(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第15話

ロジャーの船オーロ・ジャクソン号は、偉大なる航路前半楽園のとある海域にて、ただいま魚人達に完全包囲されていた。進路を妨げているのは突然浮上してきた碇マークの旗をかかげている世界で一番有名な海運会社の船である。そこから単身乗り込んできた男が呆れ顔で周りを見渡していた。

 

「噂どおりの速さだな、ホーミング」

 

「私は今心の底から失望していますよ、ゴールド・ロジャー」

 

「おいおい。よく間違われるがおれァ、ゴール・D・ロジャーだ、ホーミング」

 

「おや、そうなんですか?それは失礼しました。でもあなた、手配書にはゴールド・ロジャーってなってませんでしたっけ?」

 

「そりゃ世界政府が間違えてんだよ」

 

「そうですか。それはそうとあなたは堅気には手を出さないと思っていたんですがね、いつから海賊らしい略奪をするようになったんです?うちのシマを荒らすなんて」

 

「いやあ、すまんすまん、最初は止めたんだぜ?だが無法地帯だっておでんの野郎がいうからついノリでな。うっかり忘れてたんだ」

 

「なるほど、あなたが噂のおでんですか。なにか情状酌量の余地があるか知りたいので教えていただきだけませんか?なぜうちのシマを荒らしたんです?うちのシマを荒らした人間は誰であれ地の果てまで追いかけて皆殺しにすることは有名になってるとばかり思っていたんですがね」

 

「まあまあ、そういわずに勘弁してやってくれよ。今回の航海にはどうしてもこいつが必要なんだ、ホーミング。おでんは新人なんだよ」

 

「なにをいうかと思えばものはいいようですね、シルバーズ・レイリー。白ひげのところから移籍したのだから大型新人もいいところだ。さて、あなたがたの都合なんて心底どうでもいいので、なぜ襲ったのかだけ教えてください」

 

「これから宴をするんだよ、だから具材が必要でな」

 

「買い物もまともにできないんですか、この船は?」

 

「四皇が暢気に買い出しなんかいけねーよ」

 

「誰が大海賊の幹部クラスが行けといいました。手配書がでてない見習いのおふたりならいけるでしょう?それともうちの見習いが優秀なだけですかね」

 

ロジャー達は数時間前、偉大なる航路前半「楽園」のとある島の港町に寄っていた。おでんがワノ国の郷土料理おでんを振る舞う為具材を調達しようとしたのがきっかけだ。おでんの独断専行からくるドタバタの果てにヤケクソになって加勢という形で襲撃していた。本来ならログポースが空島を示すために中継地点になるくらいしか用がない島だった。

 

その名は、夢を見ない無法者達が集まる政府介せぬ無法地帯、人が傷つけ合い歌い笑う町嘲りの町「モックタウン」

 

活気があって賑やかな町だが、実態はならず者の溜まり場であり、海賊が堂々と船を停泊し平然と往来する治安の悪い町。そのため「嘲りの町」という異名がついており、ケンカも殺しも日常茶飯事というくらい荒んでいる。海軍も取り締まりを諦めているのか完全に捨て置かれていて、島全体がウミット海運支配下にある都合上、シマといえばシマといえた。

 

だがモックタウンでは海賊同士のいざこざなど日次茶飯事なのは周知の事実だ。めったなことではこの男は出てこないはずなのだが、なぜか出てきた。明らかになにか別の目的があることは明白だった。

 

「おれ達はお前んとこの港は襲撃してねえはずだが。それともあれか、襲撃した家がおまえんとこの支部だったか?」

 

「それだけはないぞ、ロジャー。碇マークの建物だけはやめろと、総出でおでんを全力で止めたじゃないか」

 

「そうだよなあ?じゃあなんだ、ハラでも減ってんのか?虫の居所が悪い時にきちまったか、わりぃな。宴に参加でもするか?」

 

「残念ながら忙しいので辞退させていただきますね」

 

「それは残念だ、つれねえな。で、なんの用だホーミング。まさかお前に泣きついてきた奴でもいたのか?随分と面倒見がいいじゃねえか」

 

