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13号機から生まれた線が、2号機の残骸を捕らえる。
捕食。
2本の手が胸元へと2号機を引き寄せ、一体となるかのように縛った。
アスカの無念を示す様に、2号機は大きく口を開き、苦悶の表情をしている。
無惨。
「贄たる
宙に浮いている碇ゲンドウ。
その足元でゆっくりと13号機が立ち上がる。
産声の代わりとばかりに吠える。
「初めよう。先ずは場を揃える」
NHGシリーズとの交戦はAAAブンダーにとって余りにも不利であった。
数で劣り、性能でも劣る。
ただ
「4番砲塔大破!」
「火力が段違い過ぎる!?」
「泣き言を言うな!!」
衝撃。
被弾する。
「第3艦橋、応答途絶!! 火災発生!?」
「緊急対応を急がせろ」
「ヤヴァイです!!
「進路を読まれたかっ!!」
残る2隻で後方と上方とを抑えに来ているNHGシリーズ。
「構うな! 正面突破だ!! 舵中央、速力最大、ぶつける積りで行けっ!!! 」
葛城ミサトにとってAAAブンダーの闘いは、ある意味で時間稼ぎであった。
勝つ必要は無い。
派手に動いてNERV戦力の耳目を集め、エヴァ2機の作戦を支援するというのがAAAブンダーの役割と割り切っていた。
その時、何かが変わった。
音がした訳でも、衝撃波が来た訳でもない。
だが、確実に何かが変わった。
そして、NHGシリーズからの攻撃も止んでいた。
「状況報告!!」
葛城ミサトの野生のカンが叫ばせた。
だが、対応できると云う話では無かった。
「艦長、南極です!?」
「戦闘中よ、不明瞭な発言は___ 」
そこで葛城ミサトも絶句していた。
正面のモニター一杯に広がる赤い海。
そして次元境界面。
南極であった。
先ほどまで、東シナ海洋上で交戦していたにも関わらず、今は南極域にAAAブンダーは居る。
「艦長、現在本艦周辺にはNERVのNHGシリーズ、及びNERV本部も観測出来ませんっ! マジ!? コレってどういう事ぉ!?」
悲鳴めいた声を上げる北上ミドリ。
「副長っ!!」
「…待ちなさい。座標を確認しているわ…………そう。判ったわ」
「何処?」
「旧カルヴァリーベース、南極で間違いないわ」
非常事態と言って良い状況に、ブリッジが騒がしくなる。
だが葛城ミサトが対応の指示を出す前に、状況が動く。
「どうやって___ 」
「神の御業、量子テレポートだ」
誰もが声主を見た。
誰もが声を失った。
「いっ…碇ゲンドウ!?」
声の主は碇ゲンドウ。
AAAブンダーのブリッジに突如として出現していた。
怨敵NERVの首魁登場、だが誰もが呆然としていた。
否、即座に反応した人間が居た。
旧NERVのメンバーである。
即座に席を離れて銃を抜く。
だが、碇ゲンドウは向けられた筒先に興味を示す事無く言葉を紡ぐ。
「君たちに貸し与えていたモノを返してもらいにきた」
「何……を」
「君たちがブンダーと呼ぶNHG Buße」
バイザーに隠されていない口元が歪む。
衝撃が襲う。
「艦長!! 侵食型のエヴァに接触されました!!!!」
ブリッジに赤い非常事態の文字が躍る。
葛城ミサトと赤木リツコ以外の誰もが対応に忙殺される。
青葉シゲルが艦内を制御し、外を日向マコトが担う。
2人はAAAブンダーの次席指揮官であった。
「自律防御、始めて!」
「システム、起動しません!?」
「侵食、止まりません!! 制御系の7割が__ 」
「物理的な遮断は!?」
「無理です、隔壁すら侵食してきます」
阿鼻叫喚といった状況であったが、葛城ミサトは揺るがない。
碇ゲンドウしか見ていない。
「このフネはAAAブンダー。ブーセなんて名前ではないわ」
「だが、建造したのは君たちでは無かろう? 神は万人に愛を与える。だが、盗人へは罰を与えるものだ」
