(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第28話

今おれ達はミニオン島に程近いスワロー島にある港に停泊し、ウミット海運支社にお邪魔していた。北の海にある港なら、どんなに小さな港でも支社はかならずあると言う。西は別のマフィアの管轄のため、ここまで大規模な展開はできないらしいが。

 

「あははー、ほんと運がなかったね、ドフラミンゴ。僕が3日前のジャンケン勝ってたら、交渉秒で終わってたのに」

 

「おい待て、ヒョウ野郎。14年も経つのにまだそんなふざけた方法で決めてやがんのか。いいかげんお前が交渉やれよ、効率悪すぎるだろう」

 

「えー、やだよ。ずっと船番とかシデが可哀想じゃないかー」

 

「ロシナンテ中佐が来た時点で嫌な予感はしてたが、ウサギ野郎が出てきた時はなんつう日だと思ったぞ」

 

「へー、ロシナンテ中佐来てるんだ。今いる?」

 

「いねえ。今頃おつるの船じゃねえか?」

 

「ちょっとドフラミンゴ、うちのシマ荒らした奴ら勝手に引き渡さないでよ」

 

「なにいってやがる。七武海は政府の犬だろ」

 

「そーだけどさー。あーもう、せんちょーがいってた嫌な予感ってこれのことかー」

 

「───────ッ!!......フッフッフ......あの男が......本気で、そんなこといってたのか?」

 

「え?そこ?そんな反応するとこかなー?北の海で七武海とかち合うとか嫌に決まってるじゃないかー」

 

「テメーの主観なんざどうでもいい。どういう反応してたのかだけ教えろ」

 

「あーはいはい、わかったからそんな顔しないでよ。めっちゃ怖い顔して手帳睨んでるから聞いたら、嫌な予感がするっていうんだ。オペオペの実の取引のページみてたのは間違い無いよ。場合によっては、迷わず撤退も視野に入れろって念押されたら、そりゃ警戒のひとつやふたつするでしょふつー」

 

「......そうか」

 

「そうだよ。でもまあ、上手いことまとまりそうでよかったよー。ドフラミンゴは七武海だから海軍は文句がいえないしー、ローも助かったしー、僕らはローの血液もらえるしー。Win-Winだ。よかったよかった」

 

「......まだ世界政府への言い訳が残ってるがな」

 

「あー、それ全部せんちょーが投げてくれっていってたよ。追って連絡するからって。使いは僕かイデになるからよろしくね」

 

「おい、なんでテメェらなんだ。ウナギ野郎はどうした」

 

「そういわないでやってよー。今イール達は大事な決断迫られてるんだから」

 

「決断だァ?副船長任されるくらいあの男に信頼されてるくせに、天秤にかけるような男なのか。フィッシャー・タイガーってのは」

 

「憧れは止められないんでしょ」

 

「───────フッフッフ、おれには到底、理解できねェ感情だ」

「え、それいっちゃうの?せんちょーの後継者だったのに、ギバーソン社長んとこの見張りの仇討ちに飛び出してったドフラミンゴくんがー?」

 

「違う、そんなんじゃねェッ!おれはち......」

 

黒ヒョウにからかわれて激昂したドフラミンゴがなにか言いかけたが、たまたまその視界におれが入った。ドフラミンゴと目があった。一瞬でドフラミンゴの中の瞬間湯沸かし的なものが鎮火する。

 

おれがいることをようやく思い出したのか、ドフラミンゴはバツ悪そうに黙り込んでしまった。黒ヒョウの獣人がにやにや笑っている。おれは目の前のぐーすか寝ている黒ウサギの手当を再開した。

 

「でもまあ、せんちょー喜ぶと思うよー。堕落してないようで、何よりだってね」

 

「......いってろ」

 

黒ウサギと黒ヒョウのふたりがウミット海運が派遣してきた社員の代表のようだ。碇マークがかかげられた旗の船には、ふたりのような獣人やウミット海運の社員と思われる黒服の人間がいる。

 

ふたりは、どちらもゾオン系悪魔の実の能力者で、モルガンズ社長のように身バレを避けるために常時獣人形態をしているそうだ。

 

その横には王下七武海のドフラミンゴファミリーの船が停泊している。

 

あまりに無謀なやつか、無知なやつでもない限り、この船が停泊している港に行こうとする船はなかなかないだろう。

 