「当然でしょう、うちの優秀な見習いに泣きつかれたのでね。そうでもしなければわざわざ来ませんよ。儲け話とは1番縁遠いじゃないですか、あなた方」

 

「見習い?」

 

「パンサ、シデ、おいで」

 

「はーい!」

 

「イヌアラシ様、ネコマムシ様!お久しぶりでーす!」

 

ホーミングの船の甲板から小さな影が2つ飛んでくる。ホーミングの両脇に飛んできて見事着地したミンク族の黒ヒョウと黒うさぎに船全体が一瞬固まってしまう。

 

1年前のエンド・ウォー沖の海戦でガープ中将と一緒に殴り込みに来たミンク族の子供達だ。船の武器という武器に花が咲く異常事態になるわ、噂のおでん達に勝負を挑むとかなんとかで、とんでもないことになったのがまだ記憶に新しいのだ。

 

「お前らガープんとこの部下じゃなかったのか!」

 

「海兵じゃないなら、なんであのとき襲撃にきたんだよ!?」

 

たまらずバギーとシャンクスが叫ぶ。ロジャーは大笑いしだした。

 

「あんとき、一枚噛んでやがったのかホーミング!あんときはびっくりしたぜ、武器中が花だらけになっちまうんだからな!おかげで再調達にえらいかかっちまった」

 

「儲け話があれば取引相手に見境ないのは本当なようだな、ホーミング」

 

「あの時は色々お買い上げありがとうございました」

 

「いや別にお前んとこのサービスは使ってないんだが」

 

「人とモノが動けば私達が儲かる仕組みなんですよ」

 

「儲け話の背後には必ずお前がいる気がしてきたぜ」

 

「はは、それはどうも。さて、ふたりとも。そろそろ話の本題に入ろうか」

 

「はい!」

 

2人は揃っておでんに向き直ると、なぜか猛抗議し始めたのである。

 

「酷いですよ、おでん様!いつから分身の術なんてできるようになったんですか、あの時そんなこと出来なかったのに!」

 

「は?」

 

「分身の術?」

 

「あれ、だってそうでしょ?ワノ国をほっとくわけにはいかないって代理を立てるって言ったそうじゃないですかー!なんであんな奴代理にしたんですかー?見る目なさすぎですよ、おでん様!」

 

ふたりの話に違和感を覚えたのかロジャー達の表情から笑いが消えた。

 

「おい、ホーミング。どういう意味だ」

 

「どういう意味もなにも新しい儲け話があるって持ちかけられた時に、流れでそういう話になっただけですよ。段取り考えてたら、それを聞いたふたりが泣きついてきましてね」

 

「いいのか、ホーミング。お前の信用が崩れるぞ」

 

「うちはモコモ公国が重要な取引相手でしてね」

 

「あー、なるほど。そういうことか。マフィアらしい発想だな」

 

「金払えねえぞ、おれら」

 

「かまいませんよ、この話を儲け話としてもってきたわけではないのでね。あなた方がこれからどう動くかなんて知ったことではない。勝手に争ってもらったほうが儲かるんですよ。なんで海賊はどいつもこいつも勢力が拡大してくると拠点を作りたがるのかわかりません。勢力が固定化されるとあたりは平和になっていけない」

 

「どこぞの戦争仕掛け人みてーなこといいやがる。儲け話にしか興味ねえのか、アンタ」

 

「なにか問題でも?」

 

「なるほどな、事情はわかった。詳しく聞かせろ、今すぐにだ」

 

「ふふふ」

 

「なに笑ってるんです、シルバーズ・レイリー?」

 

「いや、もしここで話を聞かなかったら、私達はもろとも海の藻屑なんだろうと思ってついな」

 

「ははーん、そういうことか!なんだよ素直じゃねえな!やっぱ宴に参加しろよ、お前」

 

「..................?まあいいか。それいいですね。おでんに使われた食材費、あとで請求させてもらいます」

 

「やっぱ帰れお前」

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