就活で防衛チーム志望だったけど“お祈り”された女 作:よよよーよ・だーだだ
そして今日もわたしは、この理不尽な世界に戦いを挑む。戦場はネット、武器はスマホとSNS、そして戦う相手はこの腐った世界を裏から牛耳る上級国民どもだ!
電気もついていない真っ暗な部屋の中、布団に包まったまま片手に握り締めたスマホをポチポチいじる。SNSのトレンドでめぼしいハッシュタグへと目を通し、怪獣退治へ出動したくせしてウルトラマンにお株を取られた防衛チームの間抜けな失態すべてをあげつらって徹底的に分析し、こき下ろして、無数のイイネを集めてゆく。
リアルの奴らはダメだ。あいつらが気にしていることときたら日々の生活か金勘定ばっかりで、重要なことをおざなりにしているような愚か者だらけ。腐り切ったこんな世界、いずれ悪い怪獣や外星人にでも踏み潰されて滅ぼされてしまうに違いない。
けれど、希望はある。ネットの世界には本当に大切なことをわかってくれる“わたしの同志”がいる。わたしのSNS垢は、たしかにフォロワー数はまだまだ少ないけれどイイネやシェアの数は多い、世の中に物申せる立派なネット論客なのだ。わたしはわたしを信じてくれる人たちと共に、この世の中をより良くするために戦う。そう、すべては正義のため、正義は必ず勝つ! 最後に勝つのはわたしたちだ……ッ!!
「……はあ」
……どうしてこうなっちゃったんだろう。そしていつまで続けるつもりなのかしら。
地球を守る防衛チーム、その採用面接を“お祈り”された時点でわたしの人生は終わったも同然だった。
一緒に防衛チームを目指していた友達はみんな早々に自分の実力に見切りをつけ、民間企業への内々定が決まってしまった。中には親や友達のコネを使って、防衛チームと全く関係ない業界へ行った子もいる。
本当はわたしだってわかってるんだ、『いい加減諦めろ、次へ進まなくちゃいけないんだ』って。なのにわたしときたらいつまでもグズグズと失われたはずの夢にしがみついて、世界中のみんなから取り残されてしまっているような気がする。
「ふう……」
またしてもため息が出る。“お祈り”メールが届いてから1ヶ月、わたしはずっとアパートの自室に引きこもっていた。
バイトにも行かず、コンビニで食事を買うとき以外は誰とも話さず、布団にくるまってスマホを握り締めたままネットの御意見番としてぽちぽち呟いて一日を過ごす。目覚めているのか寝ているのか自分ですらわからない、夕方に起きて朝方に眠るような一日をぼんやり過ごして終わる、そんな毎日。
防衛チームに入るために日課としていたはずの自主トレさえも、今はすっかり辞めてしまった。ヤケ酒とドカ食いに明け暮れているのもあってか最近ちょっと、いやほんのちょっぴり僅かに少しだけ、ほんのりと体のお肉がぷにぷにしてきたような気がする。肩や首の凝りもひどくなった気もするし、胸元やお腹、お腹のお肉は指先で掴めてしまう。かつてはストイックに鍛えたスポーティな体がわたしは密かに自慢だったのだけれど、それも今や余分な贅肉に覆われつつあった。
ヒドいのは体だけじゃあない。ずっと着たままのパジャマ、洗濯もしないで脱ぎっぱなしの下着。部屋中に散らかったプラスチック容器、食器を洗ってないまま放り出している台所。そして玄関に積み上げられた、一ヶ月分のゴミ袋。
こんなんじゃあいけない!
