異世界放浪記   作:isai

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厄災とは

地図を頼りに歩くこと数時間。ようやく森を抜け、視界が広がると俺が以前アンデットに襲われた場所が見えた。

もうじき辿り着く。逸る気持ちを抑え周囲を警戒しつつ村を目指す。

 

イツワ村の門が見えた。

監視塔にいるのはガリルの部下であるバージアだろう。酒が好きで監視任務の前から酔っぱらっている事がたまにあるらしい。

酔っぱらって敵だと勘違いしねぇだろうな…。

そう思いつつ門に近づくと、バージアは俺に気付き手を振ってくる。

「おー、シロ!帰ってきたか!遅いからどこぞで野垂れ死んじまったと思ってたんだ!」

うるせぇよ。

「ごめん!色々あって遅くなっちゃたんだ!」

待ってろ!と言って姿を消す。門を開けに行ったのだろう。少し待つと門が開かれる。

中に入ると村人達が出迎えてくれた。

その中にはフェイナもいた。

皆笑顔で迎えてくれる。

一番喜んでくれたのはやはりケルバだった。ケルバは俺の肩を掴みブンブン振り回す。

嬉しいのは分かるが止めてくれ。

首が取れちまう。

ガリルが背中を叩いてくる、

「一日遅れてっから仕事、山程溜まってんぞ。」

労えよ。先に。そして最後にフェイナが飛びついてきた。

「おかえりなさい!!シロ!!」

こうして俺は村に戻ってきた。

 

散々揉みくちゃにされた後、ガリルを呼び出す。

「んで?どうだったんだ?」

「間に合わなかった…全部、取り返しのつかない事になってた。」

そうか、と言ってガリルは海に目を向ける。

「まぁ、終わった事はしょうがねぇ。全部が全部お前が悪かったわけじゃねぇよ。」

「慰めてくれてんの?」

「あぁ、珍しいんだぞ?俺が気を利かせるなんて。」

確かに。

「まぁ、とりあえず今日は休んどけ。」

「その前に聞きたい事があるんだけど…」

おう、と言って俺の話に耳を向ける。

帰り道で出会った謎の魔物の事、地図上には無い祠の事を聞く。

特に魔物の事を話し始めるとガリルは今までにない真剣な表情になっていた。

「間違いねぇ…そいつは厄災だ。超越者が人類の数を減らすために用意した唯一この世界に干渉できる生命体。」

「なんで数を減らそうとするの?」

「人類は他の生物よりも発展し、地上を支配しているといっても過言じゃねぇ。超越者は命を持つものであれば人類に関わらず平等であるべきだと考えている。」

「その為にはまず人類の数を減らすところから始める。その為に用意されたのが厄災だ。」

「つまり、厄災は人を殺す為に作られた兵器みたいなもんなのね。」

「そうだ。」

「じゃが、そやつを殺すことが出来ねば超越者を殺すなど到底不可能な話じゃ。」

いつの間にか隣にはフミツキが立っていた。

「そんなに強い奴なの?」

「強い弱いの問題じゃねぇよ。」

ガリルの言葉に注釈するようにフミツキは続ける。

「厄災は世界の理から外れておる。現段階では人類が干渉できる隙などありはしない。じゃが」

方法は一つだけある。とフミツキは言葉を噛みしめるように言う。

「お主の呪いをそやつに渡してしまえばよい。」

「もういいだろ。」

無理やりガリルは会話を途切らせる。

「シロは疲れてんだよ。もう休ませてやれ」

俺とフミツキはガリルの顔を見るが反論はさせないと言わんばかりの圧を放っている。

「そうじゃな、長話に付き合わせて申し訳ない。」

そう言ってフミツキはその場を離れようとする。だが去り際に一言付け加えた。

それは忠告とも取れる言葉だった。

厄災、あれは危険過ぎる。もし対峙する事があればすぐに逃げよ。今はな。

それだけ言って姿を消した。

俺もガリルに別れを告げ、自室へと戻る。

ケルバが用意してくれた夕食を食べ、風呂に入る。

たった三日離れていただけでこんなに恋しくなるなんて思わなかった。

腕は風呂に入った後、ケルバが包帯を巻いてくれた。なんと魔法がかかってある高級品だとの事である。

寝る支度を整えベッドに体を放り投げる。

持って来たエリーゼの剣を鞘から引き抜きまじまじと見つめる。

やや刀身は蒼みがかっており触れてみると室温とは比べる程の無いくらい冷たかった。

剣を鞘に戻し眠りにつく。明日からまた日常が戻ってくるのだ。

戻ってきたばかりだから手加減はしてくれるだろうと淡い希望的観測を続けているといつの間にか意識は闇へと落ちて行った。

 

鐘の音が聞こえる。

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