【朗報】俺の相棒、かわいい【褐色美少女】   作:タスマニアたけしMK1a

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「勇者御記....?まさか沖縄にも勇者がいたの?」


【朗報】俺の相棒、かわいい【褐色美少女】

古波蔵棗。それが彼女の名前だ。

浅黒く焼けた小麦色の健康的な肌。美しい灰色の髪。一見して活発そうな印象を与えそうな少女、だが実際は逆、基本的に無口だが優しく、まさにクールビューティと言ったところか。やっぱ棗は最高!お前も棗最高と言いなさい!!棗最高!棗最高!棗最高!!!

 

 

失礼、少しばかり取り乱してしまった。

まず、彼女は強い、ぶっちゃけ彼女が居なかったら俺たちの住むこの地は一瞬で陥落していただろう。彼女から放たれる神速のヌンチャクには白い怪物共も成すすべがない、ざまあみろだ。

ちなみに俺の武器は狙撃銃だから接近戦がクソ、仕方ないね。文句は神様に言ってくれ

 

さて、白い怪物ってなにかさっぱりな人のために一から説明しよう

あれは確か4年前...2015年だったか、突如として空から真っ白な化け物...ピーナッツをでっかくしたみたいな形にデカい口だけをつけた姿をしていた。が降ってきた。それも大量に...いや、比喩表現とかじゃなくてマジで降ってきたんだぜ?そんで手当り次第に人を食い殺し始めやがった。

 

もう俺はブルっちまったね、てか漏らした。そんでガクガクブルブルしながら「やばい!!」って喚いてた時にいきなり俺の頭の中に声が響いてよ、こう言うんだ『今すぐ南の方にある神社に行け(意訳)』ってな。(多分神様の言葉?とかじゃなくて人の言葉ではあったんだが、方言キツすぎてこの時はイマイチ分からなかった)

 

んで、最初は混乱してたから固まっちまったけどよ、どちらにせよそのまま腰抜かしてたら死ぬのは分かってたし全力で駆け出したよ。糞尿やら涙やらを漏らしながら必死に走って走って走った。そして着いた。ボッロボロの神社に

 

そしたらまた頭によ『こん中にある銃をお前にやる、俺らの故郷のこと頼んだぞ(意訳)』って聞こえた。で、中見たら本当にホコリ被ってる古そうな銃が一丁あったんだよ。

んでそこからは...正直そんな覚えてないから結構雑になるかもだけど許してくれ。

 

不思議なことに当時の俺は、銃の扱いなんて知らないはずなのに、何故か扱えた。そして弾はいつの間にか腰についてたポーチにしこたま入ってた。

 

もう、ここまで描けば分かるよな?あとはもう一心不乱さ、化け物を撃って、撃って、撃って撃って撃って撃って撃って撃って撃って。

気付けば当たりは暗くなっててよ、俺の後ろには数十人...いや、100は超えてたかな。人が身を寄せあっていた

そして隣、いや俺よりも前に出てヌンチャクを化け物相手にぶん回す少女。そう、古波蔵棗が居た。いつの間にか共に戦っていた。

 

幸いな事に、それから程なくして戦いは一旦終わった。

まずは2人とも一息ついてから自己紹介をした。俺の名前...「赤嶺 琉玲」を聞いた彼女はいい名前だなって褒めてくれたのを覚えてる。

それでその後は...どうしたっけ?たしか海神がどうたらとか話した記憶が.....

あ、思い出した。簡潔にまとめるとこう

 

怖い神様、人類に対して粛清を行う(それで送られてきた手先があの化け物達)

↓↓↓

ここ(沖縄)の土地神、この土地に住まう人を守ると決意。

↓↓↓

棗を自らの力を使って戦う勇者として選定。ちなみに俺の方は昔この辺りで戦死した軍人が死後神として祀られることで力を得た存在らしい。

↓↓↓

この銃扱えそうないい感じの益荒男か戦乙女を探す。そして俺が選ばれる。

 

だそうだ。彼女いわく海の声(土地神のことと思われる)ってのと何となくではあるものの意志を交わせるようで、そこ経由で知ったとかなんとか。本来は化け物と戦う勇者、そして神の声を聞く巫女と別れるらしいがこの地には巫女の適性を持つ者は棗以外居なかったようだ。

なんなら敵の出没は棗の飼ってる犬のペロが感知してる。アイツ凄いんだぜ、初対面の俺の股間を噛みちぎろうとしてきやがった。ポチじゃなくてケルベロスって名前のがお似合いじゃないか?