わたしは両頬をパンと叩いた。まずは
だって私は、もう防衛チームの隊員に……
「……もうなれないんだよね、防衛チーム」
そのことに思い至ると、途端に頑張る気力すべてが萎えてしまうのだった。
防衛チームに入ることは、物心がついた頃からのわたしの夢であり人生のすべてだった。目指したのは幹部候補生、防衛チームに入るためわたしは子供の頃からずっと勉強して、ずっと我慢して、ずっと努力を重ねてきた。厳しい選抜テストも全てパスできたはずだったのだ。
だけど結果は、不採用。
いったい何がいけなかったのか、わたしにはさっぱりわからなかった。筆記も、論述も、体力テストも、自己採点ではどれもパーフェクト。面接だって、そつなくこなしていたはずだ。
なのに、どうして。
「わたし、これからどうしたらいいんだろ」
防衛チームの隊員になる以外の将来なんて、これまでちっとも考えたことが無かった。これからわたしは、いったいどうやって生きていけばいいんだろう。何を目指して生きたらいい? もう、いっそ……。そんな不安ばかりがとめどなく押し寄せてくる。
「……呑むか」
わたしは布団から這いずり出して、キッチンへと向かった。お目当ては酒、こういうときはアルコールの力を頼って忘れるに限る。食料はコンビニ、あるいはアマゾンでまとめ買いしているのだけれど、今日届いたアマゾンの買い物の中にお酒があったはずだ。
そんなわたしの目論見通り、キッチンには昼間届いたばかりの缶チューハイがあった。ボール紙で梱包された銀色の6本パック。そう、ストロングでゼロな麗しのアイツである。冷蔵庫へ仕舞うのを忘れていた缶チューハイたちは充分に冷えておらず、むしろ中途半端に生温い状態になってしまっているのは指先で触れただけでもわかった。
けれどこの際かまうものか。所詮は安酒、これから冷やすのも億劫だしとにかく酔えればそれでいい。そうやって力ずくで気持ちを乗せながら、わたしは缶チューハイを手にする。
「酒が呑める酒が呑める酒が呑めるぞーっ♪ うははははッ!」
……ぷしっ。プルタブを起こして開封し、一気に
「んっ、んっ、んっ……ぷはぁ」
……げぷっ。案の定ぬるくて不味い、けど飲み切っちゃった。もう一本、開けようかしら。
酔いが回り始めた頭でそんなことを考えていたとき、玄関チャイムが鳴った。
「……誰よう、こんな時間にぃ?」
時計を見ると夜中の22時過ぎ、宅配便が来る時間でもない。新聞の勧誘とか宗教関係もなさそうだし、となると酔っ払いの悪戯か?
ふらふらの頭で考えを巡らせながらインターフォンの画面――女の一人暮らしは物騒なので、部屋を選ぶときにカメラ付きの物件にしたのだ――を覗いてみると、玄関前には黒い服の男が一人。
黒い男は恭しく頭を下げながら、口を開いた。
〈夜分遅くに失礼いたします。こちら、オニタ=サトミ様の御宅でよろしかったでしょうか?〉
それから数分後、黒い男はわたしとテーブルを挟んで対面していた。
このときのわたしは、なぜこの黒い男を自室へ招き入れてしまったのだろう。下着は流石に片付けたもののそれでも部屋はゴミ溜めみたいな有様だし、わたし自身も太ってしまって豚のよう、異性はおろか親しい友達とさえ会えたもんじゃあなかったのに。
それは、安酒で酔っていて冷静な判断力を失っていたからだったろうか、それとも黒い男のニコニコとした愛想の良い雰囲気に警戒心を絆されたのか。あるいは、これから起ころうとしていた『何か』を予感していたのかもしれない。
「……えっと、どなた?」
とりあえず訊ねたわたしに、黒い男はニコリと笑って告げた。
「申し遅れました。わたくし、こういう者です」
そう頭を下げながら黒い男が丁重に差し出したのは、一枚の名刺だった。あまりに自然なお辞儀の仕草だったので、わたしも思わず恐縮してしまう。
「は、はあ。これはご丁寧に……」
黒い男から渡された名刺。書かれた名前の方はいたって平凡なものだったが、役職として『外星人 特命全権大使』と大仰な肩書が書いてあるのが目を惹いた。
名刺をしげしげと眺めるわたしに、黒い男は言った。
「『郷に入っては郷に従う』、わたしの好きな言葉です。この星には『名刺』というものを渡す文化があると伺いましたもので」
……随分、変わった言い回しをするのね。
「ええ。この星の言葉はユニークなものが多いですから。それらを集めるのが趣味なのです」
へえ、そうなんだ。あんた、なかなか面白いじゃん。
わたしの言葉に、黒い男はニコニコと微笑を浮かべて会釈した。
「いえいえ、あなたがた地球人類ほどでは」
……ふふっ、ホント変な外星人ね。
それからわたしは六缶パックを開け、黒い男はしばらく酒を酌み交わした。
外星人だと名乗ったので冗談半分に地球文化の話などをしたら、なかなか興味深く話に乗ってくれたものだから、却ってわたしの方が乗せられてしまいついつい話し込んでしまった。
思えば久々に楽しい時間を過ごした気がする。防衛チームの採用試験を落ちて以来、ずっと部屋に引きこもってネットの世界へ逃げ込んでいたわたしだけれど、そんなわたしもきっとリアル他人との関わりに飢えていたんだろうなあ。
だからだろうか、防衛チームから“お祈り”を喰らった話もしてしまったのかもしれない。
「“お祈り”?」
首を傾げる黒い男に、わたしは説明した。
「要するに『採用試験に受からなかった』ってことよ。その手の返信にはいつも決まって『今後のご活躍を“お祈り”します』って書いてあんの。だから“お祈り”」
「……なるほど」
何が“お祈り”よ。まったく、人を馬鹿にするのもいい加減にしろ、って感じだわっっ!
