白兎に転生憑依したので最強を目指す   作:孤狼 龍

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 とある晩、男神は白き兎のようなヒューマンに言った。

「これからの未来のためにお前の家族を連れていく」

 とある灰色の髪の美しい魔女は言った。

「お前を遺して先に逝く私たちを許してくれ、そして決して赦さないでくれ」

 とある大柄な武人は言った。

「俺たちがお前にしてやれるのはこれだけだ。せめて、お前が剣を持たなくてもいいような世界を作ってやりたい」

 そして2人は同時に言った。

「「もし、()達が帰ってこなかったら。あの爺が何かしでかさないか見張っててくれ」」

 白き兎のような少年はそれを聞くと何も疑わぬまま去っていく3人を見送った。それが少年にとって、最後の教えとなった。
 そして、その祖父からの最高の教えは“英雄の素晴らしさ”。そんな祖父の最後の教えは…

「??。ハーレムは男の浪漫じゃ!」

 少年はその教えが最後になったのを盛大に後悔した……そして少年は己の育った家を焼き、伯母……義母の形見を身に付け、義父から譲り受けたものを携え、祖父から頂いたものを腰に差し入れ、冒険者になるために旅を出た。


第1話“白兎の始まり”

 迷宮都市オラリオ――『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。富が、名声が、何より『未知』が依然として眠る、魅惑の地。己が望みを叶えるため、人は高みを目指す。

 

 

『ヴヴォォォォォォォォォォォォォォッ!』

「ちっ!!ついてないなぁどうも!!」

 

 その地下迷宮、ダンジョンの中で1人の少年(白兎)が走っており1匹の猛牛(ミノタウロス)がその後を追っている。

 

「本来なら中層に居るはずだろテメェは!!なんでここにいるんだァ!」

『ヴヴモォォォォォォォォォォォォォォッ!!!』

 

 そんなこと言っても迫り来る猛牛(ミノタウロス)には通じない。そして徐々に、いやかなり追いつかれてるのが傍から見てもよく分かる。

 それもそのはず、ミノタウロスのLvは2に対して少年のLvは1。なに?ゲームじゃ些細な差だから勝てるかもじゃんって?残念だがこの世界のLvの差は絶対。Lv1の領域とLv2の領域は天と地の差がある。Lv1とLv3の領域なんてのは神と奴隷レベルの話になる。それほど絶対的なのだ。

 事実今現在最強なのはLv7という存在。今の所2人しか存在してないらしい。

 

「ちっ、ここにいる原因を考えても仕方ねぇ…他の冒険者もいる………なら、応戦するしか、ないよな。それに……あの人たちなら立ち向かう」

 

 少年はそう呟くと振り返ってミノタウロスと向かい合う。そして剣を構えた。

 

「さぁ、かかってこい。相手してやるよ牛野郎」

『ヴヴヴッ』

 

 ミノタウロスがその拳を振り下ろそうと構える。それを見ると目を瞑り呼吸を整える。

 

「……スー…フゥ〜…」

 

 腰を低くし剣の柄に手を掛け構える。その瞬間。ミノタウロスは少年を潰そうとその拳を振り下ろす。

 

「“絶対切断(アブソルート・エンド)”!!」

 

 目を開き一閃するとミノタウロスの胴に横一線の切り傷が入り、振り上げてない方の腕が斬り落ちる。そこから血が溢れるが……絶命には至らず。

 どうやらミノタウロスは咄嗟に自身の振り上げてない腕を前に出して防御の構えを取って衝撃を殺し、その瞬間に半歩下がっていたようで胴体切断にならずに済んだようだ。

 

『ヴゥゥ』

「……やっぱり簡単には殺れないよねぇ」

『ヴモォォオォォォッ!!』

「っぶねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?」

 

 ミノタウロスが腕を横薙に払うのを少年は後ろにのけ反って避ける。そしてバク転しながら距離をとる。

 

「こういう時だけレベル差ってのが恨まれるところなんだよな……ってヤバ!?」

 

