(更新停止)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第72話

航海士エディがいうには、ログポースはずっと積帝雲を指していた。巨大な渦潮に麦わら一味とベラミー海賊団の船が、一隻一隻飲まれていく。夜になった。

 

ベラミー達は予感があった。夢のような大冒険の始まりである。

 

中央で衝突するかと思われたが、突如全てが消失した。海面が隆起する。それはジャヤが半壊して島ごと積帝雲に吹っ飛ばされたのでは、というドフラミンゴの予想が本物であると錯覚させるほどのたかさになっていく。

 

巨大な水柱が天を貫いた。船が垂直に走っていく。積帝雲を突き破り、船は空高く積み上げられた雲「積帝雲」の内部にある積帝雲の内部にある白海(7000m上空)に到達した。

 

「......ビルカの翼じゃねえな。なんださっきの」

 

「スカイピアの翼か?」

 

「かもな」

 

「おぬしら、何者じゃ。なぜ今は失われし空島ビルカの名を知っておる?青海人じゃろう」

 

「いや、てめーが誰だよ」

 

「わしの名は空の騎士!フリーの傭兵である。まずはビジネスの話をせんか?このあたりは危険な海じゃ。何も知らぬ者ならばゲリラに襲われ、空魚に食われる定めよ。1ホイッスル500万エクステルで助けてやろう」

 

「えらい安いな、ほんとに傭兵かよ爺さん。たったの500ベリーじゃねえか」

 

「格安じゃろ?大丈夫、お前さん達がここにいたるまでのことを考えた値段設定だと自負しておる。生活できるギリギリの値段じゃ。じゃから言っておるじゃろ、1ホイッスルだと。ハイウエストから無事辿り着いたお前さんたちに敬意を表する」

 

「いや、誰も脱落してねーけど」

 

「たった今ノックアップストリームできたんだけど」

 

「なんじゃと!?じゃあなんで相場を知っとるんじゃ!?」

 

「バロンターミナルで見たし」

 

バロンターミナルでは、1ベリー=1万エクストルで様々な取引が行われている。ベリーの1万分の1の価値になる。つまり500ベリーで1ホイッスルなわけだ。

 

「ウミット海運の主産業だし、知らねえ奴らはもぐりだろ」

 

「ウミット海運?......もしや、お前さん達はホーミングを知っておるのか?」

 

「ホーミングから独立したドフラミンゴにいわれて来たんだよ、おれ達は」

 

ウミット海運は会社だが、ドフラミンゴは七武海とはいえ海賊だ。ちなみにベラミー達も海賊だ。七武海だから普通の海賊ではないが、概念を説明するのがまず難しい。そもそも海賊と素直にいうのはまずいのではないかという頭が回ったベラミーは色々省略してガン・フォールに話した。

 

「なんと......今、ドフラミンゴといったか?そうか、あんなに小さかった子供が独り立ちするほどに時間が流れたのか......」

 

「ドフラミンゴのこと、知ってんのかじいさん!?」

 

「あたり前じゃろう。今は亡き空島ビルカの民にバロンターミナルへの移住を勧めてくれた男の子じゃ。もっともわしはウェザリア経由で聞いただけで実際に会ったことはないがな。おかげで警告は的中しビルカの民は助かった。そうか......そして、あらためてお前さん達を......。非礼を詫びよう、若人よ。わしの名はガン・フォール。今から案内したいところがある。きてくれんか」

 

ガン・フォールを名乗る老人に誘導される形で、ベラミー海賊団は空島スカイピアではなく別の空島に上陸することになる。

 

そこには沢山のスカイピア式翼をつけた男たち、その家族、あるいは親類、恋人に至るまで、まるで身を隠すように暮らしていた。

 

「警告どおり、神は現れ空島ビルカを滅ぼし、今まさに空島スカイピアで圧政を強いておる。あの移住計画のときに気づいていれば、ここまでの巨悪の台頭を防げたかもしれぬというのに......。しかも不甲斐ないわしらに救いの手をさしのべてくれるとは、なんと心優しき男になったのか......!ほんとうに申し訳ない!!わしらがいたらぬばかりに!」

 

いきなり土下座しはじめたガン・フォールにベラミー海賊団は困惑するしかない。説明するよう求められたガン・フォールは当然だとばかりにうなずくのだ。

 

そして、ベラミー海賊団は、ドフラミンゴがウミット海運でホーミングに師事していたころ、空島ビルカやバロンターミナルを開拓する事業にがかわっていたことをしる。そのときから見聞色が優れていたドフラミンゴが、空島ビルカに神が現れて空島ビルカは消滅するかもしれないと警告したそうだ。