「わたしが落とされたのはきっとコネもない、ただの女だからよっ。今の防衛チームには女性隊員もいるらしいけれど、そいつはどうせコネだか枕営業だか使ったに決まってるッ!」
そんなわたしの不満に、黒い男は「それは災難でしたねぇ」と大いに共感してくれた。
「オニタ=サトミ様、あなたのような才能あふれる優秀な方を採用しないとは、この星の人類はいささか人を見る目が無いと言わざるをえません」
でしょでしょー? 流石外星人、ホント話がわかるわあー。
わたしは上機嫌で、酒をグラスへ傾けようとしたのだが。
「……あれ。無くなっちゃった」
缶チューハイの6本パックはいつの間にか飲み干してしまっていた。相手の黒い男も「おや、なくなってしまいましたか」と至極残念そうである。
……しかしこの黒い男、優男のように見えて実はなかなかの酒豪らしい。わりと強いつもりのわたしがべろべろに酔っている一方、黒い男も結構飲んでいるはずなのに酔っている様子が一向に見られない。
ちょっとお、あんた本当に呑んでるのお?
「いえ、わたしもあなたのような素敵な女性とお酒が呑めて、とても楽しんでいますよ」
もう、お上手ねェェ~~ッッ!
すっかり気分が良くなったわたしは、ゲラゲラ笑いながら黒い男の肩をバンバン叩く。そんな風にわたしが馴れ馴れしく絡んでも、黒い男はニコニコ笑うだけだった。
「ま、いいわ。じゃあ次はもっと良いお酒を開けましょ。確か冷蔵庫に『とっとき』のがあったはずだから、取ってくるわねえ~」
そうやってふらふらの足取りで立ち上がろうとするわたしを、黒い男は「いえ、おかまいなく」と引き止める。
「……ところでオニタ=サトミ様」
なによう?
振り返ったわたしに、黒い男はこんなことを言い出した。
「あなたは素晴らしい地球人です。そんなあなたの心の底にある願いを外星人であるわたしが叶えて差し上げる、というのはどうでしょう?」
わたしの、願い?
「ええ。どのようなことでもよいのです」
うーん、そうねぇ……。
わたしは少し考えてから、こう答えた。
「じゃあ、素敵な『ボーイフレンド』でも用意してもらおうかしら」
「ボーイフレンド?」
「そうよ。カレシ、恋人。お金持ちで、誠実で、イケメンの素敵なボーイフレンドよ」
恋愛。これまでのわたしの人生において、そんなものは防衛チームへ入るためには邪魔モノでしかなかった。恋愛なんて気の迷い、もしも恋人なんてものを迂闊に作って、悪い外星人から人質に取られて利用されたりしたら? 足手まといになってしまうじゃないか。
だから、わたしはそういう色恋沙汰とはずっと無縁に生きてきた。だけど防衛チームに入る夢が破れた今なら、ボーイフレンドの一人や二人作っても全然平気というわけだ。
……まあ、二十数年生きてきてそういうことにまったく無頓着だったわたしに、今更そんなものが出来るとは思えないけどね。出せるもんなら出してみろ、って感じである。
「なるほど……では、さっそく用意しましょう」
えっ?
黒い男の返答に眉をしかめた途端、布団の中に転がしてあった携帯端末が鳴り出した。すぐさま電話を取るわたし。
〈もしもし、サトミ? 夜遅くにごめんなさいねぇ……〉
田舎の母からだった。えっと、お母さん、何か用?
〈実はサトミに紹介したい人がいてね……ええ、お父さんのね、会社の取引先の若社長さんで、なんでもサトミのことを話したら先方が凄く気に入っちゃって、すぐにでも会いたいって……急な話だけど、こっちに帰ってきてもらえないかしら?……まあ『就活失敗したから田舎に帰ってお見合い』なんて今日び流行らないと思うけど、すっごい誠実な人でしかも二枚目のイケメンなんですって……〉
母との電話を終えたあと、酔いがすっかり醒めてしまったわたしは黒い男を改めて見た。黒い男は相変わらずテーブルの向かいに座ったまま、穏やかに笑っているだけだ。
「いかがです? お会いになられてみては」
い、いや、そんなことよりも。
「あ、あ、あんた……まさか、本当に……!?」
腰を抜かさんばかりのわたしを見下ろしながら、黒い男は朗らかに答える。
「ええ、驚くことはありません。わたしは遠い宇宙の彼方からあなたに福音を授けに来た外星人、特命全権大使です」
そして黒い男はニコニコ笑いながら言った。
「せっかくですから、他の望みも叶えて差し上げましょう。証拠はこれで充分かもしれませんが、世の中『信用第一』ですから」