ブリッジの照明が落ちる。
システムの再起動。
碇ゲンドウの背にある中央モニターに映るNERVの文字。
警報、各部からの悲鳴めいた報告。
「だが、ここで殺せば終わる」
「神は殺せ__ 」
発砲音。
赤木リツコが撃った。
それを合図に、ブリッジに到着した警備部隊がめいめい、手持ちの火器を射撃する。
「ブリッジで発砲とか馬鹿ですかっ!?」
悲鳴を上げる北上ミドリ。
近くに居た青葉シゲルが慌てて、その頭を下げさせる。
「馬鹿野郎。頭を下げろ。死にたいのかっ」
かく言う青葉シゲルは、拳銃を碇ゲンドウに向けて発砲していたが。
青葉シゲルだけではなく、日向マコトも憎々し気な顔で発砲していた。
だがそれらの
「人が神に手を上げるとは不遜だな」
「見解の相違ね。人が神を名乗る方がよっぽど不遜よ」
憎々し気に言う赤木リツコ。
喧騒の中での睨み合い。
それを終わらせたのは整備班、伊吹マヤからの報告だった。
『艦内、未知のシステムが起動しています!?』
「止めて」
『無理です。システムが応答を拒否しています!』
「システムの強制シャットダウン、再起動を図って! 急いで!!」
睨む葛城ミサト。
「Bußeが
空中に静止しているAAAブンダー。
その周囲にNHGシリーズも集まっている。
十字、或いは四角く位置し、4隻はそれぞれ強大なエネルギーを空へと噴き上げていた。
周囲を飛ぶエヴァンゲリオンと共に、共鳴していくA.Tフィールド。
槍が4本形成された。
「鍵は蘇り、門が開く。人類補完計画、その最終章の始まりだ」
「させる訳ないでしょっ!!」
葛城ミサトの発砲。
届かない。
そして、ブリッジの正面が破壊された。
その奥から顔を出す13号機。
誰かが悲鳴を上げた。
苦悶の死相を残す2号機が、その胸に抱かれていたからだ。
「エバー13号機………」
「そうだ。シトとリリンの魂を喰らい、この地に再誕した本当のヱヴァンゲリヲンだ」
碇ゲンドウが浮き上がる。
そして13号機の元へと向かう。
13号機の周りには、槍を持った4機のオップファーエヴァンゲリオンが浮かんでいる。
「君たちへの罰は、全てを見る事だ。何も出来ず、何も為せず、ただ見ている事しか出来ない事としよう」
残されたAAAブンダー。
無力感に包まれる。
ブリッジの破壊と共に、碇ゲンドウはAAAブンダーのシステムを破壊していた。
最早、出来る事は無かった。
そう思われていた。
「艦長!」
高雄コウジが声を上げるまでは。
「何?」
「坊主から、提案だって話です」
エヴァンゲリオン初号機の中で一部始終を見ていたシンジ。
だからこそ言う。
AAAブンダーを下さい、と。
「何をする気?」
『さっき、NERVのエヴァが来た時、初号機にまで侵食して来てたんです。その時、逆侵食が出来たんです』
「はぁ?」
『多分、今ならこの艦は初号機から動かせます』
「………可能なの、副長?」
「今、指揮操作系統を確認しているわ………ええ。そうね、バイパスが出来ているわ」
AAAブンダーの略図。
先の侵食が形成した指揮操作回路はまだ生きていた。
それを初号機が掌握したと言う事であった。
「なら、反撃はまだ可能って事ね」
葛城ミサトの瞳に力が戻る。
だが、それはシンジア否定する。
『皆さんは降りてください。碇ゲンドウとの決着は僕がつけます』
「………何を言っているの」
『もう、葛城ミサトさん達に出来る事はありません。むしろ邪魔です』
AAAブンダーの艦内に人が居れば、その分、無茶な機動が出来ないのだと言うシンジ。
正論であった。
だが赤木リツコだけは反論する。
「現状、AAAブンダーの全能力を発揮するには乗員は必要よ」
『必要ないですよ。飛んで行って、ぶつけるだけなら』