 

もともと滅びゆく遺跡しかない貧しい空島ビルカの民は、ドフラミンゴの見聞色を本気にしたわけではないが、バロンターミナルの開拓計画に賛同して大移住を行った。それが今のウミット海運の主産業を支えるビルカの人々だ。

 

そして遡ること8年前、ドフラミンゴの見聞色は的中した。空島ビルカの滅びゆく文明の遺跡を守るために残ったはずの神官たちが、神を自称する元神官に率いられて、空島ビルカを滅ぼした。そして空島スカイピアを中心に空島をおさめていた王としての神だったガン・フォールを倒し、自称神として君臨。圧政を強いているというのだ。

 

それ以来、入国者を犯罪者に仕立てて裁きの地に誘導するよう義務付け、国民の罪の意識を煽っている。また、神隊を酷使して、自らの能力で空を飛ぶ方舟「マクシム」を作らせている。その目的は「還幸」であり、故郷ビルカに伝わる聖地「限りない大地(フェアリーヴァース)」という場所に到達し、文字通りの神の国を建設すること。また、雲や鳥でもないのに空に浮かぶスカイピアの存在そのものを不自然と考え、空島にいる全ての人間を地上に引きずり降ろそうとしている。

 

ベラミー海賊団をこの空島にまで連れてきたのは、かつての部下である神隊が囚われたことを気にかけ、脱走者を逃がすために傭兵となり、匿っている者がいるため。ここは神のマントラ(見聞色)が及ばず、事情を話しても雷による粛正をされないため。

 

神の名はエネル。ゴロゴロの実の能力者で、自身の体を雷に変え、自在に操る能力を得た男。

 

自分自身が雷になるため、雷速で移動したり、触れたものを感電させ、発生する熱エネルギーで金属を加工することも可能。 さらに心停止しても電気の力で心臓マッサージを行い復活も可能。

 

また、雷のスピードは秒速150km~200kmであり、光には及ばないものの、まず並の生物に捉えきれる速度ではない。体を電気に変えれば、雲や金属の中を移動できる。

 

加えて出力も桁違いであり、最大で2億ボルトという凄まじいエネルギーを持つ。

 

エネルは超人的な身体能力と格闘術、絶大な規模を誇る見聞色、大規模攻撃を生み出すための技術と頭脳などを兼ね備えており、これらの力と技術を能力に応用させた事で、より強力な能力者となっている。

 

攻撃として使うだけではなく、自らの持つマントラ(見聞色)の力をゴロゴロの実の持つ電波の力で強化し、スカイピア全ての情報を掴むことが出来るようになっている。

 

「お前さん達の気持ちはとても嬉しいが、このままでは死にいくようなもの。だからここに連れてきたんじゃ。悪いことは言わない、帰りなさい」

 

「ふざけんのもいいかげんにしやがれ!ごちゃごちゃいってるが、そんなことどうでもいいんだよ!麦わらの一味はどうなるんだ!!あいつらはおれのダチだ!ダチがハメられて死ぬかもしれねえって時に、帰るやつがあるかァッ!!」

 

ベラミーの怒りが木霊した。

 

「今すぐに空島スカイピアにつれてけ、ガン・フォール!リリー達はここにいろ、さすがにやべえからな。おれの勝手でわりいが行かせてもらうぜ」

 

「今までアンタの勝手が通らなかったことなんかないでしょ。何言ってんの。アタシらはあんたの船に乗ってんだから。死ななかったらなんでもいいわよ」

 

「仕方ねえな......おれもいくから後は頼んだ、リリー」

 

「しょうがないわね......いつものパターンだけど、死なないでよ。しなばもろともって約束でしょ」

 

苦笑いしたリリー達に見送られ、ベラミーとサーキースだけはガン・フォールと共に空島スカイピアに入国することになる。




最新話は7話を経て、ウラヌスという言葉を出すわけにはいかず、神という言葉にホーミング→ハレダス→ガンフォールの時にハレダスが置き換えたのが真相。ビルカやばいとドフラミンゴが発言しホーミングは元々の開拓事業のついでに行動。命の恩人なのは事実。ホーミングは放置する気だった。流石にビルカ文明がウラヌス案件といえないため、ドフラミンゴが最初にいいだしたから見聞色ということに。そしたらウラヌスはこなかったが神を自称するエネルがビルカ滅ぼしたもんだからガンフォール側から見たらえらいことになった命の恩人な男の子が真相。

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