私の名はStave。ここ、Minecraftの世界で一人生きるクラフターだ。
私は、建築、採掘、伐採、栽培。芸術、薬学、生物学など、ありと凡ゆる才を持つ。だから、私に出来ぬことなどあるのだろうか。
最終的にはクリエイティブモードという万物創造の力を得て、攻められることも無いだろうに城塞都市を作り上げ、一体どんな敵を想定していたのか究極の兵器を作り上げ、世界の終焉に棲まうという黒龍を、復活の儀式を繰り返しながら蹂躙した。
私はいつしか自分の行動や生に飽きを感じていた。全てを得て、全てを破壊する力を持った上で、何故何かを守り、何故戦うのか。
最早レベルは一万を超え、自分が何のために生きているのかさえも分からなくなっていた。
私はまた何度目かわからない終焉の黒龍を撃破する。
黒龍の身体は何度も爆ぜ、怪しげな光に包まれた後、断末魔を上げながら消えていく。
「█▆▅▄▄▅▄▆▆▄ッ!!」
「帰るか……」
黒龍の消えた後からは、黄色と黄緑色の光の粒が雨のように降り注ぎ、私のレベルがまた急速に上がっていく。
最早この数字に意味はなく。死んで終えば零に戻るが、それをする必要も無いだろう。
して終焉の中央に佇む祭壇に、何処までも続く無限の宇宙が広がる。ここを通れば私はゲームをクリアする。
ゲームをクリアした時の神からのメッセージも全て覚えた。
私はもうなにも楽しみも恐怖も感じない虚な目で、宇宙の中へ足を踏み入れた。
◆◇◆◇◆◇
すぐに視界は変わる。終焉に至るまでベッドを置いていないので、初期地点。所謂最初に生まれた地にリスポーンする。
私の視界に広がるのは、何処までも続く地平線が見える平原と点々と至る場所に生える木の数々。の筈だった……。
そこはとても高い芸術性を感じさせる、荘厳で高潔さが読み取れる宮殿だった。
「ここは……?」
そう、私が周囲の風景と今の状況を察する前に、私の目の前にて玉座に座る白い髭面の男が口を開いた。
「よくぞ来た勇者よ! 我が名はガイラル・ゲルニクス。アルカ王国の王である。突然のことで驚くかと思うが、どうか落ち着いてほしい」
「ガイラル・ゲルニクス。アルカ王国……そういう設定か。別にいつものことだ。驚きはしない。続けてくれ」
どうしてリスポーン地点が王国となっているか分からないが、王と名乗る彼の話から察するに、何者かが使った別世界に私は飛ばされ、何者かが作った都市の中で目を覚まし、何者かが作ったModによって何らかのストーリーが展開されているのだろう。
全く、その何者かが分からないが私は、定められたストーリーラインを理解して、進めなくてならない。そう考えた。
「お……おぉおう。それならば話は速い。お主よ、ステータスオープンと唱えてみなさい。
お主の現在の能力が値として表示されよう」
「ステータスオープン」
私は間髪入れずにそれを唱えると、私の目と鼻の先に一つのUIが表示された。
そこにはこう書かれていた。
──────────────────
名前:Stave
職業:坑夫・勇者
レベル:0
体力:♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
防御力:無し
満腹度:⭔⭔⭔⭔⭔⭔⭔⭔⭔⭔
攻撃力:+1
所持品:無し
スキル:
・道具作成 LvMAX
・武器作成 LvMAX
・薬調合 LvMAX
・所持品圧縮
・物質圧縮
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とあった。またこれらのステータスは全ての人に見えているようで、ガイラルが驚いた表情をしていた。
「おぉ……これは素晴らしい。歴代勇者よりは劣るが、使い勝手の良さそうなスキルを多数持ち合わせておるな……」
「そうなのか……」
スキルの横にあるLvMAXの意味が良く分からないが、私が考えるには、おそらくこの世界の技術基準というものだろう。
そしてLvMAXはこの世界において最高基準に達している。そう考えるのが、ガイラルや周囲の反応から何となく分かる。
「うむ。良い。では、次はお主をどうして呼んだのか。それを話そう」
「分かった」
このは話はとても長かった。とても短く言うと、世界のどこかにいる魔王を倒せとのことだった。それがこの世界を覆う危機を救う方法だと。
「という訳だ。して、これを引き受ける気はあるかの?」
「なにも問題無い。すぐにクリアしてやろう」
すぐにクリア。それはこの世界がどれだけ広いのかを見てから分かる物だが、魔王を倒すこと自体はさほど難しいことでは無いだろう。
このストーリー。長くなりそうだな……。
「おぉ、その言葉を待っていた! ならば、まずは勇者の仲間を此処に呼んである。もうすぐ到着する頃だろうから、大臣から装備や諸々を受け取ってくれ。
空き部屋に案内するから、身支度をするといい」
「分かった」
私はガイラルの大臣と呼ぶオーバストという名の男に空き部屋に案内され、様々な装備と物を渡してくれた。
渡された物は全身フル装備の鉄防具に、鉄の剣と鉄の盾。
長期保存出来るのであろう干し肉を五十枚と、回復ポーションを十個だった。
防具は良いが、食料が干し肉とはな。今まで食ってきた肉に鮮度など気にしたことは無かったが、どうも心許なく感じる。
ただ文句も言ってもどうしようもないので。それに現地調達も出来るかもしれないので、私は鉄フル装備に着替えて部屋を出た。
部屋を出るとオーバストが待ってくれていたため、王の間まで案内される。
「おぉ、戻ったか。仲間がこちらに到着したようだ。入り口で待っているとのことだ。それでは行け! 魔王討伐に! あぁ、あとお金も渡そう……」
勢いよくガイラルに命令され、その後に私はお金を渡された。
私は王宮を出ると、目の前には三人の仲間であろう人間が居た。
「私はStaveだ。よろしく頼もう」