(更新停止)ロストマンのセイリング・デイ(王直→ホーミング)   作:アズマケイ

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第98話

元七武海サー・クロコダイルの後釜が決まった。1億ベリーの賞金首にして、あの人堕ちホーミングが殺しきれなかった男として有名な黒ひげことマーシャル・D・ティーチである。

 

元は偉大なる航路のとある島の孤児で、28年前(当時12歳の時)に「行く当てが無い」と頼み込み白ひげ海賊団に加入する。

 

ある悪魔の実が手に入る可能性が最も高いと自身が踏んだ白ひげ海賊団の2番隊に20年以上に渡って所属していた。

 

己の野心を隠し、古株でありながら2番隊隊長に就くことも無く日々を過ごしていたが、自身が求めていた史上最悪の悪魔の実ヤミヤミの実を偶然4番隊隊長で親友であったサッチが入手。

 

本人曰く弾みでサッチを殺害して実を強奪し白ひげ海賊団から脱走、その後黒ひげ海賊団を結成した。 ちなみに、もしヤミヤミの実が手に入らなかった場合はそのまま一生日陰者として生きるつもりだったという。

 

偉大なる航路で旧ドラム王国(現さくら王国)を5人で滅亡させるなど幾つかの島々で暴れ回った他、ある目的のために自分の実力を示して王下七武海入りを画策する。

 

また、詳しい時期や状況は不明だが、赤髪のシャンクスと戦闘経験があり、油断していなかった彼の左目に鉤爪で引っ掻き傷を残している。

 

4年前に旧ドラム王国を滅亡させた1週間後、ウミット海運の血の掟に従い、人堕ちホーミングにリトルガーデン近海にある名もない島で処刑され、船ごと海に沈められたが生きていた。

 

今年に入り、ワノ国にて目撃情報があいつぎ、異例の0ベリーから懸賞金が1億ベリーになった経緯がある。

 

そしてワノ国にて、黒ひげと百獣海賊団が手を組み、白ひげ海賊団2番隊長火拳のエース率いるウミット海運の同盟との衝突があった。双方死傷者と甚大な被害を出しながら戦況は激化し、黒ひげが七武海になったとおり、最終的にそちらが勝利を納めた形だ。

 

黒ひげは七武海入りを目指していたため、賞金首ではない生き残りのパンサは解放されたが、5億5千万ベリーの懸賞金がかけられた火拳のエースは大監獄インペルダウンに投獄された。

 

戦況を見守っていた旧スペード海賊団は、パンサをつれてワノ国を離脱。ウミット海運を通じて白ひげに詳細な情報が渡る。白ひげ海賊団は落とし前をつけると宣言、百獣海賊団に宣戦布告。ウミット海運も四皇カイドウとの取引を全て停止するなど制裁措置を行うとしている。

 

世界政府は、火拳のエースがポートガス・D・ルージュという南の海バテリラにいた女が海賊王の妻であり、エースが息子だとするトーンダイアルを所持していると発表。要調査中であるとしている。

 

ただし、この女は23年前にウミット海運最大の禁忌である儲け話を他社に持ち込むという事件を犯し、一族もろとも皆殺しにあったことで知られている。

 

今年に入ってウミット海運とホーミングの実子火拳のエースが墓を暴き、燃やし尽くしたことから、いまなおウミット海運の怒りをかっているのが明らかである。

 

トーンダイアルが本物であるとは考えにくく、今になって火拳のエースが制裁を課したのはこのトーンダイアルが原因ではないかと考えられる。

 

もし、エースが海賊王の息子だった場合、人堕ちホーミングが儲け話ともっとも縁遠い男だと語っていた海賊王との関係に矛盾が生じる。家族のために非加盟国を滅ぼした人堕ちホーミングが、実際に白ひげと同盟を組み、血の掟に従い黒ひげ傘下の海賊と交戦している場所もある。

いよいよ火拳のエース奪還に行動をうつすという情報もあり、赤の他人のためにここまでするとは考えにくいが、世界政府の調査結果が待たれる。

 

なお、ワノ国はまた情勢が不安定になる見通しだ。

 

「見守っていた......?見ているしかなかったの間違いだろ。あるいは置いていかれたか?惨めなもんだな」

 

なぜ鎖国中のワノ国の出来事がここまで詳細に掲載されているのか、なにか大きな力が働いている気配がする。ただ、完全にそれだけだった。部外者になってしまったローにはこれ以上読み取れることはなにもない。

 

あの日、自分の忌み名と隠された秘密を明かし、なぜ隠さなければいけないのか知りたい。ドフラミンゴファミリーにいればすぐ本で調べられるが、自力で突き止めたいと結論をだしたローに、ドフラミンゴは海賊王か四皇になるしか道はないと笑っていた。

 

ドフラミンゴは海賊王になる気はないから、夢を叶えたいなら自分で海賊を立ち上げるしかない。なら、立ち上げるといい返したのが昨日のことのようだった。

 

しかし、こうして新聞でしか得られる情報がなく、それ以外になにもわからない日々は、もう14年も前のことなのだと思い知らせるには十分だった。

 

気になることは沢山あるのだ。ドレスローザの凶弾のこととか、うそつきノーランドの黄金都市の冤罪のこととか、新約うそつきノーランドの著者とか、空島ビルカのこととか、活躍しているエニエス・ロビーを崩壊させた海賊達のこととか。

 

空島スカイピアで建設予定のワゴームランドのイメージキャラクターが新訳うそつきノーランドの著者と同名とか。

 

ドフラミンゴファミリーの永久欠番として有名なコラソンの肩書きを継ぐ男が現れたのに今だに表舞台に出てこないとか。

 

本当に色々あるのだが、今日の号外が全てを吹き飛ばした。ハートの海賊団ではその話題で持ちきりだった。

 

「キャプテン、知ってた?」

 

「知らなかったな......。あのとき、すでにエース4歳だろ?......異母弟ならまだ知らなかったとか......?おれに降りろっていったのは、弟分のつもりだった......?完全に想定外だな......」

 

「どうする?」

 

副船長に問われたローは答えるしかない。

 

「わからないなら......聞くしかないな。どの航路を辿っても、どのみちシャボンディに行くんだ。天夜叉ドフラミンゴ傘下の人間屋に殴り込みにいくしかねえな」

 

「アイアイサー!」


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