おれ:ハヤト=シンジは、ウルトラマンである。
ウルトラマン、光の国からやってきた宇宙警備隊の戦士に与えられた呼び名。この地球上で起こる様々な事件を秘密裏に解決する正義のヒーロー。まあ要するに正義の味方って奴だ。
ウルトラマンに変身していないときは、防衛チームの隊員として怪獣や外星人の引き起こす事件解決に向けて奔走するのが日々の仕事となっている。
そのおれが防衛チーム基地の研究ラボを訪れたとき、ラボの
「何を読んでるんだ?」
おれからの質問に、シルフィアは手元の文庫本から目線も上げないままこう答えた。
「『涼宮ハルヒの憂鬱』だ。知らんか?」
さあ? 文学方面はさっぱりなもんで。
おれの反応にシルフィアは「まったくハヤト、君という奴は地球を守るウルトラ戦士のくせにつくづく地球のことを知らんな……」と呆れつつ、読んでいた本について解説してくれた。
「『涼宮ハルヒの憂鬱』は、地球の若者向けライトノベルだ。主な登場人物は、世界を改変する能力を持っている少女:涼宮ハルヒを中心とした、宇宙人、未来人、超能力者、そして平凡な男子高校生の語り部の5人。そんな彼らの破天荒な学生生活を描いた、SFセカイ系学園小説だよ」
へえ、面白そうだな。おれが興味を示してみると、シルフィアは「だろう?」とどこか得意気だ。
「『涼宮ハルヒの憂鬱』はティーンエイジャーのあいだで爆発的人気を博しシリーズ化、TVアニメや劇場映画が制作されてこちらも大ヒットしたと聞いている。わたしもひととおり目を通してみたがなかなか興味深い、実に『ユニーク』だ。君も非番のときに読んでみるとよいだろう」
「ふーん、そうなのか」
で、それはそれとして。
「……で、なんだ。地球でのラノベ体験にハマっている自分の姿を見せつけるために、わざわざおれを呼びつけたのか?」
皮肉交じりのおれの言葉を受けて、シルフィアは手にしていたティーカップと本をようやく置き、そして顔を上げて言った。
「ハヤト、今日来てもらったのは他でもない。『Reality Strength:現実性強度』の話なのだ」
現実性強度? なんだそれ。おれが聞き返すと、シルフィアは説明した。
「『その時空世界の現実がどれくらいの強度を持ち合わせているか』という概念だな。この現実性強度のことを、我々外星人の多元宇宙物理科学では『MANA:マナ』と定義している」
マナ?
「マナはある種の『力』を意味する名称で、特に複数以上の現実性強度を比較するときに用いる概念だ。現実性強度が弱くなればマナのパラメータは低下し、逆に強ければ高くなる」
現実が弱い、低い、強い、高い。い、意味がわからん……。
首を傾げるばかりのおれに、シルフィアは「まあ、説明してやろう」と語り出した。
「マナを端的に言えば『違う現実同士がぶつかったとき、どちらが勝つか?』を表す考え方だ。ちなみに地球では類似の概念がヒュームと呼ばれていると聞いている」
「『違う現実同士』? そんなものがぶつかることなんてあるのか?」
おれの質問に対し、シルフィアは「あるとも」と頷いた。
「一つの宇宙の系に収まっているうちはなかなか意識しないが、多元宇宙物理学においては必ず付いて回る概念だ。たとえば、君とわたしが一緒に街を歩いていて、怪獣が現れたとする。君は真っ先に何を考える?」
そりゃあもちろん、とおれは答えた。
「まずシルフィア、あんたの身の安全だな」
「……わたし?」
……なんだ、そのハトが不意に豆鉄砲くらったみたいな顔は。おれは言った。
「だって一緒に歩いてるんだろ? 誰だって、まずは一緒にいる奴の心配をすると思うが」
「あ……ああ、なるほど。そう、そういう“シチュエーション設定”だったな」
「……おれ、変なことでも言ったか?」
「いや、なんでもない、続けてくれ」
……まあ、いいか。
シルフィアの妙な態度が気にはなりつつも、とりあえずおれは自分の考えを続けた。まず傍にいる人、さてその次は。
「それから気にするのは周りの人たち、街の安全だ。そして即座に防衛チームに連絡を取り、場合によっては“変身”することも検討するかもな」
そんなおれの答えにシルフィアは「ふむ……なるほどな」と神妙な様子でしばらく考え込んでいたが、やがて口を開いた。
「ハヤト、ウルトラ戦士である君はやはりそうだろうな。だがわたしは違う」
そうなのか?
