(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第100話

悪魔の実の中でも三系統中最も種類の多い、悪魔の実の代表格とも言える系統、それが超人系。

他の二種に該当しなければ大体この系統に分類されると思っていい。

 

大雑把に実のモチーフとなっている「何か」に対し、自分自身が「何か」になる、「何か」を生み出す、周囲を「何か」にするの3パターンおよびその複合に分けられる。

 

体質が変化するものが多いが、他の二種類に比べ圧倒的に能力の種類の自由度が高く、初見ではどんな能力なのか全く予想もつかない能力も多い。

 

一見すると戦闘に不向きそうだったり、強そうには見えない実もあるため当たりはずれの大きい系統である。

 

一方でオペオペの実のように「生物」「無生物」問わず「生命」に関わる能力の場合、能力者や対象者の「命(寿命)」が削られるリスクを伴っている。

 

動物系や自然系は単純な能力の底上げがある程度期待できるのに対し、超人系は上記の通りある力を超的に特化(付加)させるものが多いため、ただ食べただけでは戦闘力の大幅な底上げは期待しづらい為、超人系は能力者としては格下と認識を持つ者もいる。

 

実の能力そのものがいくら優秀でも能力者本人の地の能力が伴わないばかりに台無しになる

逆に能力者と能力の相性が良いためにその力を何倍も有効活用できる

 

など「より人を選ぶ系統」とも言え、登場した実の数に反比例するように扱う難易度は3系統の中では一番上。

 

しかしその使い辛さに反比例するように、能力の「拡張性」「応用力」「利便性」は他の二系統と比べても群を抜いて高い。

 

これこそが超人系悪魔の実最大の利点と言える。

 

よって、得た能力を正確かつ柔軟に解釈できる理解力、能力を拡張・応用できる発想力。上記2点の要素を実現できるだけの能力者本人の練度と自己研鑽が動物系、自然系以上に能力者の戦闘力に直結する。

 

一見強そうに思えない能力を使いこなす強者も数多くおり、傍から見れば雑魚にしか見えない能力であっても四皇の幹部格の強さを誇る者もいる。 能力者が覇気を覚えていれば、覇気の特性を能力に付与することで更なる応用や能力強化も行える。

 

特にオペオペの実の能力を生かすには高度な医学の知識が必須だが、ローは医者の両親の元に生まれ幼い頃から医学の勉強を怠らなかったため、能力を十二分に生かすことを可能にしている。 「価値をしらねェ馬鹿な海賊」では、まずこうはいかないだろう。

 

ニビニビの実もカルディアの柔軟な発想力と自己研磨の末に得たからこその今であり、オークション会場の最高席に足り得ているのは間違いない。

 

「うちの商品に手をつけないでくれるか、ロー坊や。牢屋ん中がガラガラだと見栄えが悪くていけねえ」

 

オペオペの力で部屋全体を支配下に置き、牢屋の中にある偽物の軸になっている遺品とそこらへんに転がっている備品と入れ替える。核を失った偽物は消失し、ローの周りには遺品が転がった。

 

「だから坊やじゃねえよ、もう24だ」

 

「そんなにたったか、こんなに小さかったのにな」

 

「そこまでチビじゃねえよ!」

 

ローとカルディアのやり取りをみた商品達が救世主が現れたと崇拝の目でローをみはじめる。ローはその眼差しに気づいていたが、そこが本意ではない。今、シャボンディ諸島全体がめずらしいくらいに海兵の姿がなく、警備が手薄なのだ。目と鼻の先に海軍本部がおく拠点があると言うのに人員を割けないということはやはりなにかあるに違いない。

 

やりたいようにやれ、がドフラミンゴファミリーの基本方針だ。儲け話を持ってくるのが入団試験だが、ローはドフラミンゴから訓示をうけただけで傘下でも部下でもない。弟分なのか弟子なのかよくわからない関係ではあるが、海賊王になると決めたときから、間違いなくローの指針ではある。

 

だから知りたいのだ。なにもわからないと動けなくなってしまう。

 

