(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第19話

ただいまMADSでベガパンク博士を乗せた私の船は西の海にあるオハラに向かっている。

 

血統因子の研究データの資料をもらった私は、その見返りとしてそのまま極秘に設定してある船の構造を一時的に可視化するようスペーシア中尉に指示した。からくり島にあったツキミ博士の研究室から移設したものだ。彼の生涯を捧げてまで追い求めてきた月の民の文明の研究成果がそこにある。

 

それを見た瞬間、ベガパンク博士は目を輝かせた。そして感嘆の息をはくのだ。

 

「もうかれこれ9年半も前になるのか。同郷のツキミ博士のからくり島が一夜にして姿を消したと聞いて、ビルカの文明は闇に葬られたとばかり思っておった。お前さん達が受け継いでくれておったとはのう。ウラヌスで消し飛ばされたとばかり思っておったが、まさか団子を喉に詰まらせて死ぬとは。あれだけよく噛んで食べるよういったのにのう」

 

「いえ、スペーシア中尉によれば、月が謎の爆発で穴が空いて驚いたせいだそうですよ。だから仇討ちにいくための宇宙船づくりに協力したわけですから」

 

「なんと、そうだったのか!?では月になにか爆発を起こすような危ないものがおるのか?」

 

「さあ?月の民が資源を求めてこの星に来たのなら、ロボット達がそのままの可能性もありますよね。事故でも起こしたのかな」

 

「うーむ、宇宙は広いからのう。謎だ。月に穴を開けた犯人見つけられるといいのう」

 

「そうですね、ミンク族モデルの衛生兵部隊もいますから大丈夫だとは思いますが」

 

「ほうほう、あれが噂のドルネシア中尉か!たしかにウサギそっくりのロボットじゃ、すごいのう。ミンク族しかしらないとスペーシア中尉もたぬきにしか見えんわい」

 

「でしょう?うちの船にはミンク族沢山いるんでなおのこと目立たないです。では約束どおり全てお見せしますので、スペーシア中尉達に継承し損ねた部分をご教授いただければと思います」

 

「もちろんじゃ、ベガパンクの名にかけてしっかりと記憶し、スペーシア中尉達に全て引き継ごう。それにツキミ博士の研究は私がさらに発展させてみせる。また頭がでかくなるのが玉に瑕だがなあ」

 

「あれ、そういう種族ではないんですか、ベガパンク博士」

 

「よく間違われるが頭がたまたま長い人間ではない!私はノミノミの実の能力者じゃ!」

 

なんとベガパンク博士は食べた者はあらゆる知識を際限なく記憶でき、データ容量に比例して脳が肥大化する脳みそ人間となるノミノミの能力者だという。この能力によって文字通り「世界最大の頭脳を持つ男」と呼ばれるようになったという。

 

たしかに頭部は縦に長く伸びており、本人曰く探究心を抑えられないせいでどんどん頭が大きくなっていくらしい。

 

ただ、この悪魔の実の効果はあくまで知識を際限なく記憶できるだけであり、知能向上などの恩恵はない。だからベガパンク博士のような頭脳明晰でその知識を存分に活用したい人間や好きなもの・大切なものを正確且つ永遠に記憶したい人間以外にはメリットが無いようだ。

 

「ベガパンク博士のためにあるような能力ですね」

 

「じゃろ?そういやお前さん、血統因子の研究データ渡すのはいいが科学者はスペーシア中尉達でいいんかの?今までと分野がかなり違うが」

 

「頑張ってもらおうかと思ってます、本人達は興味津々なので。正直取りまとめてくれる優秀な科学者がいたらいいんですけどね」

 

「うーむ、私とシーザーは世界政府、ジャッジはジェルマに帰り、クイーンはカイドウんとこに世話になるといっておったな」

 

「ですよね......ところでベガパンク博士。ツキミ博士って生贄ありで死者蘇生したら協力してくれるような人ですか?」

 

「いきなりなんじゃい、びっくりしたなあ」

 