「わたしの生業は科学者、しばしば君からも指摘されるが君の表現するところの“研究の虫”だからな。君と同様に街の人たちの安全も考慮はするが、『真っ先に』と言われたら、やはりその怪獣の生態であるとか能力であるとか、研究のことをつい考えてしまう」
そう、なのか……。
そんなおれの反応に「まあ、今のは極端な例だがな」と補足しつつ、シルフィアは続けた。
「このように、君とわたしの見ている現実は違う。ハヤト、君はウルトラ戦士としてこの世界を『守るべきもの』と見ている一方、わたしは外星人〈バルタン〉の科学者としてこの世界を『研究対象』と捉えている。同じ世界を見ているようでいてその実、目にしている現実は異なっている。真実はいつもひとつ、皆同じ現実を生きている、なんてのは幻想に過ぎないものだ」
……ふむ。言われてみれば、そんな気もする。
「『世界は事実の総体であり、モノの総体ではない』と喝破したのは地球の哲学者だが、彼の考え方は我々バルタンの多元宇宙物理学の概念とかなり近しい。特に地球人は、総じて『事実の像』とでもいうべき『自分だけの現実』を抱いている。そして『世界は起こっていることの総体』、各人の持つ『自分だけの現実』を互いに衝突させつつ擦り合わせて運用する平均的な総体こそが、この時空世界の健全な有り様というわけだ」
自分だけの現実と、そのぶつけ合い。そういえばオタク向けのライトノベルにそんなものが出てきた気がするな。たしか学園都市の超能力バトルにまつわるものだったっけ。
「そしてマナとは、その『自分だけの現実』と『時空世界が持つ総体としての現実』の強弱を表す相対値だ。たとえば、涼宮ハルヒは世界を思い通りに改変する力を持つが、彼女が持つ『自分だけの現実』は『彼女の棲む時空世界より高いマナを持っている』ということになる」
ふむふむ?
「だが、実際には涼宮ハルヒは存在しない。それは、この時空世界のマナがそれを織り成す人々の平均的総体であるように、大半の人間のマナは彼らの棲む時空世界のそれと等しく釣り合っているからだ。だから思春期の中二病を拗らせた少女一人がいくら非日常を夢見ても、その『自分だけの現実』が妄想の域を出ることはなく、実際の現実に取って代わることはない」
……なるほど?
「……『さっぱりわからん』という顔をしているな?」
う、うむ、まあな。
おれが頭を掻きつつ正直に答えると、シルフィアは「やれやれ……」と呆れながら話を続けた。
「たとえば、この時空世界における正常なマナの値を『1』としよう。そこに君のようなウルトラ戦士がやってきたとする。君たちウルトラ戦士は超常の力を持っているから、この時空世界の科学を超越した奇跡を起こすことが出来る。これをマナの概念で言い換えるなら、『君たちウルトラ戦士のマナは1より高い』ということになる」
ふーむ……?
「その一方で、マナには『高い方から低い方へ流出、拡散してゆく』という性質がある。バケツいっぱいの水に一滴のインクを落としたとき、一瞬だけ黒い染みが浮かんでもすぐ溶けて見えなくなってしまうように、高マナはエネルギーを加え続けなければ次第に時空世界へ拡散して低い状態へと変わってしまう。君たちウルトラ戦士が変身できる時間にも制限があるが、これをマナ概念的に解釈すれば『時間経過に応じて高マナが拡散低下し、変身解除は君のマナが時空間平均マナを下回ってウルトラマンであることを維持できなくなった状態』とも言えるわけだな」
なんとなくわかったような、わからないような……ん、待てよ?
「シルフィア、あんた今『バケツいっぱいの水と一滴のインク』と言ったな?」
「言った。それがなにか?」
小首を傾げるシルフィアに、おれは訊ねる。
「そのままインクを流し続けるように、その『高いマナ』とやらを際限なく拡散し続けたらどうなるんだ? バケツの水だったらそのまま真っ黒になってしまうと思うんだが」
おれの素朴な疑問に対し、シルフィアは「ああ、その心配はいらん」と答えた。
「ここで語っているマナは飽くまでも『複数の現実を比較するときの相対的概念』だ、絶対値ではない。そもそも人間は適応するものだからな。最初は何かしらの反応をするだろうが、それが恒常的に続くのであれば慣れてしまう。そうしているうちにその時空世界のマナ値が底上げされて、今度はその底上げされたマナの値が『1』になるだけだ」
そんな大雑把なものなのか? 現実がどうのって話ならもっと複雑なような。
「そういうものだ。たとえそれが君から見て真っ黒な世界に見えたとしても、その世界で暮らしている住人たちにとってはマナの値が1の正常な現実に見えるだろう。我々バルタンの科学文明はもちろん、ともすれば君たち光の国でさえも、他の現実を生きる者たちの目には『真っ黒なインクに満たされた異常な世界』と映っている可能性だってある。あるいは、そうして黒く染まってゆく過程こそが『文明の営み、発展』という見方も出来るだろうな」
な、なるほど……。
「そして君たちウルトラ戦士と同じく、怪獣たちや我々外星人もこの地球文明の時空世界から見れば総じてマナが高い存在だ。だからこの時空の科学を超越した事象を起こすことが出来る。そのマナ変動を監視する計数機システムを応用して開発したのが、君たち防衛チームも使っている怪獣予測警報システムだ。もし怪獣や外星人の活動が活発化して怪現象を起こそうとすれば、その前兆としてこの時空世界におけるマナの極端な変動が観測できるはずだからな」
へー、そういう仕組みだったのか。知らなかったなあ。
「君たち防衛チームにはちゃんと説明したはずなんだがな……で、ここからが本題なんだが」
随分と長い前置きだったな……で、なんだ?
