(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

128 / 136
第128話

赤い土の大陸聖地マリージョアにて

 

「フッフッフ......上がご所望の品はこれで全部だ......不満か?」

 

ドフラミンゴが無造作に背後にある大小様々な死体袋からひとつ、イトイトの力でズタズタに切り裂いた。そのまま、なんの躊躇もなく足蹴にする。五臓六腑がぶちまけられ、バラバラになった胴体がレッドカーペットに転がった。死体袋の下に沈澱していたはずの細かな血肉がどんどん染み込んでいく。

 

血統因子を調べても間違いなくゲッコー・モリアとアブサロム、ドクトル・ホグバックだと証明するだろう。

 

聖地に広がる二度目があってはならない、血生臭い匂いに担当者は露骨に嫌そうな顔をしている。

 

人工臓器の製造方法はベガパンクから横流しされたデータさえあれば、ドフラミンゴファミリーとウミット海運の科学力であれば実現可能な技術だ。世界政府の目をいつまで騙せるかわからないが、当分の間は誤魔化せる精度だとドフラミンゴは自負していた。

 

「ゴーストプリンセスだけ暴君がニキュニキュで飛ばしやがったが、シッケアールだと調べはついてる。どうする?殺すんなら追いかけるが。あそこは鷹の目しか手が負えないヒヒどもがいる。ホロホロの能力じゃ生きながらえられる環境とは思えねえ。まあ、鷹の目が気まぐれで助けてる可能性もあるが、その場合、さすがにおれだけじゃ無理だ。あの戦争で金獅子と一戦交えて以来、あの野郎赤髪と決闘してたときみてーな目をしてやがるからな。覚悟決めるってんなら、仕事はしてやる。ただし、そっちもそれなりの戦力をよこせ」

 

担当者は上にあげてみると返してきた。事実上の先送りという名の放置だろう。賢いやり方だ。だからこの担当者になってから、好奇心や使命感にかられて禁忌にふれてこの世界にいなかった者扱いされる担当者はいなくなった。世界政府にも優秀な公務員はまだまだたくさんいるらしい。

 

「いつもそうだが......元の死体のままもってこれないのか?」

 

「ばーかいえ。数ある超人系悪魔の実の中でもとりわけ多彩で強大とされる能力カゲカゲ。奇襲や諜報活動にうってつけで、こっちも手を焼いたことがあるスケスケ。スリラーバークの墓掘り返してまで手に入れたキャプテン・ジョンに銀斧、巨人族の死体まである。今回うちが回収できた血統因子だけじゃねえ、能力者のデータもかつてのロックス連中の死体もバカになんねえ宝物だ。馬鹿正直に渡すか、こっちは海賊だぞ。巨人族になる薬が欲しいのはおれ達も同じだからな、協力してやるから見逃せよ。気に入らねえならみためだけはなおしてやるか」

 

ドフラミンゴはイトイトで復元してみせた。側から見たらただの死体にしか見えない。

 

「海賊のセリフとはおもえんな」

 

「世界政府の許可なく違法に海に出た奴らはみんな海賊なんだろ?アンタらが決めたルールだぜ」

 

「天夜叉」

 

にい、とドフラミンゴは笑った。

 

「見えたぜ、お前の未来。『お前調子に乗るんじゃねえぞ、いつから海賊風情がおれと交渉するようになったんだ』って啖呵きって交渉決裂。晴れておれは七武海を脱退して、天夜叉ドンキホーテ・ドフラミンゴとして懸賞金を跳ね上げる機会に恵まれたわけだ。感謝するぜ」

 

「まだ口にしてないだろう、確定してないんだ。勝手に行動するな」

 

「わかってねーなァ、お前の首が飛ぶのを阻止してやったんじゃねえか、何度目だ。仲良くやろうぜ、お互いに。おまえが世界政府ん中でどれほどの権限持ってるかは知ってるが、おれは海賊、関係ねェんだよ。お前との駆け引きが面白くなくなったら、いつでも七武海をやめていいんだぜ?正直、3人も抜けてこれからどうなるんだと頭がいてーんだからな、おれは」

 

「やめてくれ、お前がやめたら最古参は鷹の目かくまになるが、鷹の目はああだし、くまは改造人間になって自我がなくなったら実質鷹の目一択になる。嫌だおれは。お前のがマシだ」

 

「フッフッフ......そりゃどうも。実にめんどくせえな、秩序側ってのは」

 

マリンフォード頂上戦争のあと、七武海の名声はこれ以上ないほどにまで高まっているのだが、世界政府側の都合でゲッコー・モリアは戦死扱いでドフラミンゴが処刑(偽装工作は上記の通り)。ジンベエは麦わらのルフィに与して裏切り、剥奪。ティーチはインペルダウンの一件で剥奪。実に3人も一気に抜けてしまうことになったのだ。

 

「で、後任の話の返事はどんなもんだ」

 

「百両道化のバギーから厄介な事案の認可申請がきた。通すかどうかは上の判断になる」

「王直の後釜の海賊派遣だろ?いいじゃねえか。闇のシンジケートが独占してた市場を今度はアンタらがコントロールできるってんなら、悪い話じゃないはずだ」

 

「あの男は底がしれないからな......。白ヒゲjrは白ひげのメンツに泥を塗った黒ひげとカイドウに喧嘩を売りたがっているのが問題だ」

 

「自称じゃねえか。そもそも四皇に挑むのはそっちの許可がいること把握してんのか、あのバカは。あとホーミングからババアは白ひげと過去の精算をしたくて唆しそうだから注意しとけと伝言を預かってる。上に伝えな」

 

「バッキンと何があったんだ、白ひげは」

 

「しらねえ、ホーミングは本人の名誉のためだって頑として口をわらねえ。あと、最後のひとりだがなんで頑なに教えようとしねーんだ、てめーは。見聞色でみてもわからねーとは」

 

「もう返事はでてる、即答だ」

 

「そりゃよかった、誰だ?」

 

「おまえの方がよく知ってるんじゃないか、天夜叉」

 

「......おいまてこら、なんで逃げやがる。おれの頭に今浮かんだクソガキなら、今すぐおれは七武海をやめるぞ、てめえ。七武海の格が一気にさがるじゃねえか、そんなに青田買いしたいやつがいねーのか?」

 

「なにを抜かす、天夜叉。ぜんぶお前の差金だろう?いや人堕ちの方か?麦わらは恩赦をあたえるには無理がすぎるし、ジンベエは剥奪した身だ。冥王は絶対に応じないとなれば、もう秩序を守るために均衡を保つにはあの男しかない。さすがは弟分だな、さっそくインペルダウンの脱獄囚の心臓を100持ってきたぞ。真面目な男だ」

 

ドフラミンゴは頭をかかえた。たしかにDの意味をしるなら、聖地マリージョアに出入りできる立場になれるし、世界政府の機密を知る権利を得られる七武海になるのが最短の道だろう。おそらくはパンクハザードか、ドレスローザの機密狙いか。同格にならないと交渉の際に優劣が生じると思い知ったゆえの行動だろうか。たしかに貸しの使い方を間違えるなとはいったが、こんなに早く行動しろと言った覚えはないのだが。

 

会議のときにどんな顔して現れたらいいのか、ドフラミンゴは深いため息をついたのだった。

 

これから父上と母上の33年ぶりの再会が控えているというのに、食事会に間に合うかどうか不安になってきた。ロシーに怒られるのは見聞色を使わなくてもわかっている。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。