 少年は距離をとったもののそれ以上にミノタウロスが早く動き、拳を振り下ろさんとしていた。

 

「っ!?(不味い!避けれねぇ!)」

 

 少年は不十分な体勢から避けれないと判断し受身を取る構えをする。そしてミノタウロスがその拳を振り下ろした……瞬間。

 

「はぁ!」

「やぁ!」

 

 二閃の軌跡がミノタウロスの胴を切り裂きその身を両断させる。その際の返り血を少年は思いっきり頭から浴びてしまう。

 

「あの、大丈夫ですか?」

「戯け、ミノタウロスに追われて無事な訳あるか。というか何故ここにミノタウロスが居たんだ?」

「あの、中層から逃げ出して」

「逃げたぁ?なんたってまた」

「……あのぉ」

 

 目の前で少年を助けたのは金髪の美少女と着物を着た黒髪の美女だった。置いてけぼりにされてる少年はとりあえず声を掛けることにした。

 

「おぉ、すまんかった。置いてけぼりにしてしまったな。立てるか?」

「はい。あの、助けていただきありがとうございます」

 

 立ち上がった少年はそのまんま頭を下げる。正直な話血塗れな姿で言う事ではないのだろうが……。

 

「いえ、私たちが悪いので。こちらこそ、ごめんなさい」

「私はたまたま助けただけだ。気にするな。それで名前は?」

「はい。ベル、ベル・クラネルと申します」

 

 少年、ベルは自身の名を告げる。2人はそれを聞いて頷くとそれぞれ自己紹介を始めた。

 

「ご紹介が送れました。私はアストレア・ファミリア所属のゴジョウノ・輝夜と申します。よろしくお願いしますクラネル様」

「私はロキ・ファミリア所属のアイズ・ヴァレンシュタイン。本当にごめんなさい」

 

 ベルはその名前に聞き覚えがある。というか知らない人はいないだろう。アストレア・ファミリアの『大和竜胆』ことゴジョウノ・輝夜はLv.6、ロキ・ファミリアの『剣姫』ことアイズ・ヴァレンシュタインはLv.5の第1級冒険者だ。

 それと同時に冷や汗を流している。一瞬とはいえLv.1(ベル)Lv.2(ミノタウロス)と渡り合ったからだ。それを見られたとなったら何を質問されるかわかったもんじゃなかった。そもそもベルは恩恵を貰ってからまだ3日しか経ってないのだ。それがバレたらどえらい質問攻めに合うのは目に見えていた。

 

「いえ、大丈夫です。それじゃあ」

「ちょっと待って」

「少々お待ちくださいませ」

 

 呼び止められた。ベルは物凄く嫌な予感をその身に感じながらゆっくり振り返る。

 

「「なんでミノタウロスに傷をつけれたんですか?」」

「……なんのことでしょうか、ゴジョウノさん。ヴァレンシュタインさん」

 

 やはり聞かれた。というか見られていたという事実が判明しシラを切るために私何も知りませんと言う台詞をベルは吐く。

 

「誤魔化さないでくださいませ、あの構え、あの切り口、あれは極東の居合の構えと酷似しています」

「それと、君の装備……どう見ても初心者の装備、武器は違うみたいだけど……なんでミノタウロス相手に対峙してたの?」

「……おっと急用を思い出したそれじゃあ!」

 

 早口でベルは言うとその場から一気に駆け出して逃げ出す。

 

「「あ……」」

 

 急なことで二人は追いかけることも出来ず立ち尽くす。

 

「アイズ!何やってんだ!!?倒したんなら帰るぞ!」

「輝夜〜!何処〜!!?」

 

 そして二人の仲間であろう狼人(ウェアウルフ)の青年と少女が呼び掛ける。アイズと輝夜はお互いそのまま一礼して立ち去る。

 

 その後、バベルのシャワーで血を洗い流したベルはギルドにて報告を行った。結果……

 