「ここしばらく、特定地域のマナ値の低下が観測されているんだ」
低下? これまで高まるだの上がる話ばかりしていたが、下がることもあるのか?
おれが訊ねると、シルフィアは「当然だ」と言った。
「上がることがあるのだから下がることもある。あくまで0.01%前後程度の微妙な逓減に過ぎないのだが、継続して起こっているものだから少々気になってな」
下がるとどうなるんだ?
「上昇する場合もそうだが、よほど極端に下がり続けでもしないかぎり害はそうそうない。時空世界レベルの話とはいえもともと大した変動じゃないから『この時空世界に棲んでいる人たちの運気がわずかばかり上がる』くらいがせいぜいだろうし、単なる自然現象なら周囲からのマナが流入していずれ元に戻る……が、あまり良い予兆でもないな」
「そう、なのか?」
おれの問いに、シルフィアは「うむ」と頷く。
「不味いケースは、これが『人為的なものだった場合』だ」
人為的なもの……外星人絡みか。
「そうだ。時空世界のマナに干渉して現実を改変しようと目論む手合いは、まず手始めに周囲のマナを低下させるのが常套手段だからな。まず周囲の現実性強度を低下させたうえで、その差分を使って自分だけマナの値を上昇させる」
「これまた随分と回りくどいな……」
なんでそんなことを? そのマナとやらを好き勝手に弄れるのなら、自分だけ思いきり上げればいいだけじゃあないのか?
おれの素朴な疑問に「そう上手くはいかないものさ」とシルフィアは言う。
「地球の科学でエネルギー保存の法則があるように、多元宇宙物理科学におけるマナの量も時空世界によって決まっていて、その総量を増やしてゆくのは膨大な時間と労力がかかる。てっとり早く局所的に増やしたいのなら、君たちウルトラ戦士や我々外星人が来訪するように外部から持ち込むか、もしくはそのぶん周囲を下げなければならない」
エネルギー保存の法則ならぬ、マナ保存の法則ってことか。
「それに単に自身のマナを高めようとするよりも、周囲を下げる方が技術的には遥かに簡単だ。かといって自分が満足に力を振るえるほどに周囲のマナを下げ過ぎると、今度はマナのバランスが崩れてその時空世界の物理法則が破綻してしまう。だから現実改変をたくらむ輩は大抵『周囲からマナを少量ずつ吸い上げて、自分のマナ値を高める』手口を使う。そう、ハーメルンにありがちな出来の悪いチートオリ主みたいなものだな」
チートオリ主?
「原作のキャラを弱体化して引き立て役にしてしまえば、チートオリ主の活躍がそれだけ際立つ。つまりはそういうことだ」
もろもろの多方面に思いきり喧嘩を売った気がするが……まあ、わかった。
なんとか理解できたおれに、シルフィアは結論を述べた。
「一応、マナが低下している地域は大まかに割り出しておいた。科学技術担当の見地から言わせてもらえば、早急に調査することを勧めるよ」
「いつもありがとな。おかげで助かる」
そうやってシルフィアへ礼を返したちょうどそのとき、基地内で警報が鳴り響いた。耳に残るけたたましいアラート、防衛チームの隊員であるおれにとっては聞き慣れたものだ。
「怪獣出現か……!」
すまん、行ってくるっ!
「行ってらっしゃい」と手を振るシルフィアを残したまま、おれはすぐにラボを後にした。向かう先は指令室、そして怪獣撃退に出動だ!
