(未完)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング) 作:アズマケイ
白ひげ海賊団2番隊隊長エースは、ただいま、元スペード海賊団のメンツをつれて、かつてのように快進撃を続けていた。表向きは黒ひげの前に鉄の掟仲間殺しの禁を破った男への落とし前をつけるため。実際は1日も早く名をあげて2番隊隊長に相応しい男になり、母方の姓を名乗っても海賊王の息子の名に潰されないため。
エースだけが胸に秘めているこの矛盾するような航海理由のため、はたからみると彼らの道中はまるで東西南北を完全無視した迷子の珍道中だった。
非常にタチが悪いことに、ある理由からウミット海運ミンク族部隊総司令官パンサ率いる部隊も連れていた。実際はエースがパンサに相応しい取引をした上での同行だったが、誰もがエースがホーミングの息子だから過保護ゆえの行動だと解釈していた。深層海流のためのコーディングからエースの船にウミット海運の科学部門のたぬきまで乗せているんだから勘違いも無理もない話だが。
まずはとある町でいつもの無銭飲食、人違いによる暴力事件などの問題行動を起こし、怒った町民たちにより川に蹴り捨てられる。
つぎにはルルシア王国にいき、流れ着いた乳牛牧場で、一人でミルク売りを営むモーダという少女に助けられる。
エースは、その恩返しに彼女の手紙をとある人物に渡すため、コーミル中将が司令官を務める「海軍G-2支部」に潜入。
一時は海兵に変装して基地内に紛れ込むも、ここでも白ひげの悪口を聞いて暴力事件を起こし、基地のコーヒーが苦いハライセに極秘情報船に引火したりと問題を起こし、海兵たちに追われることになる。
なんとか手紙の宛先であるコーミル中将に手紙を渡したエースは、情報船の中から落とし前をつけたい男の情報を抜き出して逃亡。同時に、手紙の配達によってモーダは離れ離れだった両親(同支部の料理人夫婦)と再会し、支部の苦いコーヒー問題もコーヒーミルクで解消された。
そして、エースの右腕剣士ハクトの故郷であるトモシビ島に寄港。その島には白ひげ海賊団のシマであることを示す旗がたなびく巨大な灯台があり、かつてエースが灯した炎が今なおちゃんと燃えていた。そこに南の海バテリラから密かに移送した母ルージュの墓と親族全員を移住できるまでの世話を焼いてやった。ウミット海運支部がシマにしている場所でもある。
ここで襲来したのはバッド・ワン・グレイシー率いるBIG海賊団。黒ひげを崇拝し、白ひげの壊滅を目論む不届き者である。
グレイシーはあらゆる場所から拳銃や大砲を生み出せる「ウテウテの実」の発砲人間で覚醒者。さらに参謀のネイロは「ポチャポチャの実」の贅肉人間だった。しかもグレイシーは、死をも恐れぬことで有名な「科学戦闘部隊」と同盟をくんでいた。
白ひげウミット海運連合と黒ひげの代理戦争が勃発し、エースたちは辛勝した。パンサはしれっと能力者達を生け取りにして血を手に入れた後処刑した。
そして、ようやく本命の支配するサンバ島に辿り着くことになる。男の名はカメレオーネ。元白ひげ海賊団船員。懸賞金は3億ベリー。黒ひげより前に鉄の掟仲間殺しの禁を破り白ひげ海賊団を離脱した男。この男が目的でエースは各地を追跡していた。ウミット海運の情報網を駆使すれば一瞬だったのは秘密だ。
カメレオーネは、よりによって能力を利用して、支配下においたサンバ島で、背後には白ひげの後ろ盾があるとして好き勝手していた。島民は怯えながら暮らしていた。
「仲間殺しの禁を破った上に、親父の顔に泥塗るなんていい度胸してるな、カメレオーネ」
「ギージギジギジッ、お前はたしか火拳のエースッ!?永久欠番の2番隊を新入りの癖にすわりやがったやつじゃねーか、ホーミングの親光りでっ!!おれは初めてあったときから、お前だけは気に食わなかったんだよ!!」