「3階層でミノタウロスに襲われたァァァァ〜〜っ!?」

異常事態(イレギュラー)でしたもん。無理ですよそんなん予測なんて」

 

 ギルドの受付にてベルは己の担当アドバイザーのハーフエルフ。エイナ・チュールに叱られ、驚かれ?ていた。

 

「というか君は冒険者になってまだ3日だよ?!なんで3階層にいるの!?」

「1日1階層制覇、それを5階層まで続ける予定だったので。その道中にミノタウロスに追いかけられましたね」

「馬鹿!!無謀すぎるよ!」

「そんなんだから今の冒険者は体たらくで勇者共はランクアップしてないんだよ」ボソッ

「え?ベル君、なんか言った?」

「いいえ、なにも」

 

 エイナはベルが小声でなにか呟いたと思ったが気のせいかと思う事にした。

 

「とにかく!冒険者は冒険しちゃダメなの!いくら君が冒険者になる前鍛えていた(・・・・・)とは言え、無理しちゃダメっ!」

「無理はしてないですね」

「とりあえずダメなものはダメェェェェェーーーーーーッ!!」

___________________________________________________

 

 ベルは魔石を換金してからギルドを出るとそのまま己のホームに戻る。大通りから脇道に逸れて人気の無い通りを通る。そして彼のホームである場所に辿り着いたが……そこは、家と言うにはあまりにも廃墟過ぎた。元は教会だったのだろうが屋根はボロボロ、外壁も所々落ちて風通しは良く、お世辞にもここに人が住んでるとは思えなかった。

 その廃墟の中に進むと地下に降りる階段がありそこを降りて戸を開ける。

 

「ただいま〜。帰ったぞヘスティア〜……寝てるのか?」

「やぁ!お帰りベル君!!今日は早かったね!!」

「ちょっとミノタウロスとじゃれてきた」

「それ本当かい!?君に死なれたらショックだぜ僕は!」

 

 そう言いながら帰ってきたベルに駆け寄り怪我がないか見てるロリ体型の巨乳美少女。彼女はヘスティア。ベル・クラネルの主神である。ちなみに団員はベルの1人のみ。

 

「大丈夫だ。それに俺が死んだらヘスティアは路頭に迷って野垂れ死にそうだし」

「言い方酷いぞベル君!!」

「それよりステイタス更新を頼む。ミノタウロスと戦ったからどれほど強くなってるのか知りたい」

 

 そう言ってベルはベットに向かいシャツを脱いで上裸になるとうつ伏せに寝っ転がる。

 

「全く。とりあえず聞かせておくれよ、なんでミノタウロスと戦闘になったんだい?」

「あ〜……長くなるんだが…」

 

 ステイタス更新されながら説明する。

 

「へぇ、ミノタウロスに追われてスキル(・・・)使って手を切断して落として胴体に傷をつけてそれを第1級冒険者の2人に見られ尚且つその人物はアストレアの子とロキの子で説明せずに逃げたってちょっとベル君!?」

「なんだヘスティア?」

「君はとんでもないことしたなぁ!」

「自覚はしてるがそれでも相手は格上のモンスターだぜ?しかも異常事態(イレギュラー)だし、そりゃあそんな風に相手するのは当然だろ?」

 

 ヘスティアはそう怒ってくる。だがベルの言う通り逃げても追いつかれるのでだったら交戦するか死を選ぶしかない状況。死にたくも無いベルは交戦する他選択肢はなかった。

 

「そりゃあそうだろうけど……まぁいいや、どうせいずれはバレるんだろうし」

「すまないなヘスティア」

「いいよ、はい。これステイタスの更新できたよ。全く君はすごい伸びをするねぇほんと。もはや成長じゃないよ。飛躍だよ」

 

 更新されたステイタス表を手渡されてベルは用紙を見る。

 

Lv.1

力 :D 568→C 603

耐久:E 423→E 482

器用:C 602→C 652

敏捷:C 698→B 739

魔力:D 530→C 600

 