おれたち防衛チームがジェットファイターで現場へ急行したとき、怪獣は既に街へと上陸していた。
「くそっ、初動が遅れたか……っ!」
今回、怪獣は海から現れた。本来なら先ほどシルフィアとの会話にも出てきた怪獣監視警報システム、あれが怪獣の接近を検知して知らせてくれるはずなのだが、どういうわけか今回は検知できず、おかげで怪獣の上陸をあっさり許してしまったのだ。
あまりに唐突な出現のせいで防衛ラインも用意できなかったおれたち防衛チームを嘲笑うかのように、のっしのっしと街中を闊歩する怪獣。その背丈はビルをも凌ぎ、ハイウェイさえも跨ぐ巨体。まさに恐るべき大怪獣だ。
だがその容姿について、共に出動したおれの相棒:ミネ=アンナ隊員はこう評していた。
「しっかし、これまた随分とブサイクな怪獣が出てきたわね~?」
ミネ隊員の感想に、おれも正直同感だ。これまで防衛チーム隊員として様々な怪獣を見てきたおれだが、これほど奇妙な姿のものは見たことが無い。
まず全身のほとんどは茶色なのだが、真正面から見える部分だけは赤青黄とひどくカラフルに塗られており、縦長で寸胴の体型も相俟って、北アメリカの一部の先住民が造るという彫刻:トーテムポールのようにも見えた。さらに両耳の位置ではアンテナのような角がクルクル回転しており、腕も生き物のそれではなくまるで工具のエンマやペンチのよう。顔つきは潰れたブルドッグやヒキガエルのようにも見える。
ロボットにしては有機的すぎるし、生き物にしてはひどく人工的すぎる、芸術的なほどにちぐはぐなアンバランスさが目を惹いた。
「これで身長が50メートルじゃあなかったら、立派なゆるキャラマスコットなんだけどねぇ……」
そう呟くミネ隊員に「だが油断するな」とおれは声をかける。
「怪獣は見かけによらない。たとえ見た目が少しマヌケだろうと、いったいどんな力を持ってるかわかったもんじゃあないぞ」
おれからの釘刺しにミネ隊員は「わかってるわよっ」と応じた。
「まずはあのブサイク怪獣を街から遠ざけましょう、ハヤト隊員ッ!」
「了解ッ!」
そしてミネ隊員と共に、おれもジェットファイターで怪獣へと挑みかかった。こんな街の真ん中で怪獣と撃ち合いなんかしたら被害が出てしまう、だからとにかくまずは市街地から遠ざけなくては。
そんなわけでおれとミネ隊員、二人のコンビネーションで怪獣の周囲を飛び回って気を惹こうとしたのだが……
「くっ、乗ってこないわね……!」
ミネ隊員が苛立たしげに漏らしたとおり、怪獣はおれたちの挑発へ全く乗ってこなかった。目と鼻の先を飛び回るおれたち防衛チームなど歯牙にもかけず、怪獣はユラリユラリと街を歩き続けている。
「あーもー、いっそ攻撃してみようかしらっ!」
焦れたミネ隊員を、おれは「いや、待て」と制した。
「まだ市街地の中心地だ。ここであいつに暴れられたりしたら、街に被害が出てしまう」
怪獣迎撃より住民の避難誘導を優先したおかげで人的被害が出なさそうなのは幸いだが、そうなると次に気になるのは街への被害だった。
各種センサーの数値から割り出した推定体重は少なく見積もっても6万トン、一歩進めば衝撃で道路のアスファルトを踏み砕き、さらにもう一歩踏み出せば震動でコンクリートの建物が引っ繰り返る。たとえこのまま歩き続けているだけだとしても、充分な被害が出てしまう巨体である。
「かといってこのままにするわけには……」
おれとミネ隊員、二人で対応を思案する。
……いや、待てよ。おれは思いついたことを口にした。
「……あいつ、どこか目的地があるんじゃあないか?」
「どういうこと?」
聞き返してきたミネ隊員に、おれは答える。
「見ろよ、あいつの歩き方。初めて人間の街へ上陸したにしてはやけに“落ち着いてる”と思わないか?」
今回の怪獣は、おれたち防衛チームはおろか、周りのビルにも人間にも興味を示さず、ただ大人しく歩き続けていた。先ほど『ハイウェイさえも跨ぐ巨体』と言ったが実際ハイウェイは跨いで避けてゆくし、建物もなるべく壊さないように大通りを歩いてゆく慎重さである。
もしもこれが普通の野生怪獣であったなら、様子は違ってくる。怪獣の立場に立って考えてみれば、本来彼らにとって人間の街は見慣れない未知の世界のはずだ。そんな怪獣たちが人間の世界へと迷い込んだなら、慣れない人間の街でパニックを起こして暴れ回るか、もしくはとにかく逃げ出そうとして街を滅茶滅茶に踏み潰すかがお決まりのパターン。いずれにせよ、今回の怪獣のように『大人しく歩き続ける』なんてわけにはいかないはずなのである。
おれの指摘を受けて、ミネ隊員も「たしかに、言われてみれば……」と同意した。
「どこに向かってるのかしら?」
「ひょっとすると誰かに操られているのかもしれないな、見た目もサイボーグ怪獣っぽい気がするし。ちょっと様子を見よう」
おれたちはひとまず怪獣から距離を取り、ジェットファイターで怪獣の追跡を続行することにした。歩くだけに任せてみると、やがて怪獣の足取りがはっきりと見えてくる。
