまえばナシムの眷族、最初は初号機や弐号機、果ては元凶の4号機ごと消し去ろうとしていたのだ。それを止めたのがマイナス数値を抑えていたカヲルである。自身が発生させるフィールドを眷属に向けて放射、自身の考えとちょっとした脅しとも言えなくはないお願いをしたことにより量産型だけを相手にしてくれたのだ。まあ、即座に帰って行ってしまったのは脅しの効果かもしれないが。
曰く、もし彼女らに手を出したらてめぇらの楽園をぶち壊すぞ、と小さく呟いただけ。
カヲルは内心で自身を良いように肯定する。
「あ、既にシンクロはカットさせてもらったからこれ以上の痛みは感じないと思う。けど、今は空だから地上に落ちるかもだけど」
「おい!?」
「多分大丈夫、シンジ君たちが支えてくれるはずだから」
「エバは飛べないだろ!?」
「彼らの機体は普通に飛んでたよ。もちろん、この機体も飛ぼうと思えば飛べるし。何しろ僕がいるからね!!」
無駄なイケメンスマイルで自身の凄さをアピールする様は残念としか言いようがない。しかし、残念なのは彼氏だけではないようで。
「凄いぞ、カヲル。そんな恋人をもてたあたしも鼻が高いな!! けど、あたしはピノキオじゃないけどな!!」
彼女もまた残念な天然だった。あざとい様に見えてこれが本心なのだから恐れ入る。
その後、少し別の世界の存在との邂逅があったりしながらも結局は互いに惚気あっていれば、何時の間にか精神世界から現実世界のエントリープラグの中に戻っていた。当然、エヴァ自体機能を停止させているので肉体を具現化させたカヲルも一緒だ。槍が刺さったままなのでコアにいれば痛みを感じ続けなければならないからこその策である。カヲルはMではない。一部限定に対してなら進んでなりそうだが、平時ではMではない。二度言っておくが大事かと聞かれれば頷けない情報だ。忘れて欲しい。
『姉御にバカヲル!! 何時までも惚気てないでさっさと返事しなさいよ!!』
機能停止しても僅かに残る通信から聞こえてくるアスカの怒声に惚気、本人たちは思っていない、から意識戻した二人は応える。
「カヲルから聞いたぞ、あたしを助けるためにカヲルを手伝ってくれたんだな」
『なっ、と、当然でしょ!! あたしは親友を見捨てたりなんかしないわ。べ、別にバカヲルは助けたわけじゃないけど』
「ふふ、これがツンデレだね」
『うるせえ、てめぇは黙らないとぶち殺す』
「声が本気すぎる!?」
ガクガクとカヲルの全身が恐怖で震えだす。
「アスカは何時でも本気だからな、でもカヲルを殺されるのはあたしが困るぞ」
『チッ』
心の底からの舌打ち。それにカヲルは更に恐怖する。
「彼女なら本気で戦っても負けそうだから怖いよ……正直今にもちびりそうだ」
『はっ!』
「鼻で笑われた! もうホント泣いて良いですか!?」
「それは困る……よし、口で笑えば泣かないで済むな!!」
『三人とも、いい加減にしてください!!』
後も続きそうなグダグダな会話に割って入ったのはシンジだ。
『アスカ、先に話す事があるでしょ!!』
『あ、そうだった』
『カガリさん、カヲル君。よく聞いて、本部からジオフロントの退去命令が出ているんだ。第一発令所及び本部所員は既に撤退を開始している。既に七割の職員が先ほど到着したロンドベルの戦艦に搭乗しているから、僕らも合流するよう通達が来ているんだ。と言うか、既に向かっている状態かな』
命令が告げられたのはアンチATフィールドが完全に解除された直後、何故か今まで行方不明だった赤木リツコから発せられたものだった。当然、シンジやアスカは理由を求めたが、酷く焦っている状態なのか碌な説明は成されなかった。それでも命令を遂行しようと思ったのはリツコからレイの願いだと聞かされたからだ。つまりは退去命令の発端は綾波レイによるものだということになる。