《魔法》

【ケラヴノス】

付加魔法(エンチャント)/速攻魔法

・雷属性

・詠唱「轟かせ(ラアド)

爆散鍵(スペル・キー)放電(ディステル)

“インケラード・ケラウノス”

・長文詠唱

・広域殲滅魔法

詠唱「天よ叫べ、地よ荒べ、雷雲よ轟け。響く空、落ちる裁き。光り輝くは白き軌跡。天空(そら)の咆哮を聴き、雑音を止めろ。嘶け雷鳴(ブロンテス)。焼き貫け稲妻(アルゲス)。呑み込め閃光(ステロペス)。打ち砕く落雷、殲滅せよ雷撃。雷の権能を持って全てを屠れ」

 

《スキル》

【】

 

 

 

 

絶対切断(アブソルート・エンド)

・刀剣類装備時に切断属性付与。

・手刀時に斬撃属性付与。

 

 まず目を見張るのは魔法とスキル。魔法に関しては付加魔法(エンチャント)の魔法、さらにそれにプラスして広域殲滅魔法が同一されているというレア魔法。そしてスキルは手刀に斬撃を付与するというとんでもないレアスキルの2つ。まぁそれ以前にアビリティがトータル255オーバー。とんでもないぶっ壊れ成長である。

 

「本当にとんでもねぇなこれ、なんかスキル出てるんじゃぁねぇのか?」

「そ、そんな事ないよ!多分これも偶然さ!!」

「偶然で冒険者になって3日の新米がランクアップ可能間近ってどんなチート権能だよ!」

 

 そう、よく思い出して欲しいがベル・クラネルは戦闘慣れしてるが冒険者になって3日の新米冒険者なのである!これまで大量発生したゴブリンやコボルトを倒しまくってただけでトータル460オーバーなどざらにあった。

 

「本当に偶然なんだよー!!」

 

 そしてヘスティアの言葉も嘘である。彼には隠されたスキルがあった。

 

Lv.1

力 :D 568→C 603

耐久:E 423→E 482

器用:C 602→C 652

敏捷:C 698→B 739

魔力:D 530→C 600

 

《魔法》

【ケラヴノス】

付加魔法(エンチャント)

・雷属性

・詠唱「轟かせ(ラアド)

爆散鍵(スペル・キー)放電(ディステル)

“インケラード・ケラウノス”

・長文詠唱

・広域殲滅魔法

詠唱「天よ叫べ、地よ荒べ、雷雲よ轟け。響く空、落ちる裁き。光り輝くは白き軌跡。天空(そら)の咆哮を聴き、雑音を止めろ。嘶け雷鳴(ブロンテス)。焼き貫け稲妻(アルゲス)。呑み込め閃光(ステロペス)。打ち砕く落雷、殲滅せよ雷撃。雷の権能を持って全てを屠れ」

 

《スキル》

静寂情景(シュティレ・フレーゼ)

・早熟する。

・憧れが続く限り効果持続。

・憧れの丈により効果向上。

 

絶対切断(アブソルート・エンド)

・刀剣類装備時に切断属性付与。

・手刀時に斬撃属性付与。

 

 これがベル・クラネルの本来のステイタス。そのスキルは早熟、つまり憧れれば憧れるほどに強くなるという恐ろしいほど前例のない超がつくほどのレアスキルである。このスキルが後々、あるものを引き出すのだが、それはまた別の話。

 

「んじゃあヘスティア。夕飯にするか、今日もじゃが丸くんだろ?」

「おいこらァ!今日もって言うんじゃぁない!!」

 

 言い忘れていたが、件のベル・クラネルはただのヒューマンでは無い。元々は別の世界で社会人をしていた転生者で憑依者である。

 そして色々と省かせてあえて言わせてもらう。これは彼が英雄になるまでの物語である。




ダンまちの小説を改めて作り上げました。大賢者を失った代わりに得たものは多くあると思います。次回はベルくんの装備について触れていこうと思います!
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