(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング) 作:アズマケイ
ドフラミンゴファミリーが偉大なる航路に入って1年後、世界政府は新たな秩序側をつくりあげるため、新たな制度を創設すると発表した。それは「王下七武海」。世界政府によって選ばれた略奪を許可された海賊達をそう呼ぶ。引き換えに必要とされるものは 圧倒的な強さと知名度。彼らが世界政府に与する事が世の海賊達への脅威とならなければならない。四皇、海軍本部と並び称される、 海賊達の行く手を阻む『偉大なる航路グランドライン』三大勢力の一角に位置づけられる。
つまり世界政府は、四皇vs四皇vs四皇vs四皇vs海軍+王下七武海という形で、四皇達の勢力を牽制し世界の均衡を保ちたいようだ。最低でも四皇の手足たる幹部クラスを抑えられるような実力者が主に選ばれており、マリンフォード頂上戦争では各々活躍を見せて世界に大きく報じられた。
世界政府に成果の何割かを上納することで世界政府非加盟国(未開の地)および海賊に対する略奪行為を特別に許可されている。 また七武海として認められた瞬間に政府からの指名手配も取り下げられ、それまでの懸賞金も解除される。
公表されたメンバーはゲッコー・モリア。四皇カイドウ率いる百獣海賊団と戦争の果てに自分以外のゲッコー海賊団を失った男。仲間を全て失った絶望から、兵力の重要性・死なない兵士であるゾンビ軍団に固執するようになり、ゾンビ兵士たちの兵力増強に力を入れるようになった。スリラーパークで海賊狩りを世界政府に認めさせるために加入したようだ。
次に海兵狩り改め鷹の目のミホークこと、ジュラキュール・ミホーク。クライガナ島シッケアール王国跡地の古城を拠点としている。四皇赤髪のシャンクスとはライバル関係にあり、その決闘の日々はニュース誌面を騒がせている。暇つぶしに大将クラスが出てくるまで海軍船を襲い続けていたから、世界政府が海軍に泣きつかれて加入を依頼したのだろう。
そして、サー・クロコダイル。若い頃から頭の切れる海賊として知られ、破竹の勢いでその名を轟かせ、そのまま七武海に加盟した形だ。ちなみにドフラミンゴファミリーが7年かけて世界規模の闇のシンジゲート構築に邁進しているころ、白ひげに挑み惨敗を喫し一度は大人しくなり、アラバスタ王国で英雄をするようになった。
バーソロミュー・くま。元ソルベ王国国王にして、異名は「暴君」。七武海の中では唯一世界政府に従順な存在であり、政府からも重宝されている。ヴェルゴからの情報によると、自ら政府の実験体として人間兵器パシフィスタになることを志願し、改造人間になることになっている。父上からは革命軍幹部であり政府に協力している真意は不明だが、ドラゴンは事情を把握しているときいた。
ここから順次7名になるまで青田買いするということだ。
ドフィが七武海入りを目指したのは、闇のシンジケートを確立できた25の時だ。父上の見聞色はあいかわらずで、一年以内の予定が書いてあった。リュウグウ王国のフィッシャー・タイガーにドフィが手元に残ったせいで破綻した計画の一部を渡す。マリージョア襲撃に乗じて世界政府の秘密を探るから、うまくいけば世界政府から暗殺者を送られなくなるかもしれない。同時期に行動を起こせば世界政府はドフィ達に手が出せなくなるとあった。
人堕ちホーミングの弟子と世間では認識されていても、世界政府は 実子だと知っている。世界規模の闇のシンジケートの頂点にいて知名度も実力もあるのに勧誘すらこないのはそういうことだ。ドフィは世界政府の天上金を襲うことにした。これを人質にして交渉すればいいのだ。交渉の場数は踏んでいる。人堕ちホーミングの動向が知りたいのは世界政府のはずだから、窓口になればいいのだ。
フレバンス滅亡計画が完了したドフラミンゴファミリーは、裏ルートを通じて入手した情報をもとに、片っ端から天上金を襲うようになった。
やがて目的を聞かれたドフィは七武海入りを認められることになる。
「よかったな、寝られるようになって」
