白兎に転生憑依したので最強を目指す   作:孤狼 龍

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あらすじ

冒険者としてオラリオのダンジョンに入ってたベル君は、ミノタウロスと遭遇し追いかけ回される。腕を切り落とすも致命傷を与えれずにいると2人の第一級冒険者、【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインと【大和竜胆】ゴジョウノ・輝夜に救われる。
その後はホームに戻り己のぶっ壊れた成長速度を見て明らかにおかしいと感じるのであった


第2話“白兎と再会の二人(アイズと輝夜)

 ベル・クラネルの朝は早い。朝五時に起きてダンジョンに行く準備をする。

 

「じゃ、行ってくるよヘスティア」

 

 そう言ってホームを出るベル。彼の装備についてだが、ここで触れさせて貰う。まずはギルドから支給された胸当て、私服の上から着てるので初心者感丸出しの装備だ。だが羽織ってるローブと携えてる剣だけは別である。

 まず羽織ってる灰色のローブはある程度の魔法なら防げる防御力を誇る。そして携えてる剣は形状はシンプルな十字剣であるが、ベルが持つには少々強すぎる装備である。そしてさらに携えてるのはただの木剣。スキルのお陰でただの剣でもいいのだが、スキルがスキルなので敢えてそうしてるらしい。そして見えない位置にあるナイフ。これもまたなかなかの業物である。

 ちなみに昨日ミノタウロスと戦闘した際はちゃんと剣で応対していました。

 

「今日は4階層行ってみるか……つか朝飯抜いてきちゃったな、なんかどっかで食ってから行くか?」

 

 そんな事を呟いてると突然視線を感じ咄嗟にベルは背後を振り返る。誰もベルを見てる者は誰もいない。だが視線を感じる…感じる方向を見てるとそこにはバベルが建っておりその上層階に視線を感じていた。

 

「あの、これ落としましたよ?」

 

 そんな声を聞き振り返る。そこにはヒューマンの女性がいた。その手には魔石を持っている。

 

「あれ?おかしいな、たしかに昨日全部換金したと思ったんだが……ご丁寧にどうもありがとうございます」

 

 そう言いながら一礼して受け取る。

 

「お気になさらないでください。こんな朝早くから、ダンジョンに行かれるのですか?」

「はい、少しモンスターを狩ろうと思いまして…もしかしてここは飲食店ですか?」

「ええ、そうですよ」

「ふむ……」

 

 顎をさすりながら店を見る。『豊穣の女主人』と書かれた看板を見る。

 

「今夜食べに来ていいですか?」

「ええ!もちろんいいですよ!」

「俺はベル、ベル・クラネルです。ではまた今夜」

「私はシル・フローヴァと言います。お待ちしております。ベルさん」

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 ダンジョンにて、ベルは4階層に居た。

 

「うーん、歯ごたえがない。やはりもっと下に降りるべきなのか」

 

 倒したモンスターの魔石を指で弾いてキャッチしながらそうつぶやくベル。

 

「今の俺のステイタスなら7階層は余裕で行けそうだな……よし、行くか」

 

 そう呟くと木剣を構え直して下へ向かう。そうして向かった先はなんと9階層。道中大量のウォーシャドウやキラーアントに襲われるが難なくクリアした。

 

「……ここら辺ならいいか……“轟かせ(ラアド)”」

 

 そう呟くと雷をその身に纏わせる。バチバチ音を立てながら構える。すると目の前にウォーシャドウやキラーアントの大群が現れる。

 

「……さ、行くぞ」

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「25,000ヴァリス!?」

 

 ダンジョンから戻ったベルは【ギルド換金所】にて、魔石を換金しているとその規格外な額を聞いて逆に驚く。

 

「おっどろいたァ。ここまででかい金額になるとは……とりあえず帰ってヘスティアと今朝の店に行くか」

 

 そしてホームに戻りヘスティアを誘ったが……

 

「バイト先の打ち上げ?」

「ああ、そうなんだよ〜。せっかく誘ってくれたのにごめんねぇベル君」

「それは仕方ないだろ。気にするな」

 

 ヘスティアはどうやらバイト先の打ち上げがあるようで行けないということであった。それならば仕方ないとベルは一人で行く事にした。

 ちなみに余談ではあるがベルは朝昼の食事を抜いている。というか単純に買い忘れたので食べれなかった。

 

 

 一人で行くことにしたベルは豊穣の女主人の店に着くと店内に入る。

 

「あ、ベルさん!いらっしゃいませ!」

「約束通り来ましたよ。シルさん」

 

 ベルはシルに席の案内をされ、カウンター席に座る。金額を見てみれば結構な額がすることが目に見て分かる。無難におすすめメニューを頼む。

 そうして食べているとシルさんがやってきて軽く雑談をする。すると…

 

「ご予約のお客様!二団体、ご来店にゃ〜っ!」

 