ローは能力で片っ端から奴隷を牢屋から出し、首輪の爆弾とカルディアの所持品を入れ替えようとしたが先に燃やされてしまう。仕方ないから近くの檻と入れ替えた。その檻はカルディアの頭上に転移する。腰にさしているサーベルをようやく抜いたカルディアは、やれやれという顔をしながら檻を羊羹みたいに切り裂いた。

 

騒ぎに乗じて逃げ出そうとする商品をベポが誘導する。ハートの海賊団が彼らを乗せられるだけ乗せ、無理な種族はウミット海運に金を払って故郷に送るだろう。今までは血の掟の処刑の対象だったからできなかったが、今からはできる。金の許す範囲ではあるが。

 

鬼火が付与され、さらに武装色が纏わりつき異様な発光を始めたサーベルがローに向けられる。ローはここでようやく愛刀を抜いた。あまり大立ち回りはできないが、空間を物理的に広げてしまえば問題はなくなる。

 

「そんなに派手に暴れて何のつもりだ、ロー坊や」

 

「だから坊やはやめろ。ドフラミンゴと話がしたい。オークションをこれ以上台無しにされたくなきゃ連絡しろ。さもないとお前達もバラバラにする」

 

「それは困ったな......なんで今日なんだ。1週間後じゃダメなのか?時間と場所がそれを許さない。ドフラミンゴ様はご多忙な身だ」

 

「ドレスローザ直通のデンデン虫があるだろ」

 

「その暇すらない」

 

「天竜人に手を出しても?」

 

「大将が激怒しながら出てくるだろうな、この忙しい時にと。だいたい、いつの時代の話をしてるんだ、ロー坊や。ここではおれ達が法なのを忘れたか?14年前からそうだっただろうに」

 

「じゃあ、教えろ。今、なにが起こってる。ドフラミンゴが出てこれない、天竜人の危機に大将が八つ当たりするレベルって相当だぞ」

 

「明日の新聞でも見るんだな、部外者はそれが限界だ。出直してこい、ロー坊や」

 

ローは腹いせに近くにあった牢屋を叩き切った。

 

「堕落していないようで何よりだ。ドフラミンゴ様もお喜びになるだろうな」

 

オークション会場の裏口から待ち合わせ場所のレストランに向かったローは、入った瞬間にざわつくことに気づく。ちらほら手配書でみた顔がある。さすがは全ての航路が一度に交わる場所シャボンディ諸島。東西南北の同年代の新生達がすでにいるようだ。

 

その中にずっと探していた賞金首がいることに気付いて、真っ先にローはそちらに向かった。

 

「怪僧屋ッ!」

 

「ふむ......なにか用ですかな、外科医の人」

 

「聞きたいことがある。これ、アンタは読めるのか?」

 

ちぎったメモを渡す。なにも知らなければ子供の落書きにしか見えないそれ。ドフラミンゴの部屋にあった本で気になったものをひたすら頭に叩き込む過程でできた副産物だった。その真価に気づいたのは海に出てからだ。

 

にたりとウルージは笑った。ローはカバンから紙の束を渡す。

 

「訳してくれ、おれは読めない」

 

「青海に降りてから数年、ようやく訪れる時間というのは実にあっけない」

 

「!」

 

「運がよいな、外科医の人。記念すべき第一号だ、これを持っていきなされ。また必要になるだろう。明日の今の時間にこられたら、返そう」

 

紙の束の代わりにビブルカードを渡された。ローは笑った。

 

「ついでに教えてくれ。おれは北の海出身で、うそつきノーランドで育ったんだ。どこまで知ってる?おれは天夜叉の船に乗っていたことがあるんだが」

 

ノーランドの言葉にガタッと音がする。

 

「おれも聞かせてくれ、おれも北の海出身だ」

 

「ドレーク屋?お前もファンなのか」

 

「黄金都市があったんだ、ソラもいるのか気になるくらいには」

 

「......その傷は海賊堕ちした父親から受けたのか?」

 

「?!」

 

「お前を保護した海兵をおれはよく知ってる。だから聞こうと思ってた。なぜ海賊になった?なぜ父親と同じ道を歩んでる?」

 

ローの問いにドレークは答えない。ウルージは我関せずという顔をして、空島スカイピアについて話し始めたのだった。

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