 

これが出会いだ。中々強烈な出会い方だったなと、今振り返って思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

....よし、忠告だ。ここから先は真面目に書く気は無い。覚悟した方がいい。

 

まず第1に棗はカワイイ、そしてカッコイイ。これは誰もが知る当然の事実である。たぶん古事記にもそう書いてある。

初めこそお互いぎこちない関係性であったが、肩を並べ戦い、幾度も会話を重ねる内に気が付けばいつもベッタリだった。一見して冷徹そうな棗が実はポンコツ...と言うか天然な所が結構あったり、海が滅茶苦茶好きだったり、変温動物並に寒さに弱かったり。本当に色々知れた。

 

そんな最早マブと言っても過言ではない俺たちの一日を僭越ながら描き綴らせて頂く

まず朝、当然のように俺の布団の中に居る彼女を起こす。何を言ってもここで寝るから最早説得は諦めた。

この時「かわいい」って言うと冬だろうが顔を真っ赤にして一瞬で起きるからオススメだ。

 

そして次に歯磨きして顔を洗う。当たり前のように2人分の歯ブラシが洗面所にある。寝癖のある棗も可愛いぞ

そしてやはり欠かせないのが朝食。1日のエネルギー源になるからな、わりとガッツリと行く。その日の調理担当は気分次第で変わる、俺も棗も簡単な料理は出来るからな。いつも「美味しい、ありがとう琉玲」って未だに赤らんだ顔を少し隠しつつ言ってくれるから思わず嬉しさで頭を壁に打ち付けそうになってしまう。もさもさ食べる棗も可愛いぞ

 

朝食を食べ終えたら着替えて外に出る。何をするかは日によってマチマチだが、1番多かったのは漁の手伝いとか畑の手伝いだったな。あの時の襲撃でほとんどの人は死んじまったが、生き残りが...いくつだっけ?まあ200は超えてると思う、かなり居た。から、出来る限り食糧面を安定させたかった。それで生き残った漁師さんが頻繁に漁をしていたんだ。

畑も同様の理由でな。でもゴーヤは勘弁な、悪いけど美味しさが分からんのアレは。

あ、もちろん棗は可愛かったぞ。デッカイゴーヤ採れた時に天使のように微笑んでたのをハッキリ覚えてるぜ。

 

それらを夕方まで続けたら海へGOだ。コレを読みし者どもが、疲れてないのか?と思うのも当然だろう。だが俺たちは勇者、日々化け物相手に立ち回ってたらそりゃ体力も付くさ。まあそれはそれとして訓練はしてるけどな。

 

棗は海が大好きだから、海を見ると我先にと潜っていく。普段は見た者に物静かな印象を与える目を輝かせ、一層楽しそうな棗の顔を見るとこちらまで楽しくなってくる。

そして2時間ほど泳いだら、砂浜にあがりそこで訓練をする。棗は木製のヌンチャクを使って型や動きの確認、俺は弾の無駄遣いはしたく無かったので基礎体力作り。

(神様いわく、別に弾を作るのにコストはほとんど掛かってないから訓練に使っても大丈夫らしいが。今後のために神様には少しでも力を蓄えといて欲しかったからだ)

 

それを終えたら帰宅して就寝。ちなみにこの時棗は自分の家(隣の家)のベットで寝るが、夜中にコッソリこっちに来て布団に入り込んでくる

カワイイの過剰摂取で死にそうだよもう。

 

と、これが平和な時の過ごし方。運が良ければ化け物共が一週間以上来ない時もあるが、まあ大概は週に2、3回は来やがる。そうしたらその日の予定なんかパァだ、ちくしょうめ

あ、ちなみに奴らが攻めて来たと知った棗のキリッとした顔はカッコイイぞ。

俺らの戦い方は至ってシンプルだ。棗が近距離で暴れて、俺は棗が取りこぼした奴をブチ抜く。終わり、ホントにこれだけである。まあそれも棗の戦闘センスと俺の謎の狙撃の才能が無ければ成り立たないんだが。

 

あ、戦い始める時に棗が「人類の敵、花により散れっ!」って言うのカッコよくない?最高じゃない?