「よし、できた。これで大丈夫なはずだ」

 

「病み上がりなのに、ありがとねロー。いつ目を覚ますかわかんないし、シデの代わりにいっとくねー」

 

「いやいい。これがおれの仕事だ。それより大丈夫なのか?倒れてからずっとこの調子だけど」

 

「いいのいいの。どーせ14年ぶりにドフラミンゴくんと戦えて、はしゃいじゃっただけだろーし。ほっといたらそのうち起きるよ」

 

「はしゃいで月獅子化すんじゃねェよ」

 

「すーろん?」

 

「覚醒みたいなもんだよー」

 

「へえ」

 

黒ヒョウが碇マークのカバンを片手に立ち上がる。

 

「さーて、そろそろ仕事に行こうかな。しばらくは2倍働かなきゃ。またね、ロー、ドフラミンゴくん。また夕方に様子を見に来るよ」

 

「君はやめろ、気持ち悪いやつだな」

 

「あっはっはーまたねー」

 

昼休みだから顔を出しただけの黒ヒョウは1時ちょうどになると医務室から姿を消した。

 

「あ、そうそう忘れてた」

 

「なんだよ」

 

「この子、この島のどこかにいるはずなんだ。もし見かけたら教えてくれる?」

 

それは両親が作成したと思われる、手書きの探し人のポスターだった。

 

「シロクマ?」

 

「そ、こんな小さいのに、モデルシロクマの悪魔の実を食べちゃった子でね。ベポって子なんだ。まだ6歳だから能力がコントロールできなくてずっとこの姿なんだよ」

 

「なんで探してるんだ?」

 

「入り込む積荷間違えやがったな?」

 

「え?」

 

「そうそう、ドフラミンゴくんのいうとおり」

 

「だから君はやめろっていってんだろーが」

 

黒ヒョウ曰く、出身地がフレバンスのように内陸にあるせいで、子供達はみんな海に対する憧れから旅にでたがる病にかかる。遭難する子供があまりに多すぎるため、見かねたウミット海運が見習いという形で雇うことになった。

 

ベポの兄は才能を見込まれて、ホーミングの船で黒ヒョウの部隊に所属し、見習いから社員になった。ホーミングの船はその立場ゆえに全世界を航海するため、基本的に国には帰らない。

 

ベポは兄に会いたいあまりに、ウミット海運の本社行きの積荷に乗り込んだらしい。本社に行って社長に直談判すればホーミングに連絡がいく。たしかにこの方法なら兄に会えるだろう。当然ながら両親が行方を探しており、社長に連絡が行き、黒ヒョウは本社の積荷を全て調べたが何故か見当たらない。

 

ウミット海運は全世界で仕事をしているが、少しでも効率化するために倉庫の拠点や航路は決まっている。ベポが乗り込んだと思われる日にあった積荷を片っ端から調べ直したところ、食料が減ったり、物音がしたり、そういう目撃情報があった。社員に聞いたら、本人に事情を聞いて気を利かせたやつが何人かいた。

 

そういうわけで、航路を特定して、たちよる島をひとつひとつ潰して行った結果、北の海のこの辺りの島々のどこかにいるだろうとわかったらしい。

 

「小舟で旅に出るよりは、よっぽど安全じゃねえか。どっかのヒョウとウサギよりは頭が回るんだな」

 

「うるさいよ」

「なあ、その島ってミニオン島やルーベック島じゃないだろうな?大丈夫なのか?」

 

「ミニオン島?大丈夫、おつるさんの船から連絡はないよ。元海軍将校なんて海軍の汚点みたいな海賊のアジトがある島だ。石ころ1つ残さないくらい調べるでしょ、普通」

 

おれは思わずドフラミンゴを見た。

 

「見くびんじゃねぇ。上陸する時に見たから心配ねえよ。ウサギ野郎しかいなかったからな」

 

「というわけで、この島しかないんだよね」

 

「わかった、覚えとく」

 

あらためて黒ヒョウが去っていく。おれは腹が減ったから、なにか食べに外に出たわけだ。ドフラミンゴは文句いいながらも、重症だから医務室から出られないから、しぶしぶ食べるっていってたけど。食堂のメニューにパン系しかなかったからな。

 

そしたら、その途中でいじめられてるシロクマを見つけた。フラグ回収はやすぎないか?

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