「あの人に何かあったのか、それともリリス、じゃなくて良子さんに何かあったと見るのが妥当かな」
シンジからの詳細を聞いてカヲルは予想を口にした。それにカガリは頷く。
「あの冷静なリツコ博士が焦っていたんだ。よっぽどの事が起きたんだろう」
「カガリが望むなら4号機を起動させるよ、行って助けたいんでしょ?」
本音を言えば、今すぐにでも助けに行きたいと心が告げている。きっと、カヲルはその心情を汲み取って提案してくれたのだろう。だが、機体の損傷は酷い。行ったところで足手まといになるのは目に見えて明らかだ。何より痛みから来る精神疲労は限界だった。カヲルにもこれ以上痛みを抱いて欲しくはない。
「どうする?」
あくまで優しくカヲルは助ける方向に促してくる。全てはカガリのためだ。
それでも。
「このまま、ロンドベルと合流する」
「良いのかい、カガリ?」
「構わないさ……外はあたしが、内はレイが、そう約束したんだ。それに……」
レイは戻るつもりはないのだとカガリは思っている。理由までは分からないが、この戦いを最後としてレイは見据えているとカガリは予想していた。
二週間のシンジ強化の折、レイは殆どを病室で過ごしていた。シンジたちには検査入院だと思わせて怪しまれないようにしていたが、病室に寝泊りしていたカガリは知っている。夜中、無表情の顔を歪ませてベッドから起き上がる姿、カガリが眠っていると思っていたのだろう、それは酷く痛々しかった。
だからきっと、レイは……自分の命を掛けて自分たち人間の未来を守ろうとしているのだ。そんな姿をみたらきっと。
「あたしはレイの想いを踏みにじっても止めたくなる」
「泣かないで、カガリ」
カヲルの手が頬に触れるとその手で優しく拭う。その手に縋りながら後は無言でシンジたちに機体を預け、ロンドベルに合流することになった。
+++++++++++++++++++
職員及び、エヴァ各機を乗せたロンドベル所属の戦艦が第二新東京市の遥か上空まで退避を完了すると、それを待っていたとばかりのタイミングでピラミッド型の本部があったジオフロントの地面を掘り起こすように巨大な漆黒の球体が現れた。
あれこそが、この星に降り立つためリリスに与えられた箱舟にして黒き月の魂の座。ネルフやゼーレがガブの部屋と呼ぶ、それの覚醒した姿だ。
覚醒したガブの部屋が剥き出しになると戦艦に搭載された魔神皇帝や真ゲッター、ヒュッケバインなどは今にも動き出そうと動力を上げる。それを止めようと格パイロットが必死にコックピットで格闘していた。
ニュータイプと呼ばれる人種は球体の中に存在する何かが醸しだす優しい波動を感知、その波動に身を任せそうになるのを抑えるのに必死だった。
霊力などを感知できる異世界の姫たちはその球体を見て顔を青ざめさせる。同じように風の精霊を身に纏う機体の搭乗者は隣に立つ宿敵にして重力の魔神を操る者の戦慄する姿に顔を青ざめさせた。
野生に目覚めた操縦者たちは黒い球体に対して生の放棄の象徴だと無意識に感じ取り、溢れんばかりの怒りを見せる。逆に球体の登場で頭痛に悩まされ、頭を抱えていた高位の念動力者はあの中にいる師匠と呼ぶべき存在の想いを感じ取り、何故か涙した。
そのほか、戦艦に搭乗するあるメンバーを除いたすべての人間が黒い球体を見て懐かしい望郷の念に駆られる事になる。そしてそれに身を委ねてはならないということも。
除かれたメンバー、エヴァのパイロットはこの先に何が起こるのか、結末がどうなるのか、決して目を逸らさず見据えようとしていた。
一つの終わりはすぐそこまで来ている。
次回タイトル 終わる元おじいの世界
次回もサービス、サービス……次の話でこの章は終わりです。