(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第57話

この国に住む唯一の医者にして139歳のため魔女と呼ばれる女がいる。ドクターくれはと呼ばれている女が昔住んでいた家から山の頂上にロープウェイが伸びていた。行くと言って聞かないドルトンを心配したギャスタの人々が乗り込みすぎてなかなかロープウェイは進まない。

ようやく到着したころには、麦わらのルフィがワポルをはるか彼方へ飛ばしたあとだった。

 

「......ペドロ、わかっていて言わなかったな?」

 

「何当たり前のことをいってるんだ、ダンナ。アンタはこの国に一番必要な男だ。今死なれたら困るんだよ。それこそ天夜叉と船長になんて言われるか」

 

ペドロは笑いながらドルトンが体に巻いていた爆弾の帯を回収する。そして、そのままドクターくれはに言われて沢山の男達に担ぎ込まれていくドルトンを見送った。

 

「麦わらのルフィ、か。これではどこまで飛ばされたかわからない。また探さなくちゃならないなワポルめ」

 

ざくざく雪を踏みしめながら歩いていく。

 

「まあいい、3人が1人になるだけでもだいぶ違うしな」

 

そして、ドクターくれはの弟子、トニートニー・チョッパーが倒したという男二人のところに向かう。気絶しているのか、死んでいるのかはペドロにとってどうでもいいことだ。銃を取り出し、念の為ヘッドショットでトドメをさした。

 

名もなき島は冬島だ。年がら年中雪がふっている。この間もどんどん降り積もり、真っ赤に広がる血すらあいまいになっていく。この遺体が発見されるのは、来年のほんの少しの春の日か、たまたまこの辺りにつまずいて転ぶ誰かがいたときくらいだろう。

 

ペドロはそのまま城に引き返す。麦わら一味に一度話を聞かなければならない。麦わら一味が表向き行方不明のビビ王女といて、犯罪組織となにかを企んでいるか、対立しているとホーミングからきいているのだ。せっかくだから話が聞きたかった。

 

麦わらのルフィはチョッパーを気に入ったようで仲間にすると張り切って追いかけ回している。治療中のエグい音がするから、金髪の青年はまた病室送りになったようだ。ゾロ達は見つけられず、ペドロが訪ねたとき、いたのはオレンジ髪の少女とビビ王女だけだった。

 

「ロロノア・ゾロから聞いたが、きみが麦わら一味の航海士か。体調はどうだ?」

 

「アンタがゾロがいってたウミット海運の......」

 

「この国を担当している第一部隊長のペドロだ。身バレしたくないんでな、常時この姿をしている。モデルジャガーの能力者だ」

 

「やっぱそうなんだ、マフィアって大変なのね。うん、ありがとう。すっかりよくなったわ。あたしはナミ。よろしく」

 

「それはよかった。麦わらのルフィに礼をしたかったんだが、どうやらお取り込み中のようだから、伝えてくれないか。おれ達の仕事だったのにワポル王を倒してくれてありがとうとな」

 

「気にしなくていいわよ、なんか成り行きだったしね」

 

「そういってくれると助かる」

 

「あのッ!」

 

ペドロとナミの会話に入ってきたのはビビだった。

 

「ウミット海運が七武海天夜叉ドフラミンゴと深い繋がりがあるってほんとうですか?」

 

「ああそうだな。事実だ。それがどうかしたか?」

 

「ウェザリアとも取引してるって本当ですか?」

 

「そうだな、ウミット海運の大事な取引相手だ」

 

「どうしたの?」

 

ビビと聞かないナミの配慮を汲んで、あえて名前を聞かないペドロにビビはさらに続ける。

 

「ウェザリアは誰にも支配されない中立な場所だって聞いたことがあります。でも、雨が降らない国に、雨を売ってるって聞いたことがあります。もし、長年雨が降らなくて困ってる国があったら、いくら出したら売ってくれますか!?」

 

「なるほど、切実な問題だな。ウェザリアに聞かないとわからないが、事情を話せば交渉できるだろうな」

 

「ほんとですか!?」

 

「ただ、今のアラバスタの状況をみるに、ウェザリアが王国と交渉したとして、国民は納得するのか?ダンスパウダーで自分のところ以外雨を降らせないのに、沢山の税金を使ってわざわざ雨を買うなんてことになるだろう。なぜか取引が失敗したり、輸送がうまくいかなかったりすれば、クーデターの勢いが増すんじゃないか?」

 

「......たしかに、それはそうかも......」

 

「おれとしては、なんとかしてあげたいと思う。ただ、そちらもよく知っているように、天夜叉と砂の王は非常に仲が悪い。おかげで砂の王の支配域になった国からウミット海運は支部もおけず、経済活動を一切禁じられている状況だ。わるいがウミット海運はボランティアじゃない、れっきとした会社だ。交渉したいならそれなりの利益を見込める儲け話がないと応じられない」

 

「───────......そっか、そうですよね。もうけばなしか......」

 

「なんだ、簡単な話じゃない」

 

「え?」

 

「要するに、ソイツがいなくなっちゃえばいいんでしょ?そうすればウミット海運はアラバスタにまた支部がおけるし、お金稼げるし、アラバスタだって雨くらいいくらでも買えるようになるわよね?そういうことでしょ?」

 

ナミが笑う。ビビは驚いたようにナミとペドロを交互にみる。ペドロはうなずいた。ビビの顔に笑顔が浮かぶ。

 

「ウミット海運本社の連絡先がかいてあるんだ、渡しておこう。その時がきたら、是非とも協力させてくれ」

 

「あ、ありがとうございますッ!!」

 

「未来の儲け話のために協力してくれるって流れはウミット海運的には無しなの?」

 

「さすがにメリットよりデメリットが大きすぎてダメだな。おまえ達が七武海や四皇くらいの勢力なら船長も即決してくれるんだが。儲け話の嗅覚はするどい人だからな、その時が来たら連絡をもらうより先にアラバスタにいっていると思う」

 

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