 という声が響き、見てみるとそこには先日助けて貰ったアイズ・ヴァレンシュタインの所属するロキ・ファミリアと、ゴジョウノ・輝夜さんの所属するアストレア・ファミリアの面々が入ってきた。

 

「……マジか」

「どうしました?ベルさん?」

 

 ベルはまさかの事に驚きを隠せないでいた。絶対バレたらまずいと思い事前にシルに足りないように金を多めに払っていつでも逃げる体制に入る。

 

「よっしゃあ!ダンジョン遠征みんなご苦労さん!きょうは宴や!飲めぇ!!」

「みんな、今日は本当にお疲れ様、少し羽目を外して飲みましょう?」

 

 赤髪の髪と胡桃色の長髪の女神がお互いの音頭を取ったらしい。多分店に居合わせたのはたまたまなのだろう。

 そうして見ているとどんちゃん騒ぎが始まる。そしてシルからロキ・ファミリアとアストレア・ファミリアはこの店の常連さんなのだと言う。

 

「そうだ、アイズ!あの話をしてやれよ!」

 

 ロキ・ファミリアの狼人(ウェアウルフ)の青年がそんな事を言い始める。

 

「17階層でミノタウロスの集団が襲いかかってきて返り討ちにしたらよぉ!奇跡みたいに上層まで逃げた時にいたトマト野郎だよ!!」

「……」

 

 ベルの事だ。血を頭から被ったベルはまさにトマト野郎みたいになっていたのだ。そうして狼人(ウェアウルフ)の青年はベルの事を乏し続ける。それを聞いて最高幹部陣らしき3人とアイズ・ヴァレンシュタイン以外の全員が笑う。

 

「……シルさん、一旦外に出ていいですか?」

「え?えぇ、私も同行していいですか?」

「構いませんよ……」

 

 そう言って立ち上がると店外に出るため歩く。その際ロキ・ファミリアの面々はその姿を見てザワつくが、ベルは気にせず店外に出て、そのままクソでかいため息を吐く。

 

「べ、ベルさん……その」

「気にしてません」

「え?でも、今」

「気にしてません」

 

 シルはベルがクソでかいため息を吐いた事に驚いてる。ベル自身もそんなに気にしてないようにしてるが、嫌な事があったりするとやはり堪えるらしい。

 しかしベルは気付かなかった。すぐ近くに彼女らがいた事を…

 

「あら、先日ぶりですなぁ、クラネルさん?」

「君、この前の子だよね?」

「ゴフッ!?ゴホッ!ゴホッ!」

「ベルさん!?」

 

 風に当たるベルの前に現れたのは2人の美女、アイズ・ヴァレンシュタインとゴジョウノ・輝夜だ。

 

「ご、ゴジョウノさんに、ヴァレンシュタインさん」

「輝夜とお呼びくださいませ、クラネルさん」

「アイズって呼んで、私もベルって呼ぶ」

「おっと、それはずるいぞ剣姫。ならば私もベルと呼ばせて貰おう」

「……それで、輝夜さんとアイズさんは何故ここへ?」

 

 勝手に話を進める2人、だが名前を呼ばないと怒られそうなので名前を呼ぶことにしたベル。

 

「君がいたから」

「貴方様がここに出ていくのが見えたからでございます」

「……それで?」

「ごめんなさい!」

 

 アイズは急にベルに謝る。よく見れば2人の所属してるファミリアの人たちも見ており、ロキ・ファミリアの面々はアイズの謝罪を見て驚いてる。もちろんベルもだ。

 

「な、なんで急に?」

「私達が逃がしたミノタウロスのせいで君が危険な目にあって、それで酷いことを私のファミリアの人が言ってたから」

「確かにあれは酷いな、己の落ち度を棚に上げて他者を笑うなど言語道断だ」

 

 輝夜はロキ・ファミリアに所属していた狼人(ウェアウルフ)の事を非難する。

 すると、その狼人(ウェアウルフ)の人がやってくる

 

「おい、アイズ!そんな雑魚に謝る必要ねぇよ!」

「よせ!ベート!」

「うるせぇ!ババア!おい雑魚!てめぇ、ミノタウロスから救ってもらいながら、アイズに頭下げられてんじゃねぇぞ!」

 

 エルフの女性が狼人(ウェアウルフ)の人を止めようとするが聞かない。むしろ頭を下げられてる事に苛立ちさらに突っかかる……すると

 

「ベートさん、それは違う」

「あ?」

「そうですねぇ、確かに彼はそこいらの駆け出しとは違います」

「何言ってやがんだ!」

「ちょっ、待っ!」

「「この子は、ミノタウロスの腕を切断して胴体に深い切り傷を残してる」」

 

 アイズと輝夜はベルのした功績を話した。ベルは止めようとしたが間に合わず、それがロキ・ファミリアの面々とアストレア・ファミリアの面々に聞かれ、目を見開かれる。

 

「は?嘘だろ?」

「いいえ、本当です」

「そうだな、本当だ。この大和竜胆、ゴジョウノ・輝夜と剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインが目撃していると断言する」

