(俺が呪術師を除霊しちゃったのは)わざとじゃないんです! 作:かりん2022
俺が伏黒を学校で遭難させかけたのはわざとじゃないんです!
やっほー!
俺は虎杖悠仁! やべー呪物を拾った事で前世を思い出したスピリチュアルな高校生だよ!!
何これ、引くわなんでこんなやべー呪物が転がってんの……?
俺は速やかに呪物を持って部室へと向かった。授業はブッチである。
「どこまで前世知識が通じるかだよな」
記憶がないなりに作っていたなんちゃって祠や聖水や呪符が通じてくれるかどうか……。
どう考えても本物のやべー呪物なんだよなぁ。
とにかくなんちゃって除霊グッズを材料にして、本物の霊具を作ろう。
俺とて一端の霊能者である。俺はやるぜ俺はやるぜ。
本当は日付とか時間とか天気とか色々選ぶべきだし禊とか色々あるのだが、今はその辺全部無視って神降しの儀式を行う。
ズドンっと入った。
何かが。
俺の中に。
『ええ……気軽に異世界まで呼ばないでほしい……』
全身全霊で集中してやんわりと感じ取れるぐらいの意思が、今この時、はっきりと感じ取れる。
異常事態なのだが、こっちは命が掛かっているのだ。
「神様! お願いシャス! 呪物なんとかして欲しいっす!この辺りの浄化も!(意訳)」
『はあ……』
柔らかな雨が降り、浄化されていく。心が洗われていく感覚に安堵した。
呪物は聖水の瓶詰めにして呪符でぐるぐる巻きにして封印OK。
そっと祠に安置して、と。これでよし。
どう考えても霊力が具現しすぎる異常事態なのは考えないこととする。
翌日、何故か学校は一週間休校になった。
五条悟は10年振りに傘を差して、焦って人探しをしていた。
恵から寒い助けてとヘルプコールが来て、来てみたらこの雨である。
すぐにわかった。この雨やばい。
そして残穢が雨に綺麗に洗い流されて全然追えない。
なんとか恵を回収し、毛布で温める。
呪力が弱まっていて、心配した。僕も少し体調を崩した。
緊急事態として学校を一週間休校にして、不調をおして調査した。
残穢一つない学校という手がかり皆無で気持ち悪い状況。
それでも、調査する。
オカルト研究部……は嫌な感じがするな。後回しに……バカか、僕は!
自分の本能に逆らい、オカルト研究部を調べてみると、部室に祠。
精神的圧力に逆らい祠を開けると、そこに呪布っぽい包帯にグルグル巻きにされた瓶が入っていた。
瓶は水に満たされ、その中に宿儺の指。
でも残穢は見えない。それほどに封印されている。なんだこれ。
とりあえず、宿儺の指を回収して、周囲を見回す。
「うーん、すごいやな感じだね。呪力は感じないのに」
とりあえず、祠に手を合わせてその場を後にする。
オカルト研究部に絞って聞き込みをすれば、すぐに容疑者は浮かび上がった。
その容疑者は、除霊事業を始めることにした様子。
早速僕は、伊地知に調査のために依頼をする事を要請するのだった。
一方その頃。虎杖は休日をフルに活用して、呪符や聖水、お守りを作りまくった。
もはや保護者がいないのだから、学校にも通ってられない。
ので、除霊業でも始めることにしたのだ。
仕事は直ぐに入った。
背の高い盲目の人が依頼主らしい。五条悟と名乗っていた。
「虎杖 悠仁くんだね。この廃墟の除霊をお願いしたいんだけど」
「うっげなんか嫌な感じ凄くないです? 死者出てないです?」
「行方不明者が出てるね!」
「うわぁ……うわぁ……」
「やめる?」
「いえ、追加料金いただきますがやります。急ぎとの事だったんで、二日後の朝に」
「今すぐは?」
「準備があるので」
二日後。
これは入るのも危険だな。
テキパキと簡易の祭壇を作り、祝詞を唱える。
また、ズドンと何かが降りてきた感じがする。
雨が降ってくる。また雨か。スゲーすごすぎる。何なのこの世界。
「うわ、降ってきた。……雨宿りしてていいかな」
「一応、禊の雨で縁起がいいんすけど……廃墟は危ないんで、車の中へどうぞ」
「伊地知、車の中に移動しよう」
ちょっと儀式が中断してしまったが、続き続き。
雨が上がり、車から依頼主が降りてきた。
