(更新停止)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング) 作:アズマケイ
レベル5 極寒地獄は、雪と氷に覆われたフロアだ。懸賞金額1億ベリーの大台を超える犯罪者達が主に収監されている。囚人達は防寒着も無いため、凍傷で指が落ちたり凍死してしまう者もいる。極寒の為、監視用の電伝虫も設置されていない。牢屋の外には凶暴な軍隊ウルフが放し飼いにされている。軍隊ウルフの巣がある牢獄内の林に、ニューカマーランドに繋がる秘密の抜け穴がある。
エンポリオ・イワンコフが演説している。正面玄関を出たところで、いくら金獅子がいるとはいえ、外は脱出不可能の凪の海域。海軍本部に行くにしても、軍艦一隻は必ず必要になる。
そうなれば、単純に必要なのは頭数。味方を増やす必要がある。人数が沢山いるとしてもほんの一握りだけが正面玄関にたどり着くことができる。看守達に見つかればひどい拷問が待ち受ける。だからレベル5から1の囚人を一人でも多く解放していけるかにかかっている。走りながら鍵を奪い解放するべきだ。
「このインペルダウンに未だかつてナッシブルな大パニッカブルを起こサーブルのよ!さァ、いくわよ麦わらボーイ!」
「なんかレベル6に行きました」
「自由かー!?ヒーハー!!」
どどどどど、という地響きがする。なんだなんだと周りは極寒に震えながら辺りを見渡す。ズボッズボッと囚人達がはまっていく。雪が一区画だけ砂になった。
「クロコボーイッ!!ちょっとはしゃぎすぎじゃないの、ヒーハー!!?」
「うるせえ、文句はジジイに言え」
砂から実体化したクロコダイルが久しぶりの葉巻をくわえてぼやいた。
レベル6に戻ると言い張る同じく葉巻を満喫している舵輪にひきずられ、また戻ってきたルフィ達。27年もの間レベル6にいて全く運動もしていなかったから一気に体力や力も衰えたと舵輪が嘆いている。クロコダイルはさっさと脱獄したいが、うかつに横の壁ごと砂に変えると巨大な海王類が跋扈する凪の海域に出てしまう。結局上がらなければいけないとめんどくさがっている。
クロコダイルが天井に穴を開け、檻を支える柱ごと砂にかえ、豪快な音を立てて倒壊した檻。長年にわたる脱獄者0による慢心が、海楼石でできた檻への切り替えを延期し続けた。
舵輪が乗れといってきたとき、ルフィは意味がわからなかった。よくわからないまま座ったら、なんか浮いた。おれ達も乗せてくれと群がってくる囚人達に、舵輪は堕ちなきゃ連れてってやると笑った。
驚いている間にどんどん上に上がっていく。なんかすげーと無邪気に目を輝かせるルフィに舵輪はにやりと笑った。そして、極寒地獄はスルーされた。
ある区画に用があるとクロコダイルと舵輪がいうのでルフィ達はちょっと待った。
「ここを出ようと思うんだが少々兵力がいる。どうだ?おれと来るか?Mr.1」
「付き合いましょう、アンタになら。ちょうど退屈していたところだ」
靴にブーブークッションでも仕込んでいるのだろうか、歩くたびに放屁のような足音が響くのが特徴的な男が、パントマイムをしている。
「あ?」
「シキの親分!」
「喋るんかい!」
全然伝わってなかったので、舵輪は脱獄するぞと笑った。
「さあて、外に出る前に鈍った腕を少しは取り戻さねえとな。俺と対等にやりあえると思ってる奴がいると面倒だ、まとめて相手してやる」
檻のエレベーターにはどんどん敵味方問わず落ちてくる。舵輪に獲物をとられまいとジンベエ達もどんどん敵を倒していくので、結果として脱獄囚達の数は加速度的に増えていった。
シリュウが裏切ったことでいよいよ外部に情報は入らなくなる。シリュウから金獅子が脱獄しているとデンデン虫で知らされた黒ひげ達は、潜伏を選んだ。
その結果
マリンフォード海軍本部にて
「だから再三いったじゃねえか、センゴク元帥。黒ひげを七武海にすんじゃねえって」
ドフラミンゴが苛立ちを隠しもせずにふんぞり返っている。世界政府から直々に通告されてしまっては逆らえない立場とはいえ、ホーミングの警告が的中してしまった形だ。センゴク元帥は答えるだけの心の余裕がない。
七武海の強制召集に応じない黒ひげには世界政府から剥奪の権利があるが、公的機関の関係で所定の手続きをしなければすぐには無理なのだ。現行犯ならいけたのだが、インペルダウンがとんでもないことになっているため、こちらに情報が回ってこないのだ。
「───────それと、別件ですが、出航許可のない軍艦が一隻......そのインペルダウンを」
「出港したのか!?」
「え、あ、はい......」
「そうか......ならいい」
「えっ?!」
ガープが爆笑してセンゴク元帥に殴られ、ドフラミンゴは舌打ちをする。
「センゴク元帥!」
「今度はなんだ!」
「信じられないんですが、その軍艦が......空を飛んでいると報告が」
「何笑ってるんだ、またお前の家族だぞ、ガープ!!」
「いやー、すまんすまん。まさか海軍が伝説を2人も相手することになるとは思わんかったんじゃ」
ドフラミンゴは内心ざまーみろと笑っていた。