「そうやな、嘘は言ってない」

「ええ、そうね」

 

 狼人(ウェアウルフ)の人が嘘だと思って確認するが断言する輝夜。それを聞いた2人の女神が嘘ではないと言う。神に嘘は通用しない。それは絶対の掟のようなものだ。

 

「マジ…かよ……」

「やぁ、少しいいかな?」

「……貴方は?」

「僕はフィン、フィン・ディムナ。僭越ながらロキ・ファミリアの団長をしているものだ。もしよろしかったらお話をしたいから一緒に食事でもどうかな?」

 

 フィン・ディムナ…Lv.6の第1級冒険者で勇者(ブレイバー)の二つ名を持つロキ・ファミリアの団長。そんな人に誘われて断る人はいないだろう。

 

「……分かりました」

「じゃあ一緒に食事をしよう」

勇者(ブレイバー)!私たちもいいかしら?!」

紅の正花(スカーレット・ハーネル)か。もちろん構わない。むしろ君たちにも礼をしたいと思っていたところだ」

 

 赤髪のポニーテールをしている女性も乱入してくる。その女性も、ベルは知っていた。アストレア・ファミリアの団長で紅の正花(スカーレット・ハーネル)の二つ名を持つLv.6の第1級冒険者、アリーゼ・ローヴェルだ。彼女も同伴するらしい。

 そうしてベルは最強派閥と正義の派閥の2組に囲まれるように店内へと戻る。もちろんシルもだ。

 

「さて、ではいくつか聞きたいことがあるが、いいかな?えっと」

「ベル、ベル・クラネルです」

「じゃあ、ベル君と呼ばせてもらうよ。いくつか質問したいが、その前にファミリアの団長として謝罪する。こちらの不手際で君を危険に晒し、申し訳なかった」

「いえ、あの場にたまたま居合わせただけなので……それに助けてもらいましたし……こちらこそありがとうございました」

「はは、礼を言われるとは思わなかった。早速質問してもいいかい?」

 

 フィンはミノタウロスの件について謝罪すると本題に入り始める。

 

「君は駆け出しの冒険者と言われてるが、本当かな?」

「はい、本当です」

「冒険者になってどのくらいかな?」

「4ヶ月くらいです」

 

 相手がおなじ冒険者で尚且つ神でないから嘘をついても問題ないと判断し嘘をつく……それがいけなかったとはベルは気づかなかった。

 

「次に、アイズの言ってたミノタウロスに傷をつけたのは本当かい?」

「はい、本当です。たまたまですが……」

「僕達に恨みはあるかい?」

「ありませんね」

 

 そんな事を言ってるとフィンは己の主神、神ロキを見るとロキはその意を察したようで告げる。

 

「フィン、嘘ついてるでその子」

「どこかな?ロキ」

「4ヶ月というところとたまたま傷つけたってところや。ほんまは何ヶ月や?自分」

「……という事だけど、本当の事を教えてくれるかい?ベル君」

「……分かりました。教えます」

 

 そしてベルは己が2週間前にオラリオに来て冒険者になって4日である事と、ミノタウロスを傷つけられたのはスキルのおかげであるということを伝える。

 

「冒険者になって4日でミノタウロスに傷をつけれるとは……」

「これはアレね!とても驚きのびっくり仰天って奴ね!」

「アリーぜ、頼むから少し黙っててくれ」

「ただの雑魚じゃなかったって訳か……」

 

 その事実を聞いた殆どの冒険者が驚きを隠せずにいるとフィンはある事をベルに聞く。

 

「ベル君、君はどこのファミリアかな?」

「ヘスティア・ファミリアです」

「「ヘスティア!?」」

 

 女神2人が驚きの声を上げる。

 

「おま、どチビのとこの子かいな!?」

「はい。そうですよ」

「ヘスティア、下界におりていたのね」

「なるほど、君んとこの団長にも謝罪を入れたい、ホームの場所を教えてくれないか?」

「あ、それなら問題ないですよ」

「ん?どいうことだい?」

 

 神ロキや神アストレアが驚いていると、フィンがそんなことを言う。だがベルはそんな必要ないと言う。その理由は……

 

「ヘスティア・ファミリアの団員は俺だけなんで」

 

 たった1人と1柱のファミリアだからだ。

 

「「「「「ハァァァァァァァァッ!?」」」」」

 

 その時、ロキ・ファミリアとアストレア・ファミリアの面々の気持ちは全く同じだった。零細どころかなりたてのファミリアかよ、と……




2話目投稿しました。いかがでしたでしょうか?
亀更新ですが、なるべく期間を空けないように投稿していきたいと思います。ある程度設定は固まってるので基本的に問題は無いと思いますがちょくちょく変更はあるかと思いますのでご了承ください。

では、次回予告!
ベルがなりたてのファミリアと知ったアリーぜとフィンはベルの潜在能力の高さがほかの神に目をつけられないかと不安になる。そこで2人の団長がとった行動とは!?
次回もお楽しみに!

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