 

あ、そろそろ俺の事を気持ち悪いと思い始めてる頃だな?俺には分かるぞ。

まあ待て、棗の可愛さを知れば俺の気持ちがよく分かるはずさ.....どの話をしようか.....あれだ。

 

化け物共の襲撃も無かった平和なある日、2人でいつも通り畑仕事やら漁の手伝いをしに行こうとしていた道中での出来事だ。いつもの道を談笑しながら歩いていた俺たちは、白昼堂々外でイチャつくカップルを見かけた。沖中夫婦と呼ばれている2人だ、この状況下でも変わらずイチャイチャするアツアツカップルとして名を馳せている。

そんな2人がしていたのは、いわゆる「食べさせあいっこ」だ。体を密着させ、お互いの手にあるかき氷を相手の口に入れる....アイツらあんな事して暑くないのか?という疑問は一旦置いておく

 

とまあ、こんな感じでイチャイチャしていた沖中夫婦を見た棗はしばらくその場に留まりそれを観察し始めた。俺はもう口から砂糖を吐きそうだったのでさっさと退散したかったが、棗が動かない。

どうしたかと聞けば「私達もやろう」と言い出すでは無いか、いやーもうね、固まっちゃったよね。顔から火が出る所じゃなかったわ、もはや火山。

え?やったのかって?、やったよ。当たり前だろ?夕飯の時にどっちもやったよ。「不思議だな...いつもより美味しく感じる。琉玲、ありがとう」って言われて危うく死ぬとこだった。

あぁ、どうか忘れないで欲しい、棗は我々の光であり______

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありゃ、インクが切れちまった

 

 

 

 

 

 

よかった、まだ1本ペンが余ってた。

くそー、本当は棗に対する愛をあと154ページは書きたかったんだがなぁ...予備のペンがもう無いからなぁ

やっぱり食糧は自給自足出来ても日用品は結構大変だな。特に紙や布、そして今俺の使ってるペン何かも少しずつ無くなって行ってるんだよな。まあ、あの時からもう4年、随分持った方だろうな。

 

けど、もう限界が近い。奴らの襲撃は日に日に力を増し、一体一体ら大したことない白い怪物共も合体して強力な化け物に進化してきたりもしている。

これを書く3ヶ月ほど前、棗が負傷した。いままで負傷と言ったらちょっとした切り傷くらいだったものだったから油断していたのかもしれない。

初めて見る鋭いくちばしをもつ小さな鳥のような化け物に脇腹を貫かれ、口からどす黒い血を吐き、彼女の纏う白い勇者装束が赤く染まるのを見た瞬間、体から力が抜けて頭が真っ白になったのを覚えている。

そしてばたりと倒れた棗を見た俺は、今まで出した事がないような怒声を上げて奴らに襲いかかった。自分からこれだけの声が出るとは思わなかった。

俺はあくまでも狙撃が本分なだけで、この銃に付いた銃剣はけして飾りでは無い。

情けない声で棗を呼びながら、戦い続けたのは未だに覚えてる。撃って刺して撃って刺して...。

何度呼びかけても、海について語っている時のあの楽しそうな声は、人々と触れ合う時の優しさに満ちた声は、絶対に、生きて戦いを終えると指切りをした時の真剣な声は、帰っては来なかった。

 

何分、いや何時間戦っていたかは正直分からない。ただハッキリしてるのは、戦いを終えた瞬間血の池に沈む棗を抱き上げ、医者の所まで連れて行くために勢いよく地面を踏み抜いたことだけ。

 

 

