(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第131話

ライジン島は遠くからでもわかるくらい、雷が常時降り注いでいる島のようだった。

 

「本当に記録指針はあの島を指しているのか?雷が降り注いでる......!」

「上陸しろってのか、あの島に?どうやって?」

 

「キャプテン、誰か近づいています!」

 

「誰だ!?」

 

「傘はいらんかえや?」

 

「傘!?」

 

老婆が乗っている船にウミット海運の碇マークがなければ、新世界に来たばかりの海賊達向けに、使えもしない傘を売りつける悪徳商法のババアだと思ってあやうく殺しているところだった。

 

「とんだトラップもあったもんだ、舐めやがって」

 

「全くだな、キッド」

 

キッドは、偉大なる航路前半の海楽園の最初期を思い出す。あそこは不慣れな航海で疲れた新参者の賞金首達を歓迎し、油断したところを殺しにかかる賞金稼ぎの国が集中している場所だった。義理も人情もそこにはない、油断した奴らだけが殺される世界が広がっていた。彼らの不運は、キッド海賊団がそういうクズどもが国を仕切っている国から来たから手の内が完全にバレていて、先に皆殺しにされたことだけだ。

 

 

ウミット海運は儲け話に手を出したら皆殺しにしてくる世界で一番有名なマフィアの運輸会社だ。

 

さすがのキッドも敵に回すヤバさは知っていたし、自分達も身内に手を出されたら相手が謝意を示そうが皆殺しにしてきたため、シンパシーを感じてはいた。さいわいあちらから手を出してくることはなかったから、なにもせずにすんだ。

 

ただ、最終的にキッド達の海賊王になる夢を笑った奴がいて、そいつがたまたまウミット海運と儲け話の取引をしていた。非加盟国の日々は衣食住さえ保証されぬ明日は我が身があたりまえだ。夢さえ見れない日々が嫌になり海に出たキッド達にとっての地雷を踏み抜いた男は、例外なくまたキッド達に殺された。外部に情報が漏れないよう、あるいは報復されないよう、所属組織は壊滅させた。キッド達の悪名はその繰り返しからきている。

 

そういうわけで他の超新星と同じくウミット海運の血の掟による処刑から追い回されるはめになり、なんとか逃げ延びた。シャボンディ諸島でようやく血判状を提出して、処刑対象から外れることができた。

 

そんなウミット海運が我が物顔で意味のわからない商売をしているのだ、なにかあるに違いない。

 

「ウミット海運のシマならいるんだろ、これ?」

 

血判状をみせると、老婆はにやっと笑って普通の傘ではなく、奇妙な傘をだしてきた。キッド達は傘を買った。奇妙な傘を渡された。傘に貝がたくさんついていた。

 

話は変わるが、海賊船には個性が出る。それは超新星達も例外ではなく、怪僧ウルージの通り名は、船からもわかるとおり、海賊団自体が一種の宗派を信仰する宗教団体のような様相を呈しているからだ。般城丸というらしい。

 

キッド海賊団の船は「ヴィクトリアパンク号」という名前であり、船首がティラノサウルスの頭の骨のようになっており、キッドの凶暴さを表しているような船になっている。隣に寄港したキッドはさっそく船に単身乗りこんだ。

 

「やっとみつけたぞ、怪僧ウルージ!」

 

「む......懐かしい声を聞いたぞ。その声はキャプテン・キッド。久しぶりですな、1年ぶりか」

 

「ありがてえが、なんで今だにこんなところにいやがる」

 

「たまたまだ、お前さん達がはやいだけ」

 

「律儀な奴だな」

 

「なあに、自らに課せられた役割というものを考えさせられる事件があったまでのこと。使命

を粛々と行う者こそが、この世界では一番しぶとい。それだけだ」

 

キッド海賊団はさっそく歴史の本文の和訳を依頼していた。次の日になるというからライジン島に上陸することにした。

 

傘を刺すと、なぜか雷が落ちてきても感電しなかった。貝が全て吸収しているようだった。

 

ただ一番の問題は環境に適した動植物が闊歩していて、どのみちキッド達も多少は強くならないと島から抜け出せないことだった。悪戦苦闘しているうちに、武装色が一定ラインを超えると各々武器に纏って効率的に殺すことができることに気がついた。

 

電気に体を動かすエネルギーまで依存していた動物達は、過剰な覇気でぶん殴ると体内の電気を失って即死した。黒焦げになった仲間もいたが死なないだけマシだろう。

 

キッド海賊団はそこで伝説の大海賊キャプテン・ジョンの宝をみつけた。かつての隠し場所のひとつのようだ。船に戻るとゴロゴロの実の能力者だった奴がわざと島の気候を変えたという嘘が本当かわからない昔話を聞いた。歴史の本文にしか興味がなかったキッド海賊団は、それにしか手をつけなかった。

 

そのうちログがたまり、船に戻った。老婆は奇妙な傘を法外な値段で買い取っていた。これからの資金源になるからありがたいが、ちょっと気になって聞いてみた。

 

「ウチの登録商品なんだよ、養殖ダイヤル。買っていくかい?」

 

ほんとうにいい根性している会社だと思う。今回の歴史の本文もウルージに追加で翻訳を依頼した。

 

「お前さんの能力なら、コイルの要領で逃せばいいんじゃないのか?」

 

簡単に言ってくれる。船医が治療してくれる横で、キッド海賊団は己の実力が新世界に噛み合っていない事実を噛み締めた。ここの動植物を全滅させる勢いでなければ死ぬかもしれない。

 

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