「……マジ? 周辺ごと綺麗に祓えてる。見えないのに凄いね。これどうすればいいんだろう」
「五条さん? その、呪霊は祓えたようですが……祓えたのに見えないんですか?」
「そのようだね。伊地知は気分悪くならなかった? あの雨。呪力そのものを害す感じがした」
「そ、れは。反転術式の大規模行使ということですか?」
「さて、ね。彼は呪力普通なんだよね。コントロールも出来てないの!」
「話はわかんねーけど、試しは終わった? それ、祠にちゃんと戻してくれる?」
五条さんが懐から出したのは、聖水に封印した呪物。
「あ、分かっちゃった? 封印ちゃんと出来てる。凄いね」
「貴方達。何者なんですか?」
「それはこっちのセリフかな。君、何もの?」
「単なる一介の自称霊能者すけど……」
「霊能者かぁ。本物いたわけね。僕らは呪術師だよ!」
「そっすか。俺は何も聞いてないです。依頼料ください。そして二度と来んな」
この呪物といい、どう考えてもやべー案件である。
そして関係あるだろ。しかも呪術師って言葉に悪意しか感じない。
「まあ待ってよ。君の師匠がいたら話がしたい」
「独学なんだよなぁ」
「ほんと? 凄いね、君。色々教えてよ」
「呪術師と関わり合いになるのは嫌です……」
「どうして?」
「呪術師って人を呪うんだろ?」
「ああ、そこからか。それは違うよ。呪術師の仕事は呪霊を祓うこと」
「悪霊退治ってことすか」
「そうそう。悠仁が仕事を見せてくれたからね。次は僕の仕事を見せてあげようか」
ということで、有無を言わさず他の廃墟に連れて行かれた。
怖いって怖いって! 明らかに怪しげな廃墟に連れて行かれ、チュドーン。
チュドーンですよ、チュドーン。
霊能者の仕事に爆弾が出てくる事ある? あるわけがないよね???
もうドン引きである。少年漫画かよ。
爆発も凄いが、もうこれ、すんごい呪いの力を球にして出してる?
嘘だろ、物質化するほど??? スゲー引くわ。
「俺とは一生関わり合いになる事のない人種だな」
「まあ待ってって。呪霊ってすごくいっぱいでさあ。その被害者がアホほど出てるわけ。だから呪術師の僕達は大忙し! 新人さんはいつでも歓迎だよ♡」
「俺は歓迎してねーし。そもそもジャンル違うだろ。正直怖い」
「霊能者ジャンルを見たことがないんだよねぇ、僕。大抵は霊能者を名乗った呪術師だし。僕も君のさっきの雨には寒気がしたから、お揃いだね」
「そのまま浄化されて消えちゃえばいいのに」
「ん。悠仁の力って、呪術師が触れたら浄化されて消えるの?」
「ねーから。そもそもそんな物質に影響を与える事がねーから」
「試しちゃお」
きゅっと呪物を封じた小瓶を開け、指を突っ込む。
じゅううっと音がした。
「何してんの!?」
「ああ、ほら。火傷した。参ったな、反転術式効かないや」
「ごごご、五条さん!?」
「〜〜っ!! 手当するから家寄って! あんた人間!?」
「そのつもりだけど」
家に送ってもらい、バタバタと道具を準備する。
「鬼に力を与える呪符……まさか呪術師の呪符を俺が作る事になるとは思わんかった」
しかし、これが効力を発揮するのかどうか。
「変だと感じたら、すぐ取ってください」
そう言って、頭にペタッと呪符を貼る。
「あ、これいい」
「マジかよ、帰って」
効いた。鬼用の札が効いた。シンプルに怖い。
「えー。僕を傷物にしておいて?」
「まじで帰って」
「ちゃんと説明するからさ。仕事もうちを通した方が受けやすいと思うよ」
そういうことで話を聞く。まじかよ、この世界の除霊ってそうなの?
霊的防御とかそういうのってどうなってんの?
人力でちまちま全部倒してるわけ?
そんな世紀末で子供達が自警団でなんとかしてるみたいな。無理だろ。無理だわ。
警察とか自衛隊とかいねーと治安どうにもならねーだろ。それを神様って言うんだけど。
なんだかハラハラしてきた。神社巡りして霊的防衛どうなってるのか見よう。
「俺、戦闘無理だよ? 儀式しかできねーけど」
「いいよ!」
そういうことで、呪術師の学校に入ることになってしまったのである。