自称ファミリーの医者が勝手にやってる診断中にいうものだから、ドフィは白い町の本で頭を叩くのだ。いて、とガキが潰れた。
「寝てる時に入るな、寝られねえんだよ」
「うそつけ、パーティのとき、入っても起きなかったじゃないか」
「そもそも人が寝てる時に入るんじゃねえ」
いたい、とガキは涙目になった。うっかり鈍器にしてしまったが、この本は4年前に父上がベガパンクが歴史の本文の解読や研究に船を貸した時のまま放置している書斎にあったものだ。ちょっと焦って表紙を触るがぶじだった。
「本の心配かよ」
「あたりまえだろ」
ドフィはローに返した。本来なら4年前にバスターコールで焚書されているはずの貴重な資料だとは言わなかった。ドフラミンゴファミリーの船は聖地マリージョアに寄港した。ドフィが初めてまだ5人の七武海に会いに行くためだ。
「よくきたな、天夜叉ドフラミンゴ」
「いい子にしてるんだよ」
「フッフッフ、おい、コング元帥。なんでおつるさんがいやがる......」
「北の海でアンタが天上金乗った船襲うからだよ。そんなに慌てなくても、勧誘はきたろうに」
「フッフッフ、闇のシンジケート牛耳る上に、世界の運輸王が古巣のおれを引き入れないとか宗教上の理由でもあんのか、世界政府は?仕方ねえから来てやったんだよ」
皮肉めいたドフィの指摘に、コング元帥とおつるは苦笑いした。互いに初対面でこそあるが、実弟ロシーはすでに海軍に入隊してから8年経過しているのだ。ロシーが5歳のときにガープ中将が引き取っているわけだから、手紙を通じて内情は知っていた。ドフラミンゴファミリーは実質マフィアや闇のシンジケートを回す実業家の側面が強い異色の海賊だ。違法に海に出れば誰しもが海賊だから仕方ないが、カタギを襲わないあたり心象はいいのかもしれない。
軽く自己紹介して、ドフィは初めての会議に臨んだのだった。
「......天夜叉、少しいいか」
帰りがけに、バーソロミュー・くまに話しかけられたドフィは、革命軍に関することか、ウミット海運のことかわからないため、そのままくまについていく。
くまの船にて、切り出されたのはドラゴンからの伝言だった。手紙を読んだドフィは思わずクシャッとしてしまう。
「本当か、父上は本当にそんなこといってやがったのか?」
「だから、ドラゴンは手紙を書いたんだ。天夜叉は知っているのかと」
「知ってたが、口にするまでとは思わなかったぜ、あのロックスかぶれが......」
ベガパンクに船の一角を書斎や研究室として貸し出している時に、父上は海賊王の最期だけでなく、ルージュの死、オハラの最期にまで感化されたらしい。
「なにが、最高の終わりってなんだと思うだ!!ふざけんなよ!どこまで家族を蔑ろにすりゃ気が済むんだ、父上は!!人の気もしらねーで!!」
ワプワプの実が欲しいからグリーンブラッドの研究資料を横流しして欲しいはまだわかる。まだわかるが、さすがに手紙に書いてあった内容は、ドフィには我慢できないものだった。
だから、つい、八つ当たりしてしまうのだ。今、ドフラミンゴファミリーには、3年以内に全てぶっ壊したいという夢がありながら、なにもできないガキがいる。まるでなにもできないまま、手紙に一喜一憂するしかない自分を見ているようでならなかった。
「今なんて?」
「だから、お前は次の島で降りろ、密航者。お前をファミリーに迎えた覚えはない」
「なんでだよ、おれ今は戦いに参加してるだろ!?ふざけるな!」
「3年以内に全部ぶっ壊すのがお前の野望なんだろう?なんでか今んところ、おれ達皆殺しにする気配がねえからな。3年もあれば、フレバンス滅ぼしたうちの3つは地図の上から消せるはずだ」
「どんな計算だよ、1年で1国って無茶苦茶いうな」
「おれはできたぞ、お前んときくらいには。1人じゃ無理なら誰か連れてけ。適当な港で降ろしてやる」
ドフラミンゴファミリー全員から止められこそしたが。10歳で海賊を始めて、復讐を完了する頃には本当に国を物理的に消したドフィには、純然たる事実からくる提案だったりした。