そんなわけで、今回はゼファーさん視点です。
本来の作戦通りなら、自分も戦闘に加わり、少しずつ前線を下げるつもりだった。
「ああ、クソ」
だがしかし。共に戦っていた仲間であるベルンの様子を見て、その作戦は実行するにはリスキーだと判断した。
俺――ゼファー・コールレインはその手の危機管理には自信がある。それでも危険と危機と窮地が殺到してくるのだから内心ふざけるなという気持ちでいっぱいだったが。今はそれは置いておく。戦場で余計な感傷に浸っていれば死の危険性は格段に跳ね上がるだろう。万が一、億が一、自分のような一点特化はそんな極小の危険性でも気を付けて戦わなければあっという間に冥府の底にまっしぐらだ。
それはそうと。
「こんなところでも、運命かよ」
俺は滅奏という
その能力とは、
だからつまり、これは
ベルン・アリアンロッドが使っている星光はとある粒子の高速噴射……。これが本人から聞いた説明だった。柊の方は粒子の正体については分からないといい、近寄ったら多少気分が悪くなるとも言っていた。
ああ、しかし俺なら分かる。この星は、間違いなく。
「……
あの子はきっと、
だとすれば、この出会いはまた何かの前兆に他ならない。彼女を中心として運命が動こうとしている。
更にいえば、柊の方もなにかあると見て間違いない。間近で反粒子を受けてなお、星光を発動させ続けることは難しい。更に、ベルンに合わせて
はじめは優秀な
ならばこそ、撤退した方がいいだろう。
ここで覚醒合戦なんてされた日には、どんな最悪な事態に至るか分からない。
英雄譚なんてもう、見たくはないんだよ。
何事もないまま終わってくれないかなんて都合のいい考えが浮かぶと同時に、きっともう逃げられないと理解していた。
おそらく、運命の分かれ道は最初にここに潜入したとき。アドラー帝国だけでなんとか出来たかもしれない段階だろう。
もはや、逃げられない。
「…………だから、まあ」
俺はキューピッドとして動くのがいいだろう。
近場の死体を掴み、振動を打ちこむ。物言わぬ死体を内部から破壊するなんて簡単だ。そして、目の前で身内が木っ端みじんに砕け散る光景ほど、心が軋む光景などないと、俺の経験が語っている。
なんせ、俺は結構つらかったから。
「もういい、引くぞお前ら!」
昔を少し思い出しながら、俺は死体を放り投げた。
今回は短いです。すまない。
これから忙しくなるので更新頻度が下がるかもしれませんが、ゆっくり続きを待ってくださると嬉しいです。
次回はまた、ベルン目線になります。