「新世界のある島で死者を復活させる代わりに、継続して生贄を欲しがる植物を見つけたんですよ」

 

「なんじゃその新世界で仲間失った海賊がめっちゃ欲しがりそうな植物は」

 

「でしょう?私もそう思いました。だから罰としての使い道くらいしか思い付かないんですよね」

 

「ツキミ博士に罰ゲームのノリでやるようなことじゃないじゃろ、やめんか。絶対協力してくれん男だぞ」

 

「そうですか、それは残念です」

 

「やれやれ。さてスペーシア中尉、ドルネシア中尉、さっそく研究成果を見せてくれんか」

 

2人につれられてベガパンク博士が研究室に入って行った。

 

「ねーねー、せんちょー。オハラを滅ぼしたバスターコールとからくり島消し飛ばしたウラヌスってどっちが強いのー?」

 

「シデ、覚えているかい?ウラヌスはからくり島ごと消し飛んだが、バスターコールは島自体は残ってるみたいだよ」

 

「へー、そうなんだー!じゃあウラヌスの勝ちだねー!」

 

「ならウラヌスが強いんだねー!さっすがは古代兵器!」

 

「ウラヌスを欺くために世間にはバスターコールとされている事例もあるんだろうな。いや、むしろウラヌスをモデルにバスターコールを発明したのか?気軽に打てないデメリットを消すために」

 

「じゃあ全部バスターコールにしたらいいのにね」

 

「本当にそうだね、なにか特別な理由があるんだろうが、わからないな。そういえば去年ダグラス・バレットを捕まえるために発動したって聞いたな」

 

「だあれー?」

 

「ロジャーの船にいたらしいよ」

 

「えっ、せんちょー、そんなやついたっけー?」

 

「みんなが知らないのも無理はないよ。エッド・ウォーの海戦の時にはすでに降りてたらしい」

 

「たったひとりを捕まえるためにバスターコールしたのか?信じられないな」

 

「イールが疑うのも無理はない。私もその名前はクロコダイルとぶつかって決着つかずの記事を読んで初めて知ったからな」

 

「クロコダイル?たった2年で新世界まできた期待の新星じゃないか」

 

そう私がはやく七武海になりバロックワークス立ち上げを切望しているあのクロコダイルだ。

 

「そう、今度白ひげとぶつかるって噂の砂漠の王だ。バレットはロジャーの船には乗ってたがロックス世代じゃない。クロコダイル達と同じ新星なんだよ。もっとも今はバスターコールで捕縛されてインペルダウンみたいだが」

 

「へー」

 

たしかバスターコールは海軍における命令の1つで、海軍本部中将5人と軍艦10隻という国家戦争クラスの大戦力で行う無差別攻撃のことだ。

ロックスにいた頃、散々食らったからよく覚えている。海軍の最終兵器みたいな扱いだったはずだ。

 

攻撃目標殲滅が目的のため、発令者を人質にとろうがお構いなしに攻撃は発動され、市民が巻き込まれても海軍は不問にされ、世界政府に情報規制される。そのせいでロックスの名は表に出なかった。

 

正直金獅子がよく戦艦を浮かせて突っ込ませたり、白ひげが津波起こして沈没させたりして、ロックス時代は発動すら難しかった記憶しかない。だがあれは上澄の連中だったから例外中の例外なのだろう。だからこそわかる。

 

それをオハラのような力を持たない一般人に向けるのはよほど不都合なことがあったに違いない。

 

たとえば古代兵器を扱う月の民の超文明がかつてあった。今から地質学的にいうと800年から900年の空白の100年に滅ぼされた。滅ぼしたのは今の世界政府であり、月の民の文明の思想が脅威だから禁じているとか。私ですら世界政府が実質認めたようなものだと思ってしまう。

 

「あれ、バスターコールが情報規制されるなら、なんで船長知ってるんだ?」

 

「さっき言ったようにバスターコールは島そのものは残るから、後から見に行くことはできるんだよ。クローバー博士の墓参りにいきたいベガパンク博士みたいにね」

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