「だからどうした、賞金額おれより下のくせに」
フーシャ村の頃から言われ続けてきた誤解からくる八つ当たりだった。かつてはつっこみつづけてメンタル的に強くはなれても、はやく誤解を解かなければという謎の使命感に燃えていたエースだったが。あれから4年もたった。今のエースは、ふんぞりかえることができるくらいには成長した。
カメレオーネはコピコピの実の能力者。姿形だけでなく、その能力までコピーできてしまうので、かの悪名高きマネマネの実の上位互換のような能力だ。カメレオーネが黒ひげみたいな男だったら、世界はもっと大混乱に陥っていただろう。さいわいカメレオーネは小物だった。コピコピの実がそういう人間を好んでいるのかもしれないあたり、世界はよくできている。
ちなみに、モットーは「お前のものは俺様のもの。お前の命も俺様のもの。」だそうだ。
「おまえっ、えーっきしッ!!おれが動物アレルギーの動物嫌いだと知って、はーくしょいっ!!ミンク族連れてくるのは卑怯だぞ!?ぶえっくしょい!!」
カメレオーネの能力は非常に厄介だったが、この男は生まれつき、動物アレルギーだった。そのせいで大きなくしゃみをして元に戻ってしまう。おかげで諜報能力はあるがネコアラシ達が乗っていたころのロジャーやミンク族がたくさんいるウミット海運には通用しない致命的な弱点があった。
その隙にエースとパンサの共闘によって倒されるのだった。カメレオーネも血を抜かれてから処刑され、海賊団も皆殺しにされたのだった。
「お前と黒ひげを一緒にするな、格が違うんだよ。あの男はお前よりよっぽど危険だ。なんで1億ベリーなんだよ」
吐き捨てるエースにパンサがいう。
「そういや、ワノ国に目撃情報あったよね。ビブルカードってやつ、作るんだっけ?今特に荒れてるみたいだし、行かない方がよくない?僕、あいつ嫌い。どんだけやっても死なないのめんどくさい。負けないけど勝てないし」
「だから行くんだ」
「えー......ここまでいってんのに意見かえないの?」
「親父も了承済みだし、七武海になりたい黒ひげの目撃情報があるのに入国したらどうなるかなんて、おれが一番よくわかってる。カイドウがおれをどう利用するのかも含めてな。父さんへの礼も考えたら、きっと流れ的に行くのが筋なんだ」
「正気?そんなにワノ国一の遊女にお熱なんだ、火拳のエース。海軍にも現地妻つくっといてよくやるね。白ひげそっくり」
「イスカとはそんなんじゃねえって何回いったらわかるんだよ!ちがう、そんなんじゃねえさ」
「それじゃあ、あれかな?意図しない形で三重スパイに陥って苦しんでる行方不明になってるはずのカイドウの娘に責任感じてるんだ?黒炭の女の子に無責任にも妖艶なくノ一になったら仲間に入れてやるっていったのも含めて?」
「全部わかってんなら、最初から聞くなよ......」
「ふうん......まあ、自分から高みを知るために全面戦争のきっかけ兼タイムリミットに手を挙げるなんて、いい心掛けじゃないか。成長したね。4年前とは大違いだ。そんな君に敬意を表していい機会だから教えてあげるよ、エース。ドフィに学んで自制を覚えたとはいえ、敵を目の前にして逃げないってのを、誰に教えられるも無く実行してるところはさ。やっぱり血のつながりは強いんだと思うよ。そういうとこ、ロジャーそっくりだ」
「うれしくねえな」
「あははっ、いいじゃないか。そこまでいうならいこう。船長もドフィみたいに、やりたいようにやれ、必要なら親でもつかえって言ったみたいだし。自分の役割自覚したやつがこの世で一番しぶといんだってとこ、みせてやったらいい。大丈夫、船長もわかってると思うよ。常々海軍本部の場所が新世界じゃないのは、気に食わないとはいってたからね」