「………それで勝てる積り?」
『
事実だった。
神殺しの力だのと葛城ミサトは言う。
確かに使徒は殺せる力はある。
だが、それらは13号機などを相手にするには余りにも貧弱でもあった。
だからこそぶつけて、自爆させると言うシンジ。
『AAAブンダーの全機能っていうけど、戦闘だけで言えば、もう使えるのは大砲が1つと艦内のミサイルだけですから』
「慌てないで。まだ手はある筈よ」
『冷静ですね。でも、無駄ですよね。前もそうだったじゃないですか。碇ゲンドウが僕にアスカの3号機を潰させた時もそうだった。最善の策を探すけど間に合わない。間に合わなかったから仕方がないって言う。言ってる側は良い気分になるでしょうけど、当事者じゃない他人に理屈を言われても不快なだけですよ』
淡々と紡がれるシンジの感情。
14年前の時。
3号機事件とニア・サードインパクトの時を覚えている人間は誰もが口を開けなかった。
「シンジ君……………」
『どうせ他人事みたいに不幸な出来事だったって処理するなら、最初から綺麗事なんて言わなければ良いのに。馬鹿馬鹿しい。僕は父さんを止めてアスカを救いに行きます』
だから降りろと言う。
14年前の当事者では無い北上ミドリが、憎々し気に言葉を発した。
「疫病神が偉そうに」
『その疫病神が勝手に行くんだから、降りれば良いでしょ』
北上ミドリの感情を、無視するシンジ。
そのシンジに葛城ミサトが声を掛ける。
「シンジ君、私は、私としては__ 」
WILLEの、AAAブンダーの艦長としての顔ではなく、14年前の、疑似的な家族だった頃の顔を見せる葛城ミサト。
だがシンジはバッサリと切る。
『葛城ミサトさん。貴方の感情なんて聞いてません』
「………」
『多分、もう時間がありません。父さんが何をしたいのか、何をする積りなのかなんて、わかりません。だからとっとと降りて下さい』
別に、AAAブンダーの艦内に人が居てもシンジに影響はない。
全てを掌握した初号機が居るからだ。
にも拘わらず退艦を促すのは、無駄に他人を傷つけたくないと言うやさしさだった。
「………判りました。AAAブンダーは貴方に預けます。副長! 総員に退艦命令を発して」
「判ったわ」
「もう、ミサトさんとは呼んでくれないのね」
『他人ですから』
「そう。そうね。そうよね」
「艦長、総員の耐寒準備は終わったわ」
「結構。シンジ君。AAAブンダーと人類を貴方に託します」
『人類何て知りませんよ。勝手に押し付けないで下さい。僕は僕の為に行きます。アスカを助ける為に。父さんを止める為に』
「………ありがとう」
AAAブンダーから葛城ミサトら搭乗員の乗ったカプセルが離れる。
どこまで逃げられるのかは判らない。
そもそも、逃げられるのかも判らない。
最後の人類と言うには、余りにも乏しいソレを一瞥したシンジは、全てを捨てる様にAAAブンダーを飛ばす。
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シン、そう言えばNERV本部が日本列島を離れる頃には探知したのに、南極まで交戦せずに自由に行かせたのが草。
或いは雑。
儀式の準備が終わった後に、必要な道具を届けに行った感になるので、ええ。
本当に、シナリオから話の都合のご都合主義感が溢れてて、時間も金もあったんだから検証とかシナリオの担当に人を雇って__
無理か。
そんな事をしたら、面白い()でのライブ感覚()での適当な修正が不可能になる(トオイメ
そう言えばQがああなった所以で、安易な救いはリアリティが無いと言ったとか言う話があった。
の割に、シンは安易な和解。
安易な救いのオンパレードやったナァ と割と思う。
人間が一番嗤われるのは、言ってる事と遣ってる事に差があった時だと個人的には思う。