……おいおい、あいつが向かってるのは、まさか。
「おれたちの基地……!?」
そう、怪獣が向かっている先にあるのは、おれたち防衛チームの基地だった。どうやらこの怪獣は、基地を目指して歩いているらしいのである。
「あいつ、わたしたち防衛チームが目的なのかしら」
どうする、ハヤト隊員? そう確認してくるミネ隊員に対し、おれは即断した。
「基地の演習場はどうだ? このまま進めばあいつは基地の演習場に入る、そこへ踏み込んだタイミングで一斉に攻撃を仕掛けて仕留める。あそこは場所も広いし、多少暴れたって被害も軽いだろう」
おれからの提案にミネ隊員も「了解!」と応じ、すぐさま行動に移る。
さいわい怪獣の歩みは遅々としていて、ジェットファイターで追い越すことは簡単だった。おれたちは基地へ連絡を取って防衛軍と連携し、基地防衛システムを展開。そのために最低限必要な人員だけを残して、他の基地職員たちはすべて退避。さらにおれたち自身もジェットファイターで先回りして、向かってくる怪獣を待ち構える。
勝利を確信したミネ隊員が勇ましく吼える。
「さあ、おいでブサイク怪獣! この防衛チームの紅一点、ミネ=アンナが相手してあげるわっっ!!」
そして怪獣が演習場へ踏み込んだ途端、おれたちと防衛軍は一斉に攻撃を開始した。怪獣へ向けられる無数の機銃と自動砲台、そこから放たれるのは絶え間ないメーサー光線の稲妻とミサイル弾幕。たとえ相手がゴジラだろうと丸焼きに出来るほどの大火力の猛攻撃、その直撃を怪獣はまともに受けたはずだった。
だが、しかし。
「効いてない……!?」
巻き上がった猛烈な爆風と土埃、それらがひと段落したときに現れたのは、演習場の真ん中で平然と立っている怪獣だった。怪獣には、おれたち防衛チームの攻撃が全く効いていなかったのである。
「『これだけぶち込んでやったのにまるで無傷』だなんて、ちょっと自信失くすわね……ッ!」
ミネ隊員が悔しげに唸るのと同様、おれもまた驚きを隠しきれないでいた。並の怪獣であれば、今の一斉射撃だけで大抵カタが着くはずだ。ところが今回の怪獣は、おれたちと防衛軍の攻撃を全くものともしていない。
そうこうしているうちに怪獣は悠々と進み続け、やがておれたち防衛チームの基地の建屋へと迫った。安っぽいヤットコのような拳をぐるぐると振り上げて、おれたち防衛チームの基地を叩き壊しにかかる。
「ああ、わたしたちの基地がっ!」
ミネ隊員が悲痛に叫んだとおりだ、このままでは怪獣におれたちの基地を破壊されてしまう。
……やむを得ない。おれは防衛軍へ追加の支援砲撃、怪獣への総攻撃を要請した。今度の防衛軍は戦車隊や重砲部隊まで動員し、あらゆる火器を使って怪獣を攻撃しまくる。
耳を衝く壮絶な轟音が響き渡り、またしても凄まじい猛火が怪獣の全身を襲う。
だがそれでも、怪獣には傷一つつかなかった。戦車の大砲を食らっても、機関砲やロケットランチャーでハチの巣にしても、怪獣はびくともしないのだ。それどころかこちらの攻撃など気にもせず、怪獣はどんどんおれたち防衛チームの基地を破壊してゆく。これじゃあ本当に怪獣を退治しているのか、怪獣に遊ばれているのかわからん有様である。
……かくなる上は、“変身”するしか。
しかし、おれの正体が光の国からやってきたウルトラ戦士であることは、独力で看破してみせたシルフィア以外には秘密にしていた。
そしてそれは防衛チームの仲間たち、もちろん相棒のミネ隊員にもだ。これまではなんとか誤魔化しつつやってきたけれど、ここでおれがウルトラマンに変身してしまったら正体に勘づかれてしまうかもしれない。
だけど、世界の平和には代えられない。覚悟を決めたおれが懐の変身アイテムへと手を伸ばしたとき、驚くべきことが起こった。
「えっ……」
唖然とするミネ隊員。おれも、いったいなにが起こったのかわからなかった。
「消えた……!?」
そう、怪獣が、消えたのだ。
ジェットファイターに搭載されているレーダーを見てみても、怪獣の姿はまるで見当たらない。つい先ほどまでおれたちの眼前にいたはずの怪獣が、忽然と煙のように姿を消してしまったのである。
ジェットファイターで周囲を捜索しに掛かるおれとミネ隊員、不意にミネ隊員が素っ頓狂な声を上げた。
「見て、あれ!」
ミネ隊員の指した方角を見て、おれはまたしても驚愕する。
「破壊された街が、直ってゆく……!?」
踏み潰された道路や街の建物、蹴り壊されたハイウェイ。怪獣が歩く途上で破壊していた街並みすべてがみるみる修復されてゆき、やがてすっかり元通りの姿へと戻ってしまった。
後に残ったのは、いつもどおり平穏な街と、戸惑うばかりの街の人たち。つい先ほどまで怪獣が出現していたなんて、まるで嘘みたいだった。
でも、と呟くミネ隊員。
「……怪獣が暴れたのは現実みたいね」
そう振り返った視線の先には、怪獣によって破壊されたおれたち防衛チームの基地があった。
全3話、全43,000字。しばしお付き合いいただけると幸甚です。