(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第54話

 

 

「......スモーカー大佐、昇進の話はどうしたんだね?受けると聞いていたんだが。私が本部に帰ってみたら騒ぎになっているんだがどういうつもりだね?」

 

「昇進の話は受けるが、麦わらの一味が不審な行動をしている。先にそっちを終わらせるからな。ローグタウンの後任の選定よろしくって人事部に伝えてくれ。あとよろしくな、ヴェルゴ」

 

「ヴェルゴ中将か、ヴェルゴさんだ、スモーカー君。......なにか掴んだのか?なにが必要だね?」

 

スモーカー大佐は笑った。ヴェルゴ中将は昔から話がわかる人なのだ。

 

黒デンデン虫で不審な会話を傍受した。キーワードは「王女ビビ」「Mr.0」「麦わら」「司令状」。

 

数字がコードネームで司令状によって行動する犯罪組織。王女ビビはアラバスタ王国で行方不明になっている王女の名前。アラバスタ王国は今流行りのクーデターの真っ最中。犯罪組織と麦わらがかかわっている可能性がある。だから砂の王国アラバスタへのエターナルポースが欲しい。

 

昇進の話を先延ばしにし、管轄しているローグタウンから無断で飛び出し、麦わら一味を捕まえるために勝手に偉大なる航路に行ってしまった部下に頭をかかえているのが目に見えるようだった。

 

デンデン虫の向こう側で長い長いため息をつくヴェルゴ中将の声がする。

 

「いいだろう、近くの何もない島で待ちたまえ。リトルガーデンはログが1年かかるが、そこから北西にある何もない島は1週間ほどでログが貯まるだろう」

 

ヴェルゴ中将との連絡を終えたスモーカー大佐達の船は、指示通り何もない島に寄港した。文字通りなにもない島だ。

 

「ほんとに何もないですね、スモーカー大佐」

 

たしぎがこぼすくらい、不自然なほど周りになにもない島だった。島食い金魚に食われてできたフンの島とはいえ、少しくらいは食べ残しのように切り取られ残された島の一部や歯型の残る岩は残るはずなのだが、それすらなにもない。その割に海軍の船が寄港できるほどのスペースがある。

 

「ああ、人堕ちホーミングが黒ひげという無名の海賊を全滅させて、海に沈めたって有名な島だからな。そりゃあなにもねえだろうよ」

 

「えっ、噂のあの島なんですか、ここ!?」

 

「そうだ。トータルバウンティ0ベリーという正真正銘の新人海賊を処刑したあの島だ。ウミット海運の血の掟を改めて示した事件だったな。奴らは儲け話やシマを荒らした奴らは誰であろうが地獄の果てまで探し出して皆殺しにする。この世界にきて、それを知らないのは東の海と西の海出身以外はただの馬鹿だ」

 

「ドラム王国と医療の共同研究を提案するつもりだったとか......。それを黒ひげが滅ぼしたんですっけ」

 

「ああ、まだ立ち上げたばかりで5人しかいなかった海賊を全員重しをつけて、船ごと沈めたそうだ。悪いことはいわねえ、アラバスタにいっても碇マークの建物には近づくな」

 

「あれ、アラバスタってサー・クロコダイルとウミット海運の仲が悪いから、撤退したんじゃなかったでしたっけ」

 

「そうだったか?」

 

「はい、たしか......」

 

ぱらぱらと手帳をめくり、たしぎが答える。

 

「あった、あった。えーっと、七武海砂の王サー・クロコダイルと天夜叉ドフラミンゴが不仲なことから噂が広まったみたいですね。ドフラミンゴはウミット海運から独立したわけで、人堕ちホーミングを毛嫌いしている延長という説もあるとか」

 

「ああ、たぶん後者だろうな。クロコダイルは白ひげに負けてから、関係が深いホーミングを嫌ってるはずだ。よくある小競り合いか。アラバスタは不便だろうな」

 

「そうですね。高いから財政部門からは睨まれますけど、どこよりも早く届くから便利です」

 

「ヴェルゴについでに届けてもらうモン、リストアップしとくか」

 

スモーカー大佐の提案にたしぎ達はうなずく。1週間後、私はキミの部下じゃないんだがといいながら、アラバスタへのエターナルポースを始めとしたいろんなものを届けてくれたヴェルゴ中将なのであった。

 

「トーンダイアル、手元にあるのをかき集めてきたから使うといいよ。キミ達の武運を祈っている。ああ、あと、昇進先はG5になるだろうから覚悟しておくように」

 

ヴェルゴ中将のいうG5とは、偉大なる航路後半「新世界」にある海軍の部署のひとつで、グランドラインからGがとられていて、1から14まである。

 

基地長をトップとして、その下に6部隊が置かれている

 

荒くれ者の海兵達が集ういわゆる窓際部署である。 構成員は海軍本部と同じ階級システムの海兵で、東西南北の海を管轄する支部のような本部との階級差は無い。

 

「私はこの度、ここの基地長に就任したんだ。キミ達は推薦させてもらった形だからね、悪く思わないでくれたまえ」

 

「アンタもいよいよ窓際部署に移動か、ヴェルゴ」

 

「ヴェルゴ中将か、ヴェルゴさんと呼びなさい、スモーカー君。調べてみたが、なかなかの問題児が集まっているようだ。たしぎ君は本気で昇進を狙いなさい、明日は我が身のような場所だからね」

 

「そんなにですか!?」

 

「気の毒なことだが、スモーカー大佐の部下になった時点で定められた道だったね」

 

ヴェルゴ中将がいうには、勤務する兵士たちは基本的にチンピラばかりで、暴力に訴えるしか能がない連中であるという。この間、内通者が出たことが発覚した際には前任の基地長に「暴力バカは疑う価値すら無い」とまで言われる伝説を残している。

 

捕まえた海賊を火あぶりにするわ鮫釣りに使うわと、すでに06部隊に配属されているヤリスギ准将に感化され、やってることは上官のヤリスギとほぼ同じような連中がいる。

 

ただ、ヴェルゴ中将の見立てでは、義侠に富み、はみ出し者の自分たちに優しくしてくれるスモーカー大佐のような男への忠誠心は期待できるそうだ。

 

野郎所帯なので美女に目が無く、海軍が新しく導入するベガパンク産のロボットにすぐ夢中になるなど幼稚な一面もあるが、正義感は強くある程度の常識は持ち合わせているという。

 

「アンタにピッタリの部署だな、ヴェルゴ」

 

「いつもいうがヴェルゴ中将か、ヴェルゴさんだ、スモーカー君」

 

「すぐ抜いてやるから問題ねえな」

 

「先に待っているから、はやく麦わら一味の件終わらせるように」

 

「ああ、わかってる。どうせおれ達の件でそんな僻地に飛ばされたんだろう、アンタ」

 

「よくわかっているじゃないか。キミへの評価は最底辺を記録している。あとは上るだけだ、頑張りなさい」

 

「ものはいいようだな、アンタ。そんなんだから優秀なのにそんなとこに飛ばされるんだ」

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