結果だけ言えば棗は助かった。そもそも死んだなんて書いてないしな、あくまで負傷だ。

だが重症である事には違いない、不幸中の幸いか臓器には傷が付いてなかったものの、出血が多く、勇者装束の防御力と回復力が無ければ死んでいた。と医者は言った。

本当に怖かった。棗が死んでしまうんじゃないかって。彼女が処置を受けている間、ずっと涙と震えが止まらなかった。

そしてその恐怖はやがて自己嫌悪に変わった。「なぜ油断していた」「なぜ奇襲に気付くのに遅れた?お前の仕事は棗の援護射撃だろう」

「もう少し視野を広く持っていれば」

 

そう考え始めたらキリが無かった。

やがて処置を終えて、島唯一の診療所の治療室から出てきた医者のおじさんに俺は縋り着いた。みっともなく泣き喚いて棗の安否を確認した。

おじさんから棗の無事を聞いた時、その場にへたり込むように座った。涙はさらに出てきて止まらなかった。

 

棗は自分が油断したせいだから気にするなと言ってくれたが、それを言うなら油断してたのは俺もだ。お互いに謝りまくって謝罪合戦が始まったよ。

最後には....いや、流石に恥ずいから書くのはやめとくか。

 

それでだ、棗が暫く動けない以上戦闘は俺のみで行わなくちゃいけない、だが今まで狙撃メインで立ち回っていた俺ではどうしても近接戦でボロが出る。そこで神様に力を貸してもらって新たな装備を手に入れることに成功した。

名前は95式軍刀、かつての大日本帝国陸軍で使用されていた刀だ。銃を見つけた神社の床下に眠っていたのを見つけて神様に力を込めてもらった。これ凄いぜ、化け物共がスパスパ切れるんだ。

 

なんかこれを使って戦うと武士になった気分になるんだよな。目標は三千世界撃てるようになることだな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やべ、大量にきやがった。一旦書くのやめ

 

 

 

 

 

危なかった。とんでもない数が来やがった、今までの比にならない位の軍勢で攻めて来た。もう少しで押し込まれるところだった、棗が無理をして出てきてくれなかったら皆死んでた。

 

 

 

皆と話し合って決めた。この地を、棗と共に守り抜いてきたここから、脱出して四国に向かうと。棗には内緒で決めた、きっと棗はここに残ろうとするから。ごめんな、恨んでくれてもいい、好きなだけ罵ってくれてもいい、だからお前は生きてくれ

 

 

 

 

 

四国では、何柱もの土地神が集い、力を合わせる事で強力な守りが完成しつつあるらしい。勇者も複数人いるとかなんとか。棗ならきっと直ぐに仲良くなれそうだな、天然な所は絶対に向こうでもウケる、間違いない。この御記を読んでるお前なら分かってくれるよな?

 

 

 

 

棗は結構眠りが浅かった。いつ化け物共が来るか分からなかったから、少しでも物音がすればすぐに起きた。でも、いつしか2人で眠るようになってからは、少し眠りが深くなった。俺が抱き上げて運んでも起きない位には

 

 

 

 

棗、お前ってあんなに軽かったんだな。こんなに軽い華奢な体で、こんなに細い腕で皆を、俺を守ってくれたんだな。ありがとな棗。脱出組の皆さん、棗を頼みます。

 

 

 

 

 

ごめんな、あの時病室でした約束守れそうにないや。ごめんな、棗。情けない恋人でごめんな

 

 

 

 

さようなら。また、いつか。君と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「.......大赦が隠してた資料にね、こんな記述があったんよ。『遥か南方より漁船で避難してきた民間人及び1名の勇者あり』ってね。ねぇ、勇者さん、貴方の大好きな恋人さん、最後まで生き残ったみたいよ。生涯独身で、大赦から何を言われても結婚しなかった頑固な人って書かれてたよ。ほんとうに、貴方のことが好きだったみたい」

「.....せめて、弔ってあげましょう。安らかに眠れるように」


彼女達の視線の先には、無骨な銃と刀を手に持ち、物言わぬ骸と成り果てた勇者の姿があった。その眼孔は、敵の訪れる海を睨みつけるかのように、真っ